某所
少女は走っていた。
頭に鳴り響く頭を割りそうな高い音、その音に導かれるように制服姿の少女は走っていた。
そしてビルの一角、手頃な鏡を見つけその前に立ち止まるとスカートのポケットから何か板のようなカード入れのような物を取り出す。
それは白く、また金色な紋章の様なものが描かれていた。
少女はそれを自身を薄く映し出すガラスに突き出す。
すると腰にガラスから現れたバックルが腰に巻かれる。
「変身!」
少女はそう叫び、手に持つそれを腰のバックルに装着する。
すると次の瞬間、彼女の姿は白い仮面の戦士の姿に変身した。
仮面ライダーファム、それが戦士の名前である。
少女、ファムはそのまま鏡の世界へと入っていく。
鏡の世界、ミラーワールドは多数の白い怪物、シアゴーストがひしめき合っていた。
嫌悪感を抱かせるには十分なその鳴き声に仮面の下でファムは顔を歪める。
だが目の前の状況を放って置くことなど彼女にはできない。
SWORDVENT
腰のカード入れ、カードデッキからカードを1枚抜き取りそれを腰のレイピアの柄の部分を展開し、そこに入れ、閉じる。
するとそこから音声が鳴り、手元に両刃の薙刀を召喚する。
「はっ!」
建物の2階にいた彼女は飛び降り、シアゴーストの群れに飛び降りる。
そして薙刀を振るい、群れを蹴散らしていく。
シアゴーストの動きは鈍く、一体一体を倒すのは難しくない。
その中で彼女は周りに視線を向けていく。
視界に紫の戦士がサーベル状の剣を振るうのが映った。
その瞬間、彼女の思考は一つの感情に支配される。
「浅倉ぁ!!!」
眼の前にいるシアゴーストを蹴り飛ばし、紫の戦士に斬り掛かる。
だが紫の戦士、仮面ライダー王蛇は不意打ちをされたにも関わらず手に持つ剣でファムの攻撃を受け止める。
「はぁ〜……またお前か」
「お前だけは!お前だけは私が!」
ファムは薙刀を振るい連撃を繰り出す。
だが王蛇は巧みにその刃を躱し、一旦距離を置く。
「お前も懲りないな。いいぜ、遊んでやる」
王者はそう言うと瞬く間にファムの懐に入り込み、その剣を下から振り上げる。
反応できなかったファムは諸にその攻撃を受け、怯んだ隙に王蛇のもう一撃を喰らってしまう。
そして3撃目の突きを喰らい、吹き飛ばされ床に転がって行く。
「ぐっ……」
「はっ……はぁ!」
王蛇は動けないファムに対しトドメとばかりにその剣を振り下ろす。
だが、その一撃は彼女の元に届くことはなかった。
赤い戦士、仮面ライダー龍騎が2人の間に入り手に持つ剣で
攻撃を受け止めていた。
「はぁ!」
そして王蛇を蹴り飛ばし、龍騎はファムの元に駆け寄る。
「さやかちゃん!大丈夫!?」
「し、真司さん……」
龍騎はファムに手を差し伸べる。
だがファムはその手を振り払う。
「邪魔しないでください!あいつだけは、あいつだけは私が!」
ファムは起き上がり、王蛇に向かい駆けようとする。
だが龍騎は彼女の腕を掴み、それを止める。
「だめだよさやかちゃん!」
「何でですか!?私は!」
王蛇に更に挑もうとするファムを止めようとする龍騎。
それを遠巻きに見ている戦士がいた。
仮面ライダーゾルダ、片手に銃を持つ緑の戦士だ。
「俺、嫌いなんだよね。こういうゴチャゴチャした戦いはさ!」
FINALVENT
ゾルダは3人とは距離があり、また高さ的にも有利な2階でその様子を伺いながらカードを銃に読み込ませる。
そして音声と共に彼の身長の2倍ほどあるバッファロー型の機械仕掛けのモンスターが出現する。
ゾルダが契約するミラーモンスター、マグナギガだ。
ゾルダはマグナギガの背中に銃を装着すると固まっている3人、更にはその近くで戦う黒の戦士、仮面ライダーナイトに照準を合わせる。
引き金を引くとそれに合わせマギナギの全身からミサイルやビームが雨あられと発射される。
「「「「!!!???」」」」
エンド・オブ・ザ・ワールド、その名に恥じない圧倒的火力が戦士達とミラーモンスターを襲う。
戦士4人、そして多数のシアゴーストを巻き込み一面は一気に爆炎が拡がっていく。
戦士達は吹き飛ばされ、各々ダメージは避けられない。
地面に叩きつけられたファムは全身を襲う痛みに耐えながら、フラつきながらも立ち上がる王蛇を見つけた。
「浅……倉……!」
立ち上がろうとするもしかし身体は言うことを聞いてくれない。
限界を迎えた身体は彼女の意思とは関係なく地面に伏せることしかできなかった。
彼女はミラーワールドから出ていく彼の後ろ姿を見送ることしかできない。
その悔しさに思わず拳を地面に叩きつける。
「さ、さやかちゃん!?大丈夫!?」
「真司さん……」
ボロボロになりながらも龍騎がファムに声を掛ける。
彼は彼女の肩を担ぐとミラーワールドから脱出する。
これは日常の裏側、鏡の世界ミラーワールドで繰り広げられる13人の人間の願いを叶えるための戦い。
ただ1人、己の願いのために仮面ライダーは今日も戦う。
戦わなければ生き残れない。