しばらく待っていると、蟹菜ちゃんがげっそりして出てきた。
「これは自論だけど……歩くタイプはバカ怖い」
「何があったの、なにを見たの……!!?」
私は蟹菜ちゃんの様子にガクガクしながら汗を垂らしまくる。
鬼円はズンズン行くし……ちょっと待ってくれても……! 鬼円はそんな私も知るよしもなく、中に入っていった。
「おお、歩くのか」
「っ……!? い、今、なんかいなかった?」
私は鬼円の隣で歩きながら周りを見る。
暗いし、いや、当たり前なんだけど……。なんか湿っぽいし、これも、うん、当たり前なんだけど……。
とにかく、怖いのがビンビンと伝わってくるし……。
そんなこんなで、今度は墓地のような場所に来る。
地面ががさり、と動いて……手がいきなり出てくる。とはいえ、遠くのほうだし、大きい音もないし……と思っていると、いきなり小粒の水が肩らへんに落ちてきて、雷のようなでかい音が鳴る。
「いっ……!!?」
その瞬間に、どこから現れたのか、私の足を、強くガシッと掴んでくるゾンビが見えた。
まるで獲物を見つけたと言わんばかりに、ニタァ……と笑ってきた。
「いやあああああああ!!?」
「あ、おっ、おい!」
鬼円に飛びかかり、抱きつく。
怖い無理! 鬼円は背中に手を回してきて、舌打ちしてから歩き始めるのだった。
……数歩歩いたところで明かりが見えて、小さな小部屋につく。
私と鬼円はそこでようやく離れた。
「ご、ごめんね……」
「大丈夫だ。それに、あいついつの間にいたんだ……気配がしなかったからな……」
鬼円、そこは感心するところじゃ……。
そう言おうとしたときに、部屋の明かりが、バチッと音を立てて消えて、扉がバタンとしまった。
「……ぇ? う、うそ……!!?」
私は扉に近づいてドンドン! と叩く。
「なんで閉まるの!!?」
「そういう演出じゃねえのか……?」
私は鬼円の言葉を聞いて腕を振るのを止めて、少しだけ顔を赤くする。
いかん、必死になりすぎた……。そうだよ、ここはお化け屋敷……本物じゃないし……。
私はそう思いながらも鬼円の近くに寄る。
……いや、別に。暗いし、はぐれたら大変だし……。
「ね、ねぇ、なんかきこえない?」
「ああ……?」
私が言うと、鬼円は音の聞こえる方を見る。
なんか、おおおお……って、ゾンビみたいな音が聞こえるし……。
「行ってみるか」
「やめよ!!?」
てか、いつまでここに閉じ込められて……!
と思った瞬間だった。ガチャっと扉が開くとそこには……顔が溶けたような緑色の肌をした化物が立っていた。
私はそれを見てまた悲鳴を出しながらその場を走るのだった。
◇◆◇
「お前な、急に走るな。見失うだろうが」
「ごめん……」
私は鬼円に怒られながらもトボトボと歩く。
もうヤダ……帰りたい……そうため息を吐くがそろそろ終わりそうな雰囲気が見えてきた。
外のような風景が見えてきて、暖簾が見える。
「もうおわりか」
「速く速く……!!」
私は鬼円よりも先に出ようとして……目の前から急に出てきた女の子に固まる。
ててて、て、天井から、天井から!!?
「な、ななななん、なん……!!?」
「落ち着けよ」
私は鬼円の後ろに回り、がくがくと顔を青ざめていた。
その天井から落ちてきた子はガバっと立ち上がり、私を見てクスクスと笑って耳元に駆け寄ってきた。
「13万人目のお客さんだ……♡」
彼女はそう言うと、クスクスと笑いながら後ろを通っていって、消えてしまった。
何だったんだろう。いや、しかし……怖かった……。
「……あれも、怖がらせるため、なのかな……」
「体張ってんだな……」
鬼円、そういうことじゃない気がするけど……。私は小さく、苦笑いをするのだった。
暖簾をくぐった先は、やはり外で、スタッフの方が手を振っていて、私は大きく息を吐く。
「やっと終わった……」
「おーーっす、終わったっぽいね」
蟹菜ちゃんがチュロスを食べながらこっちにやってくる。
その後から、トイレに行っていたのであろう冷世ちゃんが手を拭きながら歩いてきた。
「あら、終わったのね」
「もう懲り懲りだよ……」
「特に最後はびっくりしたな」
冷世ちゃんはああ、といった。
「
「……え?」
「……あ?」
冷世ちゃんは私達の反応に首を傾げる。
「なによ、聞こえてなかったの?」
「いや、私達は女の子が天井から落ちてきて……」
「はぁ? そっちのほうがあり得ないでしょう。怪我するわよそんなの」
私は冷世ちゃんの言葉を聞いて、顔を青くする。
「え、あの……か、蟹菜ちゃん?」
「私も同じだよ?」
つまり、私達が見たアレは……何?
私と鬼円は顔を見合わせて、汗を垂らす。じゃ、あ、あれは……?
「…………イコッカ……」
「……そう、だな」
わたしはもう、なにもかんがえないことにした。