ようこそ!超能力部です!   作:YY:10-0-1-2

127 / 127

風邪引いてました


第123話 帰る日

 

 私は歩いて、町中に降りる。

 高校生が森から出たとなったら騒ぎにはなるだろうから、裏路地を通っていた。いや、それもだいぶまずいけれどね……。

 

 悪噛はとりあえず怪我した部位を包帯で巻いて、赤芽さんが連れて行った。

 お互いにまた会うことを約束してから別れた。私たちは先にホテルに戻っていた。

 

「ん……」

「あ、起きた……」

 

 私は冷世ちゃんが起きたのを見て、ほっ、と一息ついてから頭を撫でる。

 冷世ちゃんは「ん……」といってから目を細めて……私のお腹の方に寝っ転がる。

 私はそれにビクッと反応しそうになるが、なんとかこらえる。

 

「くすぐったいよ……」

「いいでしょ。能力を使うと、体が冷えるの……」

 

 冷世ちゃんはそう言うと、薄っすらと目を開ける。

 こちらを見つめる目が、やけに寂しそうで。

 

「なんで、あんなのと戦ってるの、言ってくれないの」

「……巻き込むわけにはいかないよ」

 

 冷世ちゃんはそれを聞いて、ゆっくりと言った。

 

「秘密を抱えてる、友達でしょう?」

「……うん。ごめんね」

 

 冷世ちゃんは起き上がり、私を見て、ぎゅっと、抱きしめてきてくれた。

 暖かい。体が少しひんやりとしているのに、こんなにも、心は暖かかった。

 たしかに、巻き込んではいけないという気持ちはあった。

 

「その事も含めて、色々説明するから」

「ええ。約束よ」

 

 冷世ちゃんはそう言うと、寝息を立て始めた。スースーと。私はそれを聞きながら頭を撫でてため息を吐く。

 結局、膝枕に戻った。

 冷世ちゃんからすれば、私は過去にこの子を助けた、恩人的立ち位置なのだろうか。冷世ちゃんは、きっと私たちに手伝うと言い出すかもしれない。

 そうしたら、私は……。

 

「あーーっ!! いた! どこいってたのさ、こんな時間まで!!」

 

 私は声の方を見ると、蟹菜ちゃんがすぐそこにいた。

 蟹菜ちゃんは私の膝にいる冷世ちゃんと私を交互に見てから……顔を赤らめる。

 

「ま、まぁ……そういうのは、否定しないよ、友達だしね?」

「まって、すごい勘違いされてる気がする!!?」

 

 私はその場で全力を持って弁明するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蟹菜ちゃんがお土産買ってくれて助かるよ……」

「ほんとね。お金持ちなのかしら?」

「えへへ……秘密だけど、50万(・・)持ってきててさ……」

「「ごっ…………!!?」」

 

 私たちは帰りのバスの中で話し合っていた。

 京都のお土産を蟹菜ちゃんから手渡されていた。

 

「い、意外とお金持ちなの……?」

「? 普通にバイト代だけど……」

 

 私や冷世ちゃんは、部活に入ってるからバイトなんてしてる暇ないし……子、これがジャパニーズ、働き者……。

 そんなことを思いながら私はお金を手渡していた。いや、無償でもらえるわけないでしょ。

 冷世ちゃんはお土産を見ながらゆっくりと息を吐く。

 

「結局、色々トラブル続きだったわね……」

「そうだね……」

「鬼円と春乃もくっつけること出来なかったしね……」

「ちょっと待て、何の話だそれ!!?」

 

 私は蟹菜ちゃんがこぼした発言に食って掛かる。

 冷世ちゃんはせんべいを食べながら……もう開けて食べてるし……とにかく、食べながらもああ、と。まるで忘れていたかのような反応をした。

 

「そういえばそんな話もしてたわね」

「待って何の話だ!!?」

 

 私が言うと、冷世ちゃんがこちらを見て、やけに真剣な目でこちらを見ていた。

 

「『春乃と鬼円くっつけよう大作戦』よ」

「なるほど、わからん」

「簡単に言えば、もう付き合っちゃえよ!! ってことよ」

「あのさぁ!!?」

 

 私は顔を赤くする。

 確かに私はヘタレだから、告白できないけどさぁ!! 未だに好きとか言えてないけどさぁ!! 早くしろって心の声が聞こえてくるけどさぁ!

 

「それも失敗だけどさ」

「失敗……って……」

 

 私は観覧車での一連を思い出して髪の毛を指でくるくると巻く。

 いや、あれは、告白じゃないから……ギリギリ告白じゃ……。

 

「ま、とにかく帰ったら。これ、超能力部のメンバーに渡しなよ」

「そーそー、大好きな鬼円くんのためにもさ!」

「……うん、ありがとう!」

 

 私は、いい友人を持ったなと思うのだった。

 私が、この友人たちを裏切らないために。私は、私は……!!

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

TSオリ主は完璧なチートオリ主になりたいようです【本編完結】(作者:GT(EW版))(オリジナル:ファンタジー/コメディ)

 自分が転生した世界をいい感じの二次創作に仕上げる為に、意識高い系オリ主が完璧なチートオリ主を目指す話。▼ ヨロニモ様から表紙絵を頂きました!▼【挿絵表示】▼


総合評価:47867/評価:9.19/完結:132話/更新日時:2026年06月09日(火) 22:24 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>