魔法少女リリカルなのはVivid 城塞の軌跡   作:防御特化っていいよね

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第43話 過去の話

「大人組は片付けが終了したら陸戦フィールドに集合ね~」

 

「了解です~」

 

「あ、なのはさんカイトを午後借りてもいいですか~?」

 

「いいよ~」

 

「せめて俺に聞いてくれない?」

 

 流石は育ちざかり(俺も含めて)成長中のやつらばかりが集まっているだけあり、大盛況で終わった昼飯の片付け中にルーテシアが次のトレーニングについて話していたなのはさんに対して俺の貸し出しを要請した。それ、普通さあ俺に一声かけてからやるべきことじゃないの?いやいいよ?なんか古文書解読したかったんでしょ?俺に言えよせめて。

 

 こっちを見てぺろっと舌を出しすルーテシアに俺はじとっとした目を向ける。可愛い冗談じゃーんという感じだったが、俺が笑顔で怒っているのが分かったらすぐに青ざめた。後でゲンコツをくれてやろう、というか黒歴史らしい2年前の話をほじくり返してやろうか。何か知らないけど物静かな文学系クール美少女やってたらしいじゃん?

 

 しょうがないなあ、と俺はルーテシアに後でゲンコツ、防御魔法使ったら拳で地面に埋めると念話してオッケーを出した。ラフィはイクスと一緒にお昼寝をするらしい。まあ、俺がいなきゃラフィは鍛える意味はないもんなあ。ユニゾンデバイスで身体性能は上りも下がりもしないし。経験は豊富だし、ぶっちゃけ最盛期からずっとここまで来ているのだから。

 

 頭を抑えて青ざめるルーテシアをきょとんとしてみるヴィヴィオ他の子供たちと察した大人組を見ながら俺はBBQコンロの煤取りに精を出すのだった。たくさん焼いたから焦げが残ってんだよなあ……頑固だこれ。

 

 

 

「そんで?その古文書なんなわけよ」

 

「いった~~い……古代ベルカ末期、聖王戦争のころの誰かさんの回顧録よ。この前、無限書庫で借りてきたのだけど……読めると思ったら読めないの!屈辱!」

 

「いったそう……」

 

「先輩、容赦ないね……」

 

 俺の容赦ないゲンコツを甘んじて受けたルーテシアは痛むであろう頭を両手で押さえて涙目になりながら俺に古文書を指し示すルーテシア。気の毒そうな顔でルーテシアを見るコロナとリオ、自業自得だぞそれは、俺は謝らんからな。んでどれどれと古文書を見ると……あーー、そりゃ読めんわけだわ。魔法でロックかかってる。んー、あー……

 

「リオ、ちょっと」

 

「はい!なんですか!?」

 

「ソルフェージュの演算領域貸してくれ。ベルカ式のロックがかかってる」

 

「えー!?私が見た時そんな反応なかったのに!?」

 

 そりゃそうだ。分かるやつにしかわからん、よっぽどこの回顧録の筆者はこの中身を読まれたくはなかったらしい。こんな巧妙に隠しやがって、後世に残す気ゼロじゃねえか。同時代のやつじゃなきゃ絶対に分からないんだよこれは。だが残念だったな、記憶継承者である俺は例外だ。その記録を白日の下に暴いてやろう。なお、フラムとシュロスの演算領域では足りないほど滅茶苦茶硬いロックがかかってる。封印魔法が本業のやつに違いない。

 

「はいっ!わかりました!よいしょ」

 

「……」

 

「どうしました?」

 

「いや、別に。よし始めるぞー」

 

 ヴィヴィオとアインハルトはお外にいるのだが、椅子に座りながら俺がこの中で唯一インテリジェントデバイスを持っているリオにデバイス貸してくれというと快諾してくれたリオはポケットから自らのデバイスであるソルフェージュを取り出して……俺の膝の上に座った。なんで?と俺が視線を向けるとリオは何ともイノセントな表情をしていたので俺がおかしいと思いなおしてそのままソルフェージュの演算領域を借りてロックを解き始める。

 

 ふわ、と宙に浮かんだ古文書のページがひとりでにめくられてど真ん中あたりのページで止まる。俺がベルカ式の魔法陣を手に展開してかざすと、そこから新たなページが出現し、鍵穴のような魔法陣を展開する。んで、俺はそのまま指を噛み切って血をだし、鍵穴の中に垂らした。俺の遺伝子に反応して古文書に掛けられたロックが解ける。

 

「こいつは古代ベルカ系の魔力血統に反応するタイプの鍵だな。このタイプってことは大体地位ある貴族か王様、もしくは騎士のものの可能性が高い。当たりかもしれないぞ」

 

「じゃあ結局カイトがいないと解けなかったってことじゃない」

 

「いや?最近だったらあれだ、普通にハッキング魔法が開発されてると思うぞ。古いからな。俺は正規の手段で開けただけだ」

 

「なんかくやしい」

 

「なんでだよ」

 

 多分これだったら俺じゃなくてもヴィヴィオとアインハルトとか、ジークとか、ヴィクターとかでも開くな。嚙み切った指を魔法で治してからリオにありがとうと頭を撫でてからソルフェージュを返してやって、片手で古文書を手に取り、ぱらっと中身を閲覧する。そしてリオがん~~!と首を伸ばして中身を覗き込もうとした瞬間に、俺は後ろから抱きしめるように彼女の目を塞いでバスン!と古文書を閉じてチェーンバインドでぐるぐる巻きにした。なんてもん残しやがってんだ!

 

「ふぇっ!?せ、先輩!?」

 

「いいか、ここに居る全員よく聞け、絶対に、絶対にこの中身を見るな。いいな?」

 

「な、なんで!?」

 

「理由は聞くな。見たら呪われるぞ。心臓麻痺で死ぬぞ」

 

「カイト先輩は平気なの!?」

 

「さっき止まったが自力で動かした」

 

「流石にそれは嘘よね!?」

 

 俺の有無を言わせぬ口調にその場にいた全員が驚きを隠せずにしながら気になるという視線を古文書に注ぐ。見たら呪われるだの心臓麻痺だのは確かに嘘っぱちだがこれは絶対に女子には見せてはいけないものだ。なんでかって?これの中身、当時の貴族が自分の性生活を赤裸々につづった日記だからだよ!しかも1行目からえらい生々しい!文才をこんなところに発揮するな!

 

 いや、ここまで赤裸々につづったものははっきり言ってないが、性生活その物を記録する文化はあった。いついつに致して妊娠したという記録みたいな感じでな。要は、当時の後継ぎの問題に類するための記録だ。だが、それもぶっちゃけ少数派だ。家系図あればそれでいいからな。とにもかくにもこれは封印だ。

 

「えー、カイト、ちょっとだけなら平気じゃない?」

 

「ダメだ。絶対に後悔するぞ。俺はお前らにそんな目にあってほしくないんだ。いいな?」

 

「カイト先輩がかなり真剣だ……!」

 

「な、なにが書いてあったんだろう?」

 

「いや、まあ……手の込んだロックをかける理由が分かったよ。これは封印しとくべきだな。メガーヌさんに渡しておく」

 

 カイトがそういうならそういうものなんだ……というルーテシア以下3人の頷きに平素の自分のふるまいによる信頼がちゃんとあったことに感謝をした。ありがとうご先祖、アロイジウスでよかった。とにもかくにも待ってろと言って俺はリオを抱き上げておろし、そのまま書斎を出てメガーヌさんの所に向かう。

 

「えー、メガーヌさん……これ封印魔法でガチガチに縛ってから無限書庫に返してもらえませんかね?」

 

「あら、それルーテシアがカイトに解読してもらうって言ってた本ね?どうして……?」

 

「あ~~~……これ、当時の貴族の性生活を記録してたものなんです。ルーテシアどころか俺にも正直早いくらいで……」

 

「任せなさい。絶対に開かないようにして返すわ。ルーテシアには?」

 

「読ませてないです。中身見たのは俺だけですね」

 

 鼻唄を謳って洗った皿を片付けていたメガーヌさんに本の中身を話すと彼女は一瞬で真顔になって俺のチェーンバインドの上から封印魔法を6重にして完全に封印した。ああ、俺のせいじゃないにしろ滅茶苦茶恥ずかしい。古代ベルカがごめんなさい、変態はどこにでもいるんだなマジで。

 

 ありがとうね、とほっとした顔の大人なメガーヌさんに助けられて俺は特級呪物を封印することに成功し、戦場に立っているような緊張感から解放されて書斎に戻った。そこにはクラウス殿下の回顧録の翻訳本をもって何やら話し合っている3人の姿があった。んー、さっきのこと忘れたいし体動かそうかな。

 

「俺、今からちょっと出て動くけどお前ら如何する?」

 

「私はヴィヴィオの方に行くことにするわ」

 

「じゃあ、私も」

 

「私はカイト先輩についてくー!」

 

「おう、じゃあちょっとだけ動くか」

 

 コロナとルーテシアはアインハルトのとこ行くのか。そしてリオは俺の運動に付き合うと。コロナはなんか、あんまり格闘技好きそうじゃないんだよな。いや、好きじゃないっていうわけではないけど……リオやヴィヴィオのようなもう夢中ってレベルののめり込み方ではないって印象か。まあ、そういうのは人それぞれだもんなあ。

 

 二人と別れて適当な森の中に行く。リオは元気いっぱいに俺の後ろを歩いて先輩を独り占め―だなんて言っている。そういや確かにヴィヴィオやコロナが常に一緒にいるもんな。お前らがヴィヴィオの友達になってからというもの3点セットみたいな感じでず~~っと一緒だもんなあ。嬉しいよ俺は、仲良くしてくれているみたいで。

 

「ここら辺でいっか。リオ、折角だしバリアジャケット着ろ」

 

「いいんですかっ!?」

 

「いいよ、軽く相手してやる」

 

「わーいっ!ソルフェージュ!セットアップ!」

 

 上着を脱ぎ捨てた俺に対して、リオはソルフェージュを起動。彼女のちっこい体が地球で言う中華風のバリアジャケットに包まれる。実家の拳法だという春光拳の構えを取った彼女がいきますっ!と元気よく言って突っ込んでくる。初手は何の事はないパンチ、手のひらで受け止めるとバゴン!と女子が放ったものとは思えないほどすさまじい音が鳴った。これが純粋なパワーだというから恐れ入る。

 

「良いパンチだ」

 

「えへへっ!」

 

 ラッシュ、小柄な体とは思えないほどの威力の拳が俺に襲い掛かる。ヤッパリだが、リオは3人の中で最も俺に近い。要はパワーヒッターだという話なのだが、その理由は勿論身体強化魔法。リオは身体強化魔法の適性が図抜けているので力持ち……で済ませていいレベルではない。笑いながらフラムとシュロスを持てる少女だからな。うーん、初代が見たら弟子にしてたかもしれんなあ。

 

 そんなことをしていると余裕癪癪の俺にむむっという顔をしたリオの右手に電気が、左手に炎が灯る。この後輩、イサムの凍結変換より珍しい炎と雷の双方の変換資質を持っている才能の塊なのだ。俺も攻撃のインパクトの瞬間だけ炎を纏ってリオの攻撃を防御し続ける。流石は実家が拳法を伝えているだけあって中々いい動きをしてくれる。なんか、鍛えがいあるなーって気持ちになっちゃうな。

 

「当たらなーい!」

 

「当てないようにしてるからな」

 

「んじゃあ!ハイッ!」

 

 ずどっ!と音を立てて地面を踏みしめて腰を落としたリオの炎雷両方を纏った突きの手首を掴んで力のベクトルを変えてふわっ、と投げてやる。空中で姿勢を入れ替えさせてとすっと俺の腕の中に収まったリオがぽかーんとしているとあーーっ!と声がした。二人してそっちをみるとヴィヴィオとアインハルトがミットをもってこっちにやってきているところだった。

 

「リオ―!先輩と模擬戦してたの~!?いいな~~!」

 

「えへへ~!カイト先輩強いね!全然かなわないや!」

 

「なんだ、ノーヴェさんと一緒じゃないのか?」

 

「ママたちの訓練を見てたら動きたくなったので抜けてきちゃいました!」

 

 ぽいっとリオを下ろしてこっちに向かってくるヴィヴィオに話しかけると、どうやらノーヴェさんたちと一緒に管理局組の陸戦訓練を見に行ってたらしいのだけど、それを見たらやっぱり動きたくなったらしい二人は抜けてきたのだとか。俺と同じだなあ、と思いながらしょうがなし、と一人頷く。気持ちはよくわかるつもりだし。

 

「なので先輩!私と一本お願いします!」

 

「あ、あの!お師さま、私も!」

 

「私もまだやりたーい!」

 

「いいぜ。ラフィ、手伝え」

 

「承知した」

 

「どこから!?」

 

「あ?最初からいたぞ。そこで寝てた、リオが気づかんかっただけだ」

 

 ぬっと俺の後ろから顔を出したラフィに全員が驚く。ラフィはイクスと昼寝をすると言っていたが、俺とリオが近くに来た時点で目を覚ましてスパーリングを見てたんだよな。いつ気付くかなーと思ってたんだけどリオは気づかないし、アインハルトもヴィヴィオも同様。頭の上に乗ったイクスが寝ぼけ眼でふりふりと手を振っている。

 

「じゃ、バリアジャケットと騎士甲冑着ろ」

 

「え、このままでいいんじゃあ?」

 

「蹴り技封印するのか?」

 

 ヴィヴィオが首を傾げながらそんなことを言うので俺がスカートのままでやるのか、と聞いたら失念していたらしいヴィヴィオが既に騎士甲冑を着込んだアインハルトを前にして真っ赤にしながら慌ててクリスを掴んでバリアジャケットを纏う。しかし大人モードじゃないのもあるのか。そっちはなのはさんのバリアジャケットを参考にしたのかね。

 

 いつでもいいぞーと近くの切り株の上にイクスを置いたラフィと一緒に全員でかかってこいというと、血気盛んな子供たちは我先にと襲い掛かってくるのであった。ちなみに30秒後に3人全員沈んだ。まだまだ鍛え方が足りねーな。




 リオさん可愛いですね。それはともかくとして作者のリアルがクソ忙しくなったのでこれからは毎週日曜日更新とさせてもらいます。ごめんなさい
 ではまた次回に
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