俺は自分に用意された寝床でグッタリしていた。あの四姦の一人、高俅が動く前に処す事ができて最高だったが…聞いてないよ!何であいつ皇帝や皆の前であんな事言うかな!?いきなり呼ばれて力を見せてって言われた時、頭が真っ白になったわ…
隠してた金も見せざる得なかったし…銀でもいいじゃんって?確かに無から物を生みだしてる時点で凄い事だ、ただ金と銀での価値イメージが違う、どの時代もあの黄金に目が移る者なのさ。唐の時代(100年ほど前)だったら金より銀の方が価値があったけどね、今の宋の時代では金を外国に流出しまくって金の方が価値が出るという末期状態故に元の価値観?に戻るという…ほんとオワコン一歩手前みたいな国だよね。まあ、実際終わったけど…
コンコンと今日も今日とて誰かが来たらしい。今の俺は皇帝からのお墨付き、同時に富を出せる尊い仙人らしいから何かと理由を付けて誰か来る、プライベート、仕事中関係なく来るからうんざり気味なのだ。この間なんて、ジャスチャーの末やっと入れた風呂中に来るという事案が出るほどだ。古代中国式、お風呂マナーをレクチャーされた上で、タライ風呂に浸かっていたのに!
…おっと、思い出しイライラが…ストレスは溜め込まないに限る。怒りは思考を単純化させてしまう、混沌とした職場で冷静な判断ができなければ死神が来てしまう。
「失礼する、私は
扉を開けたら熊…じゃない髭面のおっさんがいた。定型文みたいな挨拶をされているが、俺の頭には別な考えが浮かんでいた。
(最近、四姦とよく会うな…)
目の前の童貫と名乗る、宦官なのに男性ホルモンマシマシな毛むくじゃらというミスマッチな男は蔡京の友達・・・似た者同士?とにかく仲が良い人物であり、高俅、蔡京に続く四大悪人の軍人だ。皇帝に贅沢の味を教えたり、堕落させたり…まあ個人的に水滸伝内に出て来る連中大半が同レベルで悪人だから、蔡京の知り合いだからこそ四姦扱いになってしまった感がある。問題なのはこいつが軍費の着服や裏工作より、戦犯を起こした事が一番害悪だった。水滸伝では梁山泊側視点だったからこそ喜べるが、朝廷側だと笑えない案件だ。
こいつの話をする前に、今のこの国の現状を簡単に説明しよう。まず、
互いに軍力が均衡しだすと、戦っても無駄と双方考えて来ます。そして、
次の国は
ここまで説明すれば察する人もいるだろうが、宋と金は
長くなったが、こいつは汚職はすれど基本軍人として正しい事をしていた。鎮圧に時間がかかりすぎ、金国との連携が上手くいかず結局金国が頑張って敵を倒すハメになったが…
『・・・盟約を破るとは、しかも我々だけ被害を受けたのだが?』
『すまん、反乱鎮圧で遅れた。遼国を倒してくれてありがとう、じゃあ』
『は?出費は、約束を破った何かしらはないのか』
『え?我々の役に立って名誉だろ』
『・・・ふざけんなァァァ!』
…で、舐めてた金国が激怒して進軍開始。俺達の宋を滅ぼしましたとさ、めでたし、めでたし…
水滸伝はね…方臘の乱で梁山泊メンバーが加入して民の為に頑張って戦って勝って、正しい王朝で作っていきます!俺達(一部の連中)も手伝います!的な終わりで締めくくるんだ。続編はもう別な感じな二次創作で違うけどね、作者も書いた時代も違うから仕方ないけど。大本の話はそこでほぼ終わりなのよ。つまり、梁山泊メンバーによって宋が滅亡しなかったエンドを描いた作品…明確には滅亡はしたかもしれないけど汚職をしてた連中は消えましたよエンドで終わるんだ。
「…あ、あの、鈴仙人殿?私が何か」
目の前のこいつが鎮圧が遅れた責で最終的に斬首になるのだが…こいつが鎮圧という名の暴力行為をしなければある程度、民の怒りは減らせたかもしれない。そもそも、皇帝に贅沢を教えた一人とか、汚職や横領とか描かれてクソ野郎的な扱いだったけどさ、時代背景とか考えるとだったら他の奴らはどうなんだって話になるし…駄目だな、俺も汚職時代に染まってきている。何で汚職前提で物事考えてるんだよ。頭を左右に振って、変な思考を戻す。
「も、申し訳ありません!その…軍費の損失を補う為、えと」
何が?頭を振ったのを何か勘違いされたようだが、別に悪感情はそこまであんたに抱いてないよ…プライベート時間を潰されているのは気に入らないがね。手で静止させて笑顔で止めさせる。変な言い訳いらんから、とっとと出てけやの意味で。
「お許しを、どうか、どうか!まだ私には小さな子が」
…土下座しやがった…いや、なんでこんな怖がってるの?俺が何かしたか、最近だと皆の前で仙術披露しただけだよね。それと、ツッコミ入れていい?あんたさ、宦官になる前にに妻や子を何十人も作ってるだろうが!今更、子の一人ぐらい何とも思ってないだろ!
こいつをどうしようかと思っていると・・・ふと思い浮かんだ。こいつを利用して軍事力を強くさせようと。
今の俺がいる時期、少なからず本編前なのは確実。今のうちに国の正常化と並列して軍事力を保持できれば…水滸伝始まらないじゃんと考えた。その原因の一つ、高俅は消え、英雄もまだ地方に散らばってる現状、そいつらを集めさせ早期に国の為に働かせれば…歴史は変わる可能性がある。というか、その可能性に賭けないと、今度は国が攻めて来るとかふざけんなよ。
だからこそ、俺は土下座している奴を尻目に伝わりやすい字で文字を書いていく。土下座しながら震え、俺の方を時々見ている男を眺めながら笑顔で書き終わった紙を手渡した。君の働きを期待していると思いながら…他の奴らにも集めさせようと考えて実行するのに時間はかからなかった。
童貫から受け取った紙を読み、蔡京は静かに内容を理解しようとした。
『役職表―ーー』
そういった言葉から始まる人物名の羅列…中には見知った者の名もあり、何を基準にしているのか全く理解できなかった。唯一理解できたのは、軍事に対しての指名が多い事ぐらいだ。
「どうすればいいのだ!この童貫、鈴仙人殿のお怒りに触れたのか!?あ、ああ」
「落ち着きください」
「落ち着けるか!高俅の末路を忘れたか!?今の皇帝に逆らう者はおらん、其方から紹介を受けたというのに!?」
(私はそれに加担したのですがね…)
表向き、皇帝自ら民の嘆きに気づき、心を痛めながら寵愛を受けた者を断頭台に送った主旨の噂を広げている…私からすれば実に笑いを誘う内容だが。
童貫とは地方官の頃から知り合いだ。書画など趣味が合い、兄とも酒を飲み明かすほど親密な中であるが…聊か豪胆すぎるきらいがあり、いざとなれば親友と言えど見捨てる輩だと看破している為、役人になる際に助けられた恩はあれど心は許せないというアンバランスな関係だった。
「何か気に障る事でも?」
「ただ挨拶に向かっただけなのだぞ!扉を叩き、挨拶も礼だって…だというのに、私を見た瞬間に固まり動き出したと思ったら首を横に振るわれたのだ!挙句の果て出ていけと手で」
…単純に休みの日に来られたのが嫌だったのでは?と思いながらも思い当たる内容(汚職)を述べながら混乱している男を眺めた。
神話として語られる皇帝のあの仙人との出会い…のせいで今の政権は大混乱だ。正確には旧法党と新法党のバランスが大きく傾いた。今までは資金や血筋でゴリ押しできた旧法党の貴族達含むメンバーは皇帝のあの民と共にあるアピールのせいで発言力が大きく低下している。そんな中で新法党に所属する地位の低いメンバーが熱くなって罵倒や新法の出し合いでてんわやんわだ。
本来の自分ならここで更に混乱させ、両党疲労させた上でまた今度・・・というように締めくくっていたが、今回はそうはいかない。今の混乱に乗じて両党及び、国にとって必要な法だけを見極め閉廷するという…本来の役目を全うしなければならないのだ。日夜、両党の者達から必要な案を聞きながら鈴仙人より頂いた現状把握にうってつけな紙束を見せ、更なる話し合いの繰り返し。そして、その様子を感極まる様子で眺める皇帝に燃える思いを抱きながらも笑顔で乗り切っている。
あの笑顔の顔を思い出し、胸が何か思ってはいけない感情が沸き起こる中…鈴仙人からの手紙について考えた。何故、童貫に渡したのか?人集めなら私に渡せばいいだけの筈。
…童貫は軍人、地方にもよく訪れる。だからこそなのか?だとしたら、知らぬ名の者達は民草、貴族でもない者達の可能性について考えた。
「…とにかく、童貫殿は書かれた者達を集めて頂きたい。ただし、鈴仙人殿の名と徽宗皇帝の名を前面に出しながら国の為にと一言添えて地方を回ってください」
「そうすれば、鈴仙人殿のお怒りは収まるか!?」
「ええ」
言うな否や大男は準備をしだし、数刻後には都を後に地方に大声を轟かせたという。
「…困った御仁だ」
化粧で隠しているが、蔡京の目元にはクマができており、体も長時間動かしていた為ガタガタ、思考も普段と違い朦朧と霞が覆っていた。所謂、働き過ぎて疲れていた…皇帝も参加しているが、そもそも政治について知識も経験も乏しく、役に立たず故(だからこそ蔡京が牛耳れたとも言える)、全ての仕事を自分がやるハメになり、半場なげやり状態で話を聞いていた。
やっと休めると寝床に入ろうとすると…
「新しい案は浮かんだか!余が思いついたのだが、官僚の給料を下げるなどどうだ!」
「ふざけるな」
「なぜ!?」
そんなこと今すれば反乱する貴族が出るわ!と湧き上がる心のまま言葉を発した蔡京の言葉を受け、皇帝は今後休みの日には来ないように気をつけたという。
見て頂きありがとうございます。仕事で残業、その後酒を飲んだら休みの日が半分吹き飛んでいたんだ…
酒の話なんですが、イオンのウイスキーを買ってみたんだ。クソマズい、ウイスキーじゃないよ、アルコールと薬だよあれ!?今では料理酒に使ってます…いや捨てようか迷ってます。
『ザ・マッカラン 12年』が個人的に好きです。