「―――――着きましたね」
二台の車が旧Fトンネル前で駐車する。
「―――――ここが旧Fトンネルなんだよな」
詠子の車に七海と伊地知がやって来たところで虎杖が呟く。
「地図を確認しておこう」
「ええ、そうしましょう」
夜宵の提案に七海は頷く。
「あっスマホ落としちゃった」
うっかり詠子はスマホを後ろ側に落としてしまう。
「あっ、僕が拾うよ」
そう言って螢多朗は詠子のスマホがあると思った場所に顔を近づけると…
「おわぁぁぁぁぁぁっっ!!」
「どうしたんすか!幻燈河先生!!」
螢多朗の悲鳴に虎杖は声をあげるが。
「ぁ・・・ごめん。もう居ないと思っていた子がいたから驚いていたんだ」
螢多朗を他所に夜宵が狸のぬいぐるみの首根っこを掴んでいた。
「夜宵それは?」
「Sトンネルの霊この黒い髪の縄の素材元。蟲毒から逃げてこんな所に隠れていたとは」
「・・・・・またSトンネルですか」
呆れたような表情を見せる七海。
「またですか?Sトンネルって霊が多いんですか?」
七海の言葉に螢多朗は聞く。
「ええ、あの場所は墓地の近くで尚且つ心霊スポット、上手い事呪いを取り込めばちょっとした準一級呪霊の出来上がりでしてね定期的に掃除しています。…立ち話は何です。場所を確認しましょう」
そう言い七海は地図を確認する。
「三つあるトンネルの内新設された『新Fトンネル』そして、目的地である『旧Fトンネル』…そして、この封鎖された『旧旧Fトンネル』がもしかしたら件の呪霊の巣かもしれません」
カーナビに映された地図を見ながら七海はそう呟いた。
「どうします七海さん?」
伊地知が七海に方針を聞く。
「・・・・・手探りの状態ですが行かない事には始まりません。私と虎杖君が行きます皆さんは待機を」
「…え!?なっ、何で!?」
七海の言葉に詠子が問いただす。
「簡単な事です。相手は推定一級下手な御守は足手まといです。それよりかは少ない人数で進む方が良い」
「…悠仁は御守じゃないと?」
怒りの表情で七海に詰め寄る夜宵。これまで幾つもの悪霊と戦ってきた夜宵からすれば七海は自分はお荷物だと言われたのだ。幼くても歴戦の幽霊使いとしてのプライドが刺激された。
「…ええ、彼は私が認めた呪術師です。少なくとも一級クラスであれば最低限の動きが出来ます。と言う訳で虎杖君行きますよ」
これ以上は聞かないと言わんばかりに七海は旧Fトンネルに足を運ぼうとする。
「ウッス!」
七海に続いて虎杖も旧Fトンネルへと足を進めようとしていた。
「ちょっと待って!一応曰くを調べたので相手の情報になるかもしれませんから聞いてからでも良いでしょうか!」
詠子がスマホを七海たちを呼び止める。
「…そうですね。相手の出方は少しは予想出来るかもしれません」
流石に言い過ぎたのか詠子の提案に七海は耳をかした。
「えっと…ここが心霊スポットになったきっかけ。『それはここのトンネル近くの茶屋で家族が強盗に斧で斬殺された…という事件がある。目撃された霊はその被害者では無いかって』言われているらしいです」
「不思議では無いですね惨殺された恨みで呪いや憎しみで呪霊おかしくないです」
「…―――心霊体験の噂は次のとうりにその一『白い和服の女の幽霊が出る』その二『トンネル内で振り返ると幽霊が恐ろしい形相で追いかけてくる』その三『老婆がトラックに押しつぶされしかもその跡が今でも残っている』『その四『人のような物が奥から聞こえる』その五『トンネル入り口付近にあるはずのないボロボロのカーブミラーが現れ見てしまった人は不慮の事故に遭う』その六『神隠しに遭う』」
話終えると全員は外に出ていて旧Fトンネルを見ていた。
「…ふむ。話がバラバラ。こう言ったものは複数の呪霊が縄張りの主となりその時次第に心霊現象を引き起こしていると考えていると考えていますが…もし呪霊達が互いに食べ合い最後に残ったものがこの場所の主だとしたら…」
「有り得なくは無いですね呪霊は互いを喰らい合う『蟲毒』こそが最も強い呪いでしょうね」
七海の考察に伊地知が相槌を打つ。
「そうなんですか。だとしたらSランクもあり得るのかもしれませんね」
「Sランク?何です?」
螢多朗の言葉に七海が興味を持つ。
「あっ、はい。Sランクって言うのは僕たちが各地の心霊スポットをネットの情報を元に出した危険度の表し方です。E~からAの順で危険度は上がりAの上がSランクそれ以上はSが上がっていきます。Sランクの特徴は確か『一度入ったら逃げられない』『または距離を無視した呪いを放ってくる』だよね夜宵ちゃん?」
「うん、そのとうり」
螢多朗のSランクの特徴に夜宵は頷く。
「ふむ、そうなると相手の領域。またはマーキングされてマーキングをたどり呪殺する。それほどの呪霊がいると言う事ですか」
「・・・・・あるはずのないカーブミラー」
詠子が壊れたカーブミラーを見ている。
「あまりこういった場所の鏡を見ないでください呪いの起点にされて……はぁ、…虎杖君行きますよ。後幻燈河君でしたね。……それと夜宵さんでしたね。お二人も死ぬ覚悟があるなら私の指示に従うならついてきても良いですよ」
七海は詠子に近づく。
「えっ、何で夜宵達も良いんだよナナミン嫌がっていたじゃん」
虎杖が七海の言葉に疑問を持つ。
「虎杖君。呪力で目を強化して彼女を見て下さい」
七海は詠子に指さす。
「え何で?……!?」
「気づきましたね。次からはこういったのは自分で気づいてくださいね」
ビックリする虎杖に気づいたのか七海は問題を解いたことを誉めるような教師のように言う。
「えっ…何の話?」
一方螢多朗はまるでどんな話をしているのか分かっていない。
「―――――こういう事です!」
七海は詠子に向かって愛用の鉈の呪具を振るった。
「ちょっと何を!?…ッ!?」
詠子に攻撃する七海に驚愕する螢多朗だがその攻撃された詠子の顔に異変が起こった。
『ァァァァァァッッッ!!…何で!何で!?…何で分かったの!?』
ボロボロになっていきその化けの皮と言うか皮を剥がされ人体模型にされた人のようなモノが螢多朗達の前に現れた。
「生憎とこの程度の幻覚など容易に解除出来ます」
七海は形代を片手に呪霊に近づく。
「貴方は此処の呪霊の犠牲者ですね。さしずめ生き餌と言った所ですか?」
『…そうよ。…友達を…助けたかった。…ただそれだけだったの…なのに…あの子が望んだのは…道ずれだった』
「…では貴方をこんな目にした呪霊…化け物は何処に居ますか?」
『…奥…このトンネルを越えた一番奥のトンネル…お願い…もう…苦しめないで…』
先ほどの一撃が効いたのか呪霊は大人しい。
「そうですか。情報提供ありがとうございます…今は休みなさい。せめてもの情けです終わったら貴方を供養してあげましょう」
七海は霊を形代に閉じ込める。そして形代を伊地知に渡す。
「分かりましたね。彼女は『囚われた』今なら間に合う。急ぎますよ。伊地知貴方は2時間経ったら更に応援を呼んでください。行きますよ三人共」
「分かりました」「「はい!「分かった」」」
―――――旧Fトンネルを走る七海一行。詠子が旧Fトンネルを巣くう呪霊の魔の手に遭う前に詠子と合流しなければそう思った四人だったが・・・・・
「詠子!!」
辿り着く旧旧Fトンネルの入り口封鎖されているはずのとの扉は開かれ近くには呪霊との呪いバトルがあったのか残穢の気配が漂っていた。
「螢君!夜宵ちゃん…!!」
無数の呪いの手にトンネルの奥へと連れ去られようとする詠子。
「詠子さん!!」
近づこうとする虎杖だがその前にトンネルは閉じた。
『―――――――――ニィ』
旧Fトンネルの呪霊は挑発しながらトンネルへと消えていった。彼女を助けたければ追って来いと言わんばかりに。
「―――――舐めやがって」
その言葉は誰の言葉なのか旧旧Fトンネルに巣くう呪霊の戦いはこれより始まる。
感想評価コメントお待ちしております。