幻影旅団はヒーロー(夢)を見ない。   作:規律式足

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 オリ設定あり、原作とは違う展開となります。



第九話 騎馬戦

 

 第二種目が騎馬戦だと告げられ只今チーム決めの時間。積極的に障害物競走上位陣と組もうと話しかけあっているA組とは対象的にB組はあっさりと分かれる。

 話し合いの段階で騎馬戦もまた第二種目の候補にあった、だからそれに適したチーム分けは出来てはいるのだけど。

 

「全員の個性を活かしきれるわけではないんだよね」

 

 騎馬戦において一番厄介なことは騎馬を組むこと。十人十色な個性社会において体格差はどうしても生まれてしまい、形だけ組んでも機動力に影響が出てしまう。また騎手にしてもあまりに大柄な騎馬に乗ると鉢巻を奪いにくいというデメリットもある。

 ただでさえ道具が必須な個性の子達もいるのになんともやりにくい種目だ。

 

「見なよリンク。A組が君に注目しているよ」

 

 物間君に言われて周囲を見れば1000万というポイントを与えられたせいか憐れむような視線や獲物を見るような目を向けていた。さらにチームを組んだ塩崎さんと小大さんと凡戸君の正気を疑うような眼差しもチラホラ。

 

「僕達は予定通りの戦法でやるけど。他の皆は大丈夫?」

 

 障害物競走で判明したA組の個性と実力はかなり高い。体育祭には活かせない個性の子も何人かはいるけど上位陣は騎馬戦との噛み合わせも悪くない。

 

「勝つさ。それにたとえ全員敗れてもこのルールなら君達は勝ち抜け確定。体育祭のトップは僕達B組だ」

 

 冷静な物間君による展開予想。

 それは僕の予想と同じものだった。

 

「組み体操なら圧勝だったのに」

 

「あえて言わせてもらうけど、君達が熱中した組み体操練習は明らかに無駄な時間だったからね」

 

 本番までの期間中に一番ありえない種目に一番力を入れるなと散々つっこんでたなあ。でも僕としては、かつての旅する劇団という夢を抱えていた僕としては、個性は戦いではなく演出のようなことに使いたいんだよ。

 

「さてA組も決まったみたいだね」

 

「上位陣チームは組み合わせがエグイね」

 

 対して葉隠さんチームは明らかに残り者で構成されてるけど。男子二人は半裸女子(ズボンは履いてた)を乗せれて役得だろうけど。

 物間君との会話を切り上げ僕達はあらかじめ決めていたメンバーの元へと向かった。

 

 

『さァ上げてけ鬨の声!!血で血を洗う雄英の合戦が今!!狼煙を上げる!!』

 

「いくよ皆」

 

「神の祝福の元に」

 

「ん」

 

「あいよー」

 

 リンクチーム。

 塩崎、小大、凡戸。

 作戦は、

 

『スタート!!』

 

 陣地の形成からの籠城。

 

「我が力よ、大樹となりて幼子を護りなさい」

 

「大」

 

「最大速度で固まれー」

 

 塩崎さんがツルを最大規模で放出、それを小大さんが巨大化(生物は出来ないらしいけど髪だから大丈夫と本人が言ってた)し、凡戸君が接着剤でコーティング。複雑に編み込まれたツルは大きく枝葉を広げた大樹となった。そして僕はそのツルで出来た枝の上に乗る。

 騎馬戦はどうしても騎手の動きが制限され自由な動きが出来ない、だからこそ数で囲まれたら捕まってしまう。

 けれどこの戦法なら騎手の機動力を完全に活かせるようになる。

 

「「「守護の大樹」」」

 

 開始僅か数秒で会場中央にツルの大樹が形成された。日本ではあまりない状況だけど、暴徒の集団から重要施設を守る時とかに活用できそうな協力技だ。

 

「物間君!!」

 

「ああ!!」

 

 後はこの陣地内で逃げるだけ、必要な1000万ポイント以外は物間君に託して籠城だ。

 

『いやアレってアリなのか?』

 

『騎馬の個性を活かしているな』

 

『確認は済んでいる。ツルで作られた枝の上なら騎馬の一部だから大丈夫だ!!』

 

『あの高さでは取ろうとしても届かない、轟の氷結と上鳴の電気も足止めしようにも動かない』

 

「んなもん関係ねぇぇっ!!」

 

 まあ君なら飛べるよね。

 叫びながら爆破の個性を駆使して枝の上に立つ僕に飛びかかる爆豪勝己。

 掌から分泌する爆破液を爆ぜさせて飛行とかとんでもないセンスだけど。

 

「僕には通じない」

 

 爆破による空中機動はいかに速くとも両掌の向きさえ把握していればどこに行くのか明白だ。さらに彼は鉢巻をとるために片手を伸ばして使えない状況だから、

 

「遅れをとる道理がない」

 

 フィンクス仕込の円運動を大元とした体術。すれ違いざまに首やら手足やらをねじ曲げることも容易いけど、雄英高校ではやるわけにはいかないので腹部に手を当てて流れを乗せながら彼の騎馬へと投げ落とす。あ、鉢巻をとれば良かった。

 僕がそう気づいて下を見たら、騎馬の子の伸ばしたテープにて回収されている爆豪勝己がこちらを睨みつけていた。彼はどうやら手加減されたと感じたみたいだ。

 

「叩き落としてぶち殺すぞチビザルがぁ!!」

 

「焚き火に投げ込むよイガグリ頭」

 

 誰がチビザルだ。

 なお今の僕らのやり取りで観客と一部生徒が吹き出していた。

 

 

「けどさあんなのアリ?!届かないじゃん」

 

「オイラの作戦も無意味じゃねえかっ?!」

 

「デク君」

 

「発目さんのサポートアイテムに麗日さんの個性を合わせて飛んでからそこに黒影を伸ばしてもいやあの入り組んだ枝をかいくぐる機動はできないし何よりも騎手の彼はかっちゃん以上の体術の使い手だから僕が相手だと返り討ちに」

 

「氷結で足場を作るか」

 

「あの高さだと時間がかかってしまいますし、何よりも」

 

「「「A組ィィィ!!」」」

 

「B組は徒党を組んでこちらを狙っている、さばきながら作る余裕はないぞ」

 

「一番に、ならないといけないのによ」

 

 A組の子達の叫び。

 やりたいことがやろうとしていることができないもどかしさと焦り。

 それはストレスで辛いだろう。

 けど、

 

「命がかからない状況でそれを知れるのは幸運なことなんだよ」

 

 追撃の一手をさらに放つ。

 

「よこせやゴラァっ!!」

 

「待て爆豪、アイツ何か構えて」

 

 叫ぶ彼らの足元にドスリと突き刺さる一本の矢。塩崎さんのツルを凡戸君のセメダインで固めて作った弓を樹上にて構え放つ。無論そんなものは本来弓矢として使用できるはずがない。だが念能力の纏の応用技である物質に纏を使い物質の性能を向上させる周を用いれば問題なく扱える。

 悪質な崩しというルールに触れるかも知れないから人には当てれないが足止めには充分。個性である黒影やサポート科のアイテムなら射抜いて問題はないだろうしね。

 

『B組のリンク、弓矢にて牽制。その姿まさに大樹に住まう小妖精だあ!!』

 

 いちいち小さいを入れるの止めてくれません?

 

「なんでもありかよアイツ!!」

 

「1000万ポイントは放置するしかねえじゃねえか!!」

 

「関係ねえ行くぞ」

 

「止めろ爆豪!!勝ち目ねえぞ!!」

 

「ざけんなコラぁ!!」

 

『1000万ポイントにA組リスナーズが集中する中でB組リスナーズはA組を狩ろうと背後から強襲。障害物競走で順位の高かった緑谷リスナーが特に狙われていますね』

 

『普通に解説するのか』

 

『似合わないぞマイク』

 

『B組留学生である鱗 飛竜君の鱗が発射され、それをB組柳 レイ子さんのポルターガイストにて空中操作。A組チームの動きが阻害されております』

 

『アイテム持ち込み不可をなんとかしているな』

 

『A組の口田と砂藤は本当に不利なルール過ぎる』

 

『そこへB組角取 ポニーさんの個性である角砲が鉢巻を取ろうと高速で突っ込む!!だが緑谷チームかろうじて黒影で対処』

 

『見事な反応だ』

 

『惜しいぞ可愛い我が生徒』

 

『A組峰田 実が足止めのためもぎもぎを投げる!!けれどそれは空中にてB組円場 硬成の空気凝固が防ぐ。もぎもぎは拘束に便利な個性ですが投げるという点が厄介ですね』

 

『接近し貼り付ける方が確実か』

 

『そこは課題だな』

 

『現在の状況、障害物競走にて高ポイントだったA組チームがB組チームに狩られポイントが逆転しております。そして体育祭の選手宣誓をしたA組爆豪 勝己も今、B組物間 寧人に鉢巻を奪われたあ!!』

 

「単純だね君。ぶら下げられた人参しか目に入らない馬みたいだ、仮初めの頂点ばかり狙って周囲に警戒が足りてない。だからこそこうして容易く奪われる」

 

「?!」

 

「あとついでに君って有名人だよ。ヘドロ事件の被害者で。そういえばさどんな気持ちなんだい?ヒーロー志望でトップ狙いなのに、二度もオールマイトに助けられたのは」

 

「切島、予定変更だ。あのチビザルよりこいつら全員殺そう」

 

「上手くいったね」

 

「おい物間。あれじゃ俺達も同じ穴のムジナだぞ」

 

「リンクに集中してるヘイトを引き受けないとね。どうにも僕達はあの子に頼り切りだから」

 

「誰だテメェ」

 

「いつの間に物間と入れ代わりやがった!!」

 

「本物の物間はどこだ?!」

 

「リンクに借りがたまりすぎているからそろそろ精算しないと怖いからね」

 

「良かった本物だ」

 

「なんだ紛らわしい」

 

「そうだもっと物間らしい言動しとけよ」

 

「君達が僕をどう思っているかしっかりと聞かせて欲しいのだけどっ!!」

 

「持ちやがれぇ!!」

 

 

「まずいね、ここまで混戦しちゃうと援護射撃もできない」

 

 樹上からの牽制も限度がある。

 また開始から時間がたち僕を狙うチームもいない。一番熱心だった爆豪チームは物間君と追いかけてるし、轟チームは氷結で作ろうとする足場をツルの矢で射抜いて粉砕している。だからB組の皆を助けようとしているのだけど難しい。

 よし、とりあえずなんか様子のおかしい庄田君でもなんとかするか。多分騎手である普通科の子の個性で操られているんだろうね。騎馬三人を普通の人は感知できない念弾を当てて正気に戻せばあのチームはお終いだ。

 発動条件が緩い洗脳系は対象の保持・拘束性能が低い。シャルナークの個性みたいにアンテナがないから衝撃だけで目覚めるだろう。

 轟チームによる放電からの氷結による集団拘束、爆豪チームによる物間君への逆襲を見つつ、僕はB組へのサポートを続けた。

 

 

『タイムアップ!』

 

 第二種目の終了。

 上位チームは、僕と轟チームと爆豪チームと緑谷チーム。以上四組が最終種目へ進出した。

 僕達以外のB組メンバーの敗因は、A組チームの完成度の高さによるものだね。

 轟チームの放電からの氷結コンボに対処できなかったことと、緑谷チームの常闇の黒影が強すぎなのと骨抜君の個性に対応できる組み合わせだったのも大きい。あと物間君に1000万ポイント以外の鉢巻を渡したばかりに爆豪チームを勝ち抜けさせてしまった。

 そしてB組のバグ二人、小森さんと吹出君は被害が出すぎるからぶっ放攻撃ができなかった。

 うーん、僕が降りて狩れば良かったかな?

 でもそれは話し合いの段階で満場一致で却下されていた。自分達でやらないと意味がないからと。

 

 まあいいか。

 最終種目はタイマンバトル。

 誰が相手でも負けたら幻影旅団の皆に笑われるだろうな。

 

 

「なあ、ちょっといいか?」

 

 そんな思考にふけっていると、A組の轟君に話しかけられた。A組の緑谷君と共に話しがあるらしい。

 正直全く興味がないけど、日本ナンバー2ヒーローであるエンデヴァーの息子。繋ぎを作るのは悪くないだろう。けど日本のヒーローってオールマイトを筆頭に裏関連の関わりがないんだよね。清廉潔白なのは素晴らしいことだけど、政府が裏でやっていることに気づくことすらできていないほどに完全に締め出されているのはどうなんだろ。

 幻影旅団にとっては標的ではない存在だが、有益な情報すら持ってない彼らはひたすらに邪魔なだけなのだ。

 通路の一つで彼らと向き合い。

 そして轟君の語りがはじまった。

 





 補足説明。
 心操人使君、第二種目にて脱落。
 正気に戻った騎馬達の助力は得られませんでした。
 B組勝ち抜けは、リンク、塩崎、小大、凡戸、原作よりチーム戦に力を入れたものの、放電コンボにて一網打尽に。物間君は原作のように爆豪君に負けました。
 というか轟、爆豪、緑谷チームの組み合わせがエグイです。葉隠チームは悲惨過ぎです。
 

 幻影旅団ナンバー6
 シャルナーク・リュウセイ
 リンクにとっては腹黒愉悦師匠。
 情報収集、電子機器類、ネット関連、とかなりの技能を学んだ。
 幻影旅団においては参謀役で実質的に団長の右腕。リンクを雄英高校に通わせるように言い出した張本人。
 幻影旅団になにかあった場合、リンクを中心として再建させるため様々な経験をさせている。
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