超能力部のみんなが返った後、その場には金之助と快弦が残っていた。
快弦は黙り込み、金之助は、彼女を眺めていた。
快弦は、そんな金之助を睨みつけていて……。
『何よ』
「いや、なんかちっちゃくて可愛いなぁっと……」
『はぁ!!?』
ぷんぷんと怒り出す快弦。
そんなものをみて、金之助は笑う。それを見て、快弦は怒りつつも……ふふっ、と笑う。
『また、会えるとはね』
「それは俺のセリフっす」
快弦の言葉を聞いて金之助は言って微笑みを浮かべる。
金之助にとって、彼女は心の支えになっていた。まさかこんなところで再開するとは夢にも思わないだろう。
しかし、今、たしかに目の前にいるのだから、人生とは何が起きる変わらないものである。
金之助は、ひとりでに口を開く。
「快弦さんが死んでから、すげぇ泣いたっす」
『…………』
快弦は黙り込み、金之助に近づく。
金之助はそんな彼女を見て、手のひらに乗せる。そうして、彼女を見つめ続けて……。
「俺、守れなかったって」
金之助はそうこぼして、ぽと。ぽとぽとと、机が濡れる。
そこには、友達想いな、優しくて強い金之助はおらず、ただただ、大切な人が目の前にいて、懺悔しているだけの青年になっていた。
快弦は、金之助の顔を見て、息を呑んだ。
『……あんたが泣いてるの、初めて見た』
そう呟いて、彼の顔を見たまま、何も出来ずに固まっていた。
「快弦さん、一人で悩んでたのに、俺は、気づいて、あげられなくて……俺は、快弦さんを……つるめ、さんも……」
ぽろぽろと、机に涙がこぼれる。
金之助は、涙を止めず……いや、止められず、そのまま続ける。
「ずっと、後悔して、ずっと、心に、残ってて、それで……」
『……ばっかね』
快弦はそっと言ってから、彼女は、空中に浮いて、金之助の頬を撫でる。
『裏切るつもりだったのに、ここ、馬鹿みたいに人に親切するんだから』
快弦は言って……ふっ、と笑う。
それを見て、金之助も……優しく笑う。顔はぐちゃぐちゃで、それなのに。なぜか、心地よくて。
『あなたのこと、好きになっちゃうじゃない』
快弦はそういって、顔をほんの少しだけ赤らめる。
告白だった。不器用な告白で……それでも、ちゃんと、聞こえるように。金之助がそれを聞けるように。はっきりと、彼に伝えた。
それを聞いて、彼は……
「知ってるっす。俺も……好きっすから」
……金之助も口を開いて、言った。
その言葉に、更に顔を赤くさせて、パクパクと口を動かす快弦。それを見て、金之助が微笑む。
「ずっと、目で追いかけてたっすから。きっと、好きなんだなぁって」
『は……な…………え……』
「ふふ、変な顔してるっす」
金之助はそう言って、彼女のことを撫でる。
小さいから、人差し指だけで撫でる。ころころと、動いて……。
「なんか、団子こねてるみたいっす」
『次それ言ったら絶交だから』
「ご、ごめんなさい……」
そう言いながらも、撫でられて気分がいいのか笑顔を作る快弦。
そんな快弦を見て、ようやく自分の中のものを消化できた、金之助であった。
『まさか、あんたに恋するとはね……私って、ちょろいのかな』
「? 快弦さんはチョロくないんすか?」
『どういう意味だコラ』
快弦はプンプンとまた怒り始めて、金之助がまた、それをなだめる。
そんな光景は、二人にとって慣れたものであり……そして、かけがいのないものであって……永遠に二人をつなぐものでもあった。
『……それと、聞こえてたから』
「? 何がっすか?」
「あいつ、倒した後の」
金之助は思い出そうとして、固まる。
『……快弦さん。終わったっすよ』
あれか、と思い立った金之助は、汗を垂らして手を振る。
「いやいや、聞かなくても良かったのに!」
『春乃が近くにいるんだから仕方ないでしょ!』
そういって、金之助のことを軽く叩いて、金之助の方に顔を押し付ける。
ぐす、っと声が響く。
『最高に……最っ高に、かっこよかった』
それだけいって、金之助の指が、快弦のことを撫でる。
ちゃんと、しっかり、しっかり、その存在を確かめるように。
遠くで響いている、帰宅していく運動部の声を聞きながら……二人を夕焼けがながめるのだった。
ゆっくりと……時間が、進んでいく……。