最近、某カードゲームのCMを聞いてる俺はおかしいのだろうか……。
修学旅行から帰った私は部室でみんなに出迎えられていた。
「お帰り〜〜っ!! 待ってたんだよぉぉ〜〜〜〜!!」
「ただいま、です!」
ただいま、か。
私はすごくニンマリしながらえへへ、と笑うのだった。なんかすごい気持ち悪い顔してそうだな……私……。
香蔵さんに顔をモミモミされながらそうだ、という。
「はい、みんなにお土産です!」
「わぁあ! ありがとう! あっ、八つ橋!」
「こっちは京ばあむだね。ありがと」
「こっちは梅園っすよ!! 美味しいんすよねこれ!!」
私はみんなの喜ぶ顔を見ながら微笑む。
それから、視界に入った彼女を見る。
「ただいま」
『ふん。遅いのよ……』
私は肩でプンプンと腕を組んでいる快弦ちゃんを見て頭を人差し指で撫でる。無でるなと叫んでいる。ふふっ……かわいいな……。
……あれ? 私は周りを見渡してみて……とある人がいないことに気づいた。
「鬼円は?」
「ん? 一緒じゃないの?」
「は、はい。実は……」
鬼円のことを話すとみんなが首を傾げた。
どうやら、誰もその行方を知らないらしい。まいったな、お土産渡そうと思ったのに……。
「ふーん……家に行ってみたら? 覚えてるでしょ?」
「は、はい。そうします」
私はそういって部室を後にする。
京都の街に行くはずが、いきなりいなくなるだなんて……何かあったのだろうか。もしも何か会ったのなら、私が相談に乗ってあげなければ。
そんな事を考えつつ歩いていると……
「あ。春乃ちゃん」
「あ。お疲れ様です、音流さん」
そこには、音流さんがいた。
剣道部の帰りだろうか……私は挨拶しながらそうだ、と渡す。
「これ、京都に行ったときのお土産です!」
「わぁ、ありがと! ケン君も喜ぶよ!」
私は音流さんに微笑んでからそうだ、と声を上げた。
「鬼円、知りませんか?」
「あーー……それは……」
なんか知ってそうだなこの人、と思う。
確か、鬼円の家、その近くにある道場に住んでいるはずだ。きっと鬼円のこともなにか知っているに違いない。
私はニコニコしながら聞いてみることにした。
「音流さん? 隠しててもいいことはないですよ?」
「い、いや、それは……」
「音流さん、私、鬼円の力になりたいんです」
「うっ……後輩からの熱い目線……鬼円、速くくっつきなよね……」
音流さんは観念したかのようにため息を吐いた。
鬼円に似てきたね、とまた言われた。そこまで私は影響されているのだろうか。
「歩きながら話そ。…………鬼円のお爺さん、いるでしょう」
「はい、それがなにか……?」
「いやね、たまたま私が惣菜作りすぎちゃって、お裾分けに歩いたわけよ」
音流さんは一旦そこで区切った。
まるで言いづらそうにしてから、また口を開いた。
「鬼円のお爺さん、倒れててさ」
「えっ!!?」
私は大きな声を出した。
あの、國綱さんが……倒れた?
「た、たおれ……?」
「うん、急に意識失っちゃってさ。すぐに救急車を呼んだんだけどね?」
今は、近くの病院にいるんだとか。
私はそれを聞いて鬼円がいなくなった原因がそれなんだ、と察した。確か、鬼円は、國綱さんと二人暮らしなはずだ。それに、唯一の肉親が倒れたとなれば、駆けつけるのも納得だ。
あんな悪口を吐いていたとしても、心配になったりするのは当然だろう。
「鬼円……」
「だから、最近は私がケン君の料理といっしょに、飯を作ってあげたりするんだ」
「鬼円は料理できますよ?」
「なんで知ってんの?」
私はその言葉に固まる。
真面目な思考回路から出てしまったそれは、いわゆる、経験談であって……。
「…………」
「もしかして、作られたことが会ったりとか……」
「ないですからぁっ!!!」
「うお、勢い強いな……」
いや!? 別に!? 鬼円が作ってくる料理が美味しいとか!? 意外とタコさんウィンナーが上手だなとか!? 考えてないし、見てないし!!
「ま、なんでもいいけどさ……」
「……鬼円、いるかな」
私と音流さんは鬼円の家にたどり着く。
私はドアの前まで行き……ふと振り返った。音流さんは、忽然と姿を消していた。
「あの人……」
どうせ、「若い二人に任せるとしよう……」とか考えながら消えたでしょう……。
そう思いつつも、私は深呼吸をして、家のチャイムを押すことにした。ピンポーンと軽快な音がなる。……しばらく待っても一向に出てこないのに、痺れを切らして、また鳴らしてみる。
……出てこないな、と思いつつ、少しだけ扉から中の様子を覗き込もうとしてみる。やはり、誰もいないのだろうか。
そう思って、少し離れようとしたら……
「何してんだ」
「うわああああ!!? ンジャメナ!!?」
「んだその叫び」
鬼円は買い物袋を持っていて、こちらを不思議そうに見ていた。
いつの間に後ろに……っていうか、音もなく近寄らないでほしいんだけども! 私は抗議しようとするが、鬼円は鍵を開けて中に入っていってしまう。
「あ、ちょっ……開けっぱなんだけど!?」
「は? 上がるんだろ?」
「……お邪魔します!」
「なんでキレ気味なんだお前……」
知らないし!!
鬼円くんはさらっと気遣いしてくれるタイプなので……。