魔法少女リリカルなのはVivid 城塞の軌跡   作:防御特化っていいよね

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第45話 激突

『じょ、冗談じゃないわよ!全員回避!怪我しないにしても一発で落ちるわ!』

 

『ノーヴェ、カイトっておかしくない?』

 

『今さら気づいたのか!?』

 

「失礼だな」

 

「カイト、もう一発いくぞ!」

 

 広域念話にボソッと突っ込むと上からまたイサムの声がして斬撃音と共にビルが落ちてくる。俺はそれをまた受け止めて、相手側の方に投げた。あくまでビルやらの障害物は魔力で実体化しているだけのものにすぎないので非殺傷バリバリ効くし、仮に押しつぶされたとしても無傷で済む。

 

 ちなみにこの作戦ともいえない作戦の発案者は俺である。そりゃこんなことできるの俺くらいしかいないからね。あとこれ初代が実際にやった戦法だから、『岩投』っていう人力投石戦法、『剛健』の強化倍率が頭おかしいからこそ成り立つどこでもお手軽攻城兵器なのだ。これやろうぜと言ったらイサムは乗り気でエリオはドン引き、IQの下がった俺が珍しかったのかなのはさんとルーテシアはめっちゃ笑ってた。

 

「じゃ、分断すんだだろうし、各個撃破で行きますか」

 

「ルーテシアは要だから下がっててね?カイト君はひたすら前へ、イサム君はカイト君が突っ込んだ隙にフェイトちゃんを中心にお願い」

 

「わかりました」

 

「っし!やるか!」

 

『やはり避けられたな。主カイト、急げ』

 

 色とりどりの魔力弾を一人なのに同時に相殺しているなのはさんの指示を受けて俺はまっすぐ、イサムは完全に気配を消して回り込むように進撃を開始する。岩投はあくまでも陽動でしかない、管理局のエース級がこの程度でどうにかなるわけもなし。当然のように全員無事だった。そう来なくちゃなあ?

 

「カイトオオ!」

 

「リボルバースパイクッ!」

 

「イサム任せた!」

 

「任された!」

 

 途中で出会ったのは移動能力と突破能力に優れているスバルさんとノーヴェさん、二人の一撃をシュロスに張ったシールドで防ぎ、インパクトの瞬間に力の方向を操ってイサムがいる場所に投げ飛ばした。まさか盾で投げ飛ばされるという体験は初だったらしい二人はそのままイサムが形成した氷漬けのフィールド魔法の中に放り込まれ、すぐさまイサムの攻撃にさらされる。

 

 イサムと俺はお互いの変換資質が真逆なので物理ならともかく魔法込みとなるとちょっと協力相性がわるい。一緒に戦うとお互いの魔法が相殺されあってしまうからだ。だから、ここは止まることなく前へ行こう。ティアナさんが冷静さを取り戻して指揮系統が戻ると困る。混乱が解ける前に、けりをつけよう。

 

 軽快にただまっすぐ前に進み続ける俺の目の前が開けて、俺の足が止まる。うーん、ティアナさん冷静になったっぽいなこれ。俺の目の前にいるのは、大人モードのヴィヴィオに本邦初公開のリオ、そしてアインハルトとその後ろに控えるコロナだった。あーあ、一発芸の花火じゃここまでかな。イサムのやつはうまい事フェイトさんを引き込めたらしいし、分断自体は成功か。

 

「カイト先輩!勝負です!」

 

「お師さま、一手お願いします!」

 

「私も!」

 

「いくよ、ブランゼル」

 

「いーぜ。かかってきな。ただ……アロイジウスを止めるには人数が足りねーぞ。分かってんだろアインハルト、アロイジウスは決闘よりも戦の家系だぜ」

 

 ピリッと場が引き締まる。一部とはいえクラウス殿下の記憶を引き継いでいるアインハルトなら分かるはずだ。俺たちアロイジウスは決闘よりも戦争で名をあげた家系。多対一を基本にとらえている騎士だ。この状況は、あまりにも俺にとっては有利すぎる。さあどうする?俺を前にして、どう対処する?止めてみせろ、俺を。

 

「ソニックシューター!」

 

「たぁっ!」

 

「牽制か、良い判断だ!」

 

「えっ!?うそっ!?きゃあっ!?」

 

 ヴィヴィオとリオが放った魔力弾を俺は次々と盾と斧の側面で叩く。すると魔力弾は空中で静止し、俺はそれらをシュロスでまとめて殴りつけるように発射した。後衛で何かの魔法を準備していたコロナにそれが殺到して着弾する。コロナのデバイス、ブランゼルがシールドを張ったらしいが貫通して直撃した。

 

「魔力弾を、反射した?」

 

「違います、魔力弾の弾殻を壊さないように受け止めて、それを押し出したのです。優れたベルカの術者なら可能ですが……素手ではなく武器で行うのは神業としか言えません」

 

「覇王流にもあるだろ?旋衝破、お前もできるはずだ。どうしてベルカの騎士が近接戦を好んだかっていえばこれがあるからなんだよな」

 

「いたたたっ……もーっ!怒ったよカイト先輩!ゴーレム創成!叩いて壊せ!ゴライアス!」

 

 魔力弾の弾殻を壊さずに受け止めて投げ返す技術。古いベルカの騎士ならば使える人間はそれなりにいた。当然ながら素手でもかなり難しいが、アロイジウスは両手がふさがっているので武器でも行えるように鍛錬をした。ちなみにこれを確立したのは初代じゃなくて5代目あたりだ。初代は素手ならできたが、武器でやると毎回弾殻を壊してしまっていたらしい。アロイジウスは古代ベルカから進み続けている一族なんだぜ?

 

 そして味方の魔力弾が直撃したコロナが怒ってブランゼルを振り上げて魔力を解放する。コアを起点にして10mほどの大きさがある無機物でできた巨人が姿を現した。その肩に乗ってこちらを見るコロナは得意げな顔で作り出したゴーレムに命令を下した。片腕をまっすぐ俺に向かって振り下ろすゴライアス、俺はニヤッと笑ってシュロスの接合を外してぶん投げる。シュロスは回転を保ったままリオに向かっていく。

 

「ひょえっ!?」

 

「ヴィヴィオ!アインハルトさんっ!今!」

 

「はぁっ!!」

 

「たぁっ!!」

 

「ナイスタイミングだ!ちょっとずれてるけどな!」

 

 突然大盾を投げられたリオがそれを受け止めている間に巨人ゴライアスの鉄槌を左手で受け止めた俺、その隙をついて両脇から挟み撃ちの形でヴィヴィオとアインハルトが迫ってくる。なるほど、この狙い、本来ならここにリオも加わったのだろうがいくら俺でも同時に何か所の攻撃には対処できない、という感じか。凄いな、作戦考えたの誰だ?この4人の誰かだったら花丸やれるぞ。

 

 一拍速いアインハルトの攻撃から対処する。盾の技術というやつは、攻撃を受け止めるだけではない。というか本来盾は攻撃を受け流すものだ、力の流れを把握するのは盾持ちの騎士の必須技術。俺はゴライアスの手を跳ねのけ、フラムを離しアインハルトの手に己の手を添えて少しだけ攻撃の向きをずらす、そしてそれはまっすぐ向かってくるヴィヴィオに当たる様に誘導されていた。

 

「あっっ!?」

 

「ふぇええっ!?」

 

「紅火剛閃」

 

 なんとかアインハルトがヴィヴィオに当たる攻撃をずらすことに成功する。俺はその隙にフラムを足で蹴り上げて右手でキャッチ、同時にカートリッジを一発ロードして紅蓮の炎を纏った一撃をゴライアスの手に放ちその手を粉砕する。たたらを踏んで態勢を崩したヴィヴィオとアインハルトはフラムの矛先が自分たちに向いたことに青ざめた。

 

「ほいっ!」

 

「くっ!」

 

 咄嗟にアインハルトが前に出てシールドを張って俺のフラムの一撃を防御する。防御はあっさりと割れるがアインハルトは一瞬おくれたフラムの刃を肘と膝で挟んで防御した。勢いは殺されなかったが、致命傷は避けたな。よくやる。というか、アインハルトのやつかなりやれるじゃないか。一撃で死ぬような攻撃を前にしてその防御方を選ぶとは、良い度胸だ。初代風に言えば見どころがあるって感じだな。

 

『カイトく~ん、突破急げる?教導したくなっちゃう気持ちはわかるけど。そろそろティアナ何とかしないとまずいかも』

 

「了解。ここまでだな、シュロスリッター、フラムスクーレ……フォルムドライ」

 

『『GladiatorForm』』

 

『撃鉄を起こせ』

 

『『ja』』

 

 転移で戻ってきたシュロスリッターとフラムスクーレを俺は合体させる。光に包まれた2機は俺の左手を覆う大型の籠手を形成し。背中ではためいていた炎のマントは左手の肩から先を全て覆う。二の腕の甲には砲弾型カートリッジが、側面には通常型のカートリッジが装填された状態の籠手。フォルムドライ、素手での戦闘を想定したアロイジウスのゼロレンジ用の形態だ。そしてもう一つ、突撃用の形態でもある。

 

「防御を捨てたアロイジウス、城砕の本領を教えてやる」

 

『なにそれカイト!私知らないんだけどっ!?』

 

「……締まらんが、まあそういうこともあるだろ。止めてみろ」

 

 ごくり、と4人の喉が鳴る。防御を専門とする俺が完全に攻撃に割り振るというのがどういうことか理解しているようにみえる。ルーテシアからの通信に少し毒気が抜けたが、まあ流石になのはさんから急かされてしまったので俺個人としてのわがままはここまでにしておこう。ごうっと籠手の肘部分から炎を噴射していつもとは逆の左手を引く構えを見せた俺に4人が構える。

 

「ゴライアスっ!」

 

「遅いっ!」

 

「い、一撃っ!?」

 

 通常型カートリッジを撃発させた俺はかっとぶようにコロナの号令を受けて動き出したゴライアスをコアごと一撃で粉砕する。インパクトの瞬間に砲弾型カートリッジがロードされて込められた魔力が拳を起点に大爆発する。余波でコロナは吹き飛び、ライフポイントがゼロになる。俺はそのままリオに襲い掛かった。

 

「こ、これ受けれないやつ~~!」

 

「リオさんっ!」

 

「もいっぱぁつ!!」

 

 ドガシュ!とロードした砲弾型カートリッジの爆発がリオと俺の間に割って入ったアインハルトに直撃し、二人を巻き込んで炸裂する。だけどその瞬間に、爆発を割ってアインハルトの拳が俺にかすった。ライフポイントが500減る、気絶したアインハルトを眺めて思わず口元に笑みが浮かんだ。

 

「今ならカウンターが入る……!?」

 

「おお、良い読みだ。こいつは魔力制御が難しくてな。ユニゾンしていようと防御行動が難しいんだ」

 

「それなら……!!」

 

 防御を捨てたフォルムドライは文字通りカウンターに弱いという性質を持つ。本来だったら耐えて反撃する俺たちアロイジウスが攻勢一辺倒になるからだ。威力的には破城激震に次ぐものが出るからあまり気にしていないのだが、この状態の俺にカウンターを取れる可能性を目の前の少女は秘めている。ヴィヴィオの拳に、虹が宿った!

 

「いくぞ」

 

「はいっ!クリス!」

 

「だああっ!!!」

 

「アクセルスマッシュ!」

 

 同時に飛び込んだ俺とヴィヴィオであったが、俺の攻撃はどうしてもカートリッジの撃発後になるのでワンテンポ遅い。それを狙う形となったヴィヴィオの拳が一瞬早く俺に突き刺さる。ドゴッ!と顔面にめり込んだ拳の威力に強くなったなあと感慨深くなりながら俺はヴィヴィオの拳を右手で掴み、逃がさないようにして左の拳を見舞った。

 

 轟音と崩壊、ボロボロになった地面に目を回して倒れ込むヴィヴィオの頭を右手でひと撫でしてから俺は地面をへこませて飛んだ。目指すは、俺がうだうだしているうちに収束砲の準備に入ったティアナさんだ。愛機をフォルムアインに戻してもう一発カートリッジを撃発。アロイジウスの真骨頂が屹立する。

 

「スターライトブレイカー!ファントムシフト!」

 

「城塞不撓っ!」

 

 オレンジの極光を紅い城塞が阻んだ。

 

 

 

 

 

 

「いやー、流石に2戦目は勝てませんよね」

 

「一回目勝てたから十分だよ~。むしろカイト君はそこまでしないと封じ込められないというのが分かっちゃったし」

 

「やっぱお前おかしいってよカイト」

 

「うるせえ、3人相手して落としたお前も大概だ」

 

 青チーム反省会にてガンをつけ合う俺とイサムを指さして大爆笑するルーテシアという構図である。なんだったらこいつフェイトさんを落としたんだから俺より戦果凄いぞ。1戦目は俺が城塞不撓でティアナさんの収束砲を阻み、そこからなのはさんのスターライトブレイカーが戦場を薙ぎ払って終了となった。最初の岩投で混乱で指揮系統がちょっと死んだのが原因だと思うが、俺個人としてはヴィヴィオのカウンターの威力を褒めてやりたいね。俺じゃなかったらあれで落ちてた。

 

 2戦目は流石に種が割れてしまったので真正面からガチンコになったのだが、フェイトさんノーヴェさんスバルさんという管理局エース3人相手にしたら流石の俺もその場を動けなくて各個撃破をやられてしまい削り負けた。防御してもライフ減るもんなあ、ルーテシアが最初に落ちたのがあかんかった。

 

 3戦目はチームを入れ替えて人数も公平にした。俺はイサム相手にガチンコしてダブルノックアウトに持ち込んだが、そのあとなのはさんとティアナさんの収束砲がぶつかり合って僅差でなのはさんが落ちて俺のチームは負けてしまった。まあ今回のオフトレもやっぱり楽しかったなと俺は改めてこの場に誘ってくれたみんなに感謝するのだった。

 




 魔力弾打ち返しはベルカだと上級技能ではありそうですが、一応一般普及されている技術だったらしいです。武器でやるのは当然ですが変態の所業です。

 フォルムドライをわかりやすく言うと自慢の拳、あるいはスクラップフィスト、あるいは立花響+爆発式パイルバンカーです。肘の炎でカッとんで殴ってきます。

 さらにちなみに使用しているフレームはデバイス内に保管されている別フレームにデバイスコアとカートリッジシステムを移して使っているので盾と斧がぶっ壊されても通常通り使用できるという裏設定があります。これのせいで思考容量とかが少ないんですねえ。

 あ、どうでもいい話ですけどリフレクションデトネーション番外編でやります。

 ではまた次回に。
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