ある日。時間は午後5時半である会社のビルでは、もうすぐ終わりの時間となってそこの課長が社員に言った。
「さてと、もうすぐ終わりだから…今ある仕事を終わらせて帰るんだぞ。最近、本当に残業で問題になるからな」
「分かりましたよ課長」
「といって、俺はもう終わりましたからね」
などと言って社員の1人が仕度をして帰った。
「ほらほら、早くしろよな!俺が注意させられるんだぞ!」
「はいはい…」
「ある意味、ブラックだな…課長は」
とにかく焦らせる課長に文句を言う社員。すると扉からさっき帰った社員が入ってきた。
「あれ?」
「ん?どうした…忘れ物か?」
「いや…そんなんじゃあ」
ちょっと戸惑いながらも部屋を出たが、また入ってきた。
「あれ?!」
「だから、なに戻っているんだ?」
「別に、そんなんじゃあ…」
慌てて部屋を出る。だけど、次の瞬間。
「うわあぁぁぁぁぁぁ!!?」
「「「「あっ!?」」」」
天井から水と一緒に社員が落ちてきた。
これには課長やほかの社員もめちゃくちゃ驚くが、すぐにずぶ濡れの社員に駆け寄る。
「お前、どこからやってきたんだ!?」
「それが…廊下が変なんですよ!」
「変?一体どこが…変」
部屋の外を出て課長が目にしたのは、色々と複雑に曲がりくねった廊下。それはまさに迷路のようだった。
「こ…これって、迷路?」
この光景に、課長は驚きを通り越して固まってしまう。そしてほかにも迷っている別の課の社員や警備の人も一緒。
「どうなってんだ…いつのまに会社が」
などと迷路と化した廊下を歩きだすと、何かカチッと音がした。その時、ゴロゴロと嫌な音が鳴り響き課長は後ろを振り向く。
「まっ、まさか…やっぱり!?」
それはベタな巨大な岩が転がってきたので、課長は全力で逃げ出す。それからほかの社員と警備員も、通路を曲がったり罠を回避したり行き止まりに引っかかったりと迷路を進んで行き、こうしてなんとかビルの全員外に出た。ちょうどそこに石谷と関沢が通りかかって、ヘトヘトに疲れた人たちを見つける。
「アナタ達、どうしたんですか?!」
「め…迷路に?」
「迷路?」
石谷は恐る恐るビルの中に入るけど、普通のエントランス。
「なにもなってないけど?」
「ええ!そんな…たしかに迷路になって!?」
たしかに自分達は迷路に迷っていたと言い張るが、2人は信じられずにいた。だが、この様子を見ている影がいて立ち去る。
それから別の日のとあるデパートで、突然そこも迷路になって全員が迷子になってしまう。もちろん子供達は親を探して泣き叫んで、親も必死で自分の子供を探す。さらに次の日の病院でも、内部が迷路になって医者は必至で患者のいる病室を探し回っていた。とにかくこんな事件が立て続けに起きてるので、元祐は一応調べに行っていた。
「最初に迷路事件が起きたビルか…社長さんに聞いたけどなぁ」
しかし元祐が調べたところで、なにも分からずにいた。とりあえずタバコを一服吸おうとしたその時、ビルの陰に誰かがいることに気づく。気になった元祐はこっそりと近づいて
「コソコソしているアンタ、誰だ!」
「ひっ!」
そこに居たのは迷路みたいな模様が描かれて、色々と砕けた感じの壁の体に目も鼻もないけど牙を生やした口だけの顔がある怪人・メイズドーパント
「ドーパント!?」
「マズイ…」
慌てて逃げ出すメイズを追いかける元祐。すぐにドライバーを腰に巻いて変身しようとしたが、メイズはレンガを無造作に投げた。
「おっと、ありがちな攻撃なんて…あれ!?」
しかし何回もかわしたが、いつの間にか消えていた。
「……あんな見た目で、逃げ足は速い奴」
これにはちょっと感心してしまう。
次の日。ももこ達が通う東京シティ学園高等部の廊下で、3人が今回の事件の事で話をしていた。
「という訳で、もしかしてこれってモンスターの仕業か?」
「ドーパントかもしれませんわね」
「全く、モンスターかドーパント分かんねぇな」
などと話をしながら歩いていると
「コラ、アナタ達。よそ見をしないで歩かないの」
「「「キーン先生」」」
すると3人の担任の女性教師・キーンが優しく叱る。
「すみません、でも…高等部に行ってもキーン先生が担任なんて驚きましたわ」
「だって私、高校の教師免許を持ってますからね。万が一の場合に♪」
もともとキーンは元々中等部の担任だったけど、高校教員免許があるので高等部へ転任となったの事。
「君達、ここで何をしているんだい?」
「「「明雅先生!」」」
そこに眼鏡をかけたエリートな感じの男が現れた。彼はキーンと同じ東京シティ学園の教師の
「もうすぐ、授業が始まるというのに…なにを無駄話して」
「「「えっと…すみません」」」
明雅が厳しい目で りつけるので、3人は思わず謝ってしまう。
「そういうことよ。さぁ、早く教室に行きましょう」
「「「はい」」」
キーンもそう言うとももこ達はさっそく教室に行こうとしたが、明雅はすっと近づき。
「ところで、キーン先生。あの話は…」
「それは断りましたわよ」
「…そうでしたね。では、失礼」
すると明雅はそのまま立ち去った。
「それにしても明雅先生って、本当にカッコいいわよね!」
「たしかに頭も良いしスポーツ万能で、有名大学も首席で卒業したらしくて」
「おまけに実家もお金持ちの御曹司らしいしな」
ももこ達はここで明雅の話に入った。彼は見た目のルックスの良さもそうだけど、実家が金持ちで頭脳明晰の運動神経抜群で小中高と大学では常にトップで、学園では一番の人気を誇っている。
「ところで、キーン先生。さっき明雅先生からどんな話をしたんですか?」
などとさっきキーンが明雅とのやり取りを気になったので聞いてみた。
「じつはね、デートを誘われちゃったのよ」
「「「えっ!デート!?」」」
まさかキーンが明雅からデートに誘われたと知って驚く。
「ええ、映画と美術館を見て、夜景の綺麗なレストランで食事をってね。でも断っちゃった」
「どうして、明我先生のデートを断っちゃったの?」
せっかくデートを誘われたのに、それを断ったキーンにもったいないとももこが尋ねてみる。
「だって私、自信満々でなんでも出来て持ってますっていう感じの人って鼻持ちならないからね。だから明我先生にもそう言ってやったのよ」
「まぁ、分からなくともないかな?」
「ええ…ちょっとね」
「あの先生。自信家すぎますからね…」
キーンがはっきりと宣言するので、これにはあまりにもすがすがしいと感じるももこ達。だけど、これには納得する3人だった。あの明雅はとにかく自信家で、座絶を知らないと豪語するほど。なのでほかの生徒からも引いたり鬱陶しがられたりする。
「さぁ、みんな。早く教室行きましょうね」
「「「はい」」」
すぐに教室に行って授業を受ける。
一方、国立科学研究所ではメイヤー市長が映像越しで迷子事件の事を聞いてきた。
『という訳でだ…迷子事件はモンスターの仕業か?』
「それは…まだ」
『…まぁ、とにかく今回もガールズにお願いするからな』
そう言って通信を切るとケンはユートニウムに近づく。
「博士…ドーパントの事は話さないのですね?」
「…まぁね。これ以上話したりすると、不安と混乱を生む可能性が高い」
もしもドーパントの事をメアリーに話したりしたら、もっと大変なことになってしまうから秘密にすると語る。
「まさか…市長本人が出てくるとはな」
「あっ!アナタは」
「四藤さん」
ここで元祐がやって来た。
「1つ聞くけど、市長には俺の事は?」
「もちろん、話してませんが」
「それは良かった。仮にもこの街の市長だから…もしも知らされたりしたら」
そう言って顔を青くしながらもトイレに駆け込む。この光景を見たユートニウム親子とピーチは呆れてしまう。
「じゃあ、これが俺が調べた事で…これがこれまで起きた建物内部迷子事件が起きた現場だ」
それからタバコを吸いながらも、元祐はホワイトボードに地図を張ってユートニウムとケンとピーチに自分が調査したことを話した。ちなみに地図には、事件が起きた個所に印として丸磁石が置かれた。
「知っていると思うが、最近午後5時か7時に会社やデパート。挙句の果てには病院といった建物の内部が迷路になって、それで迷子になってしまう事件が起きている」
「やはり、これはドーパントの仕業?」
「そう、たぶん…迷路を作るからメイズドーパントってところだろうな」
「それで、ほかに分かったことはワン?」
ピーチねこの調査に分かったことはないのかと尋ねてみる。
「そもそも、なんでそんな時間帯に起きているのか…それは、犯人がその時間でしか動けない」
「「「動けない?」」」
「恐らくな。きっと犯人が仕事とかの理由で、その時間まで働いている可能性があるんだろうな。んで、休んだりすると怪しまれるからこの時間に決めている」
元祐の推理では、午後5時~7時の時に行動しないことから、仕事かまたは別の理由で動けない可能性が高いとのこと。
「もしその推理だとすれば…犯人は仕事に真面目な方ですかね?」
「もしくは、この時間がちょうどいいかもな」
本人の人物像が何なのかとちょっと考えてしまう一同。
それからシティ学園では、午前の授業が終わって昼休みに入る。
「じゃあ、みなさんお昼を食べて午後の授業もがんばりましょう♪」
キーンがクラスのみんなにそう言うと教室を出た。職員室に行こうとするキーンだが、その様子を見つめる人がいるとメモリを取り出す。
『MAZE』
すぐに右の頬に突き刺してメイズに変身すると、キーンの後ろに近づく。
「ん?うぐっ!?」
そしてキーンを後ろから抱き着いて口を塞ぎどこかに連れ去った。
一方、1年A組の教室は
「どう?今日のお弁当を!」
「相変わらずスゴイですわ!」
「流石は、姫子様!」
ドレス姿の同級生の白金姫子のお弁当を、取り巻きの中目黒華代と碑文谷文佳が褒めていた。
「相変わらずだね~~~」
「あれはあれで、平和ですけど」
「プリンセスにならなきゃな」
じつは姫子はあるきっかけで度々モンスターのプリンセスに変身したりする。ちなみに3人の弁当は、ももこがたこさんウィンナーでみやこはミートボールにかおるウナ玉のそれぞれ好きなおかずだった。しばらくすると男子の1人が、教室を出ると戻って来た。
「あれ?」
「ん?どうしたの?」
「廊下が…」
ほかの男子が尋ねると、彼は焦った顔で廊下に指をさす。
「はぁ、廊下がなにって…えぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
不思議そうに廊下を見ると、声を上げて驚いた。これに驚いてももこ達も廊下を覗き込むと、それはくねったり二手に分かれたりと迷路になっていた。
「なにこれ!?」
「これって迷路ですわ!」
「それは分かるけど!」
当然ももこ達は驚き、これには他のクラスや教職員に校長も驚きを隠しきれない。するといきなり校内放送が鳴り響いた。
『えーーー学園の皆さん。驚いているのは分かりますが、まずはこれを見てください』
さらに教室に置かれたテレビには縛られて気絶したキーンとメイズの映像が映る。
「キーン先生?!」
『あはははは!初めまして、私はメイズ!この迷路ゲームのゲームマスター!』
高笑いしながらもメイズは自らゲームマスターと名乗った。これには全員呆然となるがももこ達はベルトコンパクトを出したり、スマホを出して通信を始める。
「もしもし、博士!ダメ、通信できない…」
「こっちも電波が届かないみたいですわ」
「よく考えたら、こうなるのに決まってるからな」
当然のように電波が届いてなくて、通話も通信も出来なかった。
『さてと、見ての通り君達は私の迷路に閉じ込められてキーン先生も私の手の中。もし彼女を救いたければ、この迷路を突破することだ!』
「迷路を突破?」
『もしも見事に脱出出来たら、キーン先生は解放してあげる。それでは、See you.』
そう言って、画面が消える。とにかく東京シティ学園は今、とんでもない大迷路になっていた。
今回はキーンと白金姫子改めプリンセスが登場しました。