魔法少女リリカルなのはVivid 城塞の軌跡   作:防御特化っていいよね

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第10話 訓練ばかりではなく

「さて、今日は……お休みです!」

 

「じゃあ俺はトレーニングしますね」

 

「休みだっつってんだろバカタレ」

 

「いっだあぁぁ!?」

 

 無人世界カルナージにやってきて2日目、尊敬する騎士との模擬戦という夢のような時間を終えた俺は本日はどんなトレーニングをするのだろうとワクワクテカテカとしながら意外と朝に弱いらしいエリオを起こして身支度を済ませて階下にやってきたわけだが、そこで無慈悲な今日はお休み宣言を貰ったので、じゃあご先祖式トレーニングやるかぁと言ったらヴィータさんにアイゼンで思いっきりどつかれてフローリングに顔面からキスすることになった。

 

「あははー、明日の団体戦の調整があるから今日はお休みだよ~。興味本位で聞くけど、何をする気だったのかな?」

 

「ベルカ末期の戦場のデータで3回死ぬまで戦った後に300キロくらいの岩を担いで筋トレするつもりでした。魔力負荷と筋力負荷マシマシで」

 

「うん、カイトくんには後でお説教ね」

 

「どうしてですか!?」

 

「ふむ、痛みに対する感覚が麻痺するから3代目あたりからは重宝されているんだが」

 

「ラフィもお説教やな」

 

「バカな!?」

 

 ラフィから教えてもらったバーチャル古代ベルカ末期戦場体験ツアー(残機3つ)は大変不評だった。ちなみに一番ひどくない戦場のデータをなのはさんに渡したら閲覧して1分でゴミ箱に捨てられて2度とやるんじゃないと釘を刺されたんだけどなぜに?覚悟とか度胸とか根性が据わるからいいぞー、と思ってるんだけどなあ。いまいち納得できない俺とラフィは顔を見合わせて、同じように首を傾げる。

 

「あれ、痛覚100%再現してるだもん。死んだら文字通り死ぬほど痛いんだからやっちゃいけませーん。カイトくんの成長にはよろしくないです~」

 

「……あれ、もしかして俺って結構おかしいんですか?」

 

「いまさら?」

 

「いまさらやん」

 

「いまさらだろ」

 

「いまさらだよ?」

 

「ちょっと泣きそうです」

 

 どうしよう、大人組から全会一致でお前のトレーニングはおかしいと言われてしまった。でもー、初代みたいになりたいんだから初代のトレーニングを真似するのは間違ってないとは思うんだけど……まあこれ以上グラーフアイゼンの一撃を受けたくはないのでお口をチャックする。エリオが苦笑いしてるのが見える。同じ男として助けてくれ。

 

「あ、筋力負荷も魔力負荷も禁止ねー。休みの意味がないから。今日はちゃんと羽根を伸ばすこと!」

 

「あー、まあはい。分かりました。それじゃ、今日は自由行動でいいですか?」

 

「ああ、予定はちゃんとあるよ?水着、持ってきてるんでしょ?」

 

「まあ、持って来いと言われましたので」

 

「ふあ~~~、なのはママ、フェイトママ、カイト先輩~、みんな~おはよ~~~……」

 

 よろしい、となのはさんに鼻をつん、と突っつかれて俺は泣く泣く朝からかけていた魔力負荷と筋力負荷を外す。それを気取られたのかやっぱ付けてやがったかとヴィータさんに小突かれた。もはやこれ、デバイスなしでやれるくらいには日常と化していましてね……。寝ぼけ眼を擦ってこちらにやってくるヴィヴィオに挨拶すると、どうも準備不足だったらしく真っ赤になって洗面所に行ってしまった。そんなに見苦しいか?俺……。

 

 

 

 

 

 

「エリオ、俺はこれどうしたらいいんだ?」

 

「大丈夫だよカイト、僕にも分からないから」

 

「そうか……」

 

「カイトせんぱ~~い!一緒に泳ごうよ~~!」

 

 上半身をさらけ出し、海パン一丁となった俺とエリオは隣あって座り、遠い目をしてお互いを慰め合う。水着で集合、と言われて行ってみれば予想通りと言えば予想通り……女性陣も全員水着姿で集合していたのだ。ロッジからほど近い川で、流れも緩やか、深さもそれなり。安全性は高いだろう。問題はどう視界を移動させても水着の女性陣がいるということなんだが。

 

 いや、確かに俺は男だ。それなりに欲というものがある。ただでさえ美人美少女比率100%の所に水着というアルテマウェポンを投入すればそれは確かにアルカンシェルに一人で立ち向かうレベルの脅威となるであろうことは間違いない。手を振って無邪気に俺のことを呼ぶマセたビキニを着用しているヴィヴィオに片手をあげて、俺は川の中にざぶざぶ入る。

 

「えいっ!」

 

「きかぬわ!」

 

「ええええっ!?どうやったのそれ!?」

 

 隙ありとばかりにヴィヴィオが水をかけてくるけど、俺は同じように水をヴィヴィオに発射して相殺する。しかしまあ、随分とマセた水着ですこと、ビキニってお前……何歳だよ。そしてその後ろにいるなのはさんもビキニ、というか全員ビキニ、ワンピースタイプを着てるのヴィータさんくらいだわ。目のやり場に困る、俺は男なんだぞ。というかエリオが可愛そうになってくる、毎年これやってんのもしかして。

 

「あ、そうだカイトお前DSAA出るんだろ?」

 

「出ますよ?目指せ男女総合世界一です。まずは男性部門を制覇することからですね」

 

 すいーっとこちらに綺麗なフォームで泳いでやってくるノーヴェさんの質問に答える。DSAA、ディメンジョン・スポーツ・アクティビティ・アソシエイションというクソ長い競技の団体名なんだが、まあなんだ……魔法戦技の世界大会という感覚で受け取ってもらえばいいのだろうか。

 

 男女別で別れていて、人気なのは勿論女。というか魔法関係者で強者を当たるとなぜか女性の方が比率が高い、魔力の親和性がどうたらこうたらと難しい話を聞くが身体強化のおかげで生来の筋力骨格があまり関係ないから高い魔力を持ちやすい女性が活躍しているという感覚でいいだろう。

 

 DSAAは見世物なので、見目麗しい女子部門はかなり華やかにテレビ中継されるけど泥仕合が多い男子部門はどうも人気がいまいちで、視聴率がよろしくない。まあそれはどうでもいいんだけど、DSAAは模擬戦に近いルールで行われるので経験を積むのにうってつけなのだ。騎士として強くなれるなら、喜んで見世物になろう。見られて恥ずかしいことも物もないからね!

 

 ちなみに、世界大会の最後に男子部門と女子部門の優勝者のエキシビションマッチが行われて真の次元一の10代が決まるわけなんだが、俺の当面の目標は男子部門の都市選抜戦を勝ち抜いて世界戦代表者になることだ。そうすれば少なくとも来年度の試合のシード権が手に入るからな。負けるつもりは一切ないんだけど、強い相手と戦いたいんで。

 

「そのことなんだけどな……出るなら都市選抜までデバイス封印しろ、ユニゾンも駄目だ」

 

「え、何でですか」

 

「昨日お前が証明しただろ、本気でお前がアームドデバイス使うと、非殺傷貫通するんだよ。地区予選のレベルだと殺すとまではいかなくても再起不能になるかもしれねえんだ」

 

「素手で何とかできますかね?相手を舐めてるみたいでいやなんですけど」

 

「お前なら素手でも都市選抜までは余裕で残る、男子部門だしな。都市選抜のレベルまで行けばお前がデバイス振ってもうまいこと守ってくれるだろ」

 

 ストライクアーツの指導者の資格を持つノーヴェさんの言葉は無視するべきじゃない。確かに、地区予選の動画を何本か見たことはあるけど俺の防御を抜けるであろう人はいなかったし、俺の本気の攻撃を防ぐ防御や技術を持ってる人もいなかった。シグナムさんと戦って納得できたんだけど、これまでの修行の成果のおかげで俺は管理局的にも即戦力と言われるほどのレベルに達せてるらしい。実戦経験が不足しすぎていまいち実感ないんだけど。

 

「そもそも問題、フラムスクーレとシュロスリッターは武器として威力が高すぎるわ。流石は古代ベルカね、魔法制御よりも武器としての性能に重きを置くなんて」

 

「それはそうだろう。戦争に使われていたデバイスだぞ。強くなければ生き残れなかった」

 

「だから演算領域が少なくて盾と斧を纏められずにツインデバイス持ちになって、それでも足りずにラフィが出来たんだよ。家は掛け算を知らないからな、全部足し算だ」

 

「それにしても異常なの。何で落としただけで石が真っ二つになっちゃうの?非殺傷だって万能じゃないんだから、そんなのでまともに切りつけたらそりゃ怪我だってしちゃうわ」

 

 模擬戦後、どうしてもデバイスを見せて欲しいと頼み込んできたルーテシアにフラムとシュロスを預けたんだが、ガチガチに戦争を戦い抜くためのデバイスと魔法の発動に重きを置いた現代のデバイスを比べたらそりゃそういう反応になるよ。まず武器なのであって魔法の触媒的な役割は二の次だ。頑丈で、鋭くて、威力がないとダメだったんだから。

 

「そもそも、DSAAってユニゾンデバイスってありなのかな?」

 

「ああ、それは関してはルール上平気だ。最新のデバイスにはユニゾンデバイスじゃないのに所有者と一体化するもんがあるらしいからな。扱い的にはそれと同じだろ」

 

「た、だ!分離して2対1とかはダメだぞ。あくまでお前が戦うんだからな」

 

「……虚をつく常套手段なのだが」

 

 ヴィヴィオが可愛らしく首を傾げながら言った言葉にルールに関してはきちんと調べていたので補足をする。ユニゾンデバイスはありらしい、というか大会の項目になかったからオッケーかどうか本部に尋ねたんだよ。ユニゾンデバイスは希少すぎてルールに書く意味がないからな。まあ答えは、ルール上オッケーって感じだ。ノーヴェさんの釘さしにもきちんと頷く、不穏なことを言ったラフィにチョップをしてからざぶんと肩まで川につかる。冷たくていいな。

 

 ちなみに価値観が俺より古代ベルカ末期の戦争に染まっているラフィの言葉は華麗にスルーされる。俺はもう慣れに慣れているし、多分何でもありの対人戦だったら目の前でユニゾン分離して強制2対1とか普通にやると思う。勝てば官軍負ければ賊軍、誇りで誰かが守れるなら苦労はしないが、そうじゃないのはご先祖が証明しちゃってるんでな。

 

「あ、あの!」

 

「どうしたヴィヴィオ?」

 

「その~~……セコンドって決まってますか?」

 

「いや?ユニゾン禁止なら都市選抜まではラフィにやってもらうかな」

 

「じゃあ!……じゃあ、私にやらせてもらってもいいですか……?」

 

 もじもじ、つんつん……柔らかそうな頬を赤く染めてつんつんと人差し指同士を突っつきながらちらちらといじらしい感じでこちらにお伺いを立ててきた。ふむ、セコンドか……やってもらってもいいんだけど、それには保護者のお伺いが……いや一瞬で許可下りたわ。なのはさんもフェイトさんもグッドサイン立ててるわ。いいんですか寧ろ?

 

「俺はいいけど……むしろいいのか?」

 

「まあこいつもデバイスを持ったら出るつもりでいるらしいし、雰囲気を掴むためってことでよろしく頼むわ。あ、あたしもやるからな、お前がやり過ぎないように」

 

「大丈夫ですよ、ちゃんと全力でぶん殴ります」

 

「それでいいんだけどお前拳でも非殺傷抜きそうで怖いんだよ」

 

「いいんですか!やったぁ!!」

 

 失礼な、確かに俺のパンチは本気でやれば魔力なしでも新品のサンドバックに一撃で穴をあけることができるが、きちんと魔法を使うんだから非殺傷設定が適応されるに決まっているだろ。まあ親御さんの許可は下りたのでいいよというとヴィヴィオは飛び上がって喜んだ。あらやだ可愛らしいことで。セコンドっつってもまー、やることは近くで応援するようなもんだしな。

 

「なんやー、こんな美人たちに囲まれてるのに動揺一つみせんのか~からかいがいがないなぁ~♪」

 

「…………へっ」

 

「鼻で笑ったな今!?どういう意味や!?場合によってはお仕置きやで!?」

 

「とりあえずはやてさんはぞんざいに扱っていいと本能が告げてます。さっきまでフェイトさんにセクハラ三昧してたじゃないですか」

 

「見えてたの?!ねえ見えてたの!?」

 

 視界の端でちらちらと見えていたんだけどはやてさんはどうやらセクハラ夜天の主だったようで、フェイトさんが油断した隙に背後から胸をダイレクトに揉むという男がいるんだぞと小一時間説教してやりたくなるような行為をしていたのだ。その……フェイトさんの痴態については見えてた見えてないの問題ではないと思う。というかなんでみんなスルーしてるの?普通なのこれ?

 

 エリオが真っ赤になって水の中に潜ってるからあいつの感覚は正常なんだろうけどさ……なのはさんはよくヴィヴィオを目隠ししてくれたと思う。慣れてるのかな。真っ赤になったフェイトさんが必死になってみていたのかどうか尋ねてくるので、俺は男らしく……首を縦に振った。フェイトさんは真っ赤になって水の中に沈んでいった。俺は悪くないと思う。




 DSAAに関してはどう考えても男女別なのでそうなりますが、ちゃんと原作キャラとも絡ませますのでご安心ください。残念美少女はやてさんはコメディリリーフです、間違いない。

 純粋古代ベルカって非殺傷ないんすね...Asでシグナムさんがジャケット抜かないよう手加減しないとやばいみたいなこと言ってますし

 ではまた次回に。感想評価よろしくお願いします
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