お前のことだよ、相棒(空崎ヒナ)!!   作:バージ

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ヒナの上の世代ってマジで少ないですよね、ゲヘナじゃカヨコぐらいしかいねぇ!というかカヨコは留年してるのか…?わかりませんが、この小説ではカヨコは操夜・アケヤ(オリキャラ)と同世代です。



空崎ヒナ1年生(中期~)

 

○月○日

私はゲヘナ学園1年生の空崎ヒナ、所属は情報部。

今日から日記を付けることにする。人妻…副長…じゃなくて、アケヤ先輩に日記帳を押しつけられてしまったから。めんどくさいけれど、先輩がやれというのなら無下にできない。せっかくもらったものだし仕方ないので忘れずちゃんと書くことにする。

 

 

 

○月○日

特別なこともなかったので、今日は操夜先輩のことを書くことにする。

遠星操夜(とおぼしとるや)、ゲヘナ学園2年生の風紀委員。

不思議な雰囲気をしてる。誠実で同僚からの信頼も厚く、予想外の交友関係を持っている。トリニティをはじめとして、接点の不明な他校の一部生徒とも付き合いがあるらしい。

非常に高い近接戦能力を持ち、状況を問わずに単独で敵陣を突破できる切り込み隊長。そうでありながら、大抵のことは何をやってもそれなりにできると言われている器用な人で、次期風紀委員長候補でもある。フットワークが軽く、様々な活躍をして"ゲヘナの星"なんて呼ばれるそれなりの有名人。

戦場ではすごく頼りになるのに、普段はのんびりしていて話し方も緩い人だから分からないものだと思う。本人に言っても仕事はちゃんとやってると言って笑って流されてしまう。めんどくさいのは分かるけれど、風紀委員長室にいるときくらいはちゃんとしてほしい。私だって…

 

 

 

○月○日

私が働き過ぎだと言うけれど、操夜先輩のせいなところもある。

情報部が危険な犯罪グループなどの情報をまとめて共有すると、すぐに操夜先輩が敵を壊滅させてしまう。それで刺激された情報部の上層部がすごく気合いを入れて動いているから、情報部全体が忙しくなっている。

そもそもゲヘナでは事件や問題ならいくらでもあって、到底捌ききれないから小さな問題は無視されている。つまり探そうと思えば探るべきことはいくらでもあるのよね。

 

 

 

○月○日

私と操夜先輩の最初の関係と言えば、情報部と風紀委員との連携役ということになる。

最初にあった頃はこんなに長く一緒にいることになるとは思っていなかった。

ゲヘナの星として前線で活躍していた操夜先輩が何故後方の仕事に回されたのか当時は気にしていなかったけど、今考えてみれば万魔殿との政治的な折衝の結果だったのかもしれない。そういえば、操夜先輩を含めた何人かが万魔殿襲撃計画を立てていたこともあった。冗談と言っていたけど、果たして何割くらいが冗談だったのか。

 

 

 

○月○日

操夜先輩と一緒に食事を取ることは多いけれど、なんとなく操夜先輩がどう思っているのか気になってしまった。一緒にいるのに事務的な会話が多い気がするし、食事が作業の片手間だったりする。それなのに気まずくはならないし、気づけば操夜先輩と一緒にいようとしてしまう。

私みたいな女と一緒にいて、嫌な思いをしていなければいいのだけれど。

 

 

 

○月○日

私と操夜先輩のコンビが正式に決まった。やった!

ゲヘナの星とまで言われる先輩とバディが組めるなんてすごく難しいこと。

舞い上がって、アコに何か恥ずかしいことを言ってしまった気がする……思い出すと恥ずかしい。

 

 

 

○月○日

操夜先輩とのコンビで何度か戦闘をこなしているけど、これが本当に相性がいい。操夜先輩が突撃して浮足立ったところに私が射撃すれば、それだけで面白いように敵が倒せてしまう。正式なコンビを組む前から分かっていたことではあるけど。

どれだけ弾幕が濃くても、足場が悪くても、操夜先輩は平然と突撃を成功させる。一年生だったころはそれなりに怪我もしていたというけれど、今は怪我すら負う様子がない。

彼が戦うときに起こる緑色の小さな光達は幻想的で、戦闘中でありながら人目を惹く。本気になるほど光が増えると言っていたけれど、銃や足周りでキラキラとしているところしか見たことがない。

"ゲヘナの星"と呼ばれるものの高さの一端に触れた気分。

 

 

 

○月○日

ふと廊下から見える屋上を見上げてみると、角度的にギリギリの位置に操夜先輩がいるのが見えた。隣にいたのは、ドクロ柄の服の目つきの悪い先輩。

初めて見る組み合わせだけど、たぶんあれも謎の交友関係の一部というやつなのだろう。ある程度仲が良さそうな様子だった。珍しくはあるけど、それ以上ものじゃないし、すぐに立ち去ろうとしたけど。なぜか目が離せなかった。

………。

………………。

何か少しもやもやする。

ただああやって人気のない場所で、普段合わない相手と二人きりでいるところを見ると、相手のこともあってすごく悪だくみしているように見える。

 

 

 

○月○日

風邪を引いた。先日雨の中での銃撃戦が原因だろう。

 

 

 

○月○日

操夜先輩が一日中、つきっきりで看病してくれた。お味噌で煮込んだおかゆがおいしかった。眠る私の手を握っていてくれた。

目覚めたら本を読む操夜先輩がベット脇に持ってきた椅子に腰掛けている。そんな姿を見るだけで幸せだ。

頭が熱い、ボーッとする。

こんなに優しくしてくれるのなら、また風邪を引きたい。手を握るだけじゃなくて、強く抱きしめてベットに押しつぶしてほしい。夜寝る前と朝起きたときには優しくキスしてほしい。

 

 

 

○月○日

先日の日記の内容を消すべきか、いや破り捨てて燃やすべきか本気で悩んだ。

悩みに悩んだ末に戒めとしてそのまま残しておくことにした。日記を書くと私が決めたのだから、これはちゃんと書かなければいけない。

やっぱり熱があるときは何をやらかすか分からない、もう絶対に風邪を引かないようにしよう。

……いや、でも、たまに。そう、たまになら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、とある誰かが見た夢。彼女が怪物を怪物と認識していたが故に、そのままその通りにはならなかなった、近しい未来。

 

「どうして!あの時居てくれなかったんですか!!操夜先輩がいてくれれば、助けられたはずなのに!!どうして!!」

 

かなり小柄な少女が、涙を流しながらがなり立てていた。それは目の前の男に向かって言っていながら、まるで自分自身を攻めているかのようで、ひどく痛々しかった。

 

 

場面が切り替わる、夢のように。

 

「お星さま。あなた様はご自分で嫌がっていた、本当の"お星さま"に、自らなってしまわれるのですか」

 

人気のないビルの一室で、狐のお面をつけた少女が悲しげに声をかけていた。

 

 

場面が切り替わる、夢のように。

 

ぽつぽつと雨の降る夜。ゲヘナでも有名な噴水広場。そこかしこで爆発と炎上による煙が上がりながらも、雨の音のみが響く静かな夜。明るいうちであれば人の多いその場所に、たった二つの人影が向かい合っていた。

片方は、年齢を考えたらずいぶんと背の小さな少女だった。体に似合わない大きな銃身を相手に向けながら、その手は寒さとは別の理由で震えていた。

もう一人は左手に籠手を着け、右手に緑色のアサルトライフルを持った、大人びた雰囲気のある青年。神秘的な燃え上がるような緑色のオーラを全身にまとわせている。

血を流している少女と、破壊された周辺環境を見れば、激しい戦いがあったことがうかがえる。

この噴水広場には、二人は何度も訪れていた。何度目であっても少女は笑顔であったし、その記憶のどこを切り取っても、少女にとっては大切な思い出だった。

 

「撃てよ、臆病者」

 

大人びた雰囲気の青年が言う。少女の指が引き金にかかる。本人の意思とは裏腹に、まるでそう言われたがゆえに体が勝手に動いているかのように。

 

「撃て!!!」

 

そして、青年は緑色の炎に包まれた。

 

 

 

 

場面が切り替わる、夢のように。

そこにいたのは、よく知っている相手。優雅なように見えて、実は愉快なところもある……そんな幼馴染だった。

 

「何が、エデン条約……ゲヘナは…操夜様を、殺しておいて…!」

 

月明かりの差し込む暗い部屋。普段は紅茶や茶菓子を並べる丸テーブルを前に、余人が彼女を見て得られる印象ほど、本当は強くはない少女がいた。

 

 





どこかのフォックスが見た夢の中では「お前のことだよ!相棒!」も言っていますが、こちらは現実の方では言いません。なんだかんだ夢では言えたものの、現実では想定を超えすぎて言うタイミングがないという。
というかこの夢の世界のヒナとエデン条約……地獄か?

ヒナ視点の操夜しか出ていないせいで全然操夜の内心とか設定とか出てこない訳ですが、操夜関係の話は見たいでしょうか?無糖ですし、操夜が起こすことともあまり関係ないし、独自設定が結構あるので書くべきか悩ましく。どうでしょうか?

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