ちなみに主人公は頭良いです。
自分のできる事を常に模索しているので。
雄英高校ヒーロー科!!
そこはプロに必須の資格取得を目的とする養成校!全国同科中もっとも人気でもっとも難しくその倍率は例年300を超える!!オールマイト、エンデヴァー、ベストジーニスト、日本を誇る偉大なヒーロー達の出身校であり、雄英卒業はトップヒーローになる絶対条件、とすら言われている。
(そんなトコにオールフォーワンの尻尾を掴むために入学するのは僕くらいだろうね)
世界各国に出荷された流星街の子供達、その足取りを掴み生きていれば助け、解体されていれば部品一つでも回収し故郷で弔うことが僕達の目的。
入手したリストから調査は順調に進んでいたのだが日本では上手くいかなかった。とある研究機関に運ばれたトコまでは調べがついたけどそれ以降の情報がない。
日本でそこまで隠蔽できるヴィラン組織は異能解放軍くらいなので、マザーの別居中の旦那に連絡し確認したがそれは自分らではないとのこと。異能解放軍は個性婚や育成は行っていても人体実験などには手を出していないそうなのだ。それは構成員の支持率という理由もあるが、それ以上に現幹部陣が血統主義であるため尊き血を超える存在を人為的に創り出すことに忌避感があるのだとか。個性婚と何が違うか分からないけど、その判断から組織そのものが僕達幻影旅団の標的から外れたから結果として正解だよね。異能解放という思想もテロ行為も僕達には知ったことではないし。
そこで次の候補として団長が目をつけたのがオールマイトに討たれたとされるかつての闇の帝王オールフォーワン。死亡説が流れてはいたのだけど、かつてとある都市で起きたヴィラン騒動とそれ以前から続く個性を使用できなくなって引退するヒーローなどの情報からその生存は確実だと言えるからだ。
(そしてそんなオールフォーワンが狙うとしたら弱体化してるであろうオールマイトと、次代のヒーローを育む雄英高校)
オールマイトが雄英高校に所属することは確かな情報として流れていた、幻影旅団の団員である僕としては平和の象徴でスターアンドストライプ亡き今再び最強ヒーローとして君臨しているオールマイトの存在する場所に潜り込むのはかなり危険。だが、若き日を過ごした第二の故郷であるアメリカがトップヒーロー消失で混乱の真っ只中にあるのにも関わらず一時の派遣としても救援に駆けつけないことからオールマイトの弱体化は間違い無い。いくら日本政府が止めようと今までの彼なら颯爽と駆けつけていただろう。現在アメリカ国民はオールマイトを求めるデモ行進を何度も行っているのだから。
(それに悪党だけどオールマイト打倒なんて目指してないしね)
幻影旅団としては牽制威圧実力を見せつけるという意味では有効な手段ではある。だがそれはスターアンドストライプ打倒で充分過ぎるのだ。
(ま、部外者が軽く調べただけでここまで分かるのにヒーロー達がなんの対策もしてない事そのものが不安だけどね)
雄英高校そのものの防備施設は最高峰だろう、けれどそこにいつオールフォーワン一派が攻めてくるか分からないという緊急感が欠片も見受けられない。周りにいる受験生達にしても先程すれ違った変な顔して叫んだもじゃもじゃ頭の少年のように浮かれているようにすら見える。
(大丈夫かな?)
入学試験に受かれば三年間は学生をして日本で過ごす事になる。けどヒーロー側がこんなヌルい認識なら。
「一年もしないでこの国破綻したりして」
「ナニ怖いこと言ってんのキミィィー!!」
僕の何気ない本心からの呟きは横で聞いていた金髪の少年に突っ込まれた。
広い講堂にて受験生一同はテンション高いヒーローから実技試験の説明を受けていた。
一々反応を求めているようだけどヒーローなのかコメディアンなのか。
試験内容はシンプル、仮想敵であるロボットの行動不能にすることだ。これなら表向きは『生命エネルギーの操作』を個性という事にしている僕でも余裕だろう。
校門前からやたらと目立つもじゃもじゃ頭少年がまた騒いでいたけど日本人てあんなのばかりなのか?流星街で日本人はマザー一家ぐらいだからあまり参考にならないんだよね。
最後に何故か校訓であるナポレオンの言葉を贈られ試験会場への移動となった。
バスで移動した試験会場はビルが並ぶ都市そのもの、こんなものを敷地内にいくつもある雄英高校はとんでもないが、これと似たようなことを個人でできるコルトピはもっととんでもない。
『ハイスタートー!』
『どうしたんだあ!?実戦じゃカウントなんざねぇんだよ!!走れ走れぇ!!賽は投げられてんぞ!?』
軽い開始の合図と続く言葉。
反応できないでいた受験生達もようやく動き出したようだ。
さて、やるか。
個性は使用できなくて念能力だけの戦闘、割といつもそんな感じだから。
CRASH!!
ハンデにもならないよね。
拳一閃で容易く破壊。
仮想敵の装甲は凝ではなく纏でも充分だ。
これならわざわざ貫手で穿つよりもフィンクスのように捻る感じで仕留めた方が楽かな?
頭部パーツをグルリと回して捻りもぎながら次の獲物を探す。
獲物は円で探す、一定の距離で発動すれば索敵には充分だ。ついでに刀の間合いに限るとはいえ常に張りっぱなしでいられるノブナガは化け物だなと思った。
「ん?」
ビルとの間に人の気配。戦闘か何かで崩れた瓦礫の下に誰かいるようだけど姿が見えないね。
「えっと、大丈夫?」
気になって瓦礫をどけるのだがやはり居るはずだが姿が見えない。円での知覚で肩だと思う場所に触れて揺すれば、「う、ううん」と反応した。
「はっ、もしかして私ったら気絶してた?!」
「みたいだね、周囲に瓦礫が落ちてるし。というか透明化の個性かなにかかい?」
「うん異形タイプの透明だよ!!仮想敵のセンサーにも引っかからないから壊し放題なんだっ!!」
「それは凄いけど、服も透明に出来るのかい?」
「まっさかーっ!!本気モードだから身に纏うモノ全てを脱いだのさっ!!(ドヤ顔)」
「サイデスカ」
痴女という単語が喉まででかけたけどぎりぎり飲み込んだ。
まあね思い切りの良さはヒーローの向きだけど、せめて靴は履こうよ、足の裏がケガしちゃうよ。
しかし異形タイプの透明か、コルトピの『神の左手悪魔の右手』を使用するとどうなるかな?死ぬと個性が切れるタイプもいるからそれで素顔が見えたりして。
「周りには気を配りなよ、正直どこが崩れるか分からない状況だから」
「エヘヘ〜ありがとう」
とりあえず無事みたいで良かった。
怪我しても見えないとか厄介な個性だ。
「ハッ!人助けとは余裕だな!!」
うん?
誰かに見られていたか、彼女が透明だからひとり芝居をしてるようにも映りそうだね。
「それで落ちたら爆笑モンだな偽善ヤロー!」
ひとしきり嘲笑ってからそいつは去っていった。
これだけ人数がいたらこんな奴もいるか。
いやそうじゃない。
ヒーローなんて所詮、こんなもの。
「結果のために善意を切り捨てる、か」
ヒーローがそんなモノであることはとうの昔に理解しているだろうに、何を期待していたのやら。
「僕はこれで」
「待って!!助けてくれてありがとう、私の名前は」
続ける口を人差し指で止める。
「自己紹介は同級生になったらね」
「もしかして、私の姿が見えたりするの?」
「さてね」
時間はまだある。
少し急ぐか。
この日、リンク・アクセスと初めて出会った時のことを葉隠透は何度も思い出すことになる。
助けてくれたこと、見えない筈の自分を見つけて見てくれたこと、自分の格好に何か言いたげな様子だったこと、そして、
人助けする者を嘲笑った受験生を見つめる、彼の乾いた表情を。
彼女はまだその理由を知らない。
(これぐらい狩れば充分かな)
撃破数ではなくポイント制であることが気になるが、合格圏内には到達しただろう。
情報力、機動力、判断力、戦闘力、の評価されるであろう要素は示せた筈だ。流石に狩り過ぎて他の人に迷惑で減点、なんてことはないと思うが。
「なんだアレはっ?!」
「あんなバカでかいのがお邪魔ギミックとか正気かよ雄英っ!!」
巨大化の個性持ちはそれほど珍しくないが、このサイズはそういないぞ。四階建てのビル以上にデカイ巨大ロボット。
雄英高校が何を想定して試験を用意してるのか聞いてみたくなる理不尽ぶりだ。
倒してもポイントはゼロ、そもそも倒せるわけがないと逃げ惑う受験生達。
そんな彼ら彼女らの合理的な判断が僕のナニカを冷めさせる。
まあいい。
「オイ待てよ、危ねえぞそっちは」
足は自然と零P敵に向かっていて、そんな僕の腕を掴んで止めようとする者がいた。
「倒そうかなと思ってアレ」
「いやそんなことをしてもなんの意味も」
「放置しておいたら他の受験生が危ないから」
「え」
「試験を判定している教師達にアピール」
「んな?!」
「これ以上無駄な破壊をさせないため」
「でもよ」
「理由は幾つも思いつくんだけど、どれもしっくりこないな」
そう、そんな理由ではない。
そもそもの目的を考えたら壊す理由なんてないだろうと思う。だが、
『好きにやれ、お前の思うがままにな』
団長から日本での生活の前にそう言われた。
だから僕は、好きにやる。
「僕が強くなったのは」
ギュっと拳を握りしめる。
前を征く皆の背中を追う日々。
僕はクロロほどに己を律してない。
ウボォーギンほどに強くなれていない。
ヒソカほど悲しんで復讐心を抱いていない。
未だ子供である僕はあまりにも足りない。
だからこそ胸に抱く衝動を形にする。
全力で練を行い走り出す、振り下ろされた巨大ロボの腕に飛び乗り駆け抜ける。
そして振り上げた拳に硬を発動。
「襲いかかる理不尽にバカヤロウと叫んで殴り飛ばすためだ!!」
その一撃はウボォーギンの超破壊拳には遠く及ばない。だが破壊されることを想定されないお邪魔ギミックを完全に破壊し尽くした。
ああそうだ、僕はずっと言いたかっだ。
姉さんをあんな目に合わせた全てに、理不尽そのものにバカヤロウと。
「お前凄えな」
「大したことじゃないさ」
僕を止めようとしてくれた少年の呟きにそう本音を答えたのだった。
同時に響き渡る終了の言葉。
時間以上に長く感じる一時、そんな濃密な時間だったと、言えるだろう。負傷者をリカバリーガールと言うヒーローが癒やしていた。
便利な個性だから『盗賊の極意』で盗もうかと悩んだが。
「チユ〜〜〜」
うん、あの顔になるのは嫌だな。というか団長にやらせたらパク姉に殺される。
こうして僕の雄英高校入学試験は終了した。
果たして結果はどうなるやら。
『実技総合成績出ました』
『救助P0で2位とはなあ!!』
『仮想敵は標的を補足し近寄ってくる、後半他が鈍っていく中、派手な個性で迎撃し続けた。タフネスの賜物だ』
『対照的に敵P0で8位』
『アレに立ち向かったのは過去にいたけど、ぶっ飛ばしちゃったのは久しく見てないね。まさか同じ年に二人もいるなんて』
『思わずイヤー!って言っちゃったからな』
『だが何よりもコイツだよ』
『1位で救助P、敵P、共にトップ』
『本人に疲労は見られず傷一つ無し』
『さらにアレを盛大にぶっ壊した』
『もう再利用できねえレベルなんだが』
『年に似合わぬ実力が気になりますね。あとあの目が気にかかる』
『プロフィールを見なさい。過去にお姉さんがヴィランの犠牲になってるわ』
『復讐のためにヒーローになるのでしょうか』
『悲しみは新たな出会いでしか癒せない。だから私は校長として彼を迎え入れるのさ!!』
『まあ主席確定ですしね』
補足説明。
主人公の経歴。
戸籍や学校については偽造されてますが、姉の死などは会話でボロがでるだろうから記載されてます。
ヒーローが居ない地域で姉を殺され孤児となり、現在一人暮らしという設定です。
葉隠透。
かわいい透明ガール。
主人公とフラグたつかは微妙。
嘲笑した受験生。
かっちゃんではありません(断言)。
あの後試験は普通に落ちました。