いつも通り、超能力部に集まる。
みんないつも通り、のんびり過ごして……ん???
ソファに座っている香蔵さんと狸吉さん。うん。
いつも通り、パソコンと睨み合っている黎矻先生。うん。
私の隣に立って、金之助くんを見ている鬼円。うん。
なんかよくわかんない段ボールを積み上げて手を合わせている金之助君……。うん。
なんか一人だけ、おかしくない??
「き、金之助、オメェ、それなんだ……?」
「墓っす」
「誰の?」
「快弦さんのです」
「不謹慎だボケ!!!」
鬼円が怒る。そりゃまぁ、たしかに不謹慎極まりない。いや、それもそうなんだけど。
なんでみんな止めてないんだと思いつつ、金之助くんに近づく。
「写真は……」
お祭りに行ったときに取られたであろうものが貼られてあった。
笑顔の快弦ちゃんなのだが……なんというか、うん。
「これ、片付けよっか……」
『ほんとよ、私を勝手に殺さないでよね』
「ほら、快弦ちゃんもこう言ってるし」
ねぇ。ほんと不謹慎だよね…………
「「「「ん?????」」」」
『なによ』
みんなで快弦ちゃんらしき何かを見て固まる。
ふよふよと私の方の上で浮いているそれは小さな快弦ちゃんに似ている……というか、まんまそれで……
「あ、え? ゆ、幽霊……?」
『違うわよ、私だよ快弦……顔も忘れちゃったわけ?』
たしかに。私の眼の前で死んだはずの快弦ちゃんが、そこにふよふよと浮いていた。
ど、どうして……? 快弦ちゃんは、だって、あいつ、アクゼリュスに殺されたんじゃ……!?
『まぁ、無理もないね。実際死んだわけだし。先生にも伝えて、私が今から、あいつらのこと……【
快弦ちゃんはそう言って、テーブルの上に座るのだった。
◇◆◇
「てかまって、なんでナチュラルに復活してるわけ?」
『そこも説明するの? めんどくさ……』
いや、結構そこ大事だと思うんですけど。
快弦ちゃんは、私を指さした。私になにかあるのだろうか。
『春乃先輩の中に入ってた』
「え、そうなの!?」
私は知らなかったことだ。快弦ちゃんは口を開く。
『能力がないのに、能力が見えるのは特別、って話、した?』
「なに?」
私はそれを聞いて首を傾げる。私に知らない話だ。
能力とは、ひとつのコップのようなもの。
コップの中にある中身、それこそが能力である。普通の人間には、そういったものがないらしい。
私の場合は特別で、コップがあるのに
コップの中身がない、だからこそ、快弦ちゃんが中にはいれるスペースが出来た、ということらしい。
「私にそんな力が……」
だから、私、あんな化物みたいな力が使えたんだ。
もしかして、アクゼリュスと戦った時の声も、快弦ちゃんだったんだ。
「ありがとう、快弦ちゃん」
『……別にいいわよ。……さて、話を戻すね』
『クリフォトの樹』とはなにか。
ユダヤの神秘主義カバラにおける悪の勢力もしくは不均衡な諸力を表す概念である、と快弦ちゃんは説明を始めた。
太陽と月が分離した際に月が内部の光を隠すために上下の殻……クリフォトで覆ったと説明されている……らしい。
『私達はそれぞれの名前をつけた。番号なんかもね』
あれか。6iってやつ。
快弦ちゃんことカイツール、もクリフォトの樹の名前から取っているんだとか。
『そして、それぞれの名前には悪魔が宿っている』
「悪魔……ルシファー、とかか?」
快弦ちゃんは、名前を並べた。
1i サタンのバチカル
2i ベルゼブブのエーイーリー
3i ルキフグスのシェリダー
4i アスタロトのアディシェス
5i アスモデウスのアクゼリュス
6i ベルフェゴールのカイツール
7i バールのツァーカブ
8i アドラメレクのケムダー
9i リリスのアィーアツブス
10i ナヘマーのキムラヌート
「あいつら、たしかに名乗っていたな」
「うん」
私達があったことがあるのは……キムラヌート、ツァーカブ、カイツール、アクゼリュスだ。
『この中でも、アィーアツブスは、私が入ったときには殺されていた』
「な、るほど……」
私はそれを見て汗を垂らす。
これ、順番が上の方だと強いってことだよね……。
「あいつらより強い、か」
「うん」
もしも、私達が奴らと戦うことになったら。
私は、ゴクリとつばを飲む。そこで、狸吉さんが手を上げた。
「奴らの、目的は? なんなの?」
『……ひとつしかない』
快弦ちゃんはそう言って、汗を垂らしていった。
『虚無の世界に地球丸ごと連れていく、それしかない』
「虚無の、せかい?」
私は、その言葉がわからずにオウム返しに聞く。
快弦ちゃんは、私を見て頷いてから喋りだす。
『虚無の世界ってのは、その名の通り何も無い世界……ただ虚しくあるためだけの世界なのよ』
「なんで、そんなこと……」
『さぁ、それは私にもわからない』
快弦ちゃんはそう言って首を横に振る。
そうか、快弦ちゃんでもわからないのか……。
「んん〜〜〜!! 情報量が多い!!
「私にもわからないよ、こんなの……」
私達は各々首を傾げる。
どうすればいいのか、どう対抗すればいいのか、わからない。
しかし、鬼円と金之助くんは一緒に見る。
「ぶっ飛ばせばいい」
「殴り飛ばすッス」
ふたりとも脳筋……と思いながらみんなで苦笑して……私たちは香蔵さんを見る。
香蔵さんは顎に手を当てて…………頷いた。
「世界を救う……って言えば大げさかもだけど。私たちで、倒そう。そんな野望!」
私や鬼円、狸吉さん……超能力部のみんなは頷いた。