後宮の入口で笑顔で固まる俺と泣きそうな少女が一人…そして周りには、こちらの様子をどうすべきか迷っている人だかり。これは不味い事になった、俺はほんの出来心で金の一つでもと思っただけだったのだ。あんな連射パット効果が付与されているなんて・・・いやそれより、この状況を打破しなければならない。
傍から見て今の状況はどう見えるか…一つ、仙人である俺のお恵み的な解釈、二つ、仙人はロリコンだった説、三つ、少女が何かしてしまった説、四つ、ほら明るくなったろう解釈・・・駄目だ、どのパターンでも俺の印象が悪くなる可能性が高い。クソっこんな足が埋まるレベルで出るなんて!?毎秒1000タッチぐらいか、普段通り数秒押してしまったから俺と少女の周りには6000個ぐらいの金の延べ棒がある計算になってしまう…周りの見てる奴らも金が欲しいのだろう、少女に対し邪の目線を向けている者がいる。
…このまま笑顔でスルーしたら、目の前の少女が標的になる。かと言って、ここにいる人達全員にあげます的なアピールをしても、俺が成金か何かか的な解釈になるかもしれん。馬鹿やった、冷静にやらないといけないのに…酒が残ってたのか。
「ははは!鈴仙人殿そこの少女が怖がっております、貴方の優しさは理解できましたが幼子には過激すぎるかと」
後ろを振り向いたら…威厳主張が強すぎる顎髭、相手の本質を見抜く眼でこちらを見る柴進がいた。驚きはすれど当然かとも納得する。
柴進は宋王朝ができる前の周王朝の皇帝の子、第2代皇帝
戦争について長くなるので省くが、第2代皇帝柴栄が病死すると、後を継いだのが7歳の
趙匡胤は歴代皇帝の中でも名君で、戦乱の原因となった軍の力を削いだり、汚職などして君臨していた者達の勢力を削ったり、とにかく軍縮に力を注ぎ世を安定させた。前皇帝、柴宗訓は手厚く保護を約束し宋王朝が滅びる約300年間優遇措置を受けて存命している。
…まあ、仕方ないとはいえ軍縮しまくったせいで、今度は汚職が広がり侵略者に勝てず、また軍拡に移行、そして軍縮…今の汚職が蔓延る世代と。中国って何故か名君が上に立つと数年で謎の病死とかさ、歴史を見ればわかるけど滅びる原因が大半同じな気がする。その都度復活してるのは凄いけどね。
つまり、柴進は優遇措置を受けてるボンボンなのだが…表向き大貴族の一角であり、今回の園遊…じゃない皇帝祭祀に呼ばれるのも納得できるので驚くほどではない。驚いたのは何故このタイミングで話しかけてきたかだ。
「そこの宮女。鈴仙人殿は其方の優しさに心打たれたようだが、少々出し過ぎたようだ…よろしいか?」
俺は首を早く縦に振った。ナイスフォローですよ柴進様!このままだとこの子見捨てる算段で動こうとしちゃってたよ。俺は適当に落ちてる金を拾い、少女に手渡す…その際に謝る動作も忘れずにね。
「お、お止めください鈴仙人様!」
「受け取っておけ。これ以上は祭祀に関わってくる、ほらあの子達にも持っていくといい…後は放置すれば適当な者が拾うだろうさ」
いい笑顔で少女を送り、他の見物人にもわかるように手で扇を舞うようにしながら周りを見渡す。
俺の代わりに手厚いフォローの連続…涙が出ますよ。流石は水滸伝版ルイーダの酒場の亭主だ。この人は後に梁山泊メンバーの一人、天貴星第十位の男であり、梁山泊メンバーの武人共を集めまくった人物だ。この人は武人や才ある者を集める曹操みたいな趣味で、食客(客人兼雇う)として色んな人物を招き入れ、その招き入れた人物と関わって・・・・・そうだよ、
「さて、鈴仙人殿。貴方とは是非話し合いをしたいと思っておりました…現皇帝の事など酒の席で話しませんか?私の話を聞くだけでも」
あ、ヤバいこれ…いい雰囲気で誘ってるけど、これに乗って話し合ったら他の連中から反逆の意思ありみたいな解釈をされかねん!この人、思ったことは隠さないで堂々と行くから酒を飲んでぶっちゃけトークに巻き込まれる可能性が大だ。梁山泊での金銭管理をしていた人物だから為になる話は聞けるかもしれないが。
…俺の立場的にどうだろう、この人自身は自分の立場なんか知らぬと言うかもしれない。だが俺からしたら旧皇帝の子孫と仲良くする?水滸伝云々より状況が最悪だ、こう話している最中でも聞き耳に徹する奴らがいるのにハイ行きましょうなんてしたら欲が絡む連中も一緒に来ちまう。
「酷いことをする。嫌がっておる者を誘うなど、ああ己の立場も見えぬ者には伝わらぬか」
金を一つ拾いながら俺達の話しに参加する男。髪は白く、それでいておどろおどろしい雰囲気を纏い、その目や口は柴進の事を下劣な何かとしか見ていないとハッキリ物語っていた。
「…これは、これは高廉殿。自虐など覚えているとは驚きましたよ」
「ッ…従兄が罪人となったのは残念だが、私は皇帝にこの身を捧げている!貴様のような輩と一緒にするな」
両者牽制し合いバチバチと音が聞こえるがごとく険悪な雰囲気が辺りを包む。
「罪人、高俅が処されさぞ喜ばれましたでしょう?あのような醜い男が従兄とは苦労したはず」
「ハハハ…従兄の不始末は鈴仙人殿のおかげで済んでいる。私がここに呼ばれているのがわからぬか?」
「ははは!それは失礼した、付き人もおらず薄暗い雰囲気で見えなかったぞ?」
自分から煽りに来たのにレスパ負けした高廉。明らかにキレている中、速足で鈴仙人の方に向かう。
「鈴仙人殿、従兄が…いえ罪人を裁いて頂き礼を言いましょう。さあ、このような野蛮な者と話す舌を出す必要がありませぬ」
強引に鈴仙人の肩を組んで本殿の方に誘導しようとする。柴進含む周りの者達も止めに入ろうとするが、鈴仙人は少々動揺しながらも一緒に歩き出した。その行動に高廉自身も疑問を感じながらも表向きは笑顔で対応しながら中へと足を運ぶのだった。
「振られたか…仙人にとっては私も奴も違いがないと見るか、ふふまあいい」
鈴仙人達が奥へと消え、事の発端を見た者達を含む後続の者達が散らばる金に夢中となって様をつまらない様子で目に映も、一人の男の噂を思い出しながら呟いた。
「かの
周りの下を這いずる者達を尻目に上を向いて足を進めるのだった。
徽宗皇帝はうんざりしていた。官吏らからの皇帝祭祀の何たるかを嫌という程言われたのだ。今の世の嘆きを思うのが余だ!と何度も言い合いとなり、何とか押し通して今回の場を用意した。
「はぁ…
「茶でもお出し致しましょうか?」
「其方の茶は苦い、まだ飲めんな」
「あら、少し甘くしてるのですが」
その態度に皇帝は笑う。目の前の妓女に何度も会いにいったが、このように振舞える程度には態度が収まった事に嬉しく思っているのだ。
「其方が来てくれるとは思わなかった」
「あの劇を見るまでは来る気もありませんでした。人形から人になりかけているからこその今です…お忘れなく」
彼女は花街で有名な妓女であり、今回の祭祀に呼ばれた一人…であるが、皇帝の希望で後宮内の一室を与えられ皇帝とのひと時を過ごしていた。
「ああ、余の今は鈴仙人殿によって生まれた奇跡…宋を…民をまとめ新たな始まりとして進む」
「その心をお忘れなく、そういえば
花石綱とは変わった形の岩や化石、石や花などの事である。収集の為に道中の民家などを取り壊して経路にする、移動させる多額資金など多くの民から怨みを買う代名詞の一つである。
「うぐ…鈴仙人殿を経理の職に置いてから費用として落とせんのだ」
「あらあら、それでお止めに?」
「…他の貴族経由で買おうにも、すぐさま報告が上がってくる」
「まだ就いてそれほど経っていないはず、鈴仙人様はとても慧眼のご様子で嬉しい限りですわ」
自分の趣味が完全に手が出せない状態にため息を吐きたいが、吐けず酒に逃げるしかなかった。酒を飲みだした皇帝に合せるように茶を煮込み始める。
「どうせ初日は挨拶だけだ、それに皆のお目当ては鈴仙人殿だろう!」
「そうですね」
「冷たい奴め」
「茶を濁すのが苦手ですので」
数分ほど経ち、出来上がった茶を銀器に入れ皇帝に出す。その動作一つ一つに魅力されながら、受け取り酒で潤った舌に流す。顔を歪めながら一言吐いた。
「やはり其方の茶は苦い」
これは同時刻に鈴仙人が後宮入口で問題を起こしている際の出来事である。
見て頂きありがとうございます。データが飛んでやる気が低下してました。酒を飲んで書いてたらコードに足を取られました。作者は話が進まない時は軽く酒を飲むクセがあるんですよ。改めて自分の作品を見直したら何かテンション高い主人公になってるときは、大抵酒の飲みすぎでハイテンション状態で書いてる時です。
それで見直した結果、最初の水滸伝(36人バージョン)、現代版(108人)、続水滸伝(一応続編)の話がごっちゃになって書いてる事を今更知りました。大きな間違いは何とか回避してましたが、水滸伝メンバーが方臘の乱参加は合ってましたが、そこで終わりみたいな書き方してました。国同士の争いにも参加した上で終わりなので、方臘の乱がクライマックスには違いないのですが表現が悪かったです。
酒を飲むと細かい事が書けないの…でも手が伸びちゃう。あと、ドラマ版水滸伝を復習がてら見ました。見た感想として私の作品の皇帝…演技上手いだけの駄目男じゃん?本当に皇帝でいいのか疑問な人物になってますね。作者一番の被害者かもしれません、二番は蔡京です。ここまで見てくれた方なら今更ですが。