冷世ちゃんに隠しきれなかった私は今まであったことを話すことにした。
冷世ちゃんは頭を抑えながらも、コクリと頷いた。
「まさかそんな事になってたとはね……そりゃあ大変でしょうね……何となく春乃が
「は、ははは……って、逞しくなったって何!!?」
冷世ちゃんの言葉にツッコミを入れるが今はそんなことではなく……。
なぜここに『クリフォトの樹』がいるのか、である。
やはり、私が一人になった時を狙って……? たしかに私の中には快弦ちゃんがいるが……。それを狙ってる……?
「鬼円も関与しているなら、余計厄介ね……」
「うん……ある意味、頼りにしてたから……いないと、困るかも……」
実際、鬼円がいないと私たちの中で戦える人がいない。
そもそも京都でなんか……!! あんなに観光している人がいるのに、被害が出てしまうのではないか……?
「今までの話を聞く限りだと、その心配はないわよ」
「え?」
「わざわざ隠れた所でやっている、ってことでしょう? バレたくないんじゃないかしら」
「そっか……」
確かに、今まで通りなら……隠れた場所でやるのにも頷ける。
しかし依然として、奴らはこっちに来るだろう。私たちが相手を感知できるということは、逆もまた然り。相手も気づいているはずだ。
どちらにせよ、正面衝突は避けられない。
「クソ……!!」
「とにかく、超能力を使えるのは私たちのみ……頑張って逃げるわよ」
「うん……!」
私は汗を垂らしながら、目の前の京都を眺めるのだった。
◇◆◇
京都についた私たちは先生の点呼が終わりすぐに歩き出す。
あの二人……赤芽ちゃんと悪噛の二人を巻き込むわけには行かないし……!
先にいけないこと、説明しておかないと、と思いながら彼女たちの集合場所である伏見稲荷神社まで行くこととなった。
「ああもう、なんで……!!」
「電話に出ないのね……なにかしているのかしら……」
電話をするが出ないし……。
私は息を切らしながら二人のところへと向かう。
時間的に、もう京都の色んなところを回っててもおかしくない……というか、恐らく彼女たちの高校のブレザーを着た学生が見えるので恐らく集合時間は過ぎているのだろう。
そんな時だった。
「……っ!! 悪噛君!?」
「お前らか、赤芽のこと見てねえか?」
「いえ…………ていうか、私も探しているんだけど」
それを聞いて、悪噛の眉がピクリと動いた。
「……なに?」
説明しようと口を開こうとして、私の携帯が震えたのを見て汗を垂らす。
赤芽ちゃんからだった。
「赤芽ちゃん……!?」
「寄越せ!」
悪噛が強引に私の携帯を奪うと直ぐに電話に出た。
「バカ赤芽、今どこに……」
『赤芽っていうのかこのコ……まあいいや』
その声が響いたと同時に、悪噛の目が見開かれ……ボウッ!!! と灰色のオーラが天を貫くかのように噴き出した。
それを見て、私と冷世ちゃんは一斉に後ろに下がる。
この感じ……鬼円にはなかった……『殺意』だ。相手を今すぐにでも殺さんと言わんばかりの……『殺意』。
今まで向けられていたどんな『殺意』よりも……一線を画すような。
悪噛は、低く……唸りを上げるようにして言う。
「誰だ、テメエは……」
『その時に説明するよ。鬼円くんだっけか? 速く助けにきなね、でないと』
その声は続けた。
『この子のこと殺しちゃうからさ』
悪噛はそれを聞いて、すぐさま私に携帯を突き返して遠くの方を見る。
悪噛が向いた方向には……『クリフォトの樹』の気配が……。
「殺す」
そうつぶやいた悪噛は木々を通り抜けて走っていった。
「はやっ……!!?」
「あいつも能力者なの!!?」
私たちは目の前に腕を置いて、勢いよく吹いた風から身を守った後、その後を追いかけるように走り出すのだった。
「あんなに早く……追いつけないわ……!」
「ああもう……!! 冷世ちゃん! 掴んでて!!」
「……は??」
私は冷世ちゃんをお姫様抱っこして、勢いよく地面を蹴って飛び上がった。
そんなことをされた冷世ちゃんは目を白黒させていた。
「は、なにこれ!!?」
「氷!!」
「は、はい!?」
冷世ちゃんが手を横に振ると地面からものすごい勢いで氷の柱が生える。
私はそれに足をつけて思いっきり……力を込めて蹴った。その勢いのまま、空中を落ちるように滑空するのだった。
「わああああああああ!!!!!???」
私はそんな冷世ちゃんの悲鳴を聞きながら、悪噛の後を追いかけるのであった。