魔法少女リリカルなのはVivid 城塞の軌跡   作:防御特化っていいよね

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第46話 合宿終了

「う、動けないよ~~……」

 

「う、腕が上がらない……」

 

「…………動けません」

 

「そりゃああんだけ動きまわりゃそうなるわ。ペース配分を考えるんだな」

 

「カイト先輩元気いっぱいすぎ……」

 

 模擬戦を終えた俺たちは、ひとっ風呂浴びて汗やら泥やらを思いっきり落としてさっぱりして各々の時間を過ごすことにした。スバルさんティアナさんノーヴェさんはお風呂に居残っていろいろやってるしなのはさんはメガーヌさんと楽しくお料理、フェイトさん一家は楽しく一家団らん中、そして俺はといえば動けない後輩たちを見下ろしてコーヒーブレイクを楽しんでいた。

 

 なにせ模擬戦初参加のチビたちはそれはもう張り切って頑張っていたわけだ。具体的には模擬戦3戦のうち敵側になったちびたちは俺にわれ先に襲い掛かりかまってもらいたがったわけだが、俺も腐ってもDSAA優勝者なわけなのでおいそれと負けてやるわけにはいかず、完全に加減抜きで相手をしてやった。

 

 その結果が目の前の光景を生み出しているわけなのだが。なにせわがかわいい後輩たちは全身筋肉痛の憂き目にあい、ベッドの上であうあう涙目で呻いているのだから。元気印のヴィヴィオとリオ、体力的にはちょっと少ないコロナ、そしてベルカ式に鍛えているけど圧倒的実践不足のアインハルトも、動けずに可愛らしい鳴き声を上げていた。

 

 俺が元気いっぱいに動けるのはおかしいと文句を言う後輩どもに鍛え方が足りんよと雑に返す。というかダウンしてるのお前らだけだからな?他はほぼ管理局員だからともかく、例外って言えるの俺とイサムくらいだろ。

 

「アインハルト」

 

「は、はい」

 

「悪くないだろ?魔法戦技、スポーツ式も馬鹿にならんもんだ」

 

「それは、はい。いろいろ反省すべき点も見つかりましたし……その、あの……私が見ていた世界は本当に狭かったんだな、と」

 

「そいつは重畳。ベルカの記憶は血みどろだが、殺し合いをせずに実力を測れる。よっぽどいいはずさ」

 

 古代ベルカの油をさし忘れた機械人形みたいな動きで何とか起き上がったアインハルトは俺の質問に対して本当に恥じているようにためらいながら自らの不見識を包み隠さずに話した。なんかこいつここ一か月でだいぶ会ったときと印象変わったなあ。初めて会ったときは触れれば切れそうだったのに今は柔らかく微笑む余裕があるし。

 

「そこらへん興味があるなら、DSAAに挑戦するのもいいんじゃないかしら。そこにいるベルカの騎士は言うに及ばず、今年は私も出るし。今年からはヴィヴィオたちも出るしね」

 

「ああ、そういえばお前らやっと資格満たしたんだもんな」

 

「文字通り世界中から魔法戦に自信を持ってるやつらが集まるんだ、出ておいて損はないぞ。それこそ俺から見たイサムみたいなのが出てるかもしれんしな」

 

「俺がなんだって?」

 

「はーい、みんな栄養補給のジュースだよ~」

 

「なのはママ、イサムさん!」

 

 DSAAの話で盛り上がる俺たちに割って入ってきたのはお盆に人数分のジュースを手に持ったイサムとなのはさんだった。ガリューと軽く手合わせするとか言ってたけどもう終えたのか。なのはさんはメガーヌさんとの話を終えたのかね。

 

「アインハルトにDSAAの勧誘をしていてな。お前みたいに予想外に強いやつが出てくるかもしれんし、それこそヴィヴィオが急成長したりするかもな。せっかく出れるんだったら出ればいいんじゃないかって話だ」

 

「ああ、なるほどね。正直俺もカイトが出てくるまでつまらなかったんだけど、見つけてから明確に目標にできてやる気が出たからね。そういうことなら出ないって選択はお勧めできないかな」

 

「ねー、カイト君もそうだけどイサム君も、それこそ去年の女子の部決勝も、強い子はほんとに強いんだよ。いやー、私もうかうかしてられないなあ、にゃはは」

 

「なのはさんはそれ以上砲撃魔導士として強くなったら怖いですよ。管理局の白いま……」

 

「カイト君?おねーさんにそういうこと言うのは感心しないなあ~」

 

 やっべなのはさんの笑顔がなんか黒い!ちょっとした冗談のつもりだったのにこの前なのはさんの戦闘を見た管理局のおっちゃんの評価を口走ったのはまずかったか。ぎくしゃくとした動きのヴィヴィオが起き上がって

 

「それに!去年はできなかったですけどDSAAの優勝者同士がぶつかり合うエキシビションマッチがあるんですよっ!」

 

「去年は、できなかった?」

 

「去年は女子優勝者がケガしてな。前年度も途中で棄権したからなくなったわけだ。不完全燃焼だったなありゃ」

 

「先輩が本気で戦うのがもう一回見れると思ったのに~」

 

 ぷす~とほっぺを風船のように膨らませたヴィヴィオがいまだにそのことに文句を言う。まあ俺もあれにはずっこけた、だけど正直あの場でジークと戦ってもなんか違うんじゃないかなとは思うし、結果的にそれでよかったと思う。そもそもジークは戦える状態じゃなかったしな。

 

「アインハルトさん、どうですか?!予選は7月からなので私もまだまだ鍛えます!公式試合でアインハルトさんと勝負したいですっ!」

 

「はい、私もそう思います。インターミドル、参加させていただきたく思います」

 

「やったー!」

 

「参加資格は年齢と健康は大丈夫だよね、セコンドはノーヴェがやってくれるだろうしあと……」

 

「あ、アインハルトデバイス持ってないよね?作らないと」

 

 あ、そうだったとその場にいた全員がアインハルトに視線を注いだ。いきなり注目された彼女はわたわたと慌てて近くにあったピローで顔の下半分を隠す。そうじゃん、こいつデバイス持ってないんだった。そんじょそこらのデバイス持ちよりよっぽど器用に魔法を使いこなすから違和感がないんだよな。

 

「アインハルト、DSAAだと非殺傷とかの関係でクラス3以上のデバイスを着用するのが義務なんだよ」

 

「その、でもエンシェントベルカのデバイスは作るのが難しいと前に……」

 

「よし、ルーテシア」

 

「いでよ、ヴェントラフィカ~~」

 

 俺がぱちんと指を鳴らすと悪ノリが好きなルーテシアが召喚用の四角い魔法陣を展開し、ラフィを転移させた。ラフィは俺を通じて大体の話を聞いていたのとちょうど暇だったので抵抗せずそのまま転移で現れる。頭の上のイクスがぱちぱちと手を鳴らしていた。

 

「話は聞かせてもらった。私が作成しよう」

 

「ハイ解決」

 

「一瞬です!?」

 

「まあ私だけだと古臭くなっていかんからはやてにも協力を求めよう。ヴィヴィオと同タイプがいいだろうな。カートリッジは?」

 

「つけなくていいだろ。まだ早い」

 

 何度も言うがラフィはユニゾンデバイスであると同時に古代ベルカのデバイス技術をそっくりそのまま持っているデバイス技師である。というか、フラムとシュロスを受け継いでいく時点でどうしてもメンテナンスだの修理だのをする必要があるし、自身の損耗もあるから自力でやらなきゃならなかったというだけなのだが。

 

 カートリッジといえばベルカ、ベルカといえばカートリッジとアームドデバイスだが、アインハルトは覇王流がメインだからアームドデバイスは不要だし、仮に小手型にして腕に搭載するとしても邪魔になりかねん。いらんだろ、と俺が返すとラフィはうなづく。

 

「まあ、時間があるし話をするのは明日以降でいいだろう。そろそろ子どもは寝る時間だぞ」

 

「あ、悪いカイト、ちょっと付き合ってくれ」

 

「おう、んじゃおとなしく休めよ。特にアインハルト、模擬戦初めてだったんだろうし体を休めておけ」

 

 話は終わったとラフィは完全になのはさんと話すムードになり、イクスもヴィヴィオたちとお話しするモードになった。まあデバイス関連は小難しい話が多いからなあ。俺はできれば触りたくないね。頭が痛くなる。

 

 そんな折、ほぼ無声ではあるが俺だけにははっきり聞こえるように話すという隠密用の発声術をアレンジした技術の無駄遣いをフルに発揮したイサムに付き合えといわれたので俺は奴に見えるようにハンドサインで了解を出してヴィヴィオたちにくぎを刺してから部屋をでた。

 

 

「それで、どうしたんだ急に」

 

「ああ、カイト……お前に謝らなきゃならんことできたんだ」

 

「俺にか?」

 

「……今年のDSAA、辞退しようと思う」

 

「そうか」

 

「……軽いな」

 

「アホぬかせ。お前が考えたことだ。なんか理由があるんだろ。俺がピーチクパーチク言って変わるか?」

 

 ロッジの外で、わがライバルに何の用だと尋ねれば奴の口から出てきたのは今年のDSAAの欠場宣言だった。俺は正直この合宿前は出る気満々だったこいつがいきなり前言撤回したことには驚いたが、こいつなりに理由があるんだろと思ったので簡素な答えを返した。

 

「で、理由は?」

 

「まあ、正直言うと今の俺じゃ君に勝てるビジョンが思い浮かばないからだ。この合宿で確信した。魔法戦技として御神流はミッドとベルカに後れを取ってる。ましてや、君相手にならもっとだ」

 

「武術としてではなく魔法戦技としてか」

 

「武術としてなら負ける気はないさ。だけど……君の家が積み重ねてきた幾千年と比べると、僕らが追いかけた100年は少々浅すぎると思う」

 

 そういうことか、確かにアロイジウスは古代ベルカ末期、軽く千年前から続いている家だ。さらに言うとアロイジウスの源流であるシュトゥラはもっと古くから魔法とそれを操る武術を継いできた。

 

 対してイサムの御神流はどれだけ古いかはわからないが、魔法に触れて日が浅い。イサムで4代か5代目あたりのはずだ。なにせ魔法に触れて100年しか過ぎていない。確かに魔法戦技としての歴史は浅い、それこそストライクアーツよりも。

 

「現に、俺はいまだに御神流と魔法を融合した技を編み出せてない、師範である父さんもだ」

 

「……それで、今年は修行の年にすると。いいんじゃねえの?」

 

「君だからいうけど……俺は正直焦ってる。御神の神速に追いつく魔法が当たり前にあって、御神の剣を防ぐバリアを使える人が何人もいる。このままじゃ、御神の歩みは止まる。俺は、御神に新しい一歩を刻みたいんだ」

 

「俺たち魔法が当たり前にあるやつらからしたら魔法なしでそれができるのは十分おかしいんだけどな」

 

「お互い様さ。だから、ごめんカイト。今年は俺はインターミドルにはでない」

 

「ああ、わかったよ。王座は守り抜いとくから、来年奪いに来い。ああ、でも」

 

「なんだ?」

 

「試合くらいは見ろよ」

 

「もちろん」

 

 俺はそれが確認できればよかったので片手をあげてロッジの中に戻った。正直、ショックではあるがライバルの判断を信じよう。俺はあいつが思っているほど俺と実力差が開いているとは思わんが、魔法の扱いだけで言えば確かに俺が上だった。あいつの言うことも一理あるかもしれない。

 

 

 

『はいな~どーもどーもはやてちゃんです!久しぶりやなーカイトー、ルールー!それとそっちがアインハルトちゃんやな?メール受け取ったで~?デバイスの作成な、了解や』

 

「は、はい!よろしくお願いします!」

 

「はやてさん朝から元気ですね」

 

『そら~も~愛しのカイトから連絡がきたからはやてちゃんはうきうきるんるんなんやで?』

 

「冗談はいいので話進めますよ」

 

 あーんいけず~~ところころ笑っているはやてさんに俺はあきれた目を向ける。翌朝、ミッドは夕方の時間帯にはやてさんとの通話に俺とルーテシアそしてラフィにデバイスを使う本人のアインハルトが同席して話し合いに入っていた。

 

 はやてさんは佐官、ついでに言えば司令という立場についているお偉いさんである。あと捜査官でもあるのでたまに俺に出場依頼が来たりもする。なんというか俺の知り合いは俺のこと便利に使いすぎじゃない?いいんだけども。

 

 あまりのフランクさに目が白黒しているアインハルトを促す形でラフィが聞いておいたアインハルトの希望の形をはやてさんに伝えて帰り次第設計図を起こすという話をしている。アインハルトに持たれているクリスをみるとかなりぬいぐるみ型アクセは気に入ったらしいな。

 

『なるほど、格闘型だからヴィヴィオと同じ融合装着型で、カートリッジなしと。それならセイクリッドハートからかなりの部分流用できそうやな』

 

『姉さま、覇王ということは魔力圧が高いはずです。強度計算は見直したほうがよろしいかと』

 

「わかっている。騎士甲冑の強度変更も視野に入れよう。とにかく騎士はやて、協力してほしい」

 

『まかせときっ!あ、そやカイト』

 

「なんでしょ?」

 

『帰ったら適当な時間にうちきてや~。ちょっとお願いしたいことがあるんよ』

 

「はあ、まあいいですが」

 

 体を作成途中のリインフォースの提案を受け入れるラフィの横でうなづいているとはやてさんが狸のお面を片手にお願いと手を合わせてくる。はやてさんのお願いとか嫌な予感がするなと思ったが、断る理由もないので俺は素直にうなづくのだった。弟子をとれとかじゃないよな?




 イサム君、離脱。理由としてはもう主人公のDSAAは脇に追いやられてヴィヴィオにフィーチャーするためです。便利すぎてよく出しちゃうし。

 ではまた次回に。感想評価よろしくお願いします。
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