ようこそ!超能力部です!   作:YY:10-0-1-2

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第5話 廃部の危機!

 

 「じゃ、全員集まった事だし!自己紹介タイムと行こうか!」

 

 香蔵さんがそう言うと、鬼円がため息をこぼす。

 

 「やってないのかよ…」

 「サボってたんでしょ、仕方がないネ」

 「香蔵さぁ…」

 「う、うるさいうるさい!だって皆集まらなかったんだもん!」

 

 香蔵さんの言葉に色んな声が飛び交い、香蔵さんは泣き目になりながら抗議する。

 私の隣には鬼円が。そして、その隣に背がでかい女の人が。そして、椅子に座って何かを織っている女性の姿も見える。

 …私はもう驚かないし、ツッコミを入れないよ。

 

 「じゃあ、私から!超能力部部長の輝星香蔵です!好きな物は彼氏君と、ポテチ!それと可愛いもの!嫌いな物は…あー…苦いもの!以上!」

 

 香蔵さんが立ち上がってそう言う。っていうか、彼氏居たんだ…。

 次に、私の隣に座っていた女性が立ち上がる。

 

 「えっと、山之内狸吉(やまのうえたぬきち)。好きな物は彼女ちゃんと、スナックフードならなんでも…嫌いな物は特にない。よろしくね〜」

 

 私の隣にいた女性…狸吉さんはおっとりした笑顔を浮かべてそう言って座る。

 彼氏くん…彼女ちゃん……なんか似てるな……すると、鬼円の放った言葉で私の脳内が凍りつく。

 

 「いやいや、彼氏彼女って…あんたら付き合ってるからお互いに名前言えばいいじゃん」

 

 ……え

 

 「いや、恥ずかしいじゃ〜ん!分かってないな〜鬼円は〜!」

 「そうだよ〜お互いに名前を言うってなると……きゃ〜!」

 

 香蔵さんはクネクネと体を動かして、狸吉さんは顔を赤くして手で隠す。

 え、え、え??

 

 「あぁ、春乃(お前)には言ってなかったな…あの二人、付き合ってんだよ」

 「…なんというか、世界って広いね……」

 「そればっかりは同感だな」

 

 鬼円が遠い目をする。あぁ、これ深堀しない方がいいやつかこれ。

 次に鬼円が立ち上がる。

 

 「鬼円桃佑。好きな物は…特にねぇ。嫌いな物も何もねぇ。以上」

 「簡潔過ぎない!?」

 

 つい声に出してしまったが、鬼円は「こんぐらいがいいんだよ」と言って腕を組んで座った。

 いいのかな…こんぐらいで……?すると、先程まで何かを織っていた女性が立ち上がって一礼した。

 

 「私の名前は織野々鶴愛(おりののつるめ)でございます。好きな物は布を織る事……嫌いな物は火でございます……なにとぞよろしゅう…」

 

 よろしゅう!?と言うか大人じゃない!?

 

 「あぁ、春ちゃんには言ってないよね…」

 「私知らないこと多すぎない……?」

 「香蔵が適当だから……」

 

 鬼円がそう呟いた瞬間、見えない速度で香蔵さんが動いて鬼円の顔面を凹ませた。

 

 「前が見えねぇ……っ!」

 「えっと、春ちゃんには言ってなかったね」

 (いや、顔面凹んでるんですけど!?無視するのそこ!?)

 

 驚愕しつつも話を聞く。

 

 「鶴愛さんは、いわゆる能力を持った鶴でね?普通の人間には見えないんだ」

 「なるほど?」

 「大丈夫、他の人には鶴に見えてるらしくって、能力者だけこの姿なんだ!」

 「へ、へ〜……」

 

 汗をかき、鶴愛さんを見る。ニッコリ笑顔を見せている。しかし整っている顔だ、美人とはまさにこういう人のことを言うのだろう。

 

 「香蔵さんに助けて貰ってからは手伝うことにしてるんです…何卒、友達のように接してくださいね……えっと……」

 「あ、春乃です。春乃真希…です」

 

 流石に頭下げられたら何も言えないので名前だけ言っておく。

 私は軽く自己紹介をして、座る。これで全員自己紹介を終えた……のかな?

 

 「っていうか、やっぱり少ないね…」

 「そりゃ春ちゃん…超能力者がポンポン産まれたら困るでしょ?」

 「いや、そりゃまぁ……そうなんですけど…」

 

 4人……私含めて4人だけって…部活出来るギリギリの人数じゃない…

 ……あれ?

 

 「顧問は?」

 

 顧問のことを聞こうとして声を出した瞬間、ガラガラと扉が空いて、いかにも生徒会って感じの人物が入ってきた。

 

 「どうしたの〜?」

 「『どうしたの〜?』ではない!いつになったら問題を解決する気になるんだ!」

 「問題……?」

 

 私が質問すると、生徒会の青年は頷いた。

 

 「そもそもこの部活は不成立のはずなのだ!部活の目標である『困った人を助ける!』はどうしたのだ!?まだそういう話を聞いてないぞ!それに顧問もいない!」

 「顧問いなくて良くね〜?」

 「良くない!顧問は部の管理者と指導者を兼ねた役割がある!生徒だけだと危ないだろう!」

 

 鬼円の言葉に反論する生徒会の青年。私もどうしようかと考えていると、生徒会の青年は爆弾を放ってきた。

 

 「もしもこのまま来月!顧問も成果も上げなければこの部は廃止!二度と作ることは出来ないからな!」

 「……ええええっ!?!?」

 「……はぁぁぁっ!?!?」

 

 香蔵さんと狸吉さんが同時に立ち上がって驚いたような声を出して、鬼円は目を見開く。もちろん私も驚いて口を開ける。

 

 「いいな!?」

 「ちょっ!待っ……行っちゃった…」

 

 香蔵さんが引き留めようとするも、時すでに遅し。生徒会の青年は無視して出ていってしまった。

 私達は皆で座り込んで、まるでお通夜のようなテンションになる。

 

 「…どうしよ……この部なくなったら私のやりたいことが…」

 「やりたいこと?」

 

 私が疑問詞をつけて聞くと、香蔵さんは頷いた。

 

 「『人を助けて皆の幸せそうな顔を見たい』……それが私のやりたいこと!……なんだけど、そもそも部が無くなったらなぁ〜……ん〜」

 「と、とにかくなにか考えよう!みんなで!」

 

 狸吉さんがそう言うと、香蔵さんは力強く頷き、鬼円も渋々と言った感じで頷く。もちろん、私も異論は無いので考えることにする。

 そして、各々が考えたことを口に出して行く。

 

 「成果……あ!あの生徒会に見せつければいいんじゃない!?」

 「…いや、能力で解決しても、見えないだろ…普通の人間なんだから…」

 「そっか…」

 「つっても、成果は上げないとな〜」

 

 鬼円がそう言う。

 成果…か。部の目標……困った人を助ける……か。

 瞬間、私の脳内でビビッと電流が駆け巡った。その考えを口に出してみた。

 

 「あ、じゃあさ!『依頼BOX』的なもの作らない!?」

 「『依頼BOX』?」

 

 私は考えたことを説明する。

 まず、困ってる人を助ける、これが部の目標。ならばこの目標を生徒会に見せつければいい。

 つまり、この依頼BOXに入っている依頼を解決していき、有名になっていけば生徒会も認めざるを得ないだろう!

 

 という、なんともまぁ、原始的な考え方である。だが、着実に進めるならこれが速い。

 

 「いいね!やろう依頼BOX!」

 

 特に皆も反対せずに、依頼BOXを作ることとなった。

 

 「あ。でも顧問はどうしよう」

 「鬼円、おじいちゃん呼んだら?」

 「部外者ダメだろ!っていうか部活の顧問できる口じゃねぇよ!」

 

 鬼円が叫んだ。

 

 「鬼円、おじいちゃんいるんだ」

 「…あぁ。あのクソジジイはよお陀仏してくれねぇかな…」

 「口悪ッ!自分のお爺さんになんてことを!?」

 「うるさい!関係ないだろ…」

 

 鬼円が嫌な顔をしながらそう言う。話が逸れた…

 香蔵さんはとにかく依頼BOXを作り、成果を見せる作戦を実施しようと言って、今回の部活動は終わった。

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