魔法少女リリカルなのはVivid 城塞の軌跡   作:防御特化っていいよね

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第4話 出会ってからの日々

「ああっ!カイト先輩っ!いた~~っ!!」

 

「ん、おおなんだヴィヴィオか、どうした」

 

「おいカイト、知り合いか?犯罪だぞ」

 

「ぶん殴るぞ」

 

「お前に殴られたら死ねるんで俺は帰るわ」

 

 あの事件から3日ほど経ち、俺はいつもの日常を送っていた。と言っても何時ものルーティンにヴィヴィオとのメールのやり取りや通話が入ったぐらいなんだけどな。だけど、中等部と初等部は校舎が違うのでわざわざ中等部の方までやってきたヴィヴィオに教室の中で捕捉された。初等部の可愛らしい少女が中等部3年の先輩を訪ねてきたという珍しい状態に隣の席のアホで有名な友人が色めき立つが物理で黙らせるというとふざけ倒して帰っていった。まあ、それはいいや。

 

 ぴょこぴょこと相変わらず楽しそうにこちらにやってくる彼女、そういえば直接会うのはそれこそ3日ぶりか。何度か、というか毎日授業後空いてませんかという連絡は来てたんだが、色々、というか家に来た聖王教会の使者と聖王教会入ってください入るわけねーだろの応酬をしてやっと今回は諦めさせるのに忙しくて付き合ってあげられなかったのだ。ヴィヴィオが断るたびに目に見えてテンションが下がっていくので申し訳なく思ってたんだよね。

 

「先輩!今日こそは授業後空いてませんか!?」

 

「今日はいいよ」

 

「やっぱりだめですよね……っていいんですかっ!?ほんとですかっ!?」

 

「ああ、メンド臭いのが終わったからな。俺はもう自由だ」

 

「あの……それじゃあ、私今日ストライクアーツの練習に行くんです、トレーニング一緒にしませんか!?」

 

 もじもじつんつん、と柔らかそうなほっぺたをちょっぴり赤くして指をつんつんと顔の前でつつきながらいじらしく誘ってくるヴィヴィオに周りの生徒、主に女子から行ってあげなさいよという圧が降ってきた。そもそも流石に今日は断る気はなかったので了承の返事をしてグッドサイン、ヴィヴィオもぱぁ、と顔を明るくして右指を立てる。結局俺たちは連れ立って教室を出るのだった。

 

 ヴィヴィオという娘のパーソナリティを言い表すならば、天真爛漫、そして頭脳明晰、天災と秀才を併せ持つ才女になるだろうという感想か。けどま、まだまだ幼い。年齢的に子供の俺が言えた義理ではないけどね。それでも、俺の周囲をくるくる回って今日こんなことがあった、あんなことがあった。と楽しそうに話す姿には思わずこちらも笑顔になるものがあるだろう。

 

 今から向かう先は中央第4区の公民館、そこには魔法アリの練習ができるストライクアーツのトレーニングスペースがある。ヴィヴィオの師匠だというノーヴェという人物が今そこで待っているのだそうだ。初対面の俺を連れて行って大丈夫なのか、と思ったがどうやらヴィヴィオは先に俺のことをそのノーヴェに話して許可をもらったのだとか。行動が潔すぎるなあ。

 

「おー!ヴィヴィオ、こっちだこっち!んでそっちが」

 

「ノーヴェ!そう!この人がカイト先輩だよ!カイト先輩、私のストライクアーツの師匠のノーヴェです!」

 

「ノーヴェ・ナカジマだ。ヴィヴィオが世話になったな」

 

「カイト・エルンスト・アロイジウスです。ややこしいんでカイトと呼んでください」

 

 強いな、と俺は目の前の女性を見て思う。目の前に立つ女性、ノーヴェ・ナカジマさん……そりゃヴィヴィオの師匠やってる人だし、強くないと話にならないとは思っていたけどガッチガチにガチの人じゃないか。何で実戦でストライクアーツで殴り合っているであろう人が公民館で練習なんかさせてんだ?管理局所属って言われても俺は驚かんぞ、むしろそうじゃないと危険すぎるだろ。

 

「まー、期待以上のが出てきたし、さっさと着替えて練習すっぞ!」

 

「はぁいっ!」

 

「お前も着替えて来いよ」

 

 ノーヴェさんはやるなお前、とぼそりと呟きつつ俺の背中を強めにバチンと叩く。予想通り、いや予想以上に力強いそれにやっぱ強い人なんだなと認識を確固にしつつ、俺はそのまま公民館のロッカールームで制服からトレーニングウェアに着替えて他の人たちがミッド撃ちやスパーリングにいそしんでいるところにノーヴェさんを見つけてそこに行く。程なくしてヴィヴィオもやってきた。

 

「おーっし!やるかぁ!じゃあまず基本的な型の確認からな!」

 

「はーいっ!」

 

「俺近代ストライクアーツやったことないんですけど。古式の家に伝わるやつでいいですか?そもそも俺格闘者じゃないんですが」

 

「ヴィヴィオ、お前なんて言ってたこいつのこと」

 

「え?素手で、車に追いついて私を助け出して質量兵器相手に無傷で終わらせたすっごい強い先輩!」

 

「まあ、その通りだし間違ってないですね」

 

「それ聞かされたら普通格闘者だと思うだろうがぁ!」

 

「いふぁいいふぁいのーヴぇいふぁいっ!」

 

 俺、普通にアームドデバイスを使う騎士なんだけど、と注釈を挟むとノーヴェさんはヴィヴィオの説明を聞いて俺をストライクアーツかもしくは格闘をメインでやっている人材だと思っていたらしい。勘違いしてたのが恥ずかしかったのか餅のようなヴィヴィオのほっぺを上下左右に優しく引っ張るノーヴェさんに涙目のヴィヴィオ、まあまあとノーヴェさんにとりなして涙目のヴィヴィオをあやしつつスパーリングの相手程度は出来ますからと言い訳をする。

 

「まー、そうだよな。あたしが勘違いしたのが悪いわけだし、とにかくヴィヴィオは型の確認から!」

 

「はーい……」

 

 そういってひりひりするらしいほっぺを抑えていたヴィヴィオが腰を落として構える。オーソドックスな半身の構えだ。そのままジャブ、ストレート、アッパーとコンボを刻み回し蹴りに入る。感想としては、まあ初心者って感じ。初めてまだ経ってないっていうからむしろここまでやれるのは褒めるべきではなかろうか。うん、すごいな。

 

 っと、俺もやらないと。俺は左肩を前に半身にして、まるで腕につけた盾を構えるように手の甲を相手に向け、右手を槍のごとく引く。我が家の格闘は中々奇抜で左手を盾として防御専門にし、右手を槍にたとえた攻撃専門に分けるような戦い方をする。硬い防御と一撃必殺の破壊力を兼ね合わせた、とご先祖様は手記で鼻高々になっているが、これアームドデバイスでの戦闘をそのまま素手にしただけなんだよなあ。

 

 ステップは使わず、その場に足を固定し相手の攻撃を受け切って踏ん張り、反撃でノックアウト……が理想だ。そううまくいくわけないんだけどさ。ほぉ~~と声を出したノーヴェさんがうずうずと楽しそうににんまりと笑顔になる。ビュッと風斬音を立てては右拳を振るうとヴィヴィオは口をぽかんとさせてそれを見ていた。

 

「先輩、ホントに格闘者じゃないんですか?」

 

「素手での戦闘はベルカ末期じゃ出来て当たり前だったんだよ。デバイスがぶっ壊れたり魔力が無くなったりしたときにとれる最後の手段だからな」

 

「よし、スパーやるぞ、あたしとお前で!」

 

「ノーヴェずっこ~~い!」

 

「あたしの後でやってもらいな!」

 

 何度も言うが、俺がそっくりそのまま継承した初代の記憶はベルカという世界の末期のものだ。あちらこちらで戦争をしていたし、非殺傷?何それ美味しいのという感じで当たれば死ぬ魔法が乱舞し何だったら質量兵器も、禁忌兵器(フェアレーター)と呼ばれる非人道兵器も使われてた。武器と魔法が無けりゃ何も出来ませんとか言い訳にもならないんだよな。だから、まあ俺も身に着けた、というか勝手に身についてた。それだけの話。

 

 もうすでに我慢が効かなくなったらしいノーヴェさんが俺の前に出て拳を構える。ヴィヴィオが私の先輩なのに!と文句を言っているが、別にお前だけのもんじゃないしそもそも俺は俺のもんだ。俺は仕方なしにノーヴェさんに向き直って構えると待ってましたとばかりに凄まじい踏み込みで俺の前に出て、拳を繰り出してくる。

 

 ヒュボッと加速した拳がぶれる。俺はそれを左手の前腕で受ける。魔力強化をしていないにもかかわらず女性とは思えない威力の拳が腕にめり込む。衝撃を体の中で捻じ曲げ、下に流す。一歩も下がらない。そして左ハイキック、右手は攻撃に使うので防御には使えない。その場で回転しまた左手前腕で受け、同時に右の裏拳を相手に見舞う。ノーヴェさんは蹴り脚を戻して腕を十字に組んで俺の裏拳を受ける。ドムッ!と鈍い音がしてノーヴェさんが3歩ほど後退する。

 

「バカ力かっ!」

 

「ウチのデバイス、二つ合わせて100キロあるんですよ。魔力なしで振り回せないと話にならなくて」

 

 うん、ご先祖様は馬鹿だと思う。あんなクソ重いデバイス振り回すとこから始めろって言うんだぜ?何回か脱臼したよ。だからこそ、硬く守り、強く反撃するパワーヒッターとしての俺が完成したわけなんだけどさ。ノーヴェさんは受けた腕をぷらぷら振って痛みを誤魔化したあとに細かくステップを踏んでインファイトを仕掛けてくる。

 

 暫く肉体同士が打ちあってるとは思えない音がトレーニングルームに響き渡り、ヴィヴィオだけではなく練習に来ていた他の人も練習の手を止めて周りで輪になって俺とノーヴェさんのスパーを見ていた。段々と面白くなってきた俺と、最初から楽しんでいたノーヴェさんの応酬は加速し、魔力なしでやってるとは思えないほどの威力と速度でお互いをガードの上から叩く。そして、最後の俺のパンチがノーヴェさんのガードに突き刺さって、お互い手が止まった。

 

「ここまでだな」

 

「うっす。自信がなかったとは言いませんが、お強いですね」

 

「お前もな~。結局、その左手超えらんなかった。おーいヴィヴィオー、スパーやるんだろー」

 

「はっ!は、はい!あの……カイト先輩……」

 

「ああ、安心しろ、ちゃんと加減するよ。攻撃しないから遠慮なく打ち抜いてこい」

 

 周りが沸く中、ノーヴェさんに声をかけられたヴィヴィオは若干ビビってる感じでこちらにやってくる。顔に書いてある文字を訳すと「ふぇぇ、あんな打撃貰ったら私どうなっちゃうんだろう」ってかんじか。えらい分かりやすい表情だこと。ポーカーフェイスを練習することを勧めたいくらいには分かりやすい。というか俺が7つも下の相手に本気でぶん殴る人間だと思われてることがちょっと悲しい。

 

 こいよ、と先ほどよりも低めに構える。ヴィヴィオもよしっ!と両手で気合を入れてから構えて、俺にパンチを打ち込んでくるのだった。ぐわははは、君の攻撃で割れるほどやわな腹筋はしてないぜ。鉄板なんか仕込んでねーよ。ひどくないか?

 

 

「カイト先輩ってやっぱり強いんですね!」

 

「ウチの後輩、純粋すぎません?」

 

「いい子だろ。仲良くしてやってくれ」

 

「まあ、そうしますけど」

 

 キラキラと「尊敬してます!」というまなざしで俺を見るヴィヴィオに何となくむず痒さを覚えてノーヴェさんに話を振ると頷くしかない返しが俺にクリーンヒットする。なんだろう、純粋すぎてそのうち騙されてしまいそうな気がして今から心配になってきた。大丈夫かな……。着替えてもう帰る、という感じなんだけどノーヴェさんは家が真反対らしいのでまさかあんなことがあったばかりなのにヴィヴィオを一人にするなんてありえないので送ろう、と思ってたら普通にお迎えがきた。そりゃそうだ。じゃあな、と手を振るノーヴェさんと別れて、車から降りてきたなのはさんに挨拶する。

 

「こんにちは。お迎えですか、良かったです。誰も来なかったら送っていくつもりだったので」

 

「にゃはは、あんなことがあったばかりでそんな危ないことはしないよ~。それでなんだけど、カイトくん、オフトレに興味ない?」

 

「オフトレ、ですか?」

 

 車から降りてきたなのはさんが言うには毎年この時期に、何人かの魔導士や騎士を誘って無人世界のカルナージという場所でトレーニングをするのが恒例行事となっているらしい。それで何で俺を誘うのか、という風に首をひねったが今年の参加者に今代の夜天の主がいるということで、ちょうど俺の目的と合致するということらしい。

 

「魔導士ランクオーバーSの人も来るし、模擬戦もあるから良かったらトレーニングに混ざりに来ちゃいなよ~。DSAAに出るならきっといい訓練になると思うよ~!」

 

「むしろ願ったりかなったりなんですが……いいんですか?初対面の人ばかりだし男が混ざるのも嫌がる人がいるんじゃ……」

 

「男の子も来るから大丈夫!」

 

 いやでもなー、航空魔導士の教導をやっている高町なのは直々のトレーニングで、高ランク魔導士たちと模擬戦ができるっていうのは俺にとっちゃ美味しすぎる条件だ。しかも、夜天の主もやってくるという!ヴィヴィオの来ますよね!?という期待の視線を裏切るわけには行かないし、俺は事後承諾になるラフィに心の中で謝りつつ、なのはさんに参加の返事を返すのだった。




 主人公の構えが分からないという人は血界戦線のクラウスさんの構えを想像してもらえると大体あってます。表現って難しいですね。

 ではまた次回に。感想評価よろしくお願いいたします。
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