休もうといって中に入ったフードコートにて、食事をし終わった頃。
冷世はかなり不機嫌であった。
理由としては、なかなかに
というのも、理由が多々あった。
一つ目、まず鬼円がそこまで興味がなさすぎる、ということ。
恋愛に対して、まっったくと言っていいほど無関心であり、春乃に対して何を思っているのかも不明。どうくっ付けても「ふーん」で終わる未来しか見えないのだ。
このバカ、と思いながら冷世の目は次に春乃に移る。
二つ目、春乃が恋愛に奥手すぎる、ということ。
鬼円に惚れてるのは確実、確実なのではあるが、なっかなかに手を出さない。
水族館行ったり、夏休みも共にすごしたと聞いている、のにも関わらず、この距離感。冷世は爆発しそうであった。
そもそもの話、この修学旅行はこの二人をくっつけるための計画を立てて行っているものであり、冷世にとってここまでくっつかないのは予想外、というか。なんというか。
(さっさとくっついて欲しいんだけど……この小説はラブコメじゃねーのよ……とっととくっついてコウノトリ産めや……)
メタ発言が飛んだ気がしなくもないが気にしない。
冷世は持っているペットボトルを掴んで、水色のオーラを出していた。ペットボトルが凍りつくのも気にしない。
それに気づいた春乃は汗を垂らす。
「冷世ちゃん、どうしたの……」
「なんでもないわよ。……それで、次どこ行こうかしらね」
しかし、冷世にはまだ余裕があった。
(しかし、修学旅行はまだ時間がある……ふふ、明日もね)
と笑いながらパンフレットにある地図を見る。
さてどこに行こうか、といいながら決めていた。冷世は、蟹菜を見て、合図を送る。
「あ、ここ、観覧車だって!」
「……えっ」
想定と違う言葉が出てきて、冷世が固まる。
何を言ってるんだこいつ、と言わんばかりの目で見てから、地図を見る。いや確かに、観覧車はあるのだが。
春乃がそれを見て、顔を赤くする。冷世が言わんこっちゃない、という感じで額に手を当てる。
「い、いや! 観覧車は……!」
「でも乗ってみたいの! ほら、高いところから色んな景色見たいし!」
蟹菜自身の問題では、と思ったが、これはいい追い風になった、と冷世は冷や汗を拭う。
確かに観覧車はラブコメの基本中の基本。というか、王道すぎる。
なんとか鬼円と春乃をふたりで乗せたいのだが、なかなか難しい。
この観覧車自体は、予定に組み込んでいたがボツにしていたものだ。
王道すぎるのはもちろん、鬼円と春乃をどうくっつけたものか、どう一緒に乗せようか考えてないのだ。
というか、鬼円が観覧車に乗る
「うーん、どうしましょっか」
「
「えっ」
蟹菜が爆弾を吹き込みやがった。
冷世は冷ややかな目で蟹菜を見る。
(乗るわけねぇーでしょうが!! 春乃が!! 二人ずつで!! そもそもどうやって決めるつもりよ!!)
ツッコミながらも、額に汗を流す。どうしたものか。
「確実に乗せたい = 運ゲーは不可能」という点を考えれば確実に決める手段とは。
お化け屋敷で二人ずつになってしまった、しかも、鬼円と春乃は既に二人っきりになってしまっている。またこの二人というのは不自然でないか?
様々な計算を考えてる内に、春乃に目を向ける。
「……どうしたの春乃?」
「い、いや」
春乃はすこしもじもじしている。トイレかな、と思ったが先程行ったばっかりだろう、と思ってから……。
春乃が口を開いた。
「の、乗るなら……みんなで、乗りたいなって……。ほ、ほら、せっかくの修学旅行だし! ね?」
「…………」
冷世は、忘れていた。
この修学旅行の目的はいつまでもくっつかずダラダラとやっている春乃と鬼円をくっつけるため。
しかし、それは間違いで……春乃は、実際は……。
みんなで、楽しみたいということだった。
……それを聞いて、冷世は、ふっ、と笑う。
「仕方ないわね」
「よーしっ、乗ったりますか!!」
冷世と蟹菜は二人で立ち上がり、食事を片付けるために歩く。
それに続いて春乃も立ち上がろうとして、鬼円を見る。鬼円は、少しだけ戸惑っているように見えた。
「……大丈夫?」
「あいや……観覧車なんて、初めて乗るだろうからよ……」
鬼円がそういうと、春乃は微笑んで、手を取る。
「……隣に、いてあげるから」
それを見ていた冷世は、初めて気がついた。
……もう出来てんじゃねーかな、これ。