魔法少女リリカルなのはVivid 城塞の軌跡   作:防御特化っていいよね

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第59話 無限書庫探索ツアー

「なあ、なんでそんな渋い顔してるん?カイ君の大嫌いな聖王教会じゃないやろ?」

 

「そういえば無限書庫って管理局の本局の中にあるんだよなって。あそこさあ……一回リインフォースアインスの件がどっかで漏れたらしくて……」

 

「なるほど、勧誘が山と来てしまったわけですか。私経由ではなく、直接」

 

「いやそれもそうなんだが……陸に行きたいって話しちまってよ」

 

「墓穴掘ったんやカイトくんは」

 

 ジークとヴィクターに突っ込まれはやてさんが指摘している通り見事に墓穴を掘ったのがその時の話だ。ちなみにその時の管理局のお偉いさん(少佐以上のお歴々。いつ来たんだよ)の顔には絶対にがさんという強い意志が形になってた。どんだけ人いないんだ管理局。

 

 ここは管理局本局、はやてさんフェイトさんティアナさんのホームグラウンドである。なんと人工的に作られた一つの世界ともいえる管理局の技術の粋を尽くされた世界、職員が暮らす街が用意されてるくらいの場所だ。最初きたときは度肝抜かれたもんだぜ、ベルカなんか目じゃないくらいだ。

 

 先導するヴィヴィオ、リオ、コロナは自分たちが役に立てるっていうのがこの上なくうれしいらしくはじけるような笑顔でツアーガイドみたいに頑張っている。俺含めてミッド市民は大体本局に足を踏み入れることは管理局員にでもならない限りないのでお上りさんだ。珍しいことには変わらんしな。

 

「あら、ヴィヴィオちゃんおはよう。未整理区画の探索だったわよね?でもベルカ系の場所は……」

 

「大丈夫です大丈夫です~!なんとこちらインターミドルのトップファイターのみなさんですっ!」

 

「チャンピオンが二人いたら怪獣だってぼこぼこですよ!」

 

「あとついでにはやてさんいるしな」

 

「こら、ついでってなんやついでって。あんまり雑だとはやてちゃん泣いちゃうで」

 

「へっ」

 

「今私がこの場で泣かしたるわ!あんまり後衛だと思うとると痛い目みるで!」

 

 その痛い目っていうのが頬を左右に引っ張るのだったら痛くもなんともないんですが、と背伸びをして俺の頬を引っ張るはやてさんに恐縮してる職員さんに俺とジークで連名サインをしてから転送ポートに入り、べルカの区画に飛んだ。

 

「ここがベルカの区画でーっす!ってあれ?」

 

「ユーノ君!なんやどうしたん?なのはちゃんおらんで?」

 

「そこでなのはが出てくるあたりモノ申したいけど、ま、いいや。待ってたよ、特に……カイト・エルンスト・アロイジウス君!」

 

「え?俺?初めましてですよね?あ、でも何か月か先に任務の予約入ってたっけ。ベルカ遺跡調査の護衛」

 

「それも楽しみだけどね、実を言うと……古代ベルカ語の読み書きができて、当時の記憶があって、強い。そんな人材が来たんだ、逃がすと思うかい?」

 

「あかん、ユーノ君も立派に管理局に染まってもうた」

 

 ユーノ・スクライア。金髪の長い髪をまとめた男性にそう声をかけられた俺と頭を抱えるはやてさんとぽかんとする俺。なんだったらヴィヴィオもコロナもリオもぽかんとしている。おそらくこの子たちも見るのは初めてな感じのキャラ変をしたのだろうか、この無限書庫で一番偉い人は。

 

「まあ、それは2割冗談として君たちが進もうとしている区画に一つ問題が発見されてね。改めて安全調査をしたところ……目星をつけている場所の一つに魔導兵器の存在が確認された」

 

「8割本気なのはおいとくしてそれホンマかいな。どんくらいの強さのやつや?場合によっては今日は中止にせざるをえんで」

 

「うーん、そうだな……大体数値にしてAAってとこかな。魔力値だけのはなしだからね。魔導ゴーレムだ、先遣隊が逃げ帰ってきてから扉を封鎖している。ゴーレム自体は守護ゴーレムらしくてね、持ち場を離れないのが不幸中の幸いかな」

 

「もしかしてそのゴーレムとはこんなものか?」

 

 ラフィが俺の胸ポケから姿を現しフリーハンドで空中に魔力で絵をかいて見せるとそれは俺の記憶にもあるゴーレムだった。というかベルカの戦争で使われた重装歩兵ゴーレムだった。ああー、こいつって確か耐用年数高いし強いし硬いから宝物庫の門番もしてたんだっけか。

 

「あ、それだよそれそれ。なんで知ってるのさ」

 

「私が開発されたころは戦場に行けばいやでも目にした。簡単だ、主カイト。私たちでその区画に行きゴーレムの主動力をオフにしてやればいい」

 

「はやてさん、それでいいです?区画一帯をはやてさんかユーノさんが一部封鎖、他のみんなはそれ以外で探索、ノーヴェさんは万が一の時のために結界外で退避」

 

「悪くねえが……二人で平気か?」

 

「俺が突破された時に閉所で十全に動けるのはノーヴェさんだけですし、ベルカ系のトラップでもあって引っかかったとき一番生存の目があるのは俺たちです。電源の切り方はまあわかるんで。ぶっ壊していいならぶっ壊しますけど……欲しいでしょう?無傷で」

 

「できるんならぜひともね、聖王教会も喜ぶ」

 

「貸しが作れそうで俺も嬉しいですよ。んじゃやりましょうか。ヴィクター、ジーク。そっち任せた」

 

 歴史系のものの価値については実家に住み着いた学者にいやというほど聞かされたのでぶっ壊すよりも鹵獲という形を目指すことにした。鹵獲自体はあっちゃこっちゃで繰り返されていたから俺とラフィならできると判断したわけだ。まあ、手順が増えて面倒ではあるが。

 

 結界役は僕がやろうとユーノさんと俺たちで区画の最奥にある件の場所に向かうことにし、俺たちがゴーレムを何とかするまでチビ達には浅めの区画で探索をしてもらって俺が仕留めがてら深層の探索をしよう。

 

 嘱託魔導士資格を取っておけばよかったとハンカチを噛むヴィクターと行きたいけど行けないから歯噛みするジーク、チビ達3人は頬を膨らませ、他のやつらもなんだか不満そうだ。アインハルトなんか珍しく頬がパンパンだ、初めて見る表情だな。

 

 年齢実力上位二人に後を任せて俺はそのままの足でユーノさんとともに未整理区画の扉を開き最奥に向かって行った。というか転移した。ユーノさんってシャマルさん以上に優秀な結界魔導士&補助魔導士らしい。んで目の前にはいるわけだ、ゴーレムが。

 

「何分いる?」

 

『3分だ、見たところ私より古い』

 

「了解」

 

 ゴーレムの鹵獲方法だが、ハッキングだ。というか、メンテナンスの手順に強制停止があるからこれを悪用する。だけどこの方法にはゴーレムの停止コードを入れる必要があるので技師であるラフィがコードを見つけるまで俺が耐えればそれで終わりだ。

 

 バキィ!!とゴライアス並みの大きさを持つゴーレムの拳が俺のシールドを殴るもののそこは俺、全くもって揺るがない。なんだったらいつの間にかかかっていたユーノさんの補助魔法のおかげでもともと余裕だったのがもっと楽になってる。うわー……この人こんな全方位で優秀なせいでお偉いさんなのに現場に出されてるのか……。

 

 ジャラララ!と音をたててゴーレムの各所にチェーンバインドとリングバインドが絡みつき雁字搦めにしてゴーレムの動きを完全に止めた。え、遠隔発動でどんだけ硬いバインド使ってんだこの人……!俺がいつもやってる腕力でちぎるのは無理な硬さだなこれ、というかアンチェインナックルでも破れんかも。

 

「俺必要ですか、これ」

 

『照合終了、強制停止を開始』

 

「必要だよ、僕じゃ止めることはできても停めるのは無理だからね。壊すのだって考古学者としてはとんでもない、って話だ。君たちがいてくれてよかった、できれば今の方法を教えてくれると嬉しいんだけど」

 

『悪いが、教えられないな』

 

「とのことです」

 

「何でか聞いても?」

 

『悪用したらゴーレムの軍団が作れる。聖王教会に知られても面倒だ。無傷でこれを渡すのも正直なところ反対だから、悪いが中身については動かないようにさせてもらう』

 

 聖王教会がベルカ系の書庫の整理を手伝ってると聞いた俺とラフィが真っ先に考えたのがベルカの魔導兵器の起動キーを聖王教会が手にすることへの危惧だった。特にこのゴーレムは生産数が多いので本気で探せば現役で動く奴がゴロゴロ出てくるかもしれない、現にここに一つあったし。

 

 無人兵器への恐怖はJS事件で嫌というほど知れ渡っているのでユーノさんとしても納得はしてくれたらしい。未来に残すべきものも確かにあるが、過去に葬るべきものもたくさんある。ベルカのモノなんか特にそうだ。ハードウェアはいいさ、それで発展する分野もあるだろう。ソフトウェアは諦めてくれ。

 

 ユーノさんはこれを調査するらしいので俺は一足先に調査を進めることにした。ざっと見た感じここら辺にあるのは聖王時代より前の文献っぽいな。検索魔法は苦手だからラフィに任せ目視できょろきょろしてみるも効率が悪い。

 

 ヴィヴィオたちと合流するか、と念話をつなげようとしてみるも反応がない、通信もダメだ。ユーノさんの方に急いで振り向くと彼も気づいたようでこくんと俺に頷いた。トラップにかかったか?

 

「見たところ空間系を隔絶する結界みたいだね。僕らのところとはやてのところに2重にかかる形だ。ただ、この術者がお粗末なところは……ここに僕がいることさ」

 

 バァッ!と明らかにミッド式でもベルカ式でもない魔法を乗っ取る形で解除したユーノさんは僕ははやてたちの方の結界に行く、君は子供たちをと言い残して飛んでいった。俺も頷いて騎士甲冑を着込み炎のマントを背負って飛んだ。

 

『クロゼルグの民だな』

 

「ああ、なんだってこのタイミングで……」

 

 4度目を超えて5度目が起きた。さっきの封鎖結界の術式は初代の時代にいた森の魔女が使っていた術式だ。マイナーもマイナーだが、術式が一切変わっていないからすぐにわかった。改良を加え続けている城塞不撓とは真逆の数千年前の魔法そのもの。

 

『主カイト!』

 

「おおっ!?んだこりゃ……?」

 

 なんか、前方から逃げ回るように飛んできたデフォルメされた蝙蝠のような魔法生物をわしづかみにして捕獲した。そいつが咥えている瓶の中身を見てブフッ!と吹き出しつつ全力で顔を背け、瓶を奪い取りつつ全力で蝙蝠を蹴り飛ばした。

 

 いくつも本棚を貫通して消えていった蝙蝠を無視して俺はユニゾンを解除しラフィに瓶を押し付けて走り出した。なにせ、瓶の中には全裸のリオ、ミカヤさん、ハリーとマブダチズにミウラにエルスが全裸で入っていたからだった。見てしまった……一瞬だけとはいえ!非常事態であるから身体強化をがっつりかけてるせいで上がった視力が悪い方向に作用しくっきりと!

 

「………………ラフィ」

 

「なんだ」

 

「あとで俺の首を落とせ」

 

「………………自分でやれ。まずは謝罪をしてからな」

 

「………………そうする」

 

 おそらく瓶の中では俺に見られたせいでしっちゃかめっちゃかになってるらしく、盛大に揺れていた。魔力爆発も起きているが中身は大丈夫だろうか。深呼吸をし雑念を捨てた後迷路のような本棚を右へ左へと進んでいるうちに戦闘音が聞こえたのでそちらの方に進んでいく。

 

「………………やっぱ今ここで首を落としてくれないか?」

 

「バカなことを言ってないで前を向け我が主。魔女は目の前だぞ」

 

「ああっ!カイト!?良いところというかバッドタイミングというかとりあえず状況は」

 

「魔女クロゼルグの末裔が襲ってきてんだろ。悪いが俺に任せてくれ、ルーテシアは……こいつら頼むわ」

 

 飛び込んでいた先にいたのはまたなぜか全裸のヴィヴィオとそれを抱えるルーテシアだった。とりあえず飛んでいったラフィが瓶を渡すとルーテシアはそれを受け取って後ろに下がった。真っ黒の魔女衣装を着こんだクロゼルグの末裔に向き直った俺は口を開いた。

 

「さて、何か言うことはあるか?今なら静かに聞いてやろう」

 

「その上から目線、アロイジウスは変わらない。クロゼルグの血脈に課せられた使命……裏切り者の王と騎士への復讐を……!」

 

「……そうか。付き合ってやるよ、その使命とやら。ただ……俺に勝てればだがな」

 

「言われなくても。悪魔合身(デビルユナイト)姿態編成(シェイプシフト)……魔女の誇りを傷つけたものは……」

 

「未来永劫呪われよ、だったな。初代も言われたことがある。ああ、でも――――」

 

 使い魔らしい悪魔が合体し巨大化、魔女自身も成長し箒型のデバイスを構えた。状況が理解できるにつれて、俺の頭は冷静になりつつもぐつぐつと腸が煮えくり返る感覚を覚えていた。またか、また過去からか。いい加減にしろよ……守るべきものに手を出しやがって。

 

「騎士の誇りに疵をつけたんだ―――――――死ぬ覚悟をしてきたんだろうな」

 

 どす黒い感情と殺気を隠さずに、俺はフラムをヤツに向けた。




 主人公、またキレるの巻。なお状況的にはアインハルトの時よりキレてる。なんでかってもう手を出された後だから。後ろでルーテシアは青ざめてるでしょう。
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