魔法少女リリカルなのはVivid 城塞の軌跡   作:防御特化っていいよね

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第11話 団体戦

「さて、それではオフトレのメインイベント~!団体戦を開催しちゃいまーす!」

 

「団体戦ですか?」

 

「そう!人数的には7対7になるのかな!あ、アギトやリイン、ラフィさんなんかはユニゾン前提で話してるから数に数えてないよ~」

 

「面白そうですね」

 

 オフトレ3日目の朝、朝食の席にてそんなことを言われた。見学のヴィヴィオはぶすくれているが、聞き分けのいい子なのですぐに模擬戦の様子に夢中になるだろう。七対七の集団模擬戦かあ……集団戦は一切経験がないんだよ、どうしたもんかな。そう考えてるとぽん、と俺の両肩に誰かの手が置かれる。後ろを見ると、ニンマリ笑ったはやてさんだった。

 

「カイトくんは~、私たちと同じチームやで~」

 

「チーム分けもう決まってるんですか?」

 

「そうやで~。古代ベルカチームと、ミッド&近代ベルカチームや!チーム分けはこうやな」

 

 揶揄ってるのかどうなのか分からないが、椅子に座った俺に後ろから抱き着くようにして手を俺の前に回したはやてさんが投影画面を俺の前に出す。そこに表示されていたのチーム分けはまあ、予想通りというか何というか……本気で古代ベルカとそれ以外みたいな感じじゃないかこれ。

 

 まずミッドチルダ式チーム。なのはさん、フェイトさん、ティアナさんにスバルさんにノーヴェさん、キャロにエリオ。古代ベルカチーム、はやてさん&リインフォースツヴァイ、シグナムさん&アギト、ヴィータさん、ザフィーラさん、シャマルさん、ルーテシア、そんで俺&ラフィって感じだ。偏ってんなー……。

 

「そういえばルーテシアって召喚士なんだっけ、ベルカベースの」

 

「そうだよ!ガリューとはもう会ったでしょ?」

 

「ああ、あのやたら強そうな。畑耕してたヤツ」

 

「そうそう!ガリューは強いんだから!」

 

 そういえば1日目に紹介されたな。昆虫と人のあいの子みたいな魔法生物。妙に礼儀正しいわりに、強そうだったから一戦交えたいなあとは思ってたんだけど。俺があまり反応しないのがつまらないらしいはやてさんは唇を尖らせてすっと離れる。悪かったですねからかいがいの無い男で。

 

「妙に偏ってますけど大丈夫ですか?」

 

「いや、これはこれで大丈夫だよ。むしろ、ここまで別れることはなかなかないから、いいトレーニングになるんじゃないかな、ね?なのは」

 

「うんうん。カイトくんは責任重大だぞ~~?」

 

「……頑張ります」

 

 確かに俺はデータ戦ばっかりで対人戦の経験は少ないし団体戦なんて初めてだけどこういう風にプレッシャーかけてくるのはひどくないか?まあ、それで怖気づくような根性は持ってないんだけどさ。俺はすっかりお気に入りになった暖かい緑茶を喉に流し込むのだった。頑張るぞっと。

 

 

 

 

「じゃ、作戦ねるでー。まずポジションな。フルバックはルールー、センターガードは私でウィングバックはシャマル、ガードウィングはシグナムとヴィータ。そんでフロントアタッカーがザフィーラとカイトくんや」

 

「向こう側は射砲撃がメインになるだろうからいかにフロントアタッカーが潰されないかにかかってるわ。特になのはちゃんとティアナちゃんの2枚看板が厄介ね」

 

「情けない話、あの二人には撃ち負けるわ。私の魔法はどうしても溜めと詠唱が必要だから。つまり何が言いたいかと言えば」

 

「ザフィーラかカイト、どちらかが敵中枢まで食い込んで出来れば高町を抑えておくほかない」

 

「それなら俺がやります。射砲撃はほとんど適正ないのでどっちみち突っ込むしかありません」

 

 バトルフィールド内で騎士甲冑に姿を変えてユニゾンを済ませた俺たちがひざを突き合わせて作戦会議をする。俺のポジションは最前線で切り込み役となるフロントアタッカー。高い近接戦闘能力と防御力が重要なしぶとさが重要となるポジションだ。まあつまり、俺が一番適性が高いものってわけだ。

 

「やなあ。シグナム相手にあそこまでやれるんやから心配はしてへんで。ああそうや……出来ればでええんだけど……初手でキャロに攻撃できへん?」

 

「分かりました、やりましょう」

 

「即答かいな。一応最悪のパターン説明すんで。中盤か終盤にかけてやけどな、なのはちゃんとティアナ二人掛かりでスターライトブレイカー撃たれたらまずどうにもならんわ。だから……信頼してるで、二人とも」

 

「盾の守護獣の名に懸けて」

 

「頑張ります」

 

 はやてさんの本来のポジションは広域魔導士……フルバックより後ろにいてアウトレンジから大火力の魔法を叩き込むのが本来の戦い方だ。中遠距離支援のセンターガードは本来のポジションではない。だから、誘導弾による援護は期待しない方がいいだろう。それじゃ、と配置につく俺たち。当然俺が行くのは最前列、ザフィーラさんは人型になって俺の横に立った。

 

「……緊張するか」

 

「いいえ」

 

「そうか。俺たちは守りの要だ。だが……お前は後ろを気にするな、やれることをしろ」

 

『主カイト、やるぞ』

 

「おう」

 

 ザフィーラさんの言葉に頷いた俺はフラムとシュロスをデバイスフォームに変える。すっかり手に馴染み、自らの体の一部になっているその斧と盾は変わらずに鈍く輝いていた。いくばくもせず、向こうも配置についたのだろう。投影画面にカウントダウンが映し出される。3,2,1……始まった。

 

「行けっ!」

 

「はいっ!」

 

 俺はまっすぐ、ただまっすぐにシュロスを前面に構えて駆けだした。身体強化をフルに使って踏み込み、壁を飛び越え、障害物をフラムで両断し、強化した視力で捉えたなのはさんと……そのさらに後ろにいるキャロを見据えている。当然ながらなのはさんとティアナさんも俺を捕えている。すぐに桜色の魔力弾とオレンジ色の徹甲弾が迫ってきた。

 

『これで止まらないのかあ……ハンマーバレットも無意味なんてね』

 

『冗談じゃないですね……スバル、ノーヴェ!止めないと切り込まれるわ!』

 

 着弾した魔力弾はシュロスですべて防ぐ。そして足を止めない。背後から襲い掛かる徹甲弾もシールドで防ぐ。前面から襲い掛かってくる衝撃力を増強させたハンマーバレットも全て大盾で受け止めながら進んでいく。前線に切り込む力、強引に全ての攻撃を受け止めてねじ伏せつつ前に進む。初代がよくやった戦法だ。前線を押し上げるための強引な作戦ともいえない作戦。

 

「スバル姉ぇ!合わせろ!」

 

「任せて!マッハキャリバー!」

 

「ラフィ、防御たのむ」

 

『ああ、承った』

 

『Panzerhindernis』

 

 シュロスの音声で前面にバリアが発生してローラーブーツで突撃してきたスバルさんとノーヴェさんの拳と蹴りを受け止める。流石にこれは前には進めない、後ろに押し込まれはしないが止められてしまった。うん、とりあえずはやてさんの指示を先にこなすとしよう。俺はシュロスを腕から外して投棄し、飛びあがる。支えを失ったシュロスを隠れ蓑にして何をしているかを隠した。

 

 ドバタン、と突如力が抜けたせいで二人してシュロスの上に倒れ込んだのを尻目に、俺はフラムを構える。さっきの間にフォルムツヴァイ、ラビュルスフォルムに変わっていたフラムが2発のカートリッジを吐き出す。空中を三段跳びして高度を稼いだ俺は渦巻く炎を纏ったフラムを渾身の力を込めてなのはさんの後ろにいるキャロに投げた。

 

『「翔けろ隼!」』

 

「まずい!キャロ!」

 

『Sturmfalken!』

 

 いの一番に警告をしたなのはさんよりも先に炎の隼が召喚準備をしていたキャロに迫る。シグナムさんほど洗練されたそれではないが、威力だけなら自信がある。距離はあれど、外さない……そう思ってはいたがやはり上には上がいるもので、金色の閃光が雷とともに走ったと思ったら、金色に光る大剣が振り上げられてフラムを弾いて明後日の方向へ飛ばしてしまった。

 

「フェイトちゃん、ナイス!」

 

「助かりました、フェイトさん」

 

「ううん、大丈夫。でも……いきなりキャロにくるだなんて思わなかったな」

 

『戻すか?主カイト』

 

「いや……今はそれどころじゃないかな」

 

 着地した俺の目の前には、追いついてきたスバルさんが目を輝かせてそこに立っていた。近くで剣戟音がするのでノーヴェさんはシグナムさんと戦っているのだろう。シュロスは後方10m、後ろを見せれば殺られるな、これは。いきなり素手になってしまったが、問題ない。だけど、問題なのは後ろにフェイトさんが着地したことかなあ。ヴィータさんはなのはさんに、ザフィーラさんはティアナさんに向かったようだ。

 

「確実に行くよ、スバル」

 

「はいっ!覚悟してねカイト!」

 

「お手柔らかに」

 

『爆炎付加』

 

 俺の両腕のガントレッドが燃え上がる。そしてそのまま、左手の甲を盾を構えるときのようにスバルさんに向けて右手を引く。フェイトさんがデバイスを変形させて魔力刃の大剣から小回りの利く圧縮魔力刃の長剣に変える。どうしよう、どうしようかな。これ。というか後ろのフェイトさんが怖い。怖すぎる。接近戦も遠距離もこなせるって何?普通どっちかでしょ?流石は執務官。

 

「マッハキャリバー!」

 

「バルディッシュ!」

 

『短距離転移!』

 

 ローラーダッシュでこちらに唸る拳をぶち込もうとするスバルさんのパンチを炎を纏わせた左手で防御する。すさまじく重い拳が捻じ込まれるが、何とか防御に成功。俺が背中を見せたので背後から雷を纏ったバルディッシュで切りつけようとしたフェイトさん。だけど突如俺の背中にラフィによって転移させられたシュロスが現れ攻撃を防ぐ。

 

 左手の炎熱を爆発させてスバルさんの手を弾き、そのまま左手を後ろに回してシュロスを腕に接合し、強引にぶん回す。虚を突かれた二人はシールドで防御して後ろに下がる。一拍あいたな……よし、そろそろやるか!

 

「ラフィ、戻して」

 

『逆飛びの流星!上がりて落ちよ!』

 

『Zuruckkehren comet!』

 

「きゃあああっ!?」

 

「はやてさんっ!」

 

「任せとき!フレースヴェルグッッッ!」

 

 フェイトさんに弾かれて明後日の方向に吹っ飛んでいったフラムが、再び炎を纏って戻ってきた。炸裂しなかったシュツルムファルケンの魔力を再利用し、推進方向を変えて戻す不意打ちの魔法だ。軸線上にいたキャロを巻き込んで戻ってきたフラムをキャッチし、俺はまた両手に相棒たちを戻した。隙が出来たキャロに対しはやてさんが弾幕を掻い潜りながら発射した砲撃魔法がキャロを捕えて撃墜判定を下す、よしっ!

 

「じゃ、そういうことなんでっ!」

 

 俺は両手でフラムを強く握り、地面に向けて振り下ろす。フラムを中心に地面が割れて割れた地面から炎が爆発的に噴き出して目くらましになる。その隙に飛んできたシグナムさんがフェイトさんを足止めしてくれる。そして俺は飛行魔法を全開にして飛び立った。目指すは、桜色の球体をチャージしているなのはさんの元。

 

「これよりティアナと一緒に軸線上の相手に対し収束砲撃を叩き込みます!」

 

「あかん!最悪のパターンや!やっぱり狙ってきた!」

 

「止めます!フラムスクーレ、シュロスリッター!フルドライブ!!」

 

『『BrechenSchlossform』』

 

 二機がそれぞれ一発カートリッジを吐き出して姿を変える。シュロスはカートリッジ搭載箇所だけ俺の腕に残してその大盾を4つに分割して遠隔誘導端末に、フラムは俺の身長を越え、片刃に戻り、さらに分厚い刃を魔力刃で形成した大斧に姿を変えた。この姿はたった一つの魔法を使うためだけの形態、身体強化、城塞不撓……初代が残した3つの魔法の最後の一つ!

 

「破城、準備」

 

『『Explosion!』』

 

『食い破れ、炎獅子の牙!眼前の障害、恐るるに足らず!』

 

「スターライトォォォ……!」

 

 フラムは5発、シュロスは2発のカートリッジを連続で吐き出す。なのはさんが気づいて収束砲の標的を俺に変える。シュロスがフラムに取り付き、フラムの魔力刃がさらに大きく広がる。ラフィの詠唱が終わると限界以上の魔力が体に叩き込まれて漏れだした魔力が炎熱となり騎士甲冑の隙間から吹き出す。そのまま大上段に構えたフラムをなのはさんに向けて全力で振り下ろす!

 

『「我が前に砕けぬ城なし!」』

 

「ブレイカーッッッ!」

 

「破城、激震っ!!!」

 

 世界の終りのような桜色の砲撃が俺を飲み込む、それと同時に一振りで城を叩き壊す炎の一撃がなのはさんを捉える。大技だったので防御もできずに砲撃に飲み込まれる俺と、爆炎が生み出す爆発に吹き飛ばされるなのはさん。収束砲自体の阻止には失敗したが狙った場所には撃たせなかった。視界が桜に染まる直前に、はやてさんの広域魔法の発動を感じた。




魔法解説

破城激震

攻城用の魔法。フルドライブした二つのデバイスを合体させることで巨大な魔力刃を備えた大斧に変え、圧縮した魔力を一度に開放することにより斬撃と大爆発を起こす。発動する際デバイス内に残っている全てのカートリッジを消費するため、カートリッジが残っているほど威力が増す。初代はこれで城をぶっ壊したらしい。化け物。ちなみにフルドライブの形態はこの魔法をぶっ放すためだけにある。なお、スターライトブレイカーとの威力比較の場合、一瞬上回るが、魔力を撃ち続けるスターライトブレイカーとは相性が悪いので一部を消し飛ばしても全部は消し飛ばせない。

 団体戦、終了です。ちなみに詠唱によく炎獅子という言葉が出てくるのは主人公の家の家紋が炎獅子だからです。トレードマークみたいな。詳しいことはまた次回。ではまた。感想評価よろしくお願いします。
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