お前のことだよ、相棒(空崎ヒナ)!!   作:バージ

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新年のカズサの挨拶動画がエモすぎたので初投稿です。そのうち生徒に襲われるぞって警告してくれています。実際先生は達人的な間合い管理能力の持ち主、でなきゃどっかで致命傷を負ってますよね、例えばミカとか。
警句は忘れません(ローレンス並感)

コンビでいるときのヒナは真面目にキヴォトス最強です。代わりに操夜先輩という出されただけでガチ心神喪失するレベルの致命的な弱点を抱えてしまっています。



~零の章~奇跡がなければ在れない世界
夢見る狐と隠れる星


 

 

~とある二人の少女の会話~

 

「それは……なんというべきか………」

 

「気持ち悪い?」

 

「非論理的な上に感情的な言葉だが………確かに、それが一番的を得た表現であるように思える。今丁度聞かなければよかったと後悔しているところだ…これならまだただの怪物だと思っていたほうがマシだったな」

 

「ね、知らないほうがよかったでしょ。だって何も良いことないもん、気持ち悪いだけ。セイアちゃんが聞きたいっていうから話したけど……操夜君は器用万能のスーパーマン。それで終わりにしておくのが、誰にとっても幸せ。あらゆる生物、世界、操夜君本人、本当に誰にとってもね」

 

「そうだな、同意する。普通に気持ち悪い…うん、キモイ」

 

「…それ、操夜君に言わないでね?私が言っておいてだけど、普通に傷つくからね」

 

「ああ、うん、そうだな。すまない、そうする」

 

「……ちなみに私的に一番嫌なのは、"いざとなったらすべて見捨てる必要があるにもかかわらず、友達は多いほうがいい。それがどれだけ辛くても"ってとこかなぁ。私だったら耐えられないと思うし。セイアちゃん的にはあれかな。自分の心を支配しているところが一番気持ち悪かった?」

 

「そうだね。厄災のカギが自分自身の心にあるなら、それを支配しようというのは合理的だ。だが人の尊厳をまるで無視したような合理性だ。これをやるのが人の心など解さない別生物であればともかく、人間が行うのは吐き気がする」

 

「えへへ、セイアちゃんがそう言ってくれて、ちょっと嬉しいかも」

 

「君は、それを知ってよく一緒にいられるな。……いや、まさか、正気じゃないのか?」

 

「うん。操夜君にも注意されてる。正直、今の私はお花みたいになってもおかしくない状態。アズリエルって名前、私も怒るべきだったかな?」

 

「…人を人と思わないのであれば、人を殺してもなんとも思わない。昆虫の手足をもいで遊ぶ子供の無邪気さの如く、人を殺して楽しむことができる…残虐に、凄惨に。私はそのゲームのことは知らないが、知っていてそんなコードネームをつけたのであれば、怒っていいと思うぞ。……しかし、はぁ。忘れてしまいたい」

 

「…気持ち悪いだろうしなんだかんだ言ったけど、色眼鏡を外せば、操夜君は普通の人間だから。だって、超人じみた人間なら他にもいるし…連邦生徒会長とか、今の私とかゲマトリアの人たちを見れば、よっぽど操夜君より人から外れてるよね」

 

「ゲマトリアとやらには会ったことがないが、まあそうだな」

 

「それに、きっと仕方のないことなんじゃないかな。こうなってみて、私も実感したけど。人から外れたものが、人の中で過ごそうとすれば苦労する。私ですらそうなんだから、これが小指の先で世界を滅ぼせるような存在だったら、きっとすごくすごく頑張り続けていなきゃいけないんだ。……むなしい努力を、ずっと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の名前は遠星操夜。ゲヘナ学園三年生の風紀委員会委員長。コンビの相棒はヒナ。

 

その事実を知ったきっかけは二つある。一つは、友人であるアズリエルの死。これがあったから世界の深淵の知識を欲するようになった。そして探し当てたとある裏組織の研究施設を制圧したことが、二つ目の契機となった。

そこに至るまでに苦労しただけあって、その研究施設でで得られた知識は、様々な知識の前段階として重要なものであった。

 

さらにそこで手に入れた知識を前提として、元の持ち主にも知りえないようなさらに奥深くの事実を知ることができた。

表ではゲヘナ風紀委員長として、裏では神秘組織"地鎮祭"最高幹部として、そして何よりも自身の特異性のため。三つの要素でアプローチをかけられる俺が、余人よりも深い知識を得られたことは当然だった。

 

キヴォトスの平穏は、危ない均衡の上に成り立っている……いや、そういうと少し違うか。整然と存続していくと同時に、いつどんな理由で滅びてもおかしくないっていうのが事実としては正しいな。

最初は裏の神秘組織の中で最高格である組織"ゲマトリア"が主な危険組織かとも思ったけど、実際には彼らもまたこの世界が滅んでほしくはない者たちだった。

ゲマトリアが敵視する存在を知り、そして同時にキヴォトスを滅ぼしうるもの、"色彩"の存在を知った。

 

普通の人間であれば、世界が崩壊するかもしれないと知ったならば、それに対処しようとするか、もしくはそんなことは忘れて日常に回帰しようとすることだろう。しかし俺はそう、いうなれば。ヒナほど責任感が強くもなければ、ヒナよりめんどくさがりでもない人間だ。だから俺は、そのことを一旦置いておいて、理解を進めることにした。

そして知った、敵は「色彩」だけではなかった。なんなら放っておけばまず到来することのない色彩は脅威度として低く、それよりよっぽど危険な目に見えてない滅びの要因がそこかしこに存在しえた。何なら見えているだけでも、秩序崩壊級の地雷がいくつか埋まっていたりするぐらいだったが、それはともかくとして。

 

例えるならば、ダムの下にある村。氷河の中に閉ざされた病原菌。宇宙空間に漂う巨大隕石。原子力発電所を擁する町。

ただそこにあるだけでは何ら脅威にならないが、何かが起こった時に、何者かが手を加えたときにキヴォトスの死因となりえるもの。

俺なら、やろうと思えばできてしまう。"自分を使う"ことすらなくキヴォトスを滅ぼせる。俺にできることなら、他にも可能な存在はいるということ。

こう考えると、よくキヴォトスは滅んでいないものだなーと思う。平行世界のキヴォトスは結構滅んでるんじゃないのか?

 

ここまで理解して、ようやく俺も選択することにした。つまりこれらに対処するか、放置するかという二択である。

ちなみに、ヒナに教えたり相談したりするという選択肢はない。あの責任感の塊は、こんなことを知ってしまったらどうなってしまうかわかったものではない。現時点ですら、俺が風紀委員長にならなかったなら、まだ二年生のヒナが風紀委員長になっていたかもしれない。そうなれば、めんどくさがりな癖に実は頑固で責任感が強すぎる彼女は、終わらない仕事を処理し続けるだけのマシーンになってしまいかねない。だからできれば、ヒナが何も知らないで済むのがベストだろう。

 

ヒナには言えないが、すべて忘れてしまおうとも思わない。俺は決めた。

のんびり楽しくがモットーであり、問題のすべてを俺が解決するなんていう道はない。困った話ではあるが、まあ仕方がないだろう。俺がいなくてもそれほど問題はないわけだし、それに、俺は。

 

ヒナほど責任感が強い人間では、ないのだから。

 





アズリエルは明確にお労しいことになっています。
でもアズリエルの後輩は、愛する先輩を自分の手の届かないところで失って、失意に暮れていたら手を取ってくれたもう一人の先輩がいて。そんなもう一人の先輩すら、またしても自分の手の届かないところで失ったと気づくんですよね。一体どっちの方がマシなのか。
操夜「あの子にはもう面倒見がいい友人も、目の離せない友人もいる。来年にはまた後輩も入学してくるだろうし、俺がいなくても全く問題ないな、ヨシ!」
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