魔法少女リリカルなのはVivid 城塞の軌跡   作:防御特化っていいよね

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第42話 マジトレーニング

「ルールー!久しぶりー!」

 

「はーい!ヴィヴィオ、皆もいらっしゃーい!お!貴方がイサムね!?DSAA見てたわ!私、ルーテシア・アルピーノ!よろしくね~!」

 

「お世話になるよ。イサム・フワだ。そっちの魔法生物は……」

 

「私の召喚獣!ガリューっていうのよ。すごいなー、驚かそうとしてたのにバレちゃった。そして……」

 

 次元船の中で4時間の短い旅路と7時間の時差を乗り越えた俺たちは無人世界カルナージにやってきた。座席に座って凝り固まった体を伸ばすとパキポキと心地よい音が鳴る。ああ、去年も思ったがこの世界は空気が澄んでて気持ちがいいな。ウチの実家の私有地よりも好みかもしれない。イサムとルーテシアが挨拶を躱し、ドッキリのために気配を殺していたガリューをイサムが見つけたりしていると、俺を見つけたルーテシアの目がきらーんと輝いた。

 

「カーイトー!待ってたのよ!」

 

「ラフィじゃなくて俺をか?」

 

「ラフィもだけど!今読んでるベルカの古文書の解釈で悩んでるの!相談に乗ってー!」

 

「だから俺はベルカのことなら何でも知ってるわけじゃねえってば」

 

 どこから取り出したのか分からない古い装丁の古文書を広げて此方に迫るルーテシアに変わらないな、と苦笑する。そもそも古代ベルカ文字はニュアンスでかなり内容が変わるのだが、そのニュアンスの取り方が翻訳者に委ねられるというクソほど面倒な文字列なのだ。出来れば俺は読みたくない、頭痛くなるもん。読めるは読めるぜ?初代の手記とかもろ古代ベルカ文字だからな。だけどな、俺は頭脳労働は嫌いなのだ。ラフィ?ラフィに頼んだらニュアンスが全部暴力的に変わるから頼んではいけない。平和に行きたいならな。

 

 あ、でもイクスが……元の体に戻ったらお願いすればいいじゃないか。イクスの出自は俺の初代より古い古代ベルカ前期時代だ。それこそ古代ベルカ文字の最盛期だな。イクスなら読めるし何なら書けるしニュアンスも細かく教えてくれるだろう。優秀な王様だなあ。と俺は何となく肩の上にいるイクスの頭を指で混ぜた。目を細めて受け入れる王様になんだか癒されてからアインハルトとリオとコロナに挨拶に行くルーテシアを見送る。

 

「カイト!直接会うのは久しぶりだね!」

 

「そっちがイサムさんかな?」

 

「意外と同年代多いんだね。イサム・フワです、よろしく」

 

「キャロ・ル・ルシエです。こっちが飛竜のフリード!」

 

「エリオ・モンディアルです。普段は自然保護隊で働いているんだ」

 

 エリオのやつ、背が伸びたなー。まあ俺もここ1年でグッと背が伸びて遂に180㎝の大台に乗ったんだけど。初代は190㎝以上あったはずだから目指すはそこだな。シュロスをもってちょうどいいくらいの身長になってほしいもんだ。そういえば確かに、エリオにキャロ、ルーテシアとオフトレ組には同年代が結構いるな。しかもうち二人はJS事件の立役者機動六課所属だったりするし。俺が言うのもおかしいと思うが経歴すげえな。

 

「さて、お昼の前に大人組はトレーニングでしょ?子供たちはどこかに遊びに行く?」

 

「んじゃー、全員水着に着替えてロッジ裏に集合な!アインハルト、お前はこっち」

 

「え、あの私は……」

 

「いっとけいっとけ~。夜になったら構ってやるよ~」

 

「それじゃあ元気が有り余っているカイト君も含めて着替えてアスレチックエリアに集合ね!あ、カイト君は負荷全部切っておくように」

 

「うっす」

 

「カイト、ソレどのくらいの負荷かけてるの?参考までに教えて欲しいんだけど」

 

「魔力負荷はAで、筋力負荷は常時200キロ」

 

「うん、真似できないや」

 

 多分だけどイサムならできるんじゃないか?イサムの魔力量はあまり多くないから魔力負荷は真似するべきではないと思うけど、筋力負荷は多分いけるぞお前なら。ちなみに何でおれが筋力負荷をずっとかけているかと言えばベルカ時代の具足の重さを含めてちょうど150キロなんだよな、アロイジウスの装備。100キロはシュロスとフラムではあるが、もう50キロは金属鎧、しかも頑丈な代わりにクソ重い金属が使われてるやつだ。

 

 騎士甲冑にとってかわられたがそれを着て軽やかな動きをするのがある意味でアロイジウスの騎士としての完成度を測れるというわけだ。俺はもう城砕まで襲名してしまっているが、それを行えるように常時200キロの筋力負荷をかけているというわけだ。え?身体強化したら余裕?それを言ってはいけない。魔力切れたら頼りになるのは結局自分の体なのだし。

 

 というわけで俺はイサムをひっつかん、だのだけどイサムは謎の技術を駆使してぬるっと俺の拘束から抜け出す。こいつ……!まあそれはともかくとして、俺とイサム、そしてエリオはコテージ内で着替える女性陣に鉢合わせしないようにルーテシアの実家の方を借りて着替えに向かうのだった。ああ、それにしても

 

「キャロは小さいまんまなんだな」

 

「1.5cmも身長伸びたのに!?」

 

「俺からしたら誤差だぞ」

 

「フリード~~!!!」

 

 揶揄い過ぎたらしくきゅくるー!と鳴いたフリードが吐き出した火球を俺は甘んじて顔面で受けるのだった。こっちの威力は上がってるんだなあ、しかし……身長変わらな過ぎて気づけなかった。1.5㎝伸びたのか……

 

 

 

 

「ねえ、アンタたちソレどうやってるのよ」

 

「俺は魔力反発を利用していますけど、イサムはマジで謎ですね」

 

「地球だとこれ軽功っていうらしいです。というか俺からしたらカイトのやり方が変態すぎます。魔力コントロールがおかしいです」

 

「俺の魔法適正は圧縮に偏ってるんだよ。これも魔力を圧縮して反発させてんの」

 

 女性の着替えは時間がかかる、ということなので俺とイサムとエリオは水の上に立っていた。バランス訓練である、エリオは普通に片足で水の上にある足場に立っているだけであるが、俺は右足のつま先に2センチほどのシールドを張り続け、その上に立っていた。イサムに至ってはそこらに浮いていた葉っぱの上に足指を乗せて立っている。

 

 やってきた女性陣の中でも呆れたような顔をしたティアナさんの突っ込みに俺とイサムがお互いを指してこいつはおかしいと言い合うが、二人ともおかしいわよと言われて撃沈した。違うのだ、俺はまだ理解できるはずだ、通常シールドを超絶圧縮した小型シールドの上にバランスとって立っているだけだから。

 

 だけどイサムはおかしい。葉っぱだぞ、葉っぱの上に立ってるんだぞ?魔力すら使わずにだ。そんなもんできるか!と思ってたらあ、それ私もできるよーとなのはさんがイサムと同じようにして葉っぱの上に立った。なお他挑戦した人はみんな水の中に沈んでいった。なのはさんの実家がおかしいことがとりあえず確定した話でした。

 

「このアスレチックすごいな!かなりイイ感じに効くじゃないか!」

 

「だろ?ルーテシアは流石だよなあ。俺も去年同じ感想を持ったよ」

 

「キャロ―、大丈夫?」

 

「え、エリオくん待ってよ~~……」

 

 断崖絶壁クライミングを終えた俺とイサムは頂上でお互いに感想を言い合う。前回もアスレチックエリアはあったんだけど、ルーテシアがかなり頑張ったみたいでなんか2倍くらいに大きさが広がった挙句にアトラクションのごとく色んなアスレチックが乱立していた。なおイサムは断崖絶壁を足で駆けあがって一番先にゴールした。なんだこいつ。

 

 俺は普通にクライミングしたんだけど、流石にイサムの真似はできん。無理だ、御神流ってなんなの?マジで古代ベルカで通用するぞ。そして俺と同じくらいのタイミングで登り切ったエリオは一番最後尾でひいひい言っているキャロを応援している。身体能力的にキャロが一番貧弱だもんなあ。それでも流石は自然保護隊、慣れた動きをしている。

 

「ありゃ?ヴィヴィオたち何やってんだあれ?」

 

「……見えるの?」

 

「いや、流石に見えんが。ほらあそこ、水柱が立ってんだよ」

 

「……水切りではないか?ほら、主がプールに誘われた時に見せてもらったやつだ」

 

「ああ、俺がやったらプール出禁になりかけたやつな」

 

「カイトお前何やってんの?」

 

 いや、打撃フォームのチェックで使われるやつらしくて、俺がやったらプールに津波が起こってな?水が半分くらいどっか行ったからプールでは二度とやらんと誓って時折実家の土地に流れている川でやっているんだが、それがなぜ遊びに行ったはずのあいつらが行っているのかわからん。

 

 そんなこと考えてるとひゅんっと音がして魔力弾が襲ってきた。ノーモーションで着弾部位7か所にシールドを張って防ぐとだめかーとなのはさんが笑っていた。ちなみにイサムは俺を盾にしやがった。エリオも同じく、俺は確かにそういう騎士ではあるが肉壁にされると流石に腹立つぞ。というかなのはさん何するんですか。

 

「一回でいいからカイトくんに防御をさせずにクリーンヒットさせたくてー」

 

「あ、それ私も」

 

「当たるにしても防御の上だものねカイトは」

 

「カイトの防御抜けたら大抵のシールドは抜けるってことだしね~」

 

「戦争屋にいい度胸ですね。アロイジウスの戦を教えてあげましょうか」

 

 因みにクライミング中になのはさんの妨害が入ることはアナウンスされていたので終わった俺への攻撃も一応合法ではある。全員が全員俺の防御を抜けば自分の攻撃に自信を持てるということか。そう簡単に抜かせると思うなよ、と半ギレの俺を前にして全員スチャ、とデバイスを構え始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

「カイト先輩にたんこぶが出来てる~!?」

 

「どうしたんですかカイト先輩!?」

 

「か、カイト先輩がダメージをおうなんて……」

 

「そこのサムライにバックドロップをされてな……」

 

 いつの間にか模擬戦大乱戦となった午前中のトレーニングの最後、防御魔法で波状攻撃を防ぎ続けていた俺の隙をついたイサムはまさかの魔力を使わず神速のみで俺の背後を取り、そこからバックドロップで俺を後ろに叩きつけたのだ。魔法で俺の防御を抜くという話だったが、それもまたありなのだろう。

 

 しかもこいつ、俺の足が地面についている限り投げ技が効かないことを知っているから、バックドロップの瞬間に俺の足裏を氷結させて踏ん張れなくしてから投げやがった。してやったりという顔をしたイサムに俺は素直に……腕を掴んで背負い投げしてやった。なので俺とイサムの頭には今たんこぶが出来ている。あせあせとした顔のキャロとルーテシアが治癒魔法をかけてくれている。

 

「なんかカイト、イサムといるといつもより子供っぽいね?」

 

「俺は普段こんなんですよ?女性の前だから馬鹿な部分を見せないようにしているだけで実際は学校の男子とアホやるのが好きです」

 

「まあ、男同士でしか分からないノリというものはありますね」

 

「そうなの~?」

 

「「はい」」

 

 スバルさん曰く、何時もの俺とキャラが違うらしいが。学校の俺はだいたいこんな感じだ、ヴィヴィオたちの前では頼れる先達としてありたいと気負っているからあんな風だし、大人組の前では情けない所を見せたくないから気を張っている。素ではないが、キャラを作っているとかそういうわけでもない。

 

 マジな話、女性同士でしか分からないような話があるのと同じように、男子同士バカやるやつらにしか分からないノリというものがあるのだ。それでイサムはそこら辺俺と波長が非常に近い。だから、張り合ってアホなことするし、バカなことを進んでやっている。なぜか?楽しいからだ。扱いだってお互い雑になるさ。

 

 そんなことを言いつつ俺はいま、BBQ奉行になっている。正確には違うのだが、グリルを一つ借りてホイルに包まれたミートパイを焼きあげているところだ。食事の用意は女の仕事、なんて馬鹿なことは言わないが母さん曰く「女の数だけ家事のやり方があるんだから半端に手伝うと怒りを買うぞ」という教えに従い、何もできないならせめて一品作らせてくれ、とグリルを借り受けたのだ。

 

 当然ながら日頃料理はそれなりにする身であれど、他人に出せる料理なんてそれこそ家に伝わる秘伝のミートパイくらいしかないので、それを作っているわけさ。そろそろ、と俺は二つのアルミホイルに包まれたミートパイを取り出して、机の上でふわっと広げる。こんがり色づいたミートパイを割ると、マッシュポテトとトマトソースの層がきれいにできていた。よし。

 

「左が初代式、右が俺式の家に伝わる秘伝の逸品だ。口に合うといいな」

 

 いただきまーす!と串焼き肉もそこそこにミートパイもそこそこ売れている。大人組には味の濃い初代式の方が好評で、子供組には行軍食という枷から外れたおかげで味を追求した改良式が人気だな。ラフィ、酒の当てに最適かもしれんがまだ日が出てるんだから酒はない。この後も動くんだからな?




 アホになる脳筋主人公。なお合宿の間は男友達ジェットストリームアタックによりずっとアホになってます。

 高町家はやばい、はっきりわかんだね。なのはさん運動音痴らしいですけど魔法戦技みてるととてもそうは思えないので実家の修行を経て克服済みということにしてます。御神流は未継承です。

 ではまた次回に。感想評価よろしくお願いします。
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