ようこそ!超能力部です!   作:YY:10-0-1-2

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第74話 過去と夢、それと遊び

 

 私が産まれたのは、3月3日。

 父さんも母さんも、私が産まれてきたことに凄く喜んでいたと聞く。

 別に健康に問題はなかったし、どこか障害があるって訳でもなくって、ただの赤ん坊だった。

 

 こんな重たい喋り方だけど、特にこれといって特徴も無い人生である。

 小学生の時の思い出なんて覚えてないし、ましてや小中で同じ友達なんて居なかったもの。

 

 あるとして、確か中学生の頃だったかな。

 クラスで孤立していた子がいて、私は静かにその子のことを気にかけていた。

 クラスに馴染めないんだろうなって、可哀想だなって思ってた。

 

 だから、文化祭の時に一緒に歩こうよと誘ってみた。

 そんな大きい中学校でもなかったから多少クラス内でやるゲームなんかがあるだけで、屋台みたいなのはなかった。

 

 だけど、みんなで最近流行りの曲を歌ったり、子供だけどじゃんけん列車みたいなものをやったり、自分たちで作った射的をやって見たり。

 そんなちょっとした遊びが楽しかったことを覚えてる。

 

 そして、その孤立していた女の子もクラスに馴染んでいて、とても大きな口で笑っていたのを覚えてる。

 それで思ったんだろう。私の夢はって。

 

 たぶん、私は人が笑っている姿が好きなんだなぁって。

 それで、思ったんだ。もし、私がそんな人になれたらなぁって。

 その夢をいま探しているところなんだ。警察官でもいい、消防官でもいい。もしかしたら、保育園の先生になってるかも。

 まだ、何かになりたいって言うのはない。ただひとつ決意してることがあるってだけ。

 

 私は、人をたっくさん、笑顔にしたい。

 

 ただそれだけが、決意してることなの。

 

 

 引っ越したのは、私自身が変わりたかったのもあるけど、親から「沢山のことを学んできなさい」と言われたから。

 いきなりの事だったからビックリはしたけど、香蔵さんにあって、良かったとずっと思ってるよ。

 ここでなら、超能力部でならきっと、きっと……私のなりたいことも、見つかると思うから。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

「……そんな、感じです」

「春乃ちゃんなら、なんでもなれるよ! 私より頭いいし」

「それは、香蔵が頭悪いだけじゃ……いや、なんでもないからそんな睨まないで」

 

 あ、あはは……。

 私は頭悪いと言った狸吉さんを睨みつける香蔵さんを見て苦笑いをうかべる。

 そんな中、快弦ちゃんは私を見つめていた。

 快弦ちゃんは、私を見つめて、大きく頷いてくれた。まるで、背中を押してくれるかのように。

 私はそんな快弦ちゃんを見て、同じく、小さいながらも頷く。

 

 

 さて、と声を上げたのは香蔵さんだった。

 

「次はどこ行く?」

「あっ、ゲーセン寄りたいっす!」

「こいつをボコすって話になったんでな」

「俺がボコすっすよ!」

 

 金之助君と鬼円がバチバチになっている。

 香蔵さんはそれを見て頷いて、次の行く場所はゲームセンターとなった。

 なにかの大会が開始されているのだろう。ゲームセンター内は盛り上がっていて、熱狂に包まれている。

 

 鬼円達はそれを横目で見てから、すぐさまパンチングマシーン的なものへと歩み寄る。

 鬼円と金之助君はお金を支払い、肩を慣らしたいのか腕をグルグル、首をグルグル回す。その後に、金之助君がパンチングマシーンのパンチする所に目掛けて思いっきり拳を叩き込む。

 

 ドゴンッッッ!!! という物音を立ててパンチングマシーンが揺れる。

 

「……ドゴン?」

「ドゴンって……」

「威力……」

 

 私、狸吉さん、快弦ちゃんがそれぞれ反応する。

 どうやら上の数字のメーターが威力を表すらしく、3桁あるのだが……。

 一、十、百……360程で止まり出した。本当に素の体力なんだよね??

 

「くっ〜〜!! もう少しでたはずっすねぇ……」

 

 金之助君は顔を歪めてそういう。

 えっ、おかしくない? 普通にこの300KGはおかしいよ?? 人間って普通こんなでないもんじゃない??

 続いてやるのは、鬼円なのだが……。

 

「えっ、鬼円? それ構えあってる?」

「? おう」

 

 金之助君は飛びかかるように殴っていたが、鬼円はなんだか……こう、ボクシング……いや、空手の選手みたいなポーズ……?

 左腕を下におろし、右腕を拳の形にしたまま腰の近くに置く。

 

「……っー……!!」

 

 鬼円が勢いよくパンチングマシーンを殴り飛ばす。

 おかしいな、金之助君でも揺れただけなのに、見間違えかな。なんかいま、後ろに下がったって言うか、揺れたとかじゃないって言うか……。

 

「……400KG??」

「うーん、微妙だな」

 

 微妙? これで???

 香蔵さんも狸吉さんも白目を向きながら「4、400?」と呟いていた。やっぱ微妙じゃないじゃん!!

 

「ちなみに、能力って……?」

「使ったらつまんないだろ」

「そうっすよ」

 

 頭おかしいんじゃないかなぁ。(悪い意味ではない)

 私は別のゲームを探すためにちょっと目を離す。

 すると、すぐそばにVRを使うゲームがあった。なるほど、このVR器具を使って楽しむということか。

 楽しめるのは……ホラー系か。

 

「うん無理だなやめとこ」

「ちょっと、春ちゃん逃げないでね?」

 

 ホラーほんとに無理なんですやめてください。

 鬼円はどうやらホラー耐性がバッチリあるようで、なくても良かったのに何故かあるせいで、ノリノリでやろうとしていた。

 私は猛烈に、超絶に反対したわけだが、何故か鬼円と共にやることに。

 結果的に言えば、私が悲鳴をあげてばっかだった。

 

「待って!! 鬼円待って!! 置いてかないで!! なんで!!」

「あー? つっても、戻る道ねぇぞ」

「なんでーーーーっっっ!!!!」

 

 VRということもあり、臨場感は半端なかったと思う。

 それはそれとして、滅茶苦茶怖かった。ほんとに、怖かった。

 終わったあと、私はげっそりとした顔で鬼円に抱きつく。もう無理、ほんと無理。

 

「置いてかないでよぉぉぉ……」

「悪かった、悪かったっての」

 

 何その態度……。

 というか香蔵さん、爆笑しすぎじゃありません? いっぺんだけでいいからこれやってみてくださいよ。マジで怖かったですから。

 

 えっ、ホラー系統のVRがもうひとつある? もうやめてくださいっば!!!

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