機動戦士ガンダムNT ~奇跡の旅路へ~   作:安芸秋斗

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第一話 出港

 油臭いMS(モビルスーツ)デッキに来ると嫌悪感を丸出しにした整備員のジョナと出くわす。

「ジョージはいいよね。地球暮らしの身分で」

「なに。俺でも宇宙は素敵なところと分かるのさ」

「はっ。生意気言って」

 身体をMSのもとに流すと、組み立て途中の機体を見やる。

 アセンブリガンダム。

 全身に使われたサイコフレームでできており、その強度はリムーバブルフレームを上回る。現存の中ではもっとも堅い金属。

 そんな説明を受けても、なお。

 俺は恐怖を感じる。

 シンギュラリティワン。

 ユニコーン一号機は時をも操る力を持っているとされている。

 事実、連邦軍の機体はことごとくジェネレーターが分解されていた。

 パイロットが死ぬわけじゃないが、神にも似た力を発揮したことが不安をかき立ててた。

「どうした? 地球人」

 整備士のパトリックが怪訝な顔をこちらに向ける。

「いや、ニュータイプってのは本当にいるもんかね?」

 ガンダムから特別なものを感じる。この感覚はなんだろう。

「ははは! それが分かりゃ、ミネバの言う通りネオジオンの奴らが反乱を行うってんだろ?」

「そうか。そうだな……」

 ニュータイプなんていない方がいいのかもしれない。

 俺たち連邦軍にとっては認めがたい存在。

 連日ニュースでもニュータイプの科学的根拠はまったくないとされており、素直で物分かりがいい一般市民はあらがうことなく、聞き入れている。

「ま、こいつを使うこともないんだろうな」

「そうかい」

 アセンブリガンダムは悲しそうにこちらを見ている気がした。

 フレームだけの機体を見つめていると、格納庫《ハンガー》内に内線が伝わってくる。

『ジョージ中尉、すぐに艦橋《ブリッジ》へ。繰り返す――』

「行かないと」

 俺はワイヤーガンでハンガーから出ていき、途中の通路を通りブリッジに向かう。

 今度の任務はなんだ。嫌な気配がする。

 誰かにずっと見つめられているような……。

「今回の任務は簡単だ。この輸送艦コロッセスが月のグラナダへRX-11を移送する」

「了解しました」

 敬礼をすると、艦長のリヒティは苦笑を漏らす。

「まあ、気張るな。ただ運ぶだけだ」

 MSを五機ほど搭載できる小型輸送艦は、魚の骨を思わせる風貌をしている。

 その専用ブリッジにも三名ほどの乗組員を乗せているだけで、あとはほとんどが整備兵と衛生兵になっている。

 多くの機能がAIとオートパイロットで補われているため、操縦も楽になっている。

 スペースコロニー・トートを出港すると、そこはもう宇宙だった。

 暗くどこまでも続く星々の海。

 その深淵に吸い込まれる感覚を味わいながら、俺は座席についている手すりに掴まるのだった。

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