幻影旅団はヒーロー(夢)を見ない。   作:規律式足

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 独自設定ありです。
 


第六話 襲撃事件後。

 

 ヴィラン襲撃。

 その情報が僕達B組へと届いたのは事件が終わった放課後のことだった。

 何かあったことは情報を伝えられる前になんとなく分かっていた。なにせいつもどおりのヒーロー基礎学の授業中に連絡を受けたブラドキング先生が残りの時間は全て教室で自習だと指示をだしてから大急ぎで走り出したのだから。

 自習中にも雄英高校敷地内にパトカーのサイレンが鳴り響き教室内が慌ただしくなったりもしたけど、それでも気になるからと教室から抜け出して確認しにいく者は誰一人としていなかった。

 事件についてはそのまま下校時刻へなろうとした時に後始末作業から一旦抜け出してきたブラドキング先生が説明してくれた。

 もっともまだ調査段階で詳細は不明とのことで、とにかく明日は臨時休校になり、本日はいつもより気をつけて、出来れば保護者に迎えに来てもらうか、複数人でまとまって帰宅するように伝えられた。あとマスコミにも注意するようにとのこと。

 

「リンク氏、安全の為に帰りは我が家の車に同乗されませぬか?」

 

 だからなのか宍田君がこんな提案をしてきた。

 宍田獣郎太、眼鏡をかけた毛むくじゃらの獣のような外見。実家は裕福で性格も個性を発動しなければ理性的な紳士である。しかし無個性なウボーギンの方がなんで野性的で獣みたいなんだろ?

 そんな彼だからか自分が毎日通学に使用している車に僕も乗るように言ってきたのだろう。

 

「流石に迷惑でしょ?」

 

 けど僕はその提案を断る。

 それは申し訳ないという気持ちからじゃない。

 二分の一の確率で外れたヴィラン襲撃、幻影旅団としてそれでも調べられることはあるからだ。

 

「遠慮はいりませんぞ、一人や二人増えても問題ありませんぞ。それにリンク氏は一人暮らしとのこと、明日は臨時休校ゆえ我が家に泊まられても構いませぬぞ」

 

 ヴィランが学校を襲撃してきたから一人は不安だろうという気遣いかな?

 あとこれは宍田君が裕福であるがゆえのノブレス・オブリージュってヤツなのだろうか。

 日頃から特にクラスメイトの中でも僕を気にかけてくれるし。

 

「せっかくだし甘えたら?角取も今夜はウチに泊まるよ」

 

 ギャルのような外見だけど優秀で面倒見が良い戸陰切奈さんがそう言った、どうやら僕と同じで一人暮らしである留学生組の一人である角取ポニーさんは彼女の家にお世話になるようだ。

 

「それともこっちの方が良いのかな?」

 

 ニシシと挑発するように戸陰さんは笑う、その横で角取さんもウェルカムデスと手を振る。

 

「ん!!(カマーーン)」

 

 更には小大さんまでも家に来いとアピールするかのように手を広げて待ち構えている、抱きつかないからね?

 

「まあ俺達も今日は親睦を兼ねて何人かで泊まるしな。リンクも来るか?ゲームやろうぜ」

 

 他の男子達も今日は集まって過ごすみたいだ。

 雄英高校は地方出身者もいる、だから進学時に一人暮らしをはじめた人はかなり居るようだ。連絡のついた親御さんにしても子供一人だけだと心配だろうしね。

 

「我が家にはプールもありますぞ、そうだシアターで映画などもどうでしょう」

 

「美少女達とお泊り会とか良いと思うけど?あ、一佳もどう?」

 

「ん!!(カマーーン)」

 

「おいおい男同士の方が落ち着くだろ?ちと狭いがそれはそれで楽しいぜ」

 

「ウチには漫画がドサアっと沢山あるよ」

 

「プラモに興味あるならウチでも」

 

 しかし何でこんなに皆は熱心に僕を誘おうとしているんだろ?色欲の類(一人怪しい)では無いのは分かるけど随分必死に誘ってくるね。

 その様子に疑念を抱きかけたところで、塩崎さんが背後から慈しむように抱きしめてきた。

 

「ヴィラン襲撃の報を聞き、不安な気持ちで恐ろしい夜に一人身を震わしながら過ごす幼子を皆が放っておけないのです」

 

 と、安心させるように笑いかけてきた。

 他の皆もそのとおり、大丈夫だよ、と僕に笑顔を向けていた。どうやら狙いがあったり疑いがあるからではなく純粋に心配からの気持ちだったらしい。

 そっかー。

 うん、心配なんだねー。

 不安になるよね襲撃とか。

 一人の夜は怖いよねー。

 でもさ、

 

「同い年なんだけどっ?!!!」

 

 幼子じゃねえよ。

 どこまで年下扱い、確かに日頃から弟扱いされてるけどね。

 あとさ、

 ヴィランは僕だから!!

 

「あ、ははは」

 

「とてもそう見えないからな」

 

「飛び級してる天才児だと僕は疑っているね」

 

 そんな帰りの騒動を、拳藤さんと骨抜君と物間君とB組でまとめ役になる面々が苦笑しながら見守っていた。なお一人暮らしの子達を心配したブラドキング先生も同じ提案をしようと思っていたそうだ。だが彼は襲撃事件での諸々の後始末から本日は雄英高校に泊まり込むことが確定しているため結局無理だったみたいだ。

 

 

 

 

 翌日。

 自宅アパートまで宍田君に送ってもらい、夜の時間を一人で問題なく過ごした後、臨時休校を利用して今回の事件を調べようとした。

 けれど、朝早く盗聴対策された特注品のスマホに幻影旅団の仲間であるシャルナークから今回の事件、ヴィラン連合という集団によるオールマイト抹殺を目的としたUSJ襲撃事件の詳細な情報が送られてきた。

 幻影旅団でクロロに並ぶ頭脳の持ち主にして作戦立案を務めるシャルナークは情報収集にも長けている。

 そういった方面に特化した個性でもないのに、純粋な技量でこれだけできるから凄まじい。

 さすがにヴィラン連合についてはまだ調査中のようだけど、この情報を見る限り僕個人で調べられることが無いレベルだ。

 

(動くな、ってことかな?)

 

 シャルナークは多分そう伝えたいんだろう。

 親無し孤児が周囲からどう見られるかなんて飽きるほどに理解している。雄英高校職員が現段階で内通者がいるかどうかまで想定するか分からないけど、いの一番に疑われるのは間違いなく親の居ない僕だろう。

 だからこそ下手に動けば一発でアウトだ。

 仲間の役に立てない事実は寂しさに似た胸の痛みがあるけど、仕方ないか。

 無力感に打ちひしがれそうにもなるけど、その後に一日中送られる旅団メンバーからの心配の連絡が僕の心を暖かくしてくれた。

 けどシズク、君はこっちに来なくてよいから。個性的にお互い別の所に居た方が良いでしょ。

 





 補足説明。
 ヴィラン連合の襲撃があった時に他の生徒はどうしていたのかなという話です。
 本来ならヒーロー同伴の帰宅かと思いますが、原作で描写が無いのでオリ設定です。
 ただヴィラン慣れしてるこの世界なら被害者でもない限り学校から連絡して普通に帰宅されるだけの可能性も高いです。生徒もほとんど無傷でしたし。
 なので一人暮らしの者は一緒に帰るついでにお泊り会となりました。
 
 幻影旅団ナンバー3
 マチ・コマチネ
 リンクにとっては姉のような存在で、糸の操作・縫合技術の師匠。
 身だしなみや礼儀作法を厳しく躾けたため嫌われてこそいないが怖がられてはいる。
 応用性の高い個性と本人の技量により、盗賊として実力は旅団内でも屈指。
 またヒソカの精神面を心配していて、現在強引に同居させている。
 裏社会で腕利きのエンバーマー、縫合師として知られていてかなりの稼ぎがあるとか。
 旅団内で自分の勘がやたらと当てにされているのが悩み。 
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