ここは……
意識を取り戻した俺は、兎に角現状の確認を急いだ。
一緒に居た筈の嫁達は、……
珍しい事に人では無い管制AIのハコ達も意識が朦朧としており、足元が
こんな事は、普通では考えられない異常事態である。
ハッキリしない頭で現状を予想するに、これは全員が亜空間転移時の
こう言う時に限ってタイミングが良いのか悪いのか、管制AI全員が機械の義体を生体端末に置き換えて寛いでいたのが裏目に出た形だ。
人と同じように亜空間転移時の
参ったね、コリャ~。
情報知性体としての本体、コアの方にはさほど影響は出ていないようで宇宙船そのものの運行は大丈夫そうだが、生体端末のショックは回復に時間がかかっている様である。
今のところ宇宙船の運航に重大な支障は出ていない事が確認できてホッと一安心したのだった。
こんなバタバタした状況では話が一つも通じないので少し俺達のプロフィールから説明しておく事にしよう。
俺の名前は、
天の川銀河オリオン腕ソル太陽系の第三惑星、
そして現在は、星間国家ウンサンギガ帝国の初代皇帝
今年18歳に成ったのを境に一族から成人を認められ正式にウンサンギガ頭首となった。
同時に滅亡していた一族国家の再建を成し遂げ、1万年前に主星ごと滅亡した我が一族を再び星間国家として地球から独立させたのである。
そして、
妻の数は現在全部で九人。
五人の地球人と三人の異星人、そしてAI知性体が一人である。
俺が10歳の時に地球を訪れた異星人と仲良くなり友好の印にと貰ったのがこの最後に言ったAI知性体が管制する宇宙船の
俺の
そんな
1万年前に滅亡した謎の種族、ウンサンギガの最後の置き土産、ある意味ブービートラップ? とも言えるような代物だったのである。
ウンサンギガ一族は、いったい何を目指してこんな宇宙船を設計したのかは今はもう定かではないが、その滅んだ種族の因子を持った俺との接触が切っ掛けとなり今では神にも匹敵する万能宇宙船へと成長していたのである。
そして漏れ無く俺もそのパートナーとしてただの人では無くなった。
1万年前に滅んだとされる謎の一族ウンサンギガ、俺達日本人はその子孫だったらしいのである
紆余曲折あって、現在では天の川銀河の管理神から直接仕事を任されるぐらいの立場になるんじゃないのかな……。
俺の居た天の川銀河を管理し支える時空神のソト様から、天の川銀河防衛の全権を委任された俺達は、邪神化したお隣の『おおいぬ座矮小銀河』の魔の手から天の川銀河を守る為に奔走していたのである。
そんな経緯から俺達の居た天の川銀河の中で俺の名があまりにも有名に成りすぎたので、身の危険を感じて独立国家を創ってガードぐらいしないと不味いだろうと言うことになり星間国家を建国、地球から独立することになったのである。
途中で別の邪神の余計な邪魔も入ったんだけど、何やかんやと結婚披露宴も無事に終わり、さあワクワクドキドキの
俺達は、自分達の
しかし、今俺達が居るのは予想外にも太陽系の内側、正確には水星の公転軌道の内側辺りである。
これは絶対に
俺達は、確かに太陽系の外に向けて亜空間ジャンプを実行したんだ。
こんな所に居て良いはずがないのである。
それに、何時の間に俺達は亜空間から通常空間に実体化したんだ?
俺は、まだ
「ハコ、俺の記憶に間違いがなければ今俺の目の前にあるのは太陽系の惑星……たぶん水星だよな? 何で太陽系の…それもこんな内側の
[肯定。確かにこの惑星は太陽系の第一惑星水星ですね。現在確認できる質量も軌道推移も太陽系の水星に寸分違いは見てとれません。間違いありません、我々の知る水星です]
ここで全天観測を行っていた
[マスター、大変な事実が分かりました。
「なんだって? 俺達は一体どこの太陽系に飛ばされたって言うんだよ?」
嫁の一人、阿修羅王族・シャシ姫がしきりに精神感応波を周囲に飛ばしている。
近傍の宙域をサイコ・スキャンしているようだった。
「フムッ、ざっと見たところで妾の感応できる所に顔見知りは一人も居らんようジャ。地球に生物や人の気配は有るが随分と微弱じゃな……妾の知る限り元の地球の五分の一以下といったところかのう……月のバクーンも
[肯定。ここは一体……どこの太陽系なんでしょう?]
ハコさんや、お前さんにも分からない事が俺に分かる訳がない。
俺達は今動かせる最大数の宇宙船を動員して周辺宙域の詳しい調査探索を開始したのだった。
結果、天の川銀河防衛の要である人工惑星メイズ・スター及びライブラリ・スターも存在していない事が判明した。
そして、天の川銀河連合の中枢を担っていた巨大なダイソン球状天体・銀河中央ステーションもこの宇宙には存在すらしていなかったのである。
三大種族の阿修羅族やディーヴァ族、そして三只眼族の主星はそれぞれに確認する事が出来たがその政体は俺達の知るものではなかった。
その実態として、天の川銀河連合を組織しているようには見えず、この宇宙は我々が知っている銀河系宇宙とは大きく違っていたのだった。
その後の対応として、これら種族や星間国家との安易な接触は危険だろうと言うことになり、調査に出していた全ての宇宙船には接触を禁止し帰還命令を出したのだった。
そして、これらの状況確認を完了するまでに既に俺達の時間で10日が過ぎようとしていた。
◆
「みんな、これまで分かった事をそれぞれに発表してくれないか」
[では私から、周辺銀河と天の川銀河連合について御報告いたします。まず、おおいぬ座矮小銀河は邪神化して居りません。射手座矮小楕円銀河も侵食はされておらずエグソダスも確認出来ませんでした。その結果、アルタイル通商連合もこの銀河には存在しないことが確認できました。天の川銀河連合の現在ですが、その中心となる三大種族の主星はそれぞれに確認できましたが連合を組んでいる事実は確認できませんでした。連合の銀河中央ステーションも存在して居りません。我々のメイズ・スターとライブラリ・スターも所在不明です]
次に
[私からは太陽系の現状を報告する。まず太陽系内にウンサンギガの痕跡は一つも確認できなかった。アステロイドベルトは存在してるけどケレスは存在しない。加えていま太陽系は現在進行形で外敵とされる異星生物からの侵略を受けている。敵は、
そこに映されたのは見るからに気持ちの悪いおぞましい怪物の集団だった。
それが大小の蟻のように大地を埋め尽くし、人類を襲い地球の自然を蹂躙していたのだった。
[太陽系内の各惑星にも
[各種調査結果からこの次元宇宙には我々の知るウンサンギガの痕跡は一欠片すら確認できませんでした。結果導かれる答えは、この次元宇宙其の物が我々の居たところとは別の宇宙であると言うことです。可能性としては、
「ンッ? どうしてここに
[肯定。航海ログを詳しく解析したところ航法データに正体不明の座標データが混入しておりました。亜空間ジャンプ時のデータログを詳しく確認したところ、異常の原因はこれだろうと特定された次第です。そして同時に次のような不本意なメッセージが添付されているのが見つかったのです]
『私からのささやかな贈り物です。どうぞハネムーンを楽しんできてくださいね♪ バイ・バイ、m9(^Д^)プギャー、貴方のナイより』
「ド
メッセージを見て他の面々も殺気立っている。
だが、今はどうしようもない。
「俺達は見知らぬ次元宇宙に飛ばされたってことか……そして眼の前には絶滅寸前の地球が存在する訳だ……」
[肯定。その通りです。現在、
「今直ぐに帰る! ってのは無理か~、どうする? みんな……」
ここで嫁の一人、銀河がぼそりと
「どうするって…どうせ貴方はもう方針を決めているんでしょ。昴の事だから『暇つぶしにここの地球人類を助けちゃおうか』ぐらいの事は言うと思ったよ」
「アハハハハ、流石俺の奥さん。分かってらっしゃる♪」
嫁~ズ全員からボソボソと言葉が漏れ聞こえてくる。
「大体は想像がつくよね~」(銀河)
「昴兄ちゃんだし……」(双葉)
「仕方がありませんわ……」(裕美)
「どうせ暇だし地球観光もしようよ」(聖)
「糞虫は消毒だな。文化遺産を何だと思っていやがるんだ」(ジェニー)
「主様と一緒ジャと退屈はセンナ~♪」(シャシ)
「旦那様の思うようになさいませ、それが一番です」(ラクシュ)
「地球が茶色いです。緑の星に戻しましょうよ」(リリアナ)
[肯定。では見知らぬ地球のため、お節介な殲滅戦を開始すると致しましょう]
「うん、みんなよろしく……」
こうして、昴達一同は