能力とは。
快弦ちゃんはそこから話し始めた。
能力とは、人が持つもう一つの『個性』のようなもので、『第六感』のようなものである、と。
能力は、その人間それぞれに一つだけついていて、様々な力があるという。
人々には器があって、そこに能力が注がれる。
それが溢れれば、能力は使えない。完全に受け止めて初めて、能力は芽生える、という。
「そして、それが『クリフォトの樹』が問題視しているもの」
「なんで? あんなに強い力を持っているなら問題なんて……」
「最初はね。けど、問題になった事があった」
「問題になったこと……?」
私は気になったことを口にした。そうして、快弦ちゃんの言葉にオウム返しに聞くと、快弦ちゃんは頷いて言った。
「アィーアツブスの死亡、よ」
「快弦ちゃんが入ったときにはいなかったって、人?」
うん、と頷く快弦ちゃん。
もしかして……
「そいつを殺したのが……能力者だったの?」
「ええ。それも、貴方がよく知ってる人の祖父、ね」
「知ってる? 祖父?」
香蔵さん……ではないよな、狸吉さんも。おじいちゃんの話なんか聞いたことないし……。
おじいちゃん……それも、私がよく知ってる人……?
「……いる」
一人だけ。
よく知ってて、なんなら、その祖父と会ったことがある。
「
「そう。
ここで、あの人が……!?
鬼円の能力はたしかに強かったけど、その祖父もつながっていたのか……。
「そこから、能力者を危険視し始めてた」
「……そうか……最初、学校で鬼円が襲われてたのは能力者……そして、鬼円家だからか……!」
だからこんなことになったのか。
鬼円家が悪い訳では無いが、因縁つけられたってこと、か……。
「私は、超能力部を瓦解させるために送られてきたスパイ」
「そうか……」
私は言いながら快弦ちゃんの頭を撫でる。
でも、なんでそれをわざわざ……? 鬼円たちなら大丈夫だと思うけど。
「……多分だけど」
「?」
快弦ちゃんは汗を垂らしながら言う。
「あいつら、そろそろ動き出す」
「っ!!」
それを聞いて、私は目を見開く。
そっか……いよいよその日がやってきたのか……。なんとなくわかっていたことだけどいざそのことを聞くと……やっぱり怖いな。
私はそう感じながら、ゆっくりと
「だから、春乃先輩に戦い方を教える」
「……え??」
私はそれを聞いて汗を垂らす。
何いってんのこの人? 戦い方? 私、戦うつもり無いんだけどな……??
「戦うって、え? 私が?」
「ここには春乃先輩しかいないでしょう?」
「いやま、そうなんだけど……」
私は言いながらジリジリとこちらに向かってくる快弦ちゃんを見て、後退る。
ちょっと待ってほしいんだけどな私……!!?
「待って!? 私そんな力ないよ!?」
「あります」
ずいっと顔を近づける快弦ちゃん。
「私の能力はないですけど、身体能力は受け継がれてます」
「し、身体能力……あっ」
そういえば、思い当たる節がある。
初めてアクゼリュスを殴ったときの跳躍とか……アクゼリュスを
確かに言われてみれば、身体能力が前とは違う感じで……もっと成長している感じがする。
「私の身体能力が上乗せされたんですよ」
「だからあんなに動けたのか……」
快弦ちゃんは頷くと、構える。
「ここからは時間がありません」
快弦ちゃんは構えを崩さずに、ゆっくりと、いたずらげに笑った。
「とにかく私の攻撃を避けてください。じゃないと、遠慮なくぶっ飛ばしますから」
「えぇ……」
私はそれを聞いて、ゆっくりと顔に手を当てて……考え込む。
このまま放置していてもだめだ。私も……私も戦えるのかもしれないし。
……うん。
「分かった」
「!!」
私が言うと、快弦ちゃんは目を見開いていた。まさかそんな快く了承されるとは思ってなかったのだろう。
それでも、快弦ちゃんは構えを解くことはなく、むしろ深く構えた。
鬼円だって、金之助君だって、狸吉さんだって香蔵さんだって。
みんな、戦ってきたんだ。物理的にも、そして、人生の成長としても。
ならば、私も戦わなければならない。それが私なりの戦いなのだから。
「かかってこい!!」
私は気合いをいれて、そう叫ぶのだった。