このナギサは例によって原作より若く一年生なので、チナツやコハルみたいなものですね!(他意を感じる人選)
トリニティらしく先輩ではなく様付けです。
操夜先輩は後輩相手にはかなりかっこつけます。単に頼られたいからですが、ずっとやってきたことなのでなかなか磨かれています。結果的にいたいけな少女の心を焼いてる訳ですが。
途中で聞いたことのあるコードネームが出てきますが、あくまで別人の名前被りです。
ナギサのお姫様な日
トリニティ総合学園二年生、桐藤ナギサと申します。
操夜様と出会ったのは、一年生になってまだそれほど時間がたっていないころでした。
トリニティを代表する"ティーパーティー"は、各派閥から選出された三人の生徒会長と複数の行政官で構成される組織。そんなティーパーティーの行政官である先輩とお会いした時に偶然、操夜様が密会、ではなく同席していたのです。
最初は本当に驚きました。強く優しく夜空に輝く星、戦場にあっては敵味方を問わず魅了する。ゲヘナの星とまで呼ばれる操夜様のお話は、トリニティにも届いていましたから。…野蛮なゲヘナにおいて唯一雅で上品な人物、という偏向的な内容でしたが。後から考えてみれば、操夜様は噂とはかなり印象の異なる人物でした。
トリニティとゲヘナの関係の悪さは両校以外にも知れ渡っているほどです。そんなトリニティを代表するティーパーティーの行政官が仮にもゲヘナ所属の操夜様と密会しているなんて、大変なところに出くわしてしまったと思ったものです。
しかも政治的な会合かと思いきや、全くそんなことはなく、本当に政治的な思惑の一切ないお茶会だったのだから驚きでした。
一人の私人として友人と会っていただけ。聞けば操夜様はこうしてご友人と密会すること自体が趣味で、必要がなくてもたびたび誰にも告げずに友人の元へ訪れているのだとか。
この日以来、私もまた操夜様とお会いするようになりました。
私は一年生になったばかりとは言え、決してトリニティ内部の政治と無関係とは言えない身の上です。それはトリニティ総合学園に所属している以上は、半ば必然的なこと。望むと望まざるとにかかわらず、仕方のないことです。しかしトリニティ外部に対してであれば、私は政治的な立場とは無関係であると言うことができました。だからこそ、何の憂いもなく操夜様とお会いすることができたのです。
考えてみれば、だからこそ先輩はこの時期に操夜様と私を引き合わせたのかもしれません。後になればなるほど、お会いするのが難しくなっていくでしょうから。……あれ、でもそういえば先輩はそれなりの頻度で会っている様子では…。
えー、おほん。
操夜様は戦場ではまた様子が違うとのことでしたが、平時は一緒にいて安心できる、穏やかな気持ちになれる方でした。
トリニティの外であれば珍しくない……というと怪しいですが、少なくともトリニティにおいては非常に珍しい方であると言えます。
ご本人に邪気のないことはもちろんですが、まるで俗世のしがらみから解き放たれているかのような、どこか超然とした雰囲気を感じられる…それを操夜様は嫌な気分にさせないのです。
日がたつほどに、操夜様と一緒にいる時間の大せ…貴重さを実感するようになりました。
しかしこの密会は、名の知れた操夜様にとっては危険を伴う行為のはずです。そして私は政治と無関係と知りながら、政治的な立場を問うようなことをしてしまったことがあります。その時の操夜様のお言葉は、私にとっては大変衝撃的なものでした。
「俺は偉くなりたくてこうしてるんじゃない。俺の友達、普段は気兼ねなくこうやって会える人たちが、あるいは助けたいと思うだれかが助けを必要としているときに、助けられるために今の地位にいるんだ。……だからまあ、皆がいなかったら、俺も風紀委員会をやめちゃってるかもな」
「ナギサにも、大切に思う友達がいるだろ。聞いてるだけでも分かるさ……だからもし助けてほしいと思ったら、いつでも頼ってほしい。これでも本気になれば、結構頼りになるはずだぜ」
まだ何者でもなく強い導を持たない私にとって、福音のようにも思えました。操夜様のことを特別に想ってしまうことも仕方のないことなのです。
「状況をまとめよう。現在地は廃棄されたと思わしき地下施設の一室。落ちてきた穴は瓦礫でふさがれているために、脱出には別ルートの探索が必要。襲撃はおそらく計画的なものであり、間もなく敵が押し寄せてくるものと思われる。ナギサは足を怪我したため戦闘は厳しい、が俺の方は問題なく戦闘可能。場所的に救援が来るまでは時間がかかるし、最悪の場合通報がなされていない可能性もある」
うう……どうしてこんなことに…。
知る人ぞ知るという隠れた名店の話を聞き、操夜様を誘って食事に行った。雰囲気の良い店で紅茶もおいしく、なかなか期待が持てた。しかし突然店が爆発し、私と操夜様の二人だけで地下に落とされてしまった。全く突然のことだったにもかかわらず、操夜様は頭上の瓦礫から私を守ってくれた。けれど落下の衝撃で私は足を負傷し、満足に歩くこともままならない。
「申し訳ありません……こんなことに…」
ここは外郭とは言えトリニティ。それにこうして誰かと会うことに慣れている操夜様から情報が洩れるとも思えません。だからこれが私たちを狙ったものなのだとしたら、漏洩元は私側のどこかである可能性が高い。
「いーや、悪いのは襲ってきた奴らの方さ。それに俺の体調は問題ない。ナギサ一人守って脱出するくらい、なんてことないさ」
か……かっこいい……。
操夜様からはいつも、純粋な強さと優しさを感じられます。それはトリニティ総合学園にあっては、すごく難しいことなのです。だから操夜様と会うだけでときめいてしまうというのに。少し話しただけで不安や罪悪感がスッと軽くなったのが自分でも分かりました。
いつもどこか輝いて見える操夜様が、今はいつもよりも素敵に見えます。これが吊り橋効果というものなのでしょうか。
いけません…!ただでさえ好きなのに、報われる見込みのない恋慕の情があふれてしまいます!
ミカさん、助けてください!そのいつもの能天気で考えなしな言動で私に冷や水を浴びせてください!もしくはセイアさん!そのいつもの無駄に小難しくて分かりにくい物言いで私を諫めてください!
私の頭の中でミカさんとセイアさんが出てきて、どたばたと走り回るものの、あまり効果がない。
そんなことを考えているうちに、操夜様が私の前で後ろを向いてかがんだ。
「ナギサ、おぶってくよ」
「ふえ!?そ、そこまでしていただくわけには…!」
「でも、歩くの厳しいだろ。ここじゃいつどこから攻撃されるかわからないし。肩を貸すよりも、いっそおんぶしちゃったほうが咄嗟のときに動きやすいから」
操夜様が容赦なく追撃を仕掛けてくる。私はもうされるがままです…!
密着した背中は大きくて、ドキドキするのに同時に安心します。私一人ではどうしようもなく、絶望的だった窮地も操夜様がいれば不安に思うこともありません。
操夜様が手慣れた様子で放置されていただろう建物を探索していく。そうしている間も私の心臓は早鐘を打っていて、落ち着くことができません。本来なら動けないなりに周囲を確認して情報を集めたり、道順を記憶して構造を予想するなどできることはあるはずでした。
しかし思考にまとまりがなく、集中できないでいた私はただ操夜様に背負われていることしかできませんでした。
「地下6階か、結構落ちたな…。遺跡とかじゃなさそうだけど」
「そうですね、トリニティにもカタコンベなどの詳細不明な区画はいくつもありますが……場所的のも、ここは単に放棄された施設かと」
何とかそう答えます。さすがにこれ以上迷惑はかけられません!
階段を見つけたので、しっかりと手に力を込めて密着します。階段を上っている最中という不安定な状況で攻撃されたら危険です。
操夜様はここまですごく手慣れた様子で、人一人背負っているとは思えない軽快さ。このような珍しい状況にあってもパフォーマンスが下がらないとは、さすがです。
地下四階で崩れた階段を使うことを断念し、フロアの探索を始めたところで、ついに敵と接触、戦闘が始まりました。
次々と現れるどこかのヘルメット団を丁寧に撃破していく操夜様。探索のときと同じく、その動きに淀みはありません。慌てず騒がず安全に、それも弾薬の消費も少なく抑えて進んでいきます。
あちらはもしかしたら私たちがあそこまで深く落ちてしまったことが予想外だったのかもしれません。施設の耐久性と爆薬の量を見誤った結果、待ち構えていた場所とは違う場所に落ちてしまった。可能性としては大いにあり得ます。
操夜様であればもし爆破直後に囲まれていたとしても、何とかしていただろうと私は確信してしまっていますが…。
「お、割とできるのが出てきたな」
「あれは…!腕のいいことで有名な傭兵です!おそらくはコードネーム"へラグ"、"アンセル"、"マトイマル"の三人」
「ああ、名前は聞いたことある。ナギサは隠れてろ」
何故か命令されただけでお腹のあたりがキュッとしました。操夜様!相手より先に私を倒さないでください!
戦場は柱と放置されたデスクがいくつかあるかなりの大部屋。天井は露出した空調や配管が複雑な凹凸を作り出している。対する相手は後方から出てきた傭兵三人と部屋中に散開した多数のヘルメット団。
私は部屋には入らず、入り口横に身を隠します。距離もありますし、簡単には壁を抜かれたりもしないはず。
操夜様は部屋のあらゆるものを足場にして走り回ります。まるで操夜様だけが重力から解き放たれているかのように、配管だらけの天井を走り、そして次々とヘルメット団を撃ち抜いていきます。
あまりに変則的で素早い動きに天井の凹凸も合わさって、操夜様への銃撃はかすりもしません。
そのままヘルメット団をおおよそ倒し、残ったのは傭兵の三人。
先ほどから操夜様が避けなければ当たっていただろう位置に、スナイパーライフルで後方から狙撃を繰り返しているへラグ。右翼から進行を阻む位置に陣取ったショットガンを持つマトイマル。左翼から双方を援護できる位置に隠れたアサルトライフルのアンセル。
その強さから、裏社会では名の知れた傭兵グループ。
しかし戦いは、一方的なものとなった。
「炎は踊る、人の社会の見上げる先で」
操夜が小さく歌い、神秘的で小さな緑色の光が瞬くと、放った一発の弾丸が異常な業火を生み出した。
中の様子も分からぬ分厚い炎であったが故に誰にも気づかれぬことであったが、飲み込まれたマトイマルはその業火から抜け出すために体当たりし、ショットガンを放った。しかし全身を焼かれ息もできず、それでも試したことはすべて無為に終わり、抜け出すことは叶わなかった。
焼かれたマトイマルを助けるために動こうとしたアンセルは、顔を出した瞬間に眉間を撃ち抜かれて気絶した。その時操夜の銃、「
最後に残ったへラグは、すでにまともに撃っても当たらないことを悟り、牽制射撃に重きを置いていた。撃っても当たらないが、操夜の先の行ってほしくない場所に対して撃てば、操夜はそこを避けざるをえないからだ。
だからこそ苦しい戦いを承知で多勢に無勢、数で押して消耗させる作戦に出たが、結果的に味方の方が先に全滅することとなった。
元より操夜は出会った直後からへラグに対して一等警戒を払っており、常にへラグを意識し続けていた。つまりへラグは操夜の意識リソースの一部を奪い続けることに成功していた訳だが、如何せん仲間の層が薄かった。
「なぜ人はむなしい努力を続けるのだろうか」
へラグと一対一、操夜が誰にも聞こえない中で小さく歌う。美しい煌めきが今日一番の広がりを見せる中、放たれたバースト射撃が命中し、戦いが終わった。
かなりの強さのはずの傭兵三人を撃破した後は操夜様の障害といえるようなこともなく、無事に地下を脱出。
あの後「急ごう、あれがダース単位できたらさすがにキツイ」なんて言われたときはさすがにミカさんの顔が浮かんで、何かのボケかと思ってしまいました。
単に街中でからまれた程度では戦いにもならず、今まで操夜様がまともに戦うところを見たことがなかっただけに今回の件は圧巻でした。終わってみれば私を含めて、足の傷以外かすり傷一つありません。話には聞いていたものの、実際に目の当たりにすればやはり話に聞くのとは違うものです。
神秘的な煌めきを実際にこの目にできたこともあり、悪い気分もなくなって操夜様の背中を満喫してしまいました。
いえ、次こそは操夜様をおもてなしして、しっかりお返ししなければ!
作者、気づいた。操夜先輩はまともに戦闘しようとしたら横にヒナがいちゃいけないんだって。原作ヒナだってまともに苦戦するためには事前に巡航ミサイルでも降ってこないといけませんでしたから、そりゃ二人並んでたら敵なしだよねって。
もしくは、ゲマトリア級かそれ以上の敵をだすか。
あと文字色とか変えてみましたが、これ夜間モードだと反転されますよね…。まさかそんな問題があるとは…。ばにたす…。
ヒナ視点の操夜しか出ていないせいで全然操夜の内心とか設定とか出てこない訳ですが、操夜関係の話は見たいでしょうか?無糖ですし、操夜が起こすことともあまり関係ないし、独自設定が結構あるので書くべきか悩ましく。どうでしょうか?
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いらない
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少しは欲しい
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見たい!
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どれでもいい