知り得たか?フハイの賢老、クヴァールを(本編完結)   作:月光好き

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※クヴァールさんの1人称は言ってないと思い「吾輩」としていましたが、今際の際に「わし」と言っていたことが判明したため、修正しました。


平日はどうしても更新速度が落ちてしまいます、申し訳ない。


『その名の所以』

 

 

「フリーレン様、質問してもよろしいでしょうか?」

「ん、どうしたんだいフェルン」

 

 

旅の途中、ある日の朝。

 

焚火の後片付けをしつつ、ここ最近浮かんでいた疑問。普段なら心の中に仕舞い込むそれを、()()()()()()尋ねたのが始まりだった。

 

 

「今向かっている先、そこには何があるのですか?」

「……珍しいことを聞くね」

「フリーレン様の様子が、いつもと違うので」

 

 

それに気づいたのは、偶然だが必然でもあった。

 

いつもと同じように見え、いつもと同じように行動し、いつものように魔法の修行に付き合ってくれる。

 

そこだけを考えると何もおかしくはない。しかしある一点、その違和感だけが心にしこりを作っていたのだ。

 

 

「いつもと?……いや、何も変じゃないと思うけど」

「いいえ、変です。何故なら……フリーレン様、3日連続ですよ」

「3日?」

 

 

フリーレンは首をかしげる。心当たりを探そうとしているが、どうやら気づいていないようだ。

 

ならば教えてあげなくてはならない。フェルンはそう再認識し、両手をぐっと握って力強く口を開いた。

 

 

「はい。この3日、フリーレン様はすべて自力で早起きしていらっしゃるのです」

「フェルンは私を何だと思っているのさ」

「フリーレン様です」

「そうじゃなくてね……」

 

 

フリーレン様=朝起きられない。

これはフェルンの中での常識だった。だからこそ稀に彼女が早起きできた時、全力で甘やかすことで早起きを促そうとしていたのだ。

 

そして2日前に早起きした時は全力で褒め、昨日起きた時はそれはもう喜んでお世話した。

だが今朝も早起きした時、喜びよりも先に違和感が襲ってきたのだった。

 

 

「もしかして眠れないのですか? フリーレン様にもそういう日が?」

「その件はあとでゆっくり話し合おっか。……うん、でも」

 

 

もしかしたら合ってるのかも、そう言いながらフリーレンは支度を終える。そのまま歩きだしたのを見て、フェルンも後ろに続きながら彼女が続きを話すのを待った。

 

 

「次行く場所の目的なんだけど、とある魔族の封印を確認することなんだ」

「封印、ですか?」

「うん。……腐敗の賢老クヴァール、80年前に私たちと戦い、その時に封印した」

 

 

フリーレンは歩きながら淡々と話す。その時の光景を思い出しているのかどこか遠くを見つめるようなまなざしで。

 

 

「封印……。倒さなかったのには、何か理由があるのですか?」

「単純だよ、クヴァールが強かったんだ」

「……ッ」

 

 

目的地に向かって歩く。淡々と穏やかな様でありながら、フリーレンが杖を握る手から僅かに音が聞こえるような気がした。

 

 

「あの日、私たちは勝てなかった」

 

「クヴァールが開発した人を殺す魔法(ゾルトラーク)は、史上初の貫通魔法。防御魔法や装備の魔法耐性を貫通し、確実に人を殺すそれは、奴と戦った冒険者・魔法使いの()()()()()()()()()()と言われている」

 

「奴と相対して生き残った者はいない。故に負け知らず……不敗でもある腐敗の賢老、それがクヴァールだ」

 

 

淡々と、衝撃の事実を話すフリーレン。

その内容を徐々に咀嚼し、意味をくみ取った時。フェルンはなぜ彼女がこんなに落ち着いているのか理解できなかった。

 

 

「そんなの……そんなの強すぎます」

「うん。でもその強さが仇になった……と、言いたいんだけど」

「フリーレン様?」

「……まぁこれはいいか。ともかく、そのクヴァールの封印状況を確認するのが今回の目的。本来ならあと数十年は持つ代物だけど、嫌な予感がするんだ」

 

 

だから気が張っていたのかもね。そうぼやきつつ、それでもフリーレンは歩を進める。

 

 

「では、ここ最近防御魔法の練習をずっとしていたのも」

「そういうこと。本当ならアイゼン……前衛で戦ってくれる人と一緒にやりたいんだけど、その時間がない可能性も捨てきれないんだ。その時のためにも、今のうちに動きを確認――」

「しかしフリーレン様。人を殺す魔法(ゾルトラーク)の前で防御魔法は意味をなさないのでは?」

「――――」

 

 

ピタリ、とフリーレンの足が止まる。

そしてゆっくりとフェルンのほうへ振り返り、半目で呆れたように口を開いた。

 

 

「……フェルン、渡しておいた魔法史の本読んでないでしょ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……急がなきゃ」

 

 

朝日が差し込む時間帯。森の中をフェルンは全力で駆け抜ける。

 

あの後、彼女は道中何事もなく村に送り届けることができた。

しかし夜も更けてしまい、村人たちの制止とフリーレンからの指示もあって、早朝を待ってから出発したのだ。

 

 

「フリーレン様……!」

 

 

昨日見つけた目印を確認しつつ、可能な限り早く移動する。

森の上を通るという選択肢もあったのだが、昨日は地上を移動していたため、万が一にも迷わないよう彼女は地上ぎりぎりを滑空することを選択していた。

 

 

「ここを進めばもうすぐのはず――――」

 

――来たか、随分と早いのう――

 

「ッ、クヴァール!」

 

――こちらだ、間違えるなよ?――

 

 

頭の中で声が響く。さらにまるで狼煙を上げるかのように、とある方向から異質な魔力が滲み出ているのを感じ取った。

 

すぐさま進行方向を修正し、駆け抜ける。そして見覚えのある石門が見えたところで魔法を解除し、あの石像の前に立っている彼女の元まで駆け寄った。

 

 

「フリーレン様!」

「フェルン、早かったね。ちゃんと朝になってから出た?」

 

 

フリーレンは答えるがフェルンのほうを見ることはない。彼女の注意は常に、前方の石像に向けられている。

 

 

――全く、結局力は溜めなんだか。……まぁよい――

 

 

ビシッ

 

 

声の後、正面から何が割れる音が聞こえる。

 

 

「これは……」

「…………」

 

 

 

 

 

ビシッ

 

 

「おぬしの予想は正解だ、フリーレン」

 

 

声が響く。今までのように頭の中でくぐもったような声色ではなく、はっきりと。

 

 

「意識が戻った以上、いつでもこの封印は解けていた。全身石化とは言え、思考が回せるということは脳が戻ったということだからのう」

 

「こうして蝕めば、石とて瞬く間に崩れ去る」

 

 

ビシッ

 

 

石像の表面に罅が入る。

そしてそれは急速に拡大していき、遂に全身を覆った。

 

 

「多少いじくる必要はあったが……それは些事だ」

 

 

ビシッ

 

 

「――では、始めようかのう」

 

 

そして色を取り戻した魔族は、心底楽しそうに口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「早速だが、みせてもらおうか」

 

 

そう言いながら、右手を向ける。

いつものように気楽に、それでいながら必殺の意思を込めてその名を呟く。

 

 

人を殺す魔法(ゾルトラーク)……!」

「フェルン、――――」

 

 

収束した魔力が、貫通属性を持って二人へ迫る。

フリーレンが何か指示を出したようだがその内容は聞こえず、魔法が着弾した。

 

大きな煙が視界を埋め尽くす中、ひと時も油断せずに前方を観察する。

 

いつもならばとっくに終わっている事だろう。

いつものように人を殺す魔法(ゾルトラーク)が相手の防御魔法を貫通し、いつものように命を奪っているはずだ。

 

 

 

 

 

「ほぅ、防いで見せたか」

 

 

――だがしかし、それが80年前の常識であることを彼は知っている。

 

視線の先、土煙が晴れた視界には無傷の二人が映っていた。

 

 

「随分と高度な防御魔法だのう、まるで人を殺す魔法(ゾルトラーク)を防ぐためだけに組み上げたような……」

「…………」

「……どういうことですか、フリーレン様」

 

 

観察している中、フェルンは疑念を隠せずにフリーレンへ尋ねる。

当然の疑問だ。伝え聞いていた人を殺す魔法(ゾルトラーク)、その恐ろしい能力を持つ魔法がどんなものか警戒していたら、余りにも見知った魔法だったのだから。

 

 

「……今のは、一般攻撃魔法です」

「そう。それが所謂人を殺す魔法、ゾルトラークだよ」

「……一般?」

 

 

聞こえた内容に反応し、思わずつぶやく。

それを聞き取ったのだろう。フリーレンは杖を下ろし、クヴァールにも聞こえる音量で口を開いて説明した。

 

 

 

曰く。クヴァールの封印後、大陸中の魔法使いが人を殺す魔法(ゾルトラーク)を解析した。

 

曰く。数年で人類の魔法体系に組み込まれ、防御魔法はより高強度に、装備の魔法耐性はより高性能になった。

 

――曰く。人を殺す魔法(ゾルトラーク)は人を殺せぬようになり、今では一般攻撃魔法と呼ばれている、と。

 

 

 

 

 

「………………」

「80年は人間にとって相当長い時間らしい。誰も対策できなかった魔法が、基準となるまでに」

 

 

その内容を聞き、クヴァールは口元を覆うように手を添える。そのまま黙っているのを尻目に、フリーレンは言葉をつづけた。

 

 

「クヴァール。大人しくしているなら、楽に殺してやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カカッ」

 

「クハハハハハハハハハハハハッ!!」

 

 

クヴァールが手を口元からどける。

その口は、まるで三日月のように大きく吊り上がっていた。

 

まるで抑えきれないほどの激情に駆られているかのように笑い続け、少しずつそれが収まっていく。

そしてようやく笑い声が響かなくなった時、静かにクヴァールは右手を出した。

 

 

「……攻撃魔法に同調し、威力を分散させる仕組みか。複雑な術式じゃのう」

「ッ!」

 

 

指先を立て、クヴァールは当然のように防御魔法を展開してみせる。

 

それを見たフェルンは思わず目を見開いて驚愕した。

この魔族は人間が数年かけて組み上げた新たなる防御魔法を一度見ただけで解析し、その手に再現して見せたのだ。

 

 

「正面から受け止めるのではなく、無害になるまで分散する。素晴らしき発想だ」

 

 

積み重なる障壁を展開しつつ、ゆっくりと数を減らしていきながら呟く。

 

まるで何かを確かめるかのように、まるで何かを味わうように。

 

 

「全く以て……人間というのは、これだから面白い!!」

 

 

そう叫びながら、障壁を握りつぶす。

 

その様子をしばし観察しながらクヴァールは再び二人のほうへと視線を戻し、次の行動のために構えながら口を開いた。

 

 

「――しかし、さぞかし魔力消費は大きい事だろうよ」

「やっぱり防御魔法の弱点に気づいたか。……フェルン、あの時言ったことは覚えてる?」

「ッ、はい!」

 

 

複数展開された魔法陣を見て、フリーレンは次の行動を選択する。

そして声をかけられたことでフェルンも己の役割を再確認し、彼女の前に立って身構えた。

 

 

「次はこうだ、どう対処する!?」

 

 

そう言いながら放たれるのは、()()人を殺す魔法(ゾルトラーク)

先程放たれたものより一回り程規模が小さくなったそれは、圧倒的な手数を持ってフェルンへと殺到する。

 

 

 

 

 

「――――ッ」

「流石だな、良いぞ!」

 

 

しかし、それに対してフェルンは防御魔法を分割することでさばいてみせた。

 

数は最小限に、それでいて展開時間は最短に。

 

視界範囲内から殺到する人を殺す魔法(ゾルトラーク)、その到達する順番を即座に判断して防いでいったのだ。

 

 

「カカッ……ならば!」

 

 

その様子を確認したクヴァールは上がる口角を抑えきれずに笑うが、状況を変えるため次の手を打つ。

 

人を殺す魔法(ゾルトラーク)のうち、一発をあえて防御魔法の範囲外で着弾。お互いの視界を煙で埋め尽くした後、右手を突き出して収束させた一撃を放った。

 

 

「…………」

「惜しいのう、今の防御を続けていれば砕けていたろうに。……いや、ここは流石と言うべきか」

 

 

未だに煙で互いの様子は確認できない。しかし感じ取れる魔力から判断し、いまだにフェルンが健在であることを察したクヴァールは呟く。

 

そしてその直後、先程から動きを見せていないもう一人の存在に感づいた。

 

 

「――ッ、飛べるようにもなったのだな。面白い!」

 

 

フェルンの頭上、ちょうどクヴァールの視界外に位置する場所で展開された巨大な魔法陣。

 

その攻撃の予兆を感じ取ったクヴァールは声を上げながら、静かに笑う。

 

 

 

 

 

「良い手だ。だが、これはどうかな?」

「――――」

 

 

フリーレンの頭上。

彼女の後方から、人を殺す魔法(ゾルトラーク)が3つ接近していた。

 

 

「ッ、フリーレン様!」

「遅い!」

「うぐっ!」

 

 

即座にフェルンが浮遊魔法を使って接近しつつ防御魔法を展開しようと動くが、その起点を潰すように人を殺す魔法(ゾルトラーク)が放たれる。

複雑な軌道を持って迫るそれに対応するために、フェルンは浮遊魔法を中断せざるを得なかった。

 

仕組みは単純。先程大量に放った人を殺す魔法(ゾルトラーク)、その中に特定のタイミングで指定された存在に向かうよう調整されたものが混じっていたのだ。

 

 

それを土煙で見えないよう放ち、その中に潜ませる。

そしてフリーレンがクヴァールを倒す何かしらの魔法を放つ直前、最も対処がしにくい瞬間に認識できない視界外からの攻撃を可能とさせたのだ。

 

 

「終わりだ、フリーレン!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――もし、これに対処ができるというのならば。

 

 

「そうだね、これで終わりだ」

 

 

それは、その思考すら読み取って見せることくらいだろう。

 

 

「ッ、まさか!?」

 

 

着弾した。しかし、何かに弾かれた音がした。

 

視線の先に防御魔法は見当たらない。フェルンも地上に降り、その様子から防御魔法を展開しているわけではない。

 

詰まる所、彼女は……フリーレンは。

当たる直前、まさにギリギリの位置で防ぐように防御魔法を展開していたのだ。

 

なぜそんなことを? 一瞬思考したが、即座に気づく。

 

これだ。この思考による行動の妨害こそ、彼女の狙いなのだと。

 

 

魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)

「ッ、人を殺す魔法(ゾルトラーク)!」

 

 

ほぼ同時に放たれた二つの光線。

互いの中心でぶつかり合い、大きな衝撃波を放ちながら拮抗する。

 

 

 

しかし、それは数秒だけだった。

 

 

「この威力は……!」

 

 

フリーレンが放った白い光線が、黒い光線を徐々に飲み込んでいく。

耐えるようにクヴァールは足を踏みしめて両手を突き出すが、その顔に先程までの余裕はない。

 

 

「儂の魔法をイジッたか、フリーレン!!」

 

 

すぐに気づく。フリーレンが放った魔法は魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)であって人を殺す魔法(ゾルトラーク)ではない。

 

改良がくわえられたそれは弾速も威力も向上しているようで、やがて黒い光線は完全に飲み込まれてしまった。

 

 

「――――あぁ」

 

 

そしてその勢いのままクヴァールのもとに迫り――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わっ……た……?」

「…………」

「フリーレン様、ご無事ですか!?……フリーレン様?」

 

 

声が響く。

 

先程までの喧騒が嘘のように静まり返った崖の上。

彼女の声に交じった感情が何かうっすらと察しつつ、先程の光景を思い出す。

 

 

「思えば、やっぱり変なんだよ」

 

人を殺す魔法(ゾルトラーク)。お前が開発した魔法は余りにもきれいに構築されていたから直ぐに人間の魔法体系に適応し、進化を促した」

 

「そして私も人を殺す魔法(ゾルトラーク)を研究し、魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)に改造した」

 

「すごく使いやすいし、そんなに時間もかからなかった。何せ構築が綺麗にまとまっていて安定していたから、多少未熟な魔法使いでも新たな要素を追加するのは難しい事ではないと思ったよ」

 

 

先程の攻防。我ながら上手くいったと思っていた。

 

途中まで彼女たちの予測に沿った行動をとることで油断させ、ここぞというタイミングで隙を狙う。フリーレンはともかく、フェルンは実戦の経験がまだ少ない。素早い判断力を持つとはいえ、予想外のことが起きた時の判断の切り替えはまだ慣れていないはずだ。

 

そう予測を立て行動し、彼女からの防御魔法による援護を防ぐ。この予測もまた合致しており、これ以上ない道中を描くことができていた。

 

……だがまさか、この戦況をフリーレンが予測していたとは思わなかった。

 

自分の攻撃が成功したという確信、最も油断が生じやすいその瞬間を作るため、彼女はあえて私の策に乗りつつ高リスクな防御方法をとって見せたのだ。

 

 

「……そう。簡単すぎたんだ、あまりにも」

「……え」

「まるで、改造するのを前提にしているかのようにね」

 

 

あぁ、やっぱり彼女はすごいなあ。

 

未来を知っているなら、完封できるのではないか。

そんな甘い考えは80年前に捨て去ったと思っていたが、心のどこかに残っていたみたいだ。

 

 

 

 

 

「この状況も狙っていたんだな、クヴァール」

「……狙ってはいないさ。儂が信じたのは、可能性だ」

 

 

煙が晴れ、ゆっくりと立ち上がりながら、私は返答する。

 

自分の状況を確認する。

全身ボロボロだが、死んではいなかった。先程とっさにとは言え人を殺す魔法(ゾルトラーク)をぶつけておいたおかげで、致命傷になる程度まで威力を抑えることができたみたいだ。

 

 

「80年。儂やおぬしにとってはあまりにも短い時間だが……人間にとってはその限りではない」

 

「貪欲に吸収し、己の力とする。そうして魔族と戦い続けてきた種族ならば、儂の魔法も糧とするだろうと思っていただけの事よ」

 

 

とは言ったものの、正直に言うなら悔しかった。

 

原作知識と言う特権。

それを用いていながら、クヴァールを象徴する人を殺す魔法(ゾルトラーク)でフリーレンを倒すには至らなかったのだから。

 

 

 

 

 

だから、ここからは私の意地だ。

 

原作でどうだったのかは知らないが、この世界の私はまだ手札を持っている。

あの日から自分にできることは何かを考え、積み重ね続けてきたのだ。

 

――全ては、不敗であるために。

 

 

「素晴らしいぞ、フリーレン。お前の魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)は純粋な上位互換だ、儂の人を殺す魔法(ゾルトラーク)ではもう太刀打ちできまい」

 

「素晴らしいぞ、フェルン。防御魔法の展開速度、更に状況判断能力、どちらもよく練り上げられている。経験を重ねれば、より高みへと至れるだろう」

 

「――だからこそ、こちらも手を明かす。儂の全てを以て、ミせてやろう」

 

 

 

 

 

知ってるか、二人とも。

 

人を殺す魔法(ゾルトラーク)、あれは(クヴァール)が開発した史上初の貫通魔法なんだ。

 

 

 

……そう、開発したんだ。

 

つまり、()()使()()()()()()()()()()()んだよ。

 

 

 

見せてやろう、友人以外に見せるのは初めてだ。

魅せてやろう、今生における私の二つ名……そのもう一つの所以を。

 

 

「――――ゆくぞ」

 

 

 

 

 

万物を腐敗させる魔法(エオニア)

 

 

 

 





感想・評価共にありがとうございます。

えーと……なんかどえらいことになっており混乱しております、作者です。
このあとがきを書いている時点で総合評価1000越え、UA10000越えを達成しています。クヴァールさんの人気はやっぱすげえや。

これからも思うまま書いていくので、よろしければどうぞお付き合いください。


※わかりづらいと思ったので二つ名事情
①主人公:不敗の賢老。原初の魔法から腐敗もかけ合わさっていると思っている。
②魔族:腐敗の賢老。積み上げた功績から不敗の意味も持ち始めている。
③人間種:腐敗の賢老。彼と相対したものは肉体を残さず死亡していることからこの二つ名がついた(という設定)。強すぎて誰も勝てなかったので不敗の意味も持つようになっている。

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