呪術収集   作:黑米田んぼ

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オハコンハロチャオ中々の難産でしたが投稿ですこれから姉妹校対抗編へと話が動いていきます楽しみにしていってくださいね。


第16話 自分の為に

「随分な出迎え。相応の対応をしてもらえるの―――――宿儺」

 眠りについた夜宵の視界に広がるまるで巨大な生物の腹の中のような黒と赤と死骸の世界。その中心にある大量の骨で出来た骨の山に座る現代ではあまり見られない古びた衣装を着込んだ虎杖によく似た成人男性…両面宿儺に夜宵は会合したのだ。

 

「―――――そうだな。それはお前次第だ」

 階段を降りるように骨の山を下っている宿儺はまるで面白いショーを見せてくれたコメディアンを称賛しているようであった。

 

「小僧と呪霊を通して見させてもらった。中々面白い遊戯だった。あの老害に持っていかれるのは癪だが精々努力すると良い」

 

「…私が負けると?」

 ムスッと顔を膨らませて宿儺に問う夜宵に対し宿儺もまた返答を返した。

 

「無論だ。あの老害は1000年前俺が殺しきれなかった存在。五条悟が相手するにしても容易では無いだろう…だが。もし、お前があの老害を相手にし生き残れたのなら、俺が自由になった後相手をしてやっても良いと思ってな」

 

「―――――真っ先にではなく?」

 

「ああ、それには先客がいる。お前も見ただろう五条悟を? 奴が主菜なら貴様は食後の菓子だ」

 夜宵の前で座り夜宵の顎を軽くしゃくりながら宿儺は夜宵に対してそう言う。

 

「…そのお菓子。満腹で食べきれると思わないで」

 言い返しながら宿儺を睨みつける夜宵。戦意を滾らせ髑髏の如き重瞳は眼前の呪いの王を写す。

 

「…良いだろう。精々俺を楽しませろ」

 そして宿儺は夜宵の背後に視線を向ける。

 

「お前もだ。さっさと力を取り戻せ■■」

「?」

 後ろに誰かいるのかと振り向く夜宵…そこには。

 

『…すく…な…』

 グレイ人形の霊が立っていた。

 

(…何故この子がこの世界に?)

 

『…すくな…もうひ…と……いく…さ………せん』

 グレイ人形の霊はただそこに立ちつくし目の前にいる宿儺を睨みつけながら同じ言葉を言い続けていた。

 

「ケヒッ、良いだろうもう一度撃ち抜いてやろう。精々力を付けて俺に挑むがいい凡夫共」

 宿儺の言葉を引き金に夜宵の視界は真っ黒に染まり。

 

 

 

 

 

 

「―――――知らない天井だ」

 そして夜宵は目を覚ます。夜宵は呪術高専管理下にあるセーブハウスに移動し虎杖達と一夜を共にした。

 

「…悠仁おはよう」

「おう、良く寝れたか夜宵」

 顔を洗いながら台所で朝食を作っていた。

 

「うん、中々刺激的な夢を見れた」

 テーブルの周りにある椅子に腰かけた夜宵の前に虎杖が朝食を置いていく。

 

「卵焼きにししゃも、わかめの味噌汁に納豆良いね~オーソドックスな朝食で」

 別の部屋から五条もやって来て朝食のテーブルに着く。

 

「んじゃ、いただきます!!」

 虎杖もまたテーブルにつき両手を合わせて朝食を食べようとする。

 

「…ん、これ美味しい」

 小さな口で卵焼きを千切るように食べ、ゆっくりと嚙み飲み込んだ夜宵は虎杖の腕前を誉める。

「だよね~悠仁意外と料理が上手いんだよね。この間鍋作っててくれてさ肉団子が上手くてさ」

「…ほう、悠仁はタンクだけではなく料理人のジョブも持っていると。全国であちこち行くからそこの時は頼もうかな」

「はは、そりゃ嬉しいけどさ。詠子さんに悪いかな…って」

「大丈夫。詠子が変なの入れるのは螢多朗だけだろうし」

「いや、ナニ入れる気なんだよ詠子さん! それにナニを食べさせられるの幻燈河先生!?」

 和やかに流れる朝の空気の中で五条が二人にこれからの事を説明する。

 

「取り合えず交流戦まで空いているから、それまでに夜宵にはウチの学長にちょっと面接してもらうから。それまで悠仁はそれまで自主練していてくれる?」

「分かったっス。夜宵、昼食何が良いんだ?」

「カレーお願い。好物」

「オッケー分かった。作っておくよ」

「頼むねー…それじゃあ行こうか夜宵」

「…うん。いざ行かん。東京校学長」

 

 

 

 

「…ここが呪術高専東京校。イメージ通りな気がする」

 視界に広がる森林と和風建築物を見て夜宵はそう思った。

 

「呪術教育機関はここ呪術高専東京校と京都の二校しかない。それ以外だと特定の寺や神社、心霊研究家後はフリーで働いている呪術師などで学ぶ方が良いね。まぁ、最後はオススメしないけどね」

 

「…面接と言っていたけど具体的には?」

 歩きながら夜宵はなぜ自分がここに来なければいけないのか五条に問いた。

 

「君を呪術師にするには流石にそれ相応の体裁って奴を整えないといけないんだ。ただ、それには学長の許可って奴を取らないといけなくてさ。だからこれから夜宵にはウチの学長に呪術師をやれるか認めさせないといけない」

 

「…学長はどんな人?」

「うーん…僕の担任だった先生だったから僕個人としては悪くわないさ。だが、あれで結構頑固で意固地な性格しているからさ相応の覚悟はしておいて損は無いよ」

「……それは悠仁から少しだけ聞いている」

「あっそ、じゃあこっちだ」

 五条が一つの建物に向かって歩き夜宵もそれに続く。

 

「・・・・・今日は遅刻しなかったな悟。良い事だ。これからも遅刻をしないように時間に順守しろ」

 二人が建物の中に入るとサングラスをかけた中年男性がぬいぐるみを作りながら五条に向かって声をかけて来た。

 

「この間の埋め合わせって奴ですよ。この間も時間内に来ようとしたけど特級に襲撃されたから遅刻したんですよ」

 男と軽く会話する五条に夜宵は目の前にいる男こそがここ呪術高専東京校の学長なのだと理解したのだ。

 

「夜蛾正道学長だ。ほら、挨拶」

「…初めまして寳月夜宵です」

 五条に言われて夜宵は丁寧な態度で挨拶をする…だが。 

 

「―――何しに来た」

 冷たく夜蛾は夜宵に問いただす。その声にまるで極道と話しているようなプレッシャーを感じる者もいるだろう。

 

「…追いかけているお化けがいる。そのお化けを探すためにそして、強くなるためにお化け集めをしている。そのために自由に尚且つ様々な情報を手に入れる情報網を広げるために呪術師になりに来た」

 

「何故だ?」

 

「…お化けに母の魂を持っていかれた。他にも呪われている友達や家族、相棒を助けるために私は呪いを祓う力を手に入れたい」

 

「・・・・・そうか。ならばお嬢ちゃんは他人の為に呪術師になろうとするのか――――――――不合格だ」

 夜蛾は立ち上がり手を振るう。

 

「…人形がひとりでに!」

「呪骸。お嬢ちゃんのカバンにいる人形の中に霊が入っているのではなく私の呪いが入って動くものだ」

 夜蛾に操られているかのように河童の人形が立ち上がり夜宵に襲い掛かる。

 

「それが貴方の術式」

 夜宵は呪力を腕に込め人形の攻撃を防ぐ。

 

「その幼さで呪力操作を出来ている事は素直に称賛しよう…だが、呪術師に必要なのはそれだけではない。自分の死だけではなく他人の死体を横目に呪いの肉を切り裂かないといけない不快な仕事だ。ある程度のイかれ具合と高いモチベーションが不可欠だ。それを他人のために? 笑わせるな。まだ力に目覚めた全能感故だと言った方が理解できる」

 

「ふざけないで、私の事を「何も知らないか?」…」

 人形の攻撃を捌き夜蛾と人形のどちらの動きも警戒しながら夜宵は夜蛾の言葉に反応する。

 

「伊地知から聞いている。数年前に両親を呪いによって殺され、母親は呪いによって連れ去られ母体にされているのではないかとお嬢ちゃんは考察している…そう言うのもあるだろう。母親が見知らぬ怪物によってナニカサレテイルは辛いだろう。だが、それは今のお嬢ちゃんがする事では無い。我々に任せて子供らしく『お人形さん』とでもおままごとをしていれば良い!!」

 

「ふざけないで…」

 再び迫る人形に夜宵はカバンを遠心力を活かしたスイングで吹き飛ばした。

 

「…ふざけないで? これは教育者としての直観だ。このままではお嬢ちゃんは大好きなママを呪う事になるぞ」

 

「・・・・・それ、ナナミンが言っていた」

「七海か。そうだ。呪術師に悔いのない死は無い。それでも残酷で理不尽でどうしようも無いこの呪いの世界に足を踏み入れたい相応の答えがあるのか。答えて見せろ呪術師になりたい他人以外の理由を!」

 夜蛾の操作を受けて人形が夜宵に迫る。

 

―――――ナナミンの言った事は事実なんだよ。俺も学長に同じことを言われたんすよ。それで俺、前に死んだじいちゃんが遺言を言ったって言ったすよね。先生達と会う前に起こった任務で…俺…思わずじいちゃんを呪いかけそうになったんだ。

―――――友情は遺言は時に呪いになる。あなた方は自分が死ぬかもしれない戦いにそれでも…身を投じられるというのですか?

(二人は言っていた霊との闘いは私が思っている以上に大変で辛い。それはこれまでの事で理解していた…だからこそ)

 

「大切なママの為だけにこの執着心を維持している訳じゃなかった。今まで沢山のお化けに出会い。その度に恐怖をその身に感じていた。…けれど、その恐怖に私は心を震わせている」

 夜宵は一本のバールを取り出し迫りくる人形の攻撃を捌ぐ。

 

「ほう、恐怖を好むか。確かにスリルジャンキーは呪術師向けだ。…だが、それだけでは無いだろう言ってみなさい。その身にある『熱』を」

 現在停学している三年生の口癖を真似ながら夜蛾は夜宵に問いただす。

 

「…大切な人がこれ以上失いたくない。あの時この力があればママが連れ去られる事が無かったのかもしれない。そうなるのはもう嫌だ。だから私は大切な人を守れる力が欲しい。これ以上後悔なんてしたくない。夜蛾学長貴方も失う辛さは知っているはず」

 そしてバールで人形の首を抑え込んで見せた。

 

「…何故そう思った?」

 夜蛾は若干震えが籠った言葉で夜宵に問いかけた。

 

「…目の奥、サングラスの奥に見えた。その目は大切な人を失った目だ」

 そう夜宵は言い放った。

 

「・・・・・否定しない。私にも君みたいな子供が三人いた」

 

「…そう、それで結果は?」

 

「…悟。ここの寮の事並びに呪術師についての決まり事などをきっちりと教えておけ」

 

「…と言う事は?」

 

「―――――合格だ。ようこそこちら側へ」

 優しくそう言う夜蛾は何処か寂しげだった。

 

「…ふぅ、何とかなった」

「いや―流石の学長も小学生相手にちょっと辛かったりする?」

 ホッとする夜宵を尻目に五条は夜蛾を弄っていた。

 

「…この人形学長の趣味?」

 人形を持ち上げながら夜宵は夜蛾に問う。

 

「ああ、もしよければ二、三個作るが?」

「…じゃあ、ひよことうさぎとうしで」

 

「おっ、学長デレた?…あだだだだ!」

「五条お前は少し言葉を慎め!!」

 五条の言葉に苛立った夜蛾は五条に関節技をかけた。

 

(これで空亡の情報は一気に手に入りやすくなった…後は力。呪いを集めて新しい卒業生を育てる。その前に見分を広げるためにも悠仁達呪術師の戦いを見ておきたい)

 




最新話を見て思った事

鬼軍曹『やるのか………??俺が宿儺を………!?』
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