お前のことだよ、相棒(空崎ヒナ)!!   作:バージ

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別人か?いや…別人じゃない……!……いや…別人か?また別人なのか!?



空崎ヒナ1年生(後期)

 

資料をあさるために情報部の書庫にやってきた操夜とヒナ。目的の資料を探している途中で棚の上をヒナが見上げた。ヒナはかなり身長が低いので、多少高い棚にも背が届かない。そのため足場を持ってこようかというところで、操夜が声をかけた。

 

「ヒナ、後ろ向いて」

「?…これでいい?」

「ああ、行くぞー」

 

操夜がヒナのわきの下を持って、小さな子供にそうするように持ち上げる。

 

「せ、先輩!?」

「これで届きそうか?」

「と、届きそうっていうか…!」

 

ヒナは顔を赤くして慌てるが、後ろから抱えている操夜には顔が見えない。そしてヒナは内心はともかく、リアクションが外にはあまり出てこないタイプのため、操夜にも伝わらない。

 

(手が……!…………)

 

焦っているうちに自分を抱え上げる相手の手を意識してしまい、ヒナは動きを止めてしまう。そうやって動かなくなったヒナに、操夜は首を傾げた。

 

「ヒナ?」

「あ!ご、ごめんなさい!」

 

慌てて目的の資料を取っておろしてもらったヒナは、ふと珍しく倉庫にまで足を運んでいる操夜を見上げる。そして何日か前のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日、操夜先輩とアケヤ先輩が急に二人して休んだ。

その手の話が好きなものは二人でデートに行っただとか、一線超えたとかとっくに超えてるだとか好きに噂しているが、もちろん私はそんなことは思っていない。確かに操夜先輩とアケヤ先輩は浅からぬ仲だし、アケヤ先輩に至っては雰囲気から人妻感があふれている。

だからと言って急に休んだりはしないはず。大体、二人は付き合ってるわけでも何でもない。

例え二人でいるときの様子が熟年夫婦のように見えたとしても……。

見えたとしても……。

 

……………………。

 

そう、あの二人ならば必ず事前に準備してから休みを取るはずだから!

 

そんな風に後ろ向きな思考で嫌な妄想を振り放う。しかし次の日会った操夜先輩はどこか不機嫌で、アケヤ先輩は落ち込んでいた。しかもどこかに出かけて行っては微妙に落ち込んだ様子で帰ってくるという、普段と違う操夜先輩の行動が、数日にわたって繰り返された。何かあったのか聞いてもはぐらかされてしまうだけで、何もできずにやきもきしていると、アケヤ先輩から呼び出された。

 

「これはまたとないチャンスですよ!」

 

大真面目な顔で何言ってんだこの新妻。

休憩室で会ったアケヤ先輩が言ったのは、操夜先輩に甘えてきてください!だった。私の緊張を返してほしい。

 

「考えてもみてください。操夜さんがあんなに落ち込むことなんてそうはありません。ヒナちゃんはあんな操夜さんを見たことがありますか?」

「それは、確かにないけど」

 

ちょっとしたことならばもちろんあるけど、何日も続くなんてことは初めてだ。だから、アケヤ先輩が何かするならばその手伝いができればと思っていた。

 

「真に相手のことを思い、親密な関係であるのならば、大変な時こそそばで支えてあげるべきです。違いますか?」

「そうだけど……でも、私みたいな女じゃなくて、アケヤ先輩が」

「それはできません。私ではダメなのです。付き合いが長いことが、時にそれができない関係にしてしまうのです。今この時、ヒナちゃんこそが適任なんです」

 

操夜先輩が話したくないというのなら、私も聞かない。でも知らないなら知らないなりに、操夜先輩のために何かしてあげたいから、私にできることがあるのならもちろんするつもりだけど…。

 

「でも、それならどうしてその……私が甘えるって話になるの?」

「それはもちろん、操夜さんが甘やかすのが好きだからです。ヒナさんが甘えれば、操夜さんも元気になりますよ」

「……まあ……アケヤ先輩が言うなら……」

 

たぶん操夜先輩のことを一番よく知っているのがアケヤ先輩だ。そのアケヤ先輩がいう言う以上は、それが正しいのだろう。しばらく話し合ってそういう風に思ったあたりで、操夜先輩がやってきた。

 

「操夜さん、丁度良かったです!こちらに。そう、そこで立って。ヒナさんを吸わせてあげてください。」

「吸う……??ああ、そういう…?」

 

急なことに困惑した様子で、操夜先輩が目の前に立つ。

 

「えっと。その、ほんとにいいの?」

「まあ、今日はまだ運動してないし……そこまで変なにおいはしないはずだけど…」

「そういうことじゃなくて…」

 

操夜先輩はさっきのだけでこれから何をするのか分かったらしい。猫吸いするがごとく操夜先輩に抱き着いて匂いをかぐということを。変態的な行為だと思うのに、先輩達は平然と受け入れていて、自分自身の常識の方が疑わしくなってくる。

二の足を踏んでアケヤ先輩を見ると、操夜さんが開いているではないか…行け。とでも言いそうな様子でこちらを見ている。

 

「じゃあ……」

 

アケヤ先輩に言われたとおりのやり方を忠実に実践する。

膝立ちになって操夜先輩のおなかに顔を押し付けて、抱き着くように両手を腰に回す。そしてゆっくりと鼻で息を吸って深呼吸。

その瞬間、脳内に電流走り、弾けるシナプス。何が何だかわからない衝撃で、一瞬深呼吸とは関係なく息が止まった。見えないし触れない相手に一方的に殴られているかのような感覚。しかし嫌ではなく、なんとなくで入ったファミレスで超高級肉が出てきたかのような、そんな困惑。

 

「操夜さんって、本当にそういうフェロモンとか出てないの?」

「俺の肉体はちゃんと人間の物質のみで構成されてるぞー。少なくとも物理的には」

 

先輩達が二人で何か言っているものの、私の耳には入ってこない。

それが人間の匂いとは思えないような不可解な衝撃で、私の脳が混乱して何もわからなくなっている。

 

なおヒナは気づいていないものの、その体は不規則に痙攣しており、操夜は普通に心配そうに見下ろしていた。これ本当に大丈夫か?という視線をアケヤに向けるものの、アケヤは頷くだけでそれ以上のことは何もしない。操夜と比べてアケヤの方は何も心配していなかった。

そのまま一分ほど経過したころ、手持ち無沙汰になった操夜がヒナの豊かな髪に手櫛を通しだす。するとヒナの体から力が抜け、痙攣も収まった。何かしらスイッチが入ってリラックスモードに入ったのである。

そのまますることのない操夜はヒナの耳からうなじにかけてをゆっくり撫でまわす。幸いというべきか、ヒナがここのところたまに見せるようなっただらしなくにやけた顔は、操夜のお腹に押し付けられていた故に誰にも見られることはなかった。……今まで似たような顔をしているときは大抵人目のない時で、それ故に誰にも見られたことがないのは運がいい。

日頃の行いが良いせいだろう、ワーカホリック不可避な損な性格と釣り合っているかどうかはともかくとして。

 

その後もヒナは操夜吸いを続け、実に十分以上もそのままだった。

ちなみに本当に操夜の落ち込んだ気配は消え、機嫌もよくなっていたため、当初の目的は十分達成されていた。

 

「ありがとな、二人とも。勇気をもらえたよ」

 

ヒナが聞いていないのを良いことに、アケヤと冗談や漫才、余人が聞いても理解できない内容の会話をしていた操夜が、ポロっとそう呟いていた。

 

 

 





ヒナが一年生の頃に何か操夜先輩が落ち込むようなことあったっけなぁ(すっとぼけ)。詳しい時期が分からないですが、本作ではヒナが一年生の後期くらいの時期に起こったということで。何のことかわからない人は気にしないでOKです、次回・次々回あたりで少しは触れるだろうし、本筋じゃないから。

というか原作開始が春ごろで、その時点でヒナ委員長の定着っぷりを考えると、たぶん二年生の頃から風紀委員長だったぽいですよね。……こちつらいつ勉強してるんだ?おかしいだろキヴォトス!!(唐突に正気に戻る)。
ヒナは、というかヒナに限らないけど絶対勉強する時間ないですよね、BDで学習が常識って話だけど、それ実は睡眠学習とかじゃ…と思ったけどヒナは睡眠時間すら足りてないんだよね。
BDはBDでも目で見るんじゃなくて、本気でマトリックスみたいに脳(もしくはヘイロー)に情報をインストールしてそうな気がする。先生(SENSEI)が普通に授業してたのは先生パワーで超効率を叩き出していたと仮定する。キヴォトスに教員はいても先生はいないので、先生だけが普通に授業してたのはおかしくはないし。
ただいずれにせよそのBDすらないであろうアリウスは……やっぱキヴォトスってクソっすね、忌憚のない意見ってやつっス。そう考えるとサオリのすごさが身に染みる。


アンケート設置したので、回答をお願いします。
ところでアンケートって一度投稿したら後から編集できないんですね……まあそりゃそうかって感じですが、書いた後いったんステイするべきだった。

ヒナ視点の操夜しか出ていないせいで全然操夜の内心とか設定とか出てこない訳ですが、操夜関係の話は見たいでしょうか?無糖ですし、操夜が起こすことともあまり関係ないし、独自設定が結構あるので書くべきか悩ましく。どうでしょうか?

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