呪術収集   作:黑米田んぼ

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オハコンハロチャオコロナも大分抜けて来たので多少無茶してでも投稿次回からは短いですが姉妹校対抗戦編です夜宵視点で見る呪術の世界を楽しんでくださいね。


第15話 これからの道

―――――時間はH城址の日神に宣戦布告し今後の事について話していた昼まで遡る。

 

「―――――ここで良いかな」

 虎杖が伊地知に電話をかけていたその裏で夜宵は虚空に声をかけた。

 

『やはり、お前は儂が見えるんだな』

 夜宵の前に虎杖悠仁の実の祖父虎杖倭助が現れた。

 

「うん、一緒に来てくれたから私を信じて話してくれるんだよね?」

 

『…まぁ、な…そうじゃな…まず最初にだ…儂には一人息子がいた。言うまでも無く悠仁の父親だ。息子には妻がいてな儂が言うのもなんだが良い夫婦だったと思う。内心では孫は何時だと…そう、…そう思っておった……じゃが…』

 項垂れるように在りし日を苦々しく声に出そうとする。

 

『あの二人は子宝に恵まれなかった。二人はお互い子供が欲しかった。だが、その成果は実ことは無く程なくして彼女はこの世を去ってしまった』

 

『―――――それから程なくして死んだ人間が再び息子の前に現れた…いや、あれは香織では無かった。寄生虫か何かが彼女の体を乗っ取って息子の前に現れた』

「乗っ取った?」

『ああ、再び現れた香織の額には縫い目がついておりその得体のしれなさに儂は仁に何度も関わるなと伝えた。…しかし、仁は息子は儂の言葉を無視してついに二人が望んだ子供。悠仁が生まれた。程なくして香織は仁の前から去った。そして、香織を追って仁も悠仁を置いて儂の前に現れなくなった。残されたのはたった一人の孫だけ』

 悲し気な倭助の顔にはどうしてこうなったと書かれているほどに感情が顔に出ていた。

 

『悠仁はすくすくと成長しそれに比例して儂は老いた。そしてほんの少し前に病でこの有様。死ぬ前にせめて両親の事だけは伝えてやりたかったがそんな老婆心はアイツは無視しやがった。せめて消えるほんのわずかな時でも悠仁のこれからを見守ってやろうと思った…思っておった…忘れておった死人を操ってまで仁と香織の愛を踏みにじってまで悠仁が生まれた事を』

「何が起こった?」

 

『目の良いお前さんなら分かるだろうあの黒髪のガキは呪いと言った。悠仁が拾い部活の先輩に渡したらしい呪物の封印が解かれてしまい呪いが悠仁たちを襲った。絶体絶命黒髪のガキは悠仁に逃げろと言った。…じゃが、悠仁は儂がお前は強いから人を助けろと遺言(呪い)を言ってしまったせいで件の呪いのじゅぶつ何と言ったか。あの連中が言っていた。だてん?とか言う奴の指を食ってしまってな』

「それはまた悠仁も剛毅な」

 流石にないわーと言いたげな表情を見せる夜宵に倭助は続ける。

 

『悠仁の担任の先生を名乗る目隠し曰く悠仁はあの指を食べたせいで中に封じていた呪いが悠仁と一体化してしまったらしい。そのせいで悠仁は死刑にされてしまった。辛うじて今すぐじゃなくて件の指20本すべて食べたらと執行猶予があるらしい。…だが、香織を乗っ取ったあの縫い目は仁と香織を使って何がしたかったのかこれでおおよそ理解できた』

「悠仁に堕天の指を食べさせる。…強力な呪物の器にする…でもそれは何のために?」

 

『分からん。少なくともあの縫い目には件の呪いを使って何かする気なのだろう。…ここまで話したがこれだけは言える。―――――これ以上悠仁の近くにいるな死ぬぞ』

 重いプレッシャーが乗った倭助の言葉にはそれがハッタリでは無く真摯に伝えているのだろう。

 

「無論理解しているつもり」

 だが、変わらず夜宵は変わらぬ目で髑髏のような瞳が倭助を写す。

 

「だからと言って見捨てる気はない。悠仁も愛依もみんな助ける。それが私の意思」

『……好きにせぇ、死にそうになっても悠仁に恨み言を言うんじゃないぞ。これ以上孫を呪うな馬鹿餓鬼』

「…最後に恐らくお爺ちゃんはもう直ぐ成仏する悠仁に言う事は無い?」

『……一言だけな』

 

 

 

 

 

 

 

「―――――何言ってもシカトするから幾らでも儂を呪えだって」

 そして現在時刻旧Fトンネルの霊と宿儺の指の回収を終えた夜宵は倭助の言葉を虎杖に伝えた。

 

「…はぁ、たく爺ちゃんはさぁ、んなもん言ったってしょうがねぇでしょーがー死んでもカッコつけちゃって」

 夜宵が指さした場所に文句を垂れる虎杖。もっとも、夜宵の目には倭助は虎杖の反対側に回って耳を塞いでいるのだが。

 

「愚痴は幾らでも聞くから、言っても良いって言う事でしょうね。良いお爺さんじゃないですか」

「あーもー、爺ちゃんはさぁ…」

 悪態ついている虎杖を尻目に夜宵は虎杖の頭によじ登っていた。

 

「なーによー夜宵!もう行くのかよ!!」

 夜宵の行動に困惑する虎杖に夜宵は言う。

 

「取り合えずあのトンネルにいる善良な霊とやらかすだろう悪霊を分けたい善霊は寺に人に害をしてよそ様に迷惑をするような霊は私の部屋行き」

「…しゃあねぇな。ちゃんと選んで仕分けるぞ!良いな夜宵!!」

「オッケー、レッツゴー」

「ストォー!」

「元気ですねあの二人」

 旧Fトンネルの中へと進む虎杖と夜宵を見て七海は若干呆れていた。

 

「―――――悠仁。ナナミンには言わなかったけど悠仁にはちゃんと言っておきたいことがある」

「何だよ夜宵?」

「この間の愛依のマンションの霊を見ても魂は肉体から引き離すことが出来る。宿儺がどれだけ完全無欠でも付け入る隙がある。アイツさえ如何にかすれば悠仁の死刑は無効に出来る」

「…ありがとよ夜宵。…でもな、それで夜宵が苦しむなら止めてくれ。自分の死にざまはもう決めているんだ」

「…分かっているでも。私は悠仁も諦めていないよ」

「へっ、そっかあんがとよ夜宵」

「礼には及ばない何より悠仁のおかげで色々と知れたし」

(―――――何よりお爺ちゃん情報を教えてくれてありがとう)

 倭助の言葉は伝えた。…虎杖に向けての言葉は。

(額に縫い目のある存在。H城址に置いてあった呪物にもしかしたら空亡にも関わっているかもしれない。次悠仁の前に現れる時は別の姿なのかも知れない。絶対に逃せない)

 仕分けしながら顔も知らない謎の呪詛師との闘いに思いをよせる夜宵――――――故に気づかなかった。

 

(――――――)

 グレイ人形が一瞬動いたことに。

 

 

 

 

 

「―――――ねぇ、夏油。あれ何?」

 一方自我を獲得し人と呪いの関係をひっくり返そうと暗躍する呪霊達の集う地で人が人を呪う呪いで生まれた真人と額に縫い目のある呪詛師夏油傑は話をしていた。

 

「何だろうね。流石に私でもちょっと見ただけでは分からないよ」

 そう言いながら夏油はパソコンに映像データを添付しながら色々と操作しながら語る。

 

「この糸を見てくれ宿儺の指の呪物体の攻撃をあの軍人の霊は一歩も動かずに受けようとしていた。その上殺してくれと言っていた。もし私の考えが間違っていなければあの霊はただの破滅願望のある自殺志願者だと思っている―――だが」

 

「でも動いた糸がまるでマリオネットみたいに動いて操っているね」

 そう、鬼軍曹は攻撃を捌いていた。

 

「それだけじゃない。攻撃を受けても糸が縫って修復していた。あれがあの霊の術式でなければ何か『上位者』の干渉を受けているかに思える」

 夏油は鬼軍曹の力の正体をそう考察する。

 

「上位者?なにそれ脳に瞳でも宿しているの?」

 

「フフッ、そう言う者もいるだろう。私が言いたいのは呪霊を越えた存在…そう、神さ」

「聞捨てならないな。俺達が劣っているってこと?」

 夏油に詰め寄る真人に夏油はちゃんと答える。 

 

「まぁ、まぁ、君達呪霊からすればそう思うだろう。神様などの伝承などで描かれるような怪物に対して特定仮想呪霊と言うものがあるが君達呪霊は基本的に人が憎み、怒り、恐怖するそんな負の感情で出来ているだろう?」

 夏油は一体の呪霊を取り出す。

 

「だが、人の魂と言うのは厄介なものでね。呪霊にも似たような事例もあるが古代には霊的な力のある霊魂というのはあちこちにいたんだ。今でも力のある霊魂は普通に生まれているが特にここ日本では御霊信仰が盛んだ。古代の日本では豪族の霊が祭られその思いは霊に宿りよりいっそ強大な霊へと進化する。天元の結界もあるが日本に呪術師が多く生まれるのはそれが身近にまで続いていたことが高い霊魂を持つ人間が生まれやすいのだろう。こればかりは日本が築き上げてきた『歴史』と言った所だろう。他民族が多い大陸ではこうもいかなかった。だが、強力な霊魂は時にそのあり方にハマり人々の恐れと願いを注がれその祈りを形にした術式を持つ魂に昇華される」

 そして、一体の『神』が現れる。

 

「これもその一体名をガネーシャ。元は障害神だったものが障害を排除する軍神だと信じられたせいであり方が変化した存在だ」

 

「……確かに強そうだけど俺と戦ったらそれなりに勝てそうな気がするんだよな」

「それはこの神が本体から分けられた分霊だからさ。こう言ったそれなりの知名度がある本体を探し出せるのは容易じゃなくてね。程度の低い土着神や様々なやり方で分霊を手に入れる方が楽なんだよ」

 

「ふぅ~んそうなんだ。…じゃあさぁ、丁度良いのいるの?俺達が使えそうな奴」

 自分達の目的は人との立場を逆転させ呪霊こそこの星の霊長類になる事。…故に真人は理解した神様とやらは毒にも薬にもなると。

 

「…ああ、ちょうど馬鹿が隙間を作ってくれたんだ。おいおい向かうとしようかの72柱の一柱が封じられている地へね」

 

 

 

 

 

 

「――――――では、こちらの霊は高専で繋がりのある寺に持っていきますね」

「うん、ちゃんと送ってあげてね」

 旧Fトンネルから呪術高専の施設へと移動した夜宵達。道中生き残った悪霊が最後の抵抗をしたが直ぐに取り押さえられ処遇は付き合いのあった詠子に預けられた。

 

「螢多朗大丈夫?」

「う、うん。でもちょっと動きたくはないな」

 鬼軍曹の衰弱の祈りを受けてしまい衰弱しきった螢多朗はベットに寝かされ休んでいた。

「夜宵ももう直ぐ家入さんが直してくれるって言っても無茶はすんなよ」

 夜宵もまた足を負傷していたためにベットに座っていた。

 

「お疲れ悠仁、いやーほんのちょっと目を離したら飛んでも無いぐらいに面白い事になっていて僕としてはかなり笑えるんだけどね」

 そんな夜宵達が休んでいる場所にサングラスをかけた男と女医がやって来た。

 

「五条先生!!家入さん!」

 入って来たのは虎杖の担任の先生にして現代最強五条悟と高専の女医家入硝子だ。二人がやって来た事に虎杖は喜んでいた。

 

「あ、…貴方が悠仁君の先生ですか」

「螢ちゃん」

 虎杖の担任と知って螢多朗は立ち上がろうとし衰弱していた体を詠子に支えてもらう。

 

「おっと、そこまでしなくても良いよ。ただ栄養を無くしていただけだから暫く休んで栄養価の高い食事をしていたら直ぐに治るから」

「そうなの。だったら私はこの子を治したら終わりで良い五条?」

「だね、いっちょ頼むよ硝子」

 五条の指示を聞いて家入は夜宵の足を反転術式で治療した。

 

「…おお、回復魔法。ねぇ、ねぇ、これどうやってやるの教えて教えて」

 怪我が癒えた夜宵は真っ先に家入に反転術式のやり方をキラキラとした目で聞き出そうとしていた。

 

「ちょっ、…夜宵ちゃん……すみません」

 螢多朗が迷惑をかけていると思い礼を述べるが。

 

「ああ、良いよ。反転術式ってのは呪力と呪力を掛け合わせて生み出すものでさ。…こう、ばひゅーんってやってひゅるひゅるとやれば出来るよ」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 ええ…と家入の説明に呆れる一同だが五条はそれに答える。

 

「分からないのもしょうがないよ。僕もさぁ学生時代に同じことを言われて分かるかボケって思ったよ。でもさぁ、これが事実でね。僕も死の淵でギリギリ目覚めたんだけどさ。余りにも言語化できないから抽象表現するしかないんだよ」

「…つまり死の淵でギリギリ歯車がハマるしか方法が無いと?」

「そっ、だから何となくしか教えることが出来ないんだ」

 と五条は空気を入れ替えて再び螢多朗達に話しかけた。

 

「改めて初めまして僕の名前は五条悟。悠仁の担任で君達に取引を持ちかけに来たのさ」

 

「む、こちらこそ初めまして幻燈河螢多朗です。悠仁君には世話になりました」

「…寳月夜宵」

「お、同じく寳月詠子です!」

 

「うん、うん、いい返事だ。で、取引って言うのがさ。君達主にそっちのガリガリとちび助呪術師やらない?」

「五条先生!それって…」

 

「悠仁の予想は大体合っているよ。彼らのやり方は関係無い一般人が巻き込まれる。場合ってか呪詛師と大差変わりない。だからこちらである程度は管理しないといけない。勿論呪術師になる事でメリットはいっぱいあるよ危険手当は保証するよ」

(危険手当ってはなから命を懸けるってこと!?)

 螢多朗の唖然とした表情に対して夜宵はいたって冷静にしていた。

 

「取引に応じても良い…ただし、条件がある」

 本来であれば立場は夜宵達の方が明らかに弱い。だが夜宵は非常にふてぶてしい顔で自分が上だとマウントを取ろうとしている。

 

「・・・・・いいよ、言ってごらん」

 五条は一切動じていない。サングラスの奥から覗く五条の六眼が夜宵の髑髏の重瞳を写す。

 

「私のママの魂を攫った悪霊『空亡』の情報を発見次第教えてもらう事。私の後輩の愛依に憑りついた神様を倒す手伝いをしてもらう事。螢多朗と詠子の手の呪いを祓う事。私の手駒を集めるために強力な呪霊やお化けの情報を見れるようにすること」

 

「ひゅー、強欲だねお嬢ちゃん。まぁ、最後は全部が全部直ぐにとはいかないけどそれ以外なら僕が何とかしよう。…それこそ件の神様だろうと…ね」

「…勝てるの相手は宿儺の指数本分相当の力を持つ卒業生が三体以上いないと倒せない相手でも?」

 髑髏の重瞳が青く輝く六眼を写す。

 

「―――――勿論、だって僕最強だから」

 そう言って五条は手の甲を夜宵の前に置く。

 

「螢多朗。どうする?私は構わないと思うけど」

 夜宵は螢多朗に声をかける。相棒と呼んだ人間に意思の確認をしたいのだ。

 

「…忘れたの夜宵ちゃん。もう、誰かが傷ついて泣き叫ぶだけじゃあダメなんだよ。―――強くならないと僕が僕であるために」

「…うん、夜宵ちゃんも螢ちゃんも私が支えるからね」

 呪われた手に同じく呪いわれた手を重ねる螢多朗と詠子。その姿を見て夜宵は手を上げて。

 

「―――――契約成立」

 五条の甲を叩いて夜宵は呪術師の道へと歩み始めた。

 

「そっちの色男は明日まで家で休んでて」

 詠子に連れられて螢多朗は詠子の車に運ばれる。

「あれ夜宵ちゃんは?」

 詠子と螢多朗が帰ろうとするが夜宵が何故か車に居ないのに螢多朗は疑問を覚えた。

 

「何でもこれから悠仁が交流戦って言うのに参加するから見学しようと思う」

 幸いにも今は連休家に居なくても夜宵は問題無い。

 

「分かったじゃあ悠仁君五条さん夜宵ちゃんをお願いしますね!また迎えに来るから!!」

「・・・・・・」

 車に乗り込み螢多朗家に車を走らせる詠子を見送り夜宵は高専の施設のベットで眠り交流戦に備えようとしていた。

 

 

 

「随分な出迎え。相応の対応をしてもらえるの―――――宿儺」

 人体の中のような場所で虎杖に似ているが目に見えて邪悪な男。呪いの王両面宿儺が夜宵の前に立っていたのだ。




最新話アニメで糸とかスレとか見ていて何か高位の軍神とかの加護を貰っているのかなって思ったけど何あの厄介目玉軍曹生前廃れた神社でも訪れた?って思った。
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