呪術収集   作:黑米田んぼ

18 / 27
オハコンハロチャオ、皆様お待たせしました。ちょっと色々と詰め込みたくて書いて結局後で色々と書けばいいなって考えになってそこまで詰め込むものでは無いかなって思いながら話を纏めました。楽しい時を過ごしてもらえたら嬉しいです。


第18話 呪術高専姉妹校対抗戦―弐

「―――――ここで悠仁たちの活躍を見ていれば良いんだよね」

 虎杖達と別れた夜宵は五条に連れられ複数のテレビが置かれた部屋にやって来た。

 

「そっ、交流戦は色々な戦い方が見れるから良い刺激になると思うよ」

「…テレビの数が少ない。悠仁達がお化けを探すために走り回るんでしょ。それにしてはカメラが少ないと思うんだけど」

 夜宵は思い返す。交流戦一日目の競技は呪霊狩り。指定された区画でボス呪霊として放った二級呪霊を祓ったチームが勝利となる。それ以外にも三級呪霊が複数放たれ、それを時間以内に多く倒したチームが勝利となる。区画の広さを考慮すれば明らかにテレビが少ない事を夜宵が問う。

 

「ああ、それね、……あそこにいる冥さんが皆を追いかけてくれるよ」

 五条が視線を向けるとそこには長い銀髪を束ねている女性がそこにいた。

 

「おや、可愛らしい子がやって来たね五条君。君が連れて来たの?」

 

「そんなもんだよ。紹介するよ冥さん。この子は……」

「寳月夜宵です。よろしくお願いします「あっちょ」」

 五条が紹介しようとしている所を夜宵が直ぐに自己紹介する。一手取られているのを見た歌姫がクスリと笑う。

 

「……そう、私は冥冥。…よろしくね」

 そんな二人を尻目に落ち着き払っている冥冥は優しく夜宵に簡潔に自己紹介をする。

 

「……ねぇ、ねぇ、どうやったら悠仁たちの活躍を配信出来るの?」

 

「ああ、それね……お金を払ってくれたら教えて上げ……冗談よ。流石に子供に『今』はお金を貰おうとは思わないわ。だから財布を仕舞いなさい」

(今はって最終的には金取る気かよ……)

 

「……私の術式はカラスを操る術式でね、術式の応用でカラスたちの視界を画面に映すことが出来るのよ」

 

(……ふむ、私の術式と一部似ている)

 冥冥の術式の応用を聞いて夜宵もまた旧Fトンネルで使った雛祭呪法の術式の応用を思いだした。

 

「……何か思いついているようだから一つサービスさせて上げる。自分の術式を追及する事は良い事だよ。一度壁にぶつかったら不足している物を一度振り返って、また壁にぶつかったら自分の持っている物を一度見つめ直して見なさい」

 

「意外だね。守銭奴の冥さんが何の見返りをしないでそんなサービスをするなんて」

 

「ふふっ、将来の投資ぐらいはするものさ五条君」

 

「あっそ、……時間だね。開始一分前でーす。ではここで歌姫先生からありがたーい激励のお言葉を頂きます」

 時計を見て五条はマイクを持ち虎杖達に放送を始める。

 

「はぁ!?え……えーっと、あー……ある程度のけがは仕方ないですが…そのぉ……時々は助け合い的なアレが……「時間でーす」ちょっ五条!!アンタねぇ「それでは姉妹校交流会スタート」!!先輩を敬え!!」

 

「……助け合い出来るの?」

「…………呪術師は我の強い者が多い」

「ウチらまとまりが無いからのぉ……」

「―――…そう」

 かくして姉妹校交流会第一競技が始まった。

 

「―――――ぁ、悠仁達がマッチョの変態に絡まれた」

 三級呪霊と遭遇した虎杖達の目の前に何故か学生服を脱いで半裸になった東堂が襲撃して来た映像が、虎杖達の動向を追いかけていた夜宵の目に入った。

 

「「……はぁ」」

 表の人間とは倫理観が異なるとはいえ一般常識は残っているために9歳の子供にそう言われてため息をつく京都校教師と学長。

 

「……ふむ、一撃。やはり、呪術師は強い」

 東京校の仲間と離れ、東堂とタイマンになった虎杖が東堂の攻撃を防ぐために挟んだ三級呪霊が一撃で祓われるのを見て夜宵は改めて呪術師の実力の一端を再確認した。

 

「―――そりゃそうさ、葵は一級。三級程度ならどうってことも無いよ」

「……一級って三級よりも上ってこと?」

「……ま、そうだね」

 夜宵の疑問に五条はしっかりと呪術師の等級について答える。

 

「呪術師にはこれから夜宵に渡す証明カードにも書かれているけど一番下が四級続けて三級、二級、準一級、一級。そして、特級と上がっていくんだ」

「……等級の意味は?」

「―――対呪霊。等級は呪術師としてそこまでは余裕で対処できる区分けとして等級が与えられる。二級術師は二級呪霊程度なら造作もないってね。そこら辺の区別は伊地知のように補助監督が調査を行って判断するんだ。等級の脅威を馬鹿でも分かるように示すなら四級がバットで三級が拳銃、二級ぐらいで散弾銃でギリギリ。……で、準一級ぐらいで戦車で何とか一級となると術式を持っている可能性がからギリギリ。特級に至ってはクラスター弾での絨毯爆撃でトントンぐらいかな」

「……私に渡される等級は?」

「流石に入りたてだから四級。夜宵なら、諸々込みなら一級案件も任せても良いけどそこはまぁ、学長たちが良しとは言わないでしょう」

 

「・・・・・そう言えばさっきから悠仁の映像が見えないけど」

 五条と話しているさなか虎杖が映っているモニターの映像が時折見えなくなっている事に夜宵は気づいた。

「ああ、確かに。そこんトコロどうなの冥さん?」

「さぁ、……何しろ動物は気まぐれだからね視覚を共有するのは疲れるし」

「えー本当かなぁ。ぶっちゃけ冥さんって『どっち側』?」

「どっち?私は金の味方だよ。金に換えられないモノに価値は無いからね。何せ金に換えられないから」

「幾ら積んだのやら」

 そう言って五条はシラを切っている京都校の学長、楽巖寺の顔を見る。

 

「……ふむ、そう言えば悠仁と絡んでいた金槌を持っていた子とパンダが戦闘になっているね」

「他の子も一同にぶつかっているね。いやー青春しているねー(……パンダ辺りに悠仁を暗殺しようとしているのを見抜かれたなざまあない)」

 画面には虎杖と東堂以外の他の術師達が一堂に衝突しているのが映し出されていた。

「……ふむ、中々……圧巻。木製ロボットとパンダが戦っている」

 一同の視線がパンダとメカ丸に集まる。

 

「学長も人形に呪力を入れて操っていたけど二人とも似たような術式を持っている?」

「……いや、どちらも異なる方法で無機物の体を動かしている」

 夜宵の疑問に夜蛾が答える。

 

「パンダは私が『偶然』作ってしまった完全自立型人工呪骸だ。その特徴は三つの姿を自在に扱える事にある」

 夜蛾の言葉に合わせるようにモニターにはパンダがこれまでの一般的なパンダの姿から明らかに異形の姿に変化した姿をしていた。

 

「―――これは?」

 モニターに映る姿を変えたパンダは手を掌底の形にしてメカ丸に撃ち込んだ。

「パンダは三つの核が存在し存在維持を持続させるための呪力を作り出し同時に核が破壊された時他の核が切り替わり戦闘を継続させる。……そして、三つの核には三つの姿と能力を持っている。メインにしてバランス重視のパンダ核。そして、今見せている姿はパワー重視のゴリラ核。その特徴は強力な怪力と内部に響く防御不可の一撃激振掌(ドラミングビート)

 

(―――このパンダ。もしかして魂を観測させて成仏をしないように呪力の保管をしている?明らかに彼は何かを隠している……今は止そう。不用意に踏み込んではいけない気配がする)

 独学で人形に魂を閉じ込めて管理する方法を編み出した夜宵だからこそ夜蛾によるパンダの解説に違和感を覚えるが、今の関係で必要以上に踏み込んでいい話題とは思わなかった夜宵は何も言わずにただ黙って聞いていた。

 

「……あの木製ロボットは?中に人がいるとは思えないけど」

 話題はメカ丸に移る。夜宵が気になったのはメカ丸の異常な仕込み武装の数々だ。防御不可の攻撃を持つパンダを相手にメカ丸は変形する腕で対処する。ある時はスパイクを腕に生やし、ある時はカギ爪で捌き腕を回転させまるでドリルのような貫手を放ち、しまいには腕や口からビームを互角に立ち回っている。明らかに中に人が入っているような仕組みとは言えないのは見るからに明らかだ。

 

「……カラクリ仕掛けの操り人形?マリオネットとかそんな感じの」

「大体そんなもんと覚えておけばいいよ」

「……それじゃあ操っている術師は近くにいる?呪いは距離を無視したものが多い」

 身内に機械系統に強い詠子がいるからこそメカ丸の仕組みを夜宵はおおよそ理解出来た。恐らくメカ丸は頭部にカメラを仕込み様々な武装を内蔵し術式で操る。まるVRゲームをしているかのようにメカ丸を操作しているのだろう。こういった手合いは近くに操り手が近くにいるのが鉄則だが呪いには射程など無い事が多い。逆に夜宵はメカ丸の本体は呪霊狩りの区画のエリアにおらずまた別の場所にいるのでは無いのかと推理した。

 

「あはは、それは半分正解!―――けれどチョットだけ夜宵は呪霊との闘いばかりを経験しているから考え方が少しずれているね」

 夜宵の推理を五条は軽く笑う。

 

「―――じゃあ何?呪いは距離を無視する事はナナミンも言っていた」

「それは発動した呪いに関してさマーキングした呪いに継続して呪いを与えるには呪力の消費はそんなに無いけどメカ丸の術式、傀儡躁術は射程距離があるんだよ」

「ああ、ドローンの電波が届かないように術式効果の距離があるタイプの術式。それじゃあ、操縦者はエリアにいるの?」

「―――それがさ、メカ丸の操縦者でさ」

「―――――五条」

 次の言葉を紡ぐ前に歌姫が五条を睨みつける。自分が預かる生徒の個人情報。それもかなり気を使う情報を軽々しく言おうとしている五条に歌姫は異を唱えたいのだ。

 

「あー、ハイハイ、それじゃあ、歌姫先生がそこんトコロ説明してくれない?」

「……はぁ、もう。……良い夜宵ちゃん。この話題はメカ丸が気にしている事だからあまり騒がないでね」

「……問題無い。そう言ったセンシティブな事は理解している」

 軽々しい態度で受け止められないと理解した夜宵もまたちゃんとした態度で聞き始めた。

 

「―――メカ丸の本体は此処とは遥か遠い場所にいるの。それでもなおここまでの距離に傀儡を操れるのは彼が受けた天与呪縛が影響しているの」

「―――天与呪縛?」

 

 夜宵の疑問に五条が再び割り込んで解説しようとする。

「―――生まれた時から特定のものを使えない。または不随になる事で呪力量、術式効果範囲を強化する文字道理、天に与えられる呪いさ」

「……だからメカ丸は余りこの話題しないでくれない?あの子結構取られているから、その……」

「……分かった。これ以上は話題にしない」

 歌姫の表情を見てメカ丸の天与呪縛による体の影響は並々ならぬものだと察し夜宵はそれ以上は深入りしないようにした。

 

「けどね、天与呪縛も悪いだけの物じゃないんだよ。真希とかを見れば顕著さ」

 五条の指の先に映るモニターには三輪と真希の戦闘が映っていた。二人は呪具であろう刀と薙刀を振るう異種武器術戦を繰り広げていた。

 

「早いね。悠仁やナナミンでも捌くのは大変じゃないかな」

 真希の薙刀術の精度は武器に関しては素人である夜宵でさえ分かるほどに早く自分が真希と戦ったら攻め込める方法がかなり少ないだろうと察した。

「間違いないけどちょっとナナミンを過小評価しているよ。真希の腕でもナナミンを一方的な戦いにはならないよ」

「……そう言えば話の流れを考えたら真希は天与呪縛なんだよね。そうなら真希の体は特に身体的障がいを受けているようには見えないけど」

 直前に五条は言った真希は天与呪縛だとそれにしては明らかに真希には天与呪縛によって失った身体的悪影響らしき様子は見えない事に夜宵は気づいた。

 

「良いね、その観察眼。そうだよ、真希の天与呪縛は肉体じゃない。真希の天与呪縛の恩恵はフィジカルギフテット―――肉体に刻まれるはずだった術式と呪力を一般人レベルにまで落とされる事で肉体が強化される天与呪縛さ。僕はね下手な術式よりも悠仁や真希のような肉体を強化したゴリ押しの方が厄介だよ」

「……確かに、私の術式は単純な物理攻撃は防げない」

 夜宵も自身の身代わり術式を考えながら五条の言葉に深く頷いた。

 

「たしかにやるね、面白い子じゃないか。さっさと二級にでも上げてやれば良いのに」

 冥冥もまた軽々と三輪から刀を奪い取った真希を素直に評価した。

「僕もそうしたいけど禪院家が邪魔しててさ。素直じゃないよね全く」

「ぜん?」

 夜宵が疑問に思い聞こうとした直後。

 

「あーあ、寝ちゃった。私ちょっと行ってくる。呪霊がうろついている森に放置できないでしょ」

 狗巻の呪言を聞いてしまったのか三輪は寝てしまっていた。危険故に三輪を回収しに歌姫はエリアに向かおうとした。

 

「あ、私も行く」

 向かおうとしている歌姫に付き合おうと夜宵もまたバックからバールとSトンネルの髪縄を持ち始めた。

 

「え、危ないから此処にいて頂戴」

「あ、良いね。夜宵なら現状でも二級程度なら十分相手どれると思うから弱い歌姫の護衛には丁度良いね」

「何子供に言っているのよ五条!!!」

 優しく諭そうと歌姫を五条は容赦無く煽り怒らせた。

 

「まぁ、何かあっても問題無いだろう。夜宵、歌姫先生の言う事をちゃんと聞くように」

「…分かった。最善を尽くす」

 そう言って夜宵もまた虎杖達がいる呪いが跋扈する森へと足を踏み入れようとした。・・・が。

 

「―――――え?」

 壁に貼られていた呪霊を倒した事で燃える札が一斉に焼き切れた。




感想評価コメントお待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。