ようこそ!超能力部です!   作:YY:10-0-1-2

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第72話 ホップ・ステップ・ショッピング!

 

「これは!?」

「いや、派手すぎ! 逆に抑えめでもいいかも!」

「じゃあ、これは!?」

「それは地味すぎ、もう少し派手に!」

 

 ───なんじゃこりゃ……何見せられてんだ……。

 

 鬼円は心の中で呟いた。

 目の前には、目がガンギマっている香蔵、狸吉、春乃の姿が。

 まだまだマトモだと思っていた春乃が2人に似てきてしまったことで、ほんの少しだけ眩暈を起こしかける鬼円だが、正気を保つ。

 

 鬼円は、女子のことを何ひとつとして分からない。

 ただ、いくつもある特徴の中で特に知っていることといえば、こういう服のことに敏感すぎる、ということなのだ。

 

 何しろ、自身に突っかかってくる先輩(音流)や、やはり突っかかってくるクラスメイト(春乃・冷世・蟹菜)などの会話をよく聞いているからだ。

 耳は悪い訳でもないし、地獄耳のように良いわけでもない。

 ただ、会話の内容的に知っているのだ。

 

 ()()()()()()()()()、と。

 

 だからこそ、この時間が暇で暇で仕方が無いのだ。

 金之助なんかは「少しだけ買い物してくるっす〜!」と言って鬼円を置いていった。置いていってしまったのだから。

 

(あいつ(金之助のバカ)は潰す)

 

 やはり最も愚かな手を打ってしまった金之助を頭の片隅に追いやった鬼円は春乃達に近づく。

 そして、その手に持っている水着の姿を見てドン引きする。

 

「お前ら、どれ買うんだよ……」

「それを今決めてるんだよ」

「そそ。どれが似合うかな?」

 

 知るかよ。

 心の中でつぶやく鬼円。だがそれを押しとどめ、考え込む。

 

 鬼円は別に鈍感なわけでも、よくある「やれやれ系」でもないと思われる。

 例えば、女性が「どっちがいいかな?」と言われたものに悩み、考え込んだ後に決める。そういうタイプなのだ。意外と律儀なのだ。

 

 だからこそ、現段階で3人に似合う水着を手に取る。

 

「香蔵と狸吉はどーせ決めるとして……そうだな。春乃はこれか……?」

 

 鬼円が手に取ったのはピンク色の、所謂フリル水着と呼ばれるものであった。

 それを手に取った鬼円に顔が真っ赤になる春乃。

 

(えっえっえっ!? そんなの!? そんなちょっと露出が高いものなの!?)

 

 春乃はそれを手に取り、試着室に入り、カーテンを閉めて着替えてみる。

 ゴソゴソという音を聞いて鬼円は1歩下がる。

 

 それを見て、狸吉と香蔵は「おぉ〜」と簡単の声を上げる。

 失礼だな。とか心の中で思っている鬼円が舌打ちをした後に、シャラッと試着室のカーテンが開かれる。

 

「ど、どう……?」

 

 鬼円は顎に手を当てる。

 ピンク色のフリル水着に、細い体。意外とあるたわわな胸。そして何よりも、その黒い髪が水着をよりよく見せていた。

 

 春乃はモジモジしながらも鬼円の反応を待っていた。

 

「……あぁ、いいと思うぞ。似合ってる」

 

 「いいと思うぞ」「似合ってる」。

 その言葉ふたつで、春乃のHPは一気に消し飛んだ。

 春乃は試着室のカーテンをバッと閉めて、唸る。唸る。

 

(似合ってる……似合ってる……!! 似合ってる……!!)

 

 鬼円の言葉を脳内で連呼し、目をぐるぐると回して、顔を真っ赤にする春乃。

 叫びたくなる声を抑えて、元の服に着替える。

 そして、その似合ってると言われた水着を手に持ち、出てくる。

 

「……ちょ、ちょっと……露出は、高い……けど…………こ、これにする……」

 

 鬼円は心の中で思った。

 

(あー、とっとと決めてくれ……腹減った……)

 

 人間誰しも、心の中など読めない。ましてや、超能力者でも、心の中を読む超能力者は稀である。

 心理学や、マジシャンの誘導のような、そんなもので擬似的には出来るが、心を読むことなど、ほぼ不可能なのだ。

 この時ばかりは、春乃が心を読めなくてよかったであろうと記す。

 

 さて、続いては香蔵と狸吉……なのだが。

 

「どう!?」

「うん、似合ってるけども、もう少し派手でもいいかも!」

 

 ある時は狸吉が唸り。

 

「これは!?」

「いや、露出が高すぎる! 私とならいいけど、この姿は私だけのものにしたいから露出は抑えて!」

 

 ある時は香蔵が欲を吐き出し。

 

「どうだ!!」

「……普通に似合わん」

「やめなよ!?」

 

 ある時は鬼円の厳しい判定と春乃のツッコミが炸裂した。

 

 結果的に、香蔵と狸吉はお互いに似合ってると言った水着を買うのであった。

 これで一段落した……と脳内でため息を着く鬼円。だが、それは間違いであった。

 

「じゃあ次は……日焼け止めね」

「あっ、ビーチバレーボールも買おうよ!」

「わ、私、ヘアアクセサリー!」

 

(終わんねぇじゃねぇかよ!!!!)

 

 心の中で叫ぶ鬼円。

 そんな中、一際うるさい試着室があった。

 

「若、いや若! これが一番だと思います!!」

「バッキャロお前、分かってねぇな!! 羅救はな、もう少しお淑やかなんだよ!!」

「いやいやいやいやいや、これでしょ! 露出っしょ!!」

「お前、これほぼマイクロビキニだろうが!!!」

 

 鬼円はそちらを向く。

 そこにはとてもとても見知った顔があった。その連中と会うのは、ほぼ1か月前である。

 

 鬼円はそんな連中の中でも一際存在感を放っているボスの肩を掴む。

 そのボスは「?」と鬼円の方を向いて固まる。

 

「う、る、せ、え、し、ず、か、に、し、や、が、れ……!!」

「は、はひ……」

 

 それは、檻鉄徹太とその不良仲間達であった。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

「まさかお前らも来てたとはな」

「ほぼ1か月ぶりだもんなぁ」

 

 春乃達はフードコートで檻鉄徹太、その妹の羅救、そしてその仲間である白城哲殻の3人と話し込んでいた。

 徹太は笑いながら隣でハンバーガーを食べている羅救を撫でながら笑う。

 

「いやぁ、あの後が大変でよぉ……まぁ、うん。色々とな」

「ぜってぇ警察となんかあっただろ……」

「それ大丈夫なんですか!?」

 

 それが大丈夫だったんよと笑う徹太。

 徹太の言葉に春乃と香蔵が苦笑いしつつ汗を垂らす。

 

「とにかく、何とかなってよかったわ〜はっはっはっ」

「それで、ここに遊びに来たの?」

「そゆこと。お兄ちゃんが遊び行こうぜって言ってさ!」

 

 へぇ。と頷く春乃。

 哲殻は暗い顔をして腹を抑えるが、それを狸吉が後ろからポンポンと叩く。

 そんな二人を見ながら、春乃は聞いてみる。

 

「ねぇ、あの子……花畑さんは、どうなったの?」

「まだ謹慎中ーだよ」

 

 謹慎中という言葉でビクッとなるが、哲殻はそんな春乃に対して首を横に振る。

 

「そこまで大きいもんじゃないさ。朝のゴミ出しとか風呂掃除とかを任せてるだけ。3ヶ月ぐらい」

「えっ、寮制度だったりするの?」

「いや、いつもだいたいこんな感じ」

「なんか学生の寮みたいだね!?」

「ふふっ、実際そんな感じだしね」

 

 そんな春乃のツッコミに笑う羅救。

 羅救はハンバーガーを平らげると立ち上がる。

 

「それじゃあ、俺らは行くわ」

「うん。またね!」

「おう」

 

 徹太達が帰ろうと立ち上がり、その後に続くように春乃達が立ち上がる。

 春乃達は次にビーチバレーするためのボールを買おうと話し合い、そっちに向かうと……

 

「やっぱり、ビーチバレーならこのボールっすよね!」

「うん、そうだね……分かったからうるさいから……」

「えっ? そうっすかね?」

「だーっ!! うるさいから黙っててよ!」

 

 金之助と快弦がボールを持ちながら話し合っている姿があった。

 春乃達は思った。

 

(((仲良しーーーー!!)))

 

 と。

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