ようこそ!超能力部です!   作:YY:10-0-1-2

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第4話 鬼円桃佑

 

 悪噛をぶっ飛ばした鬼円は手を顔の横に持っていき木刀を肩に乗せて悪噛を見ていた。

 

 「ククク…やるなぁ…鬼円よ…」

 「やるなぁじゃねぇんだよ。何しに来たんだよ死ね」

 「うん、言い過ぎじゃない鬼円君…」

 

 すると、後ろからザワザワと生徒の声がする。まずい、戦ってるのがバレたのかもしれない…いや、そもそも土煙を上げている時点でバレるか。

 先生もこちらに駆け寄ってくる。

 

 「また会おう…鬼円よ」

 「はぁ?」

 

 すると悪噛はジャンプしてそのままいなくなってしまった。

 

 「なんだったろ…?」

 「知らね〜」

 「こら!貴様ら!何をしてるんだ!!」

 「やべ、先生だ」

 

 鬼円が先生を見て「うげっ」と言って逃げようとする…が、あと一歩のところで先生に捕まる。

 私も同じく捕まる。

 

 「お前ら…職員室に来い!!」

 

 私は顔を青白くして終わったと心の中で呟いた。

 

 

 

 先生からの説教が終わり、部室に来ていた私と鬼円君。帰る準備をしながら鬼円君は愚痴をこぼす。

 

 「あー先生の話は長いんだよな…ちくしょー」

 「あはは…でも反省文だけでよかったね…」

 

 そんなに地面をボコボコにしなかった、他校の生徒からの喧嘩売りなど様々な原因があり、さらに分からない部分も多々あったため、反省文だけで済んだ。

 逆に反省文だけで済むのか…と思ったが。

 鬼円君は木刀をベルトの部分に差して腕を組んで歩いている。

 

 「鬼円君、そんなに昔暴れてたの?」

 「…中一の頃に高校生をボコボコにしただけだ。ったく、どんだけ昔の話を…」

 

 ボコボコにしてたんだ…。しかも自分より年上の高校生を…。

 鬼円君の話を聞いて汗をかきながらそう思う。

 

 「じゃ、俺は帰る」

 「うん…」

 「あ、待て」

 

 鬼円君はカバンを持って校庭へ出てそのまま帰ろうとする。

 私もカバンを持ち、高校から出ようとする。その時に鬼円君に止められた。

 

 「何?」

 「その『鬼円君』ってやめろ」

 「へ?じゃあなんて呼べばいいの?」

 「普通に鬼円でいいよ…だって、部活仲間だからな」

 

 そう言って鬼円君…じゃなくて、鬼円はニヤッと笑った。

 私も笑顔を作ってうんと頷いた。

 

 

 ◇◆◇

 

 「こんのクソガキ!なんで先生から電話がかかってくるんじゃ!」

 「うっせ!クソジジイさっさと死にやがれ!そんで元気に昇天しやがれ!」

 「クソガキィッ!自分のおじいちゃんに死ねって!お前ぐらいしか言わんぞ!!」

 

 鬼円家で大きな声が2つ轟く。

 1つは先程家へ帰ってきたばかりの鬼円桃佑。そして、もう1つは鬼円を育てて来た祖父、鬼円國網(くにつな)である。

 鬼円國網は自身の吸っていたタバコを消して灰皿に。桃佑はカバンを机の上において「はぁっ…」とため息をつく。

 

 「お前のその特別な力は、人を傷つけるものでは無い…そう母親に言われたじゃろうが…」

 「知らねぇな。死人に口なしだ」

 

 鬼円桃佑は頬杖をつきながらシャクッと桃を一かじりする。

 次にため息をついたのは國網の方であった。

 

 「何をしたんじゃ…学校で」

 「…なんでも。ただ喧嘩を売ってきた奴がいたから、それを買っただけだ」

 「…問題を起こすなとあれだけ言ってるじゃろ」

 「…はっ、問題は起きちまうだろうがよ」

 

 鼻で笑う桃佑。再びクソデカため息をつく國網。

 

 「母親が見たら悲しむじゃろうな…」

 「いねぇやつの事なんて知らねぇよ。いつまで引きづってんだよクソジジイ」

 「お前なぁっ!たまにはおじいちゃんと呼べ!」

 「はぁっ!?73歳は黙ってクソして寝てろや!夢見てんじゃねぇよ!」

 「こんのクソガキ!ガキは黙って勉強してれば良い!どうせ彼女出来ずに1人でヤることやって寝てるんじゃろうが!」

 「ほんとに死んじまえクソジジイ!!」

 

 桃佑はそう言ってカバンを持ち、自分の部屋に向かうために階段を上った。

 國網は再びタバコを吸い始めた。

 

 「はっ、死人のことなんぞ知らねー」

 

 自分の部屋に入った桃佑はカバンを放り投げてベッドに転がる。

 

 『母親が見たら悲しむじゃろうな…』

 「知るか。どうせ悲しまねーだろ…」

 

 鬼円がそう言って漫画を読み始める。だが、漫画の内容が入ってこない。

 イラつきながらスマホを手に取り、ゲームを始める。最初こそ良かったものの、途中から段々と集中力が下がって行き、そしてやめた。

 

 「…母親…ねぇ。クソ…」

 

 母親の愛情を感じたことがない桃佑にとっては、そんなものいないに等しい。

 だが、何故か引っかかるものがあった。その取っ掛りがなかなかにストレスであった。

 

 桃佑は立ち上がって家を出て近くにある道場の中に入る。

 

 「お、桃佑君、今日も振るのかい?」

 「あぁ、音流(ねる)先輩…」

 

 そこには、学校で桃佑に木刀を渡しに来た女性、音流の姿があった。学校から帰ったので着替えたのか、筋肉が浮き出ている黒いシャツに、短いショートパンツを着ていた。

 桃佑はその姿を見て顔を逸らした。

 

 「あっはは!思春期だ〜!」

 「うっさい…早くなにか着てください」

 「あーあ、折角のサービスなのに…」

 

 いらないサービスと思いながら木刀を手に取る桃佑。そして、音流もまた、フードのついたチャックを閉めていないパーカーを着て木刀を手に取る。

 

 そして、桃佑と音流が構える。

 

 「…どうぞ?」

 「……じゃ、遠慮なくッ!」

 

 桃佑が地面を蹴って音流に近寄る。

 音流は木刀を鬼円が持っている木刀に合わせるように振る。

 ガンッ!ガンッ!っといい音が道場に鳴り響く。そして、桃佑と音流の足音も鳴る。

 

 まるで音を奏でるかのように2人が木刀を振るう。

 

 「せっりゃ!」

 「ふふっ、甘いよ!」

 

 足に木刀を振られジャンプするも、音流の裏拳が当たって桃佑が吹き飛ばされる。

 鼻を抑えながら立ち上がる桃佑。それを見て音流が疑問を持つ。

 

 「何かあった?」

 「……何にもねぇ」

 「嘘だ。なんかあるね」

 

 桃佑の言葉を遮るかのように言葉を放った音流。そして「図星だ」とケラケラ笑って構えていた木刀を下ろす。

 桃佑もケッと呟いて木刀を下ろす。

 

 「たまには私に言いなよ?」

 「…何を?」

 「その悩みとか、あ!恋バナだったらめちゃくちゃ話に乗るからさ!」

 「あんたには言わないでおくよ」

 「ちょっと!」

 

 桃佑に笑みが出たのを見て、音流も安心したかのように笑みを浮かべる。

 

 「じゃ、もうちょいやる?」

 「…おなしゃす」

 「OK!まかせてね!」

 

 木刀と木刀のぶつかり合う音が、また道場に響いた。

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