例のUnWelcomeと例のキャロルを交互に流すのが推奨です。つまりギャグパートです。
牛牧ジュリという生徒がいる。まだ中学三年生でありながら非常に発育が良く、高校生に交じっても上級生に見えるほどだ。何なら身長だろうと胸部装甲だろうと、ジュリに勝る生徒は高校生ですら少ないのではないだろうか。
明るく優しい少女であるが、彼女もまた立派なゲヘナ生徒、他とはまた違った"ゲヘナ"だ。…というかフウカもそうだが、ゲヘナ生なのにほとんど銃を撃たない、戦わないという時点ですでに個性かもしれない。
さてゲヘナ学園給食部、まだ一年生のフウカも所属するその場所に一人の中学生が訪れていた。何を隠そう、ジュリである。
こうしてジュリがこの場所を訪れることは初めてではないし、どうしてここにいるのかなんて重要なことじゃはない。問題は、食堂の厨房にて、操夜とジュリが二人で料理を作っていることだ。
操夜がそうしている理由はおおよそいつも通り。
ジュリの料理とはまさに神秘の産物、あるいは災害のようなものであるといえるだろう。他人の作ったレシピ通りの料理の最後に、彼女がすこしオタマでかき混ぜただけで料理の味がおかしくなる。それだけでもすでに異常事態だが、彼女が作る料理はしょっちゅう爆発するし、ひとりでに動き出すなど、超常現象と言っても過言ではない自体が発生する。
ジュリはそれでも美味しい料理を作りたいと、日夜励んでいるのだ。どうにもならない問題を解決するために、めげずに努力を重ねている……そんな彼女のために、操夜が一肌脱ごうとするのはごく自然なことだった。
「操夜先輩と一緒に料理ができるなんてうれしいです!」
「厨房を貸してくれたフウカには感謝しないとな」
明るい性格のジュリは、ゲヘナでは有名な操夜先輩と一緒に料理ができるとなってテンションが高い。一方操夜はジュリの料理のヤバさを知っているため、表には出さないものの、割と覚悟を決めてここに立っていたりした。
操夜はゲマトリアではないため、ジュリの料理改善に当たって、施設を用意し測定機械につないで…なんてアプローチはとらない。しかし通常の手段ではどうにもならないことが分かり切っている操夜は、とんでもないことをしでかした。
「さあ、やろうか。心を込めてね…!」
「はい、お星さま!」
始める前に、おまじないをかけたのだ。なんだそれはと聞いた人は思うだろうが、もちろんそれはただのおまじないではなく、結果を劇的に変化させうるものだったのだ…!
料理が完成すると同時に起こったのは、大きな爆発。ジュリの料理が爆発することは日常茶飯事だが、今回のそれはいつもよりも一回り大きかった。
食堂を包んだ煙が晴れると共に、徐々にその中に立つもののシルエットが明らかになっていく。
それは体長三メートル近い巨躯を持ち、蟻のようにも見えるシルエットと長い四肢を持つ怪物であった。背中には蝙蝠のような羽を持ち、黒っぽい茶色の肌からは、一部だけ宇宙の青さを反射しているかのような色が映し出されている。頭上にはジュリが持つものと操夜が持つものをぐちゃぐちゃに混ぜ合わせ、別の何かを足したような形をした、ヘイローに見えないこともないおぞましい何かが浮かんでいた。
「すごいです!こんなに大きいものができるのは初めてです!」
「バイアク……じゃなくて、バイキーでいいか」
無邪気に喜ぶジュリがぴょんぴょん跳ねながら、操夜の手を取りその豊満な胸元に引き寄せる。普段であれば出てくるのはサッカーボール程度の大きさのモンスターが精々のため、確かに劇的な違いである。いや、普段からおかしいからな?
現れた怪物は畏敬を隠すことのない瞳で彼らを見ることなく頭を下げると、爆風でひびの入っていた窓を突き破って外へ飛び出していった。
「よーし、じゃあ…次はもっと思いを込めてやろう!」
「はい、お星さま!!!」
完全にギャグのノリだが、一応操夜はちゃんと問題ないことを確認している…ジュリが片手を胸の谷間に突っ込んだままなことをスルーしながら。さすがゲヘナだ、なんともないぜ!
「「えい!えい!おー!!!」」
二人が両手を握り合って高く掲げ、勝鬨を上げるように気合を込める。すると外から見ても分からないながら、確かにジュリの神秘が強まったではないか!これこそが操夜の一手、物理的な方法で分からないのであれば神秘的な方法を試してみようという試みである。
ジュリ本人にも具体的なところは分かっていないものの、それでも何となく調子がいいことが感じられていた。
「完璧に焼く♣ だろ?ジュリ♠ 火力は任せろ~」
少なくとも手順はごく一般的な料理の途中、そう言って操夜が取り出したのは一発の弾丸だった。
「炎は踊る、人の社会の見上げる先で」
指で弾かれた弾丸が炎が燃え上がり、フライパンごと上の厚い肉をその明るい炎の中へと飲み込んだ。
焦げるだとか、直火で焼いても中まで火が通らないだとか思う人はいるだろう。しかし侮るなかれ、この炎は普通の炎ではなく操夜が生み出した神秘の炎。これは空間全体の温度を均等かつ適切に上昇させ、完ぺき~な火の通りを約束してくれるのだ。
で、やっぱり爆発した。もちろん操夜の炎にも食材にも爆発するような要素は存在しないが、それでも当然のごとく爆発した。またもや食堂を埋め尽くした爆炎が晴れるとともに、出てきたものの姿は異形だった。
そこには、宙に浮く巨大なヘビのような生き物がいた。尋常な生物には見られないだろういびつな頭と、人間を突き刺して悠々と宙吊りにできそうなかぎ爪のようなものをいくつももっていた。黒いゴム状の大きな翼はうねうねと波打っており、翼というよりも分かたれた二つ目の胴体のようであった。
羽ばたくこともなくゆらゆらと宙に浮かぶそれの頭には、一回目に生まれた怪物と同じようなヘイローのようなものが浮かんでいた。
「狩り立てる恐……いや、カリリンでいいか」
カリリンもまた窓から飛び出していく。バイキーとカリリンの両者が暴れることによって、学園敷地内がにわかに騒がしくなった。
銃声と銃声と爆発音と叫び声がこだまするゲヘナの日常、いつも通りではあるものの、今日の騒ぎはいつも以上に楽しげだ。バイキーとカリリンが別々の場所で思い思いにゲヘナ生徒をなぎ倒していく。
負傷者と気絶者が量産されていく中でも当然というべきか死者や重傷者は存在せず、早くも到着した救急医学部の氷室セナが手際よく負傷者を回収していく。
まさにお祭り騒ぎ、あるいはこの程度では
「あ、アケヤ?化け物がどうこうって話なら別に放っておいていいから。うん。じゃ、よろしくー」
委員長の鶴の一声により、風紀委員会動かず…!これがトリニティの正義実現委員会であったならばさっさと鎮圧に動き出しただろうに、ゲヘナ故致し方なし。
実際のところ二体の怪物の戦闘力はそこそこで、上の下から上の中程度の実力であるといえるだろう。生徒の強さはまちまちでかなり振れ幅が大きいため例えづらいところだが、その辺の不良の十や二十であれば一辺に相手をしても勝利することが可能だ。
バイキーは体の大きさを考えても、飛行可能で機動力を増した代わりに砲戦能力をなくした戦車だと言ってそれほど間違っていない。体格に似合わない機敏な動きと飛行能力を生かして、タックルや腕力によって生徒たちを次々と沈めていく。
一方カリリンは決して地上に降りることなく、十数本はある十メートル以上の長いかぎ爪を振り回している。鞭のようにしなるそのかぎ爪は先端の速度が非常に早く、それだけ威力が高くなっている。普通の生徒がクリーンヒットすれば、一発で意識を刈り取られることだろう。
「よーし、次でラストにしようか」
「張り切っていきますよー!」
ちなみに外の騒ぎなんて厨房に立つ二人の下には届いていない。というか銃撃戦が(片方銃を使っていないが)二か所で起こっているくらいでガタガタぬかす奴がゲヘナ生徒にいるわけがない。
戦闘自体もバイキーとカリリンを直接見たものや、噂を聞いてやじうまに来た生徒たちがスタンドプレーで戦っているだけなので、本当に深刻さが0だ。
いくら世紀末キヴォトスといえど、ゲヘナでさえなければさすがにもうちょっと深刻に受け取られていただろうに。さすがはゲヘナである。
「ジュリ、手を出して。こう…そうそう」
操夜に言われるままに両手をそれぞれ取り、向き合った二人は踊りだす。
「ひゃ……お、お星さま?」
「ちょっと付き合ってね。左足を引いて。次は右足を」
そうしてほんのわずかな時間、進んで引いてを繰り返すだけの簡単で単調なステップを踏み、くるりと一回転してジュリを抱き寄せる。操夜が至極大真面目であることが分かっているからかどうかは定かでないが、ジュリはこれを全く拒絶しなかった。ある種天真爛漫なところのあるジュリも、さすがにこれには顔が真っ赤になっていたが。
操夜にとって歌と踊りは重要で、神秘によって何らかの現象を起こすにあたって大きな役割を担っている。つまりこれを行うということは、それだけ本気だということでもある。
……え、すでに二体も怪物を解き放っておいて、さらに本気出すんですか?
「しゃがみ見下ろさねば見つけることも叶いはしない」
この様子をもしゲマトリアの面々が見たら呆れるだろう、なにせそこそこガチな神秘の行使だ。
また三度目に行われた料理の前二つとの相違点として、操夜の
「ふふっ。やっぱりお星さまはすごいです、今まで色々試してきましたけど、こんなに効果が出たの初めてです!」
そして、最後の料理は盛大なものとなり、その結果もまた今までとは一線を画していた。建物の外に顕現したものは、もはやゲヘナの大きな食堂の中にも収まらない大きさだった。
それは六階建ての校舎よりも大きな、黄緑色とオレンジ色の混ざったぼやけた体色をした怪物であった。傘のような形をした上部には目玉のような黒い球体が四方にあり、いくつもの角のような触手を生やしていた。下部には無数の長い触手が折りたたまれて収納するかの如くうごめいており、人の生理的な嫌悪感を呼び起こす。
遥か彼方から飛来したかのごとき非生物的な暗黒のオーラが粘膜のように体表を覆い、一部が変色した液体となって滴り落ちる様はヘドロを吐き出すポンプを体表に持っているかのようだった。
「これはゾス星……ゾッシーでいいか。ある意味うまくいった感じかー………ジュリー!そしたら後始末行ってくる!」
どこかの神話生物もどきがゲスト出演していますが、あくまでゲスト出演。透き通った世界観は健在なのでご安心を。
予定では次回からラストスパート開始だったのにネタが浮かんでまた増えそうになってる。背景設定をしっかりするほどネタが増える、あると思います。
好奇心に負けて設置。アズリエルと操夜の正体・モデルに気づいていますか?
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わからぬー!
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アズリエルはバレバレだよね
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だからトルヤなのか
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両方分かった。もしや全知でいらっしゃる?