ようこそ!超能力部です!   作:YY:10-0-1-2

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第36話 不穏な空気……?

 

 「おっはよ……って、なんか元気ない?」

 「おはよ。そんなこと……あるかな?」

 

 私は教室に入ってきた蟹菜ちゃんに少しだけ笑顔を作った後に、俯く。

 

 昨日の出来事。

 鬼円が謎の女の人と戦っていた。そこまではいい。

 戦い終わったあとの鬼円は、辛そうに体を抑えていた。

 あそこまで傷だらけで、ボロボロになっていたのだ。当たり前と言えば、そうなのだが、あそこまでやられるなんて。

 

 それも、あの女の人は今回の事件の犯人だと言う。

 あれが犯人で、しかも他にも仲間がいるんだとしたら……。

 鬼丸をボロボロにするぐらいの力を持ってる人が沢山いるということになる。

 

 私は、能力を持ってない。

 鬼円や狸吉さん、香蔵さんみたいに、強いわけじゃない。

 じゃあ、私は……どうすればいいんだろうか?

 

 「おい」

 「ひゃっ!?な、何すんの!?」

 

 いつの間にか前にいた鬼円が、私の机を蹴ったらしい。

 その鬼円の顔は、まるで「話がある」と言いたげな顔だ。

 

 「ツラ貸せ」

 「……言い方…」

 

 私はそう言いつつ、鬼円と共に教室を出るのであった。

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 

 「昨日の話だ」

 「っ……」

 

 鬼円はそう言うと、私の胸ぐらをいきなり掴んできた。

 ビックリした私は抵抗出来ず、壁に叩きつけられる。その衝撃で、ケホッと咳き込んでしまう。

 

 「なんで来た」

 「な、なんでって……」

 「もしも先輩がいなかったらどうするつもりだったんだ。まさか一人で行くとか考えてたんじゃねぇだろうな……?」

 

 その言葉に私は少しだけたじろぐ。

 実際にそう考えていた訳では無い。狸吉さんと帰っていたからだ。

 だけれども、もしも狸吉さんが居なかったらどうしていただろう?

 ……鬼円の言う通り、もしかしたら一人で鬼円の元へ行ってたかもしれない。

 

 「お前、自分が能力を持ってないことを自覚してるんだろ……?」

 「っ……!」

 

 私が言葉に詰まっていると、鬼円はため息を吐く。

 

 「……怪我されたらたまったもんじゃねぇ」

 「……!」

 「分かったか?………今度は変なことすんなよ」

 

 鬼円はそう言って、私の胸ぐらから手を離して、頭をポリポリと掻いた後に、思いっきり振り向いてきた。

 

 「心配するんだぞ俺も!!」

 「ご、ごめん!」

 

 黙り込んでしまった私に怒鳴るように言う鬼円。

 ただ、私はそれを見て、なんだか安心したような、そんな感情を浮かべていた。

 

 「鬼円も、気をつけてね」

 「……」

 

 もしも、あの人達と対立するんだったら……そんなことにはならないで欲しいけれど…。

 鬼円がこんなに怪我してる姿なんて、もう見たくない。

 

 「ほら、行くぞ。ホームルーム遅れても知らねぇぞ」

 「あっ、こ、こんな時間!」

 

 鬼円の言葉で時計を見ると、もうすぐでホームルームが始まる時間であった。

 私は、鬼円に「はやくいこ!」と言い、手を引っ張る。

 

 「お、俺は遅れても……!」

 「いいからはやく!」

 

 鬼円にツラ貸せと言われた時は、怖かったけれども。

 きっと、鬼円なりの言い方なのだろう。

 だとしたら私は、それを受け止めるんだ。ずっと。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 一方、その頃。

 とある屋敷の奥の……ほんのちょっと暗い部屋。

 

 「鬼円……か」

 

 写真を見て、()()()()()()を噛む少年。

 

 「こいつ、確か元不良だろ? じゃあコイツに手紙送れるか?」

 「……(わか)、何もそこまでしなくても……」

 

 『若』と呼ばれた男は首を横に振る。

 

 「いいや、戦力はなるべく多い方がいい」

 「……分かりました。すぐに手配します」

 

 そう言って、手紙を下っ端の者に渡す。

 そうすると、若と呼ばれた男がクツクツと笑いだした。

 

 「これでいよいよ…戦えるはずだ」

 

 その男は、悪い笑みをこぼす。

 これから何が始まり、何が終わるのか。この男が、何を起こすのだろうか……。

 それを知るのは、すぐであろう……。

 

 「お兄ちゃん!それシガレットでしょ!?わたしにも一個ちょうだい!」

 「黙らっしゃい!!いまは策略する若を演じてるの!」

 「若!それ言っちゃおしまいですよ!?!?」

 

 ……。

 多分悪いことでは無いと思える。

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