僕のヒーローアカデミアとハンターハンターのクロスオーバー作品です。
かなり改変してるキャラが居ますので閲覧注意です。
なおとあるヒーローファンの皆さんごめんなさい。
連載は不定期となります。
悪党になると彼は言った。
なら僕もそう在ろうと決めた。
いつだって僕は、
皆の後ろ姿を追いかけていたのだから。
カタリカタリとキーボードを叩く。
包み込むような暗闇の中、光っているのは眼前のモニターだけ、トスリトスリとトランプが肉に突き刺さる音を聞きながら僕は作業に集中していた。
今回は旅団結成以来最大の大仕事、団長達の担当する向こうに比べたら安全な役割だけど、むしろ本命はこっちの方、だからこそ失敗はしたくないし許されない。
いくつものプロテクトを突破しお目当ての情報を引き出す、次に一部のデータをコピーしてアチラコチラにばら撒くようプログラムを設定。
よし、これでオーケーだ。
「終わったかい◆」
「うん、これで大丈夫。あとはこの一文を最後に表示するようにして、おしまいっと」
声をかけてきた人、先程までここを警備していたマフィアを始末しトランプの的にして暇つぶしをしていた、今回の仕事の相方で常に奇術師の格好をしているヒソカにそう伝えた。
というか仕事となると大抵は彼と組まされる。一番年下で戦闘能力がシズクとどっこい、いや下手したら負ける僕は旅団最強のウヴォーギンと並ぶ実力者であるヒソカが護衛につく。
いや僕だって弱くは無いのだ弱くは、そこらのヒーロー程度なら念能力だけでも容易く蹴散らせる実力はある。ただ旅団内での実力比べとなると、僕の個性の関係上どうしても仲間達以下にならざるを得ない。
そもそも姉貴分であるパクノダとマチには立ち向かう気すら起きないけど。
「それじゃあここからはお愉しみの時間だね♡」
「僕は手筈通りにお宝の回収に向かうね、鍵とパスワードは入手したし」
ヒソカの言うお愉しみ、それは彼にとって存在理由そのものだ。
「付いていくよ、心配だし◇」
「もう、平気だって」
幻影旅団結成メンバーの一人であり、僕にとっては兄貴分の一人で保護者のような存在。
実際に年下で実年齢からしたら子供だけど、仕事中までも子供扱いは止めてほしいよ。
「そっか♤でも何かあったら駆けつけるから♣」
「ソッチもやりすぎないようにね、あくまで皆殺しはついでなんだから。子飼いのヒーローもいつ来るかわからないし」
「ソレは愉しみだ♡」
彼は自分がこれからやることを想像して興奮して身震いし、顔には弧を描くような狂気を宿した笑みを浮かべていた。
それは闘いに狂い、血に酔い、殺戮に快楽を覚える殺人者の顔。
かつて姉さんや皆に奇術を披露して笑わせることが大好きだった少年の面影はそこには無い。
あの日からもっとも変わった者の一人。
快楽殺人者の皮を被った復讐鬼だと団長はヒソカを評していた。
姉さんの笑顔を無くしたあの日から、彼は心にポカリと空いた大穴に悔恨という血を注ぎこんでいた。
「我々は何も拒まない」
「だから我々から何も奪うな♡」
「取り返して、殺り返す」
「それがボクたちだ◆」
これは報復。
クロロが作り変えた流星街の在り方。
だから僕達は現アメリカ大統領の資金源である人身売買及び臓器密輸組織から顧客データを引き出しその本拠地を叩き潰す。此処にはかつて拐われた仲間達も有るのだから。
下手したらこれでアメリカは国としてお終いかな、僕達がやらかしたことはそういうこと。
もっとも陽動として団長以下他の団員がホワイト・ハウスに襲撃をかけて、現アメリカ大統領の抹殺を実行しているから今更だけど。
「でも団長達は大丈夫かな。間違いなくアメリカ最強のあのヒーローと戦うけど」
「こちらもクロロとウヴォーの最強タッグだよ♤事前の仕込みもしているから勝ちは確定さ♡」
「そうだよね」
「ま、クロロなら戦闘中に新秩序を盗るとかもやらかしそうだけどね♡」
「盗賊の極意と新秩序のコンボなんてエゲツないなあ」
どれほどやれることが増えるのか想像もできない組み合わせだ。
「何言ってんだい◆
そうなったら、君もできるようになることだろ♤」
「まあね」
実際にやったらキャパオーバーでぶっ倒れるだろうけど。盗賊の極意に封じられた個性の使用は他の個性よりも疲労するのだ。
「じゃあそろそろ始めよう♡」
ただでさえ高い身体能力を念能力で強化して自身の個性である伸縮自在の愛で加速する。周で硬度と鋭さの増したトランプの一閃をどれだけの者が防げるのかな。
ダンッと音を立てて飛び出すヒソカを見送ってから地下の保管庫を兼ねた金庫へと向かった。
目的地まで進んでも誰ともすれ違うことはない、進入時にセキュリティシステムを無効化したことと最大のパトロンである大統領の危機に構成員が向かったからだろう。
非合法組織の本拠地ではあるが首都のど真ん中に位置する此処、駆けつけるには充分に可能な位置にあるからかだ。
あっさりと辿り着き入口の鍵を開封、頻繁に使用するためかでかい割に大した手順もなく開いた。
隅に置かれた絵画やら彫刻に、棚に収められた金塊やアタッシュケースごと積まれた現金。これが怪盗なら大喜び間違い無しの光景だろう。
宝の山、けど昔ゴミの山から見つけた廃棄されたビデオテープの方がよっぽど嬉しくて価値があったように僕は思う。回収はするけどね。
「あった」
金庫の端、そこの一部は冷凍庫。中には正規品ではない移植用臓器に、秘密裏に入手されたヒーロー達の遺伝子細胞、さらには変態好事家向けの鑑賞、コレクション用の眼球や肉体の一部があった。
「緋の眼まである。クルタコミューン壊滅はコイツラの仕業だったのか」
個性発現によって起こった世界規模の差別と区別の歴史、しかしそれは個性持ちと無個性だけの区分だけに留まらず、同じ個性持ちでもより人型から外れたタイプへの差別があった。
そういった出来事が続いたため国土の広い国家は似通った個性によるグループや集落が誕生したのだ。
クルタコミューンもその一つで、感情で眼球の色が変わる程度のささやかな個性の集団だった。肉体に変化が少なくとも戦闘能力が低いことが差別の対象になり待遇が悪くなる地域も少なくないので出来たのだろう。
もっともそんな差別の無い穏やかな生活も、個性婚の末に誕生した緋の眼が世界三大美色と讃えられたことで終わりとなったようだが。
「犯人不明で僕達への疑いもかけられてたけど、大統領子飼いの犯罪者なら捜査が進むわけないか」
コミューンが壊滅して弔う者の居なくなった緋の眼を戻し、ようやく僕はソレを見つけた。
「遅くなってゴメンね」
ラベルの張られたソレを抱きしめる、長らく売れ残りずっと仕舞われていた同郷の一部。
「一緒に帰ろう、故郷へ」
確認と謝罪を終えて保管庫の扉を閉める。あとは回収だけだ。
「頼むよデメちゃん」
『ギョッギョッ』
「この場にあるモノ全てを吸い取れ」
シズクの個性である生物と個性以外はサイズ質量問わずなんでもいくらでも吸える掃除機。出目金に似た生物のようなデメちゃんを呼び出して発動する。
後処理や隠蔽に使われることが多い個性だが、最後に吸い込んだモノは吐き出させることができる。そしてアジトで待機しているシズクに連絡して向こうで取り出して貰えば今回の仕事は終わり。
後はヒソカと合流して帰るだけだ。
「待ってくれっ!!」
僕は必死な叫び声に足を止めることになった。
「それで連れてきちゃったのかい◆」
帰りの車の中、大混乱する市内を走り抜ける。予定とは違い帰りの人数が大分増えてしまった、団長達になんて言えばよいのやら。
「ヒーローに保護して貰えって言ったけど、襲撃してきたのがヒーローだったみたいで」
念の為にパクノダの記憶弾で確認したから本当のことだったし。
「ボクがさっき殺ったアメリカナンバー3ヒーローかな♤」
「そうみたい」
僕達を追跡する者はいない。この国の他のヒーロー達は今頃大慌てでホワイト・ハウス(跡地)に向かっていることだろう。
「まあ流星街の住人になるのならもう仲間だし良いんじゃない♡マザーなら引き受けてくれるだろうし♣」
マザー、遠い日本から息子四人と流れ着いて来た異形タイプ個性の女性。
巨大な人型の蟻のような外見の彼女が運営する孤児院はとにかく戦力が過剰、だからこそ安心だ。
「君もそれで良いねクラピカ」
「ああ、お願いする」
振り向いたソコには金髪で緋の眼の少年が商品になる予定だった子供達と身を寄せ合っていた。
その瞳はまるで、いつかの、或いは今の僕達と同じようだった。
幻影旅団。
危険度Aランクに認定されるヴィラン集団。
奴らはアメリカ大統領が入手したとされる巨大ダイヤを求めホワイト・ハウスを襲撃。職員達と現アメリカ大統領を殺害。さらに撃退に向かった米国ナンバーワンヒーロー スターアンドストライプと彼女とチームを組む特殊部隊を返り討つ。
スターアンドストライプは激戦の末に行方不明となりその生存は絶望視されている。
残された数少ない映像、生存者の情報から、幻影旅団は十名足らずでホワイト・ハウスを襲撃し、スターアンドストライプと交戦した者は僅か二名だったという。そしてその片割れの野獣が如き大男はたった一発の拳でスターアンドストライプの必殺技である大気の巨人フィスト・バンプ・トゥ・ジ・アースと逃亡の際に世界最高峰の防備を誇る司令拠点であるホワイト・ハウスを地下シェルターごと消し飛ばした。
そして最大の情報源として期待されていた特殊部隊員の乗機である高火力ステルス機Xー66はまるで全て消えて無くなったかのように部品一つすらも何故か発見されなかったという。
世界最大国家の大統領及び現最強とすら謳われた米国ナンバーワンヒーローの消失。それは世界を大きく揺るがすことになる。
そして決して表沙汰になることは無いが、各国首脳陣は情報がもたらされていた。それは亡くなった現アメリカ大統領の資金源の詳細と、各国が個性研究のために購入していた人体実験用検体の仕入先について。
個性発現以前から各国に都合良く利用されてきたその場所からの警告ととれるメッセージだった。
『我々は何ものも拒まない
だから 我々から何も奪うな』
闇の帝王が討たれ、平和の象徴の存在により落ち着きつつあった世界。個性という変化を受け入れ繁栄とヒーローに溺れる社会に警告の刃が打ち込まれたのだった。
いつも姉さんが手を引いてくれていた。
連れて行ってくれたその先には楽しい事と優しいお兄ちゃんとお姉ちゃん達がいた。
ボロ布を纏い、廃墟に住み、ゴミを漁る、そんな日々でも幸せだった。
そんな環境でも笑い合える仲間達がいたから。
心躍る夢を、あの人達が見せてくれたから。
混ぜてと言ったら快く受け入れてくれた、僕はどんな役がいいかと考えてくれた。
皆はヒーローだった。
笑顔を作ってくれるヒーローだった。
外に居るらしい此処には近寄ることすら無いヒーローでも、作品に登場するキャラクターでもない。キラキラと輝く英雄だったんだ。
けれど、
けれど、
姉さんを失ったあの日。
僕は此処がどんな場所か理解して、そんな状況を変えようと僕のヒーローは悪党になり。
旅する劇団は幻影旅団(クモ)になった。
これは蜘蛛の物語。
ヒーローという光が照らさない場所に巣を張り巡らして、這入るもの全てを絡みとり喰らい尽くす蜘蛛の物語。
オリ設定・オリキャラ・改変内容説明。
念能力
生命エネルギー操作技術の総称。基本的にハンターハンターそのまんまだが発と系統がない。なんとなくで使用してる人はトップ陣にチラホラいるが、体系化し技術として伝えているのは流星街のみ。
ぶっちゃけあの環境で生き延びたヤツは大抵念能力者の素養があるから。
個性について
幻影旅団の個性はハンターハンターでの発という設定。複数の能力は念能力覚醒でメモリが増幅してるからという感じ。なおウヴォーギンは無個性。
主人公について
名前すら出なかった少年。名前はリンクです。
旅団誕生のきっかけであるサラサの実弟でそのため初期メンバーからは過保護な扱い。
個性は『魂の絆』幻影旅団全員の個性を使用することができる。が、ボノレノフやフランクリンのように肉体が改造されているモノ、マチやヒソカのように技量が足りないモノなど、クロロのように多重発動がしんどいモノなど本来の持ち主より大分劣る。が、パクノダとコルトピとシズクの能力を一人で使えるため便利ではある。旅団の役割としては代役。なお団員ナンバーは13で幻影旅団は14人になってます。
ヒソカについて
ハンターハンター原作とは違い、流星街出身の幻影旅団初期メンバー。初恋を拗らせた復讐鬼。そんなヒソカを心配してクロロはバーに誘ったり、ウヴォーギンはウザ絡みしたりしている。仲間から変態扱いはされますが、信頼されてます。
死亡したアメリカ大統領について
オールフォーワン討伐後の混乱期のアメリカを金の力で成り上がった犯罪者、何気に凄い人。ヒーローの一番の対策はヒーローに命令を下す立場になることと言って実現した人物。スターアンドストライプを顎で使うたびに興奮していたド変態。各国に流星街から拉致した子供達を売り捌いた元凶。
スターアンドストライプについて
彼女のファンはごめんなさい(土下座)
幻影旅団として心情的には抹殺対象ではないが邪魔な存在ではあった。現アメリカ大統領についても信頼できる者達と裏を探っていたのだが間に合わなかった。
敗因は戦闘中の仲間達のサポートの消失と個性を盗まれたこととウヴォーギンの頑強さ。
一応流星街で生きています。