「―――――さて、準備は出来たかな?」
首都とあるマンションの一室。世界を大きくひっくり返そうと策謀を巡らしている特級呪霊達と最悪の呪詛師夏油傑。彼らは京都に眠る幾つもの特級呪霊を味方につけるため京都へと向かおうとしていた。
「儂は問題無い。何時でも戦える」
いの一番に答えたのは呪霊組のリーダー、人が大地を恐れる感情から生まれた人の形を取っている火山のような呪霊漏瑚。五条悟に敗れ頭だけになったその呪霊体は完治していた。
「同じく。早く人を呪い殺したくてうずうずしているよ」
人が人を恐れ恨む。正しく人の呪いの特級呪霊真人もまた宿儺による呪い返しと虎杖の魂を捉える打撃で受けたダメージが抜けた事もあり元気いっぱいなご様子だ。
『すまけ行もで時何んせまりあ題問』
人が森を畏怖する感情から生まれた特級呪霊花御もまた交流戦で虎杖の黒閃と東堂の特級呪物の一撃そして五条悟の虚式『茈』のダメージから回復していた。
「ブフー、ブフー!」
「うん、お土産楽しみにしてよ陀艮」
フードを被ったタコのような小さな呪霊。海を恐れる人々から生まれた特級呪霊『陀艮』は京都に向かおうとしているメンバーに向かってその小さな手を振っていた。
「「・・・・・」」
そして彼ら呪霊組と行動を共にしている。と性別不明の白髪のおかっぱ呪詛師裏梅と特級呪物『呪胎九相図』の一番脹相もまたこの拠点で待機していた。
「さて、向かおうか…おっと。これは幸先が悪いね」
では出発…と思ったが何故か夏油の愛用の櫛が真っ二つに折れてしまった。
「櫛程度で悪い事など起きやせんわ。五条悟は京都に来ることは無いんだろう?さっさと行くぞ」
「一応ね、…果たしてどうなるだろうか」
「―――幻燈河先生お久っす!体大丈夫ですか?」
「うん、十分休んだから大丈夫だよ。虎杖君は・・・元気そうだね」
合流場所に集まった虎杖達と夜宵達はこれから心霊スポットに向かい其処に居座っているかもしれない『卒業生』クラスの呪霊と戦うかもしれないからこそ互いのコンディションを確認した。
「…とんでもないなあの人呪力量にあの姿かなり強力な呪霊に呪われているわね」
「…ああ、その上詠子さんと二人で番の呪いになっている・・・・・それよりも…だ。あのガキなんだあのぬいぐるみ」
「分かるよ。この間私も呆れた。間違いなく特級クラス。一級クラスを封印して持ち歩いているっておかしいわよ」
虎杖からある程度聞いていたが実際に見ると特級クラスの番の呪い。そして特級クラスの呪霊の気配がするぬいぐるみに伏黒は呆れていた。
「では皆さん集まったようですので今夜の目的を確認したいと思います」
一同が集まった事で今回の引率者兼監督役である伊地知が口を開く。
「今回の目標は夜宵4級術師による呪い集めとして旧I水門へと赴きます。我々呪術高専としても旧I水門は呪霊のたまり場になるため調査として赴く事は異存はないです。その前に戦力を確保するためと我々としても把握しておきたい夜宵4級術師が以前に蟲毒によって作成した特級相当の呪霊の封印場所に赴き封印されている呪霊を回収します」
「おけー」
「…改めて聞くと大分頭が可笑しいわね」
「同意だ」
「えっと…わ、悪い子じゃないんだ…お母さんの為に必死なんだ…」
誰がどう見ても頭の痛くなる特級相当の悪霊を回収する一級案件…それも9歳の子供が作ったものだ。真っ当な呪術師であれば…いや、訂正しよう一部の狂人以外大抵はドン引きである。
「…それで、その特級相当の呪霊は何処に封印されているんだ?」
曰く今まで夜宵が蟲毒で作成した卒業生呪霊は5体…正確には7体だが。卒業生たちは夜宵によって鍛えられたのち当時の夜宵が持ちうる厳重な封印で封印され霊体を維持するために霊脈の強い場所に安置されていた。
…しかし、卒業生は封印によって体の自由は失っているがそれを持っても人体に影響を及ぼす霊現象を周囲数件に発生させる。だからこそ新たに手に入れたSトンネルの呪霊の髪で作られた縄には卒業生の封印を完璧にさせる。
「うん、今回回収する卒業生の保管場所は―――――」
「―――――何ンッで!こんな場所に卒業生を封印しているんだよ夜宵ーーー!!」
卒業生の保管場所それは今や廃棄されたラブホテル。まともな人の気配など感じるはずは無く誰が見ても分かるほどの廃墟だった。とてもでは無いが強力な呪霊である卒業生を隠すなど…それも隠したのは小学生というのが余計に頭を抱えるものであった。
「僕、廃墟とは言えラブホテルは入ったことはないよ」
「…私もだよ螢君」
螢多朗に無言の圧力をかけてくる詠子。恋人として何時かちゃんとした形で誘って欲しいのだろう。………そうなったら詠子は螢多朗が枯れ果てる求めるだろう。
「…そこの人たちは盛っていないで先ずは呪霊を回収するぞ。…その前に」
伏黒は懐からスマホを取り出してカメラに切り替えていた。
「すみませんがちょっと写真を撮るのでちょっと集まってくれませんか?」
「ん?どうしたんだよ伏黒。こんな廃墟ラブホ映えないぜ」
夜宵達の写真を撮ろうとする伏黒に虎杖はそんな趣味があったのか?と聞くと。
「…違う。成り代わりかどうか判断の一つとして写真を撮りたいだけだ」
「…成り代わり?何だよそれ」
聞いたことの無い言葉に首を傾げる虎杖に伏黒は深いため息をつく。
「…五条先生め。虎杖が成り代われるとは思えないがそれでも今後の為に伝えてくれよ」
スマホから画像を一つ選択する。
「…いい機会だ。3人もこの画像を意識しながら呪力を通して見てくれ」
虎杖や夜宵が意識をしながら伏黒のスマホに映る人物の画像を見る。
「…同じ人なのに体から出しているオーラが違う」
伏黒が見せる人物の画像には同じ人物なのに体から溢れている生物のオーラとも言うべきものが変わっている画像だった。
「怨霊タイプの呪霊は人の体を内から乗っ取り持ち主の魂を外へと追い出し自分のものにする現象がある。これが成り代わり俗にいう狐に憑かれるという奴だ。これは俺が過去にトライブ先でとある子供が怨霊に成り代われたために持ち主である子供の魂を探した事があるんだ」
「…私、これによく似た話を聞いたことがある」
「ええ、最近成り代わりになる術師が多くなっている。聞くところによるとこの間も一人やられたらしい。もう探してもどうにもならないから俺が探しに出張る必要ないらしいがな…」
「五条先生何でそんな事を教えてくれなかったんだよ!」
成り代わりの危険性を考えれば怨霊タイプの呪霊との戦いで必要な知識であるはずが何故か虎杖には伝わっていない事に唖然とする虎杖。
「すみません。まさか成り代わりの事を五条さんが伝えていないとは…」
「伊地知さんは悪くないですよ。誰だって猛獣の檻の中に飛び込む事なんかしないでしょうし」
「俺の扱い酷くない!?」
「あ、はは…それで伏黒君もし成り代われかけたらどうすれば良い?」
螢多朗が成り代わり対策を聞いてくる。無論だろうこれからも呪いに関わる以上そう言う対策は必要だろう。
「それ自体は比較的簡単です。先ずその呪霊から距離を取る。結局の所接触しなければ侵入する事なんて出来ませんから。入れ替わられかけたら全力で呪霊の手を掃って最悪呪力で殴るのが一番いい方法です。逆に体内に入られたらもう危険です何が何でも追い出してください」
「…前に螢多朗のおばあちゃんが人形をそうすると言っていた。…恵、逆に成り代われた人間の判別はオーラの変化と相手の記憶で判断するで良い?」
「ああ、だが。それらも完璧な対策じゃない相手は呪物体同様乗っ取った相手の記憶などを使って完璧に乗っ取った相手に成り代わろうする。…最近の成り代わり被害は多い。呪霊が呪詛師と組んでいる事と何か関係しているのかも知れない。今も何処かで呪術師がそれも呪術界に深く根付くような人間に成り代わっているかもしれない―――――」
「―――――なんや甚壱君いつも以上に不貞腐れた顔で不細工な顔が更に不細工になるで」
「…お前の顔を見たせいだ直哉。さっさとそこをどけ」
「はっ、酷い言い様やな御大層な荷物抱えて何処へ行くんや?」
「何だ。気になるのか?」
「いや、興味なんて無いわ。最近あの化け物が戻っているそうやから気にしておいた方が良いで甚壱君は弱いからな」
「ほざけ」
「・・・・・やれやれ、全く品の無い男だ」
京都のネットカフェに入った甚壱はネットに自分のパソコンを接続しながら『彼』のスマホを操作して電話をかける
「―――――私だ。オズワルド、あの日旧I水門に向かっただろう術師の情報が分かった。少し厄介かも知れないぞ…宿儺の器が居た。最悪五条悟がを持っている可能性があるぞ」
禪院甚壱の皮を被ったナニカは同胞たちにこれから始まる旧I水門の攻防の顛末を語るのであった。
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