「やぁやぁ君たち!」
「ん?」
私たちが金之助君の事を立ち上げようとしていると、後ろから声をかけられる。
黒色の長ランっぽい服装で、黒髪の青年がこちらに駆け寄ってきた。
鬼円は木刀を握ってから「誰だ?」と呟く。
「まず自己紹介からだよな! 俺は
「……」
鬼円は木刀から手を離して、檻鉄という名前の青年の横を通り過ぎる。
檻鉄さんはえ、と言いたげな顔で振り向く。
「変なやつとは会話しねぇようにしてんだ」
「酷くねぇか?初対面でそれかよ、
「それ広めたヤツ誰だ!!」
『天下の鬼円様』という言葉に鬼円が青筋を立てながら言う。
それはそれとして、なんで鬼円のこと知ってるんだろう。たぶん、『天下の鬼円様』の件もあるだろうけど。
「話す気になったか?鬼円」
「……チッ、なんの用だよ」
すると、檻鉄さんは鬼円を指差す。
「単刀直入に言おう。俺たちの仲間になれ」
「…………あ?」
これには鬼円も困惑。
私達もそれを聞いて首を傾げる。そして、香蔵さんが檻鉄さんに近づく。
「何の話?」
「あぁ、悪い。まずは説明からだよな。なにから話すか……」
檻鉄さんは考え込んだ後に、口を開いた。
どうやら、何から話すかが決まったらしい。
「アンタら、『
「ゼノバース?」
私は知らないため首を傾げたが、ふと横にいる鬼円の方を向く。
鬼円は顎に手を当てた後に、頷いた。知ってるんだ。
「3年ぐらい前からある、不良軍団だよな」
「……まぁ、あながち間違いではねぇから否定はしねぇ」
やっぱりいつの時代でも不良っているんだな。
でも不良って最初に会った時に自己紹介とかしなくない……?
そんな考えが過ぎるものの、とにかく説明を聞く。
「俺らは7月7日、
「あぁ…?」
「驚くことはねぇ。お互いのシマの争いだからな」
わぁ、すっごいことに巻き込まれそうだ。
諦めに近いような言葉がさらに後ろで流れる。
「俺の戦力じゃあまず勝てねぇんだ。だからテメェの力を貸して欲しいんだ」
「はぁ、それで俺がはいそうですか、つって貸すと思うか?こっちのメリットがねぇだろ」
鬼円の言う通りだ。
こちらが手伝っても、檻鉄さん達にメリットがあるだけでこちらには何も無い。
手伝う意味が無いというわけだ。
「メリットならある。まずひとつに俺らが仲間になる」
「……」
「ふたつだが……おい、あれ持ってこい」
「え、アッハイ」
後ろにいるボディーガード…?らしき人が、車に走っていき、何かを持ってきた。
ま、まさか……よく映画とかで見る
バッグのようなものを開けて見せたのは……
「どうだ!『
DRAGON☆CUBEと呼ばれた漫画が大量に綺麗に敷きつめられていた。
狸吉さんと香蔵さんは口をポカンと開けて、鬼円は目元を暗くしている。
「ほれ、30年も前の漫画だぞ!」
「要らねぇーよ!!持ってるし!」
「持ってんの!?ファンなのかお前!」
なんか先程までのシリアスっぽい空気が抜けた気がする。
鬼円は乱暴に頭の後ろを掻き、「とにかく」と言葉を続けた。
「俺らに何もねぇだろ!」
「はーい、ストーップ、ちょーっといいかな?」
すると、香蔵さんが鬼円の首根っこを掴み、私の手も引いて後ろに下がる。
唐突のことに私たちはビックリして後ろを振り向くが、そんなのお構い無しなのか、檻鉄さんから少しだけ遠く離れたところで止まる。
「なんですか?」
私が聞くと、ニッシッシと笑い声をあげる香蔵さん。
そして、指を立ててニヤッと笑って言った。
「ねぇ、これも超能力部の仕事じゃない?」
「はぁ?」
鬼円の少しだけドスの効いた声を聞き、ビクッとなる。
だが、香蔵さんはそんなもの気にせずに続ける。
「ほら、部活の方針は『困った人を助ける!』でしょ?」
「そりゃ、そうだけどな……」
「何より、これもいい経験だと思うよ?マジモンの不良と戦えるいい経験」
「いらないと思いますそんな経験」
私と鬼円のツッコミをものともしない……というより聞いていない香蔵さんは、ニッコリと笑みを浮かべて檻鉄さんに近づく。
そして、香蔵さんは手を差し出す。
「分かった。手伝うよ……私たち、
「超能力部……ってのは知らないが、助かる!」
笑顔で差し出された手を掴んでブンブンと縦に振る檻鉄さん。
香蔵さんの発言に首を横に振る鬼円と、ため息をつく狸吉さんと鶴愛さん。
私は再び、とんでもないことに足を突っ込んでしまったと、空を見上げるのであった。