チョッと短いけど更新。
基地に戻って早速、MyPCに記録されていたデータを基地のメインフレームに移している。
いったいどれだけ巨大なデータを寄越したと言う事なのだろうか。
MyPCは、まだ使い始めていくらも経たない最新式で、内蔵される2GBのハードディスクだってOSやアプリを入れても2割も使っていない。
見るとそこには、ほとんど空きが無いほどに巨大なデータが存在するのだ。
御親切にも圧縮データ展開用のアプリケーションが添付されていた。
これが又凄く高性能なアプリケーションソフトで、使ってみると手放せなくなるほどの物であった。
圧縮データが解凍され展開生成されたデータは、およそ10倍以上に膨れ上がり、その様子に目を見張る夕呼。
生成されたデータは、まだ目新しいファイル形式のPDFファイルに纏められた報告書のライブラリーだった。
BETAの各種族の詳しいデータは
そして、最重要事項となるのは、BETAの行動原理と存在理由であり、それを定めた彼らの上位種・創造主の存在であり、奴らが何処から来たのかだった。
その数と支配領域が、この宇宙のどのくらいの範囲にまで及んでいるのか。
更には、奴らが人類をどのように見ているのかと言う事実に行き着く訳である。
BETAは、そもそも生物では無く有機的に製造されたロボットであり、トラクターや重機のような存在である事。
BETAを製造した種族は、
彼らは人類を自然現象ととらえており、昆虫や植物及び下等な原生生物と同じ
更には下級のエネルギー元、BETA下位種のガソリン扱いで有る事などなど。
『私は、これらの事実を証拠資料を添えてここに明記する者である』
と、記されていたのだった。
「なっ、なっ、何じゃ~コリャ~!!!」
夕呼の上げた怒号に、秘書官のイリーナ・ピアティフ中尉が駆け込んでくる。
「博士、何かトラブルでしょうか?」
「何でも無い……訳じゃないけど、危険は無いから戻っても大丈夫よ。ありがとう、中尉」
あの連中、なんて物を渡して来るのよ。
巌谷少佐が困ったと言っていた理由がやっと理解できた。
こんな物、簡単に見せて良いものじゃない。
それはそうだ、今まで謎とされてきたBETAの全てが
そこには私が今まで知りたいと思っていた事が、全て網羅されていたのだ。
疑いようの無い証拠資料と考察が述べられ、驚く事にどうやって記録したのかBETA各種族の
私設武装組織アスガルドとは、予想以上にトンデモナイ組織なのでは無いだろうか。
独自開発の機動兵器に始まり、自然素材の食料などの補給物資。
これには、各種嗜好品などの贅沢品も大量に含まれていたそうだ。
ダメ押しをするようにBETAに関する研究データと敵の首魁の有り様である。
あらためてBETAにどう対処するか考える。
無理、これは駄目だ。
まずは、数で負けている。
これは、今までもそうではあったのだが、目に見えている数が予想とは掛け離れていたのである。
人類は、BETAが火星から来たと思っている。
しかし、この資料によると元を辿って行くと遥かに離れた星から来ており、広大な恒星間の空間に支配領域を広げている事が分かってしまう。
相手が巨大すぎるのだ。
こんな奴ら相手に、人類にどうしろって言うのよ。
でも、アスガルドはどうやってこれだけの情報を集めたのだろう。
巌谷少尉が、アスガルドの司令官アルファからこの情報ライブラリーの制作に1ヶ月掛かったと聞いたと言っていた。
僅か1ヶ月間でこれだけの物を仕上げたというのだろうか、それが真実なら驚きの事実である。
人類がBETAと接触して40年、未だに謎のままだった正体が明らかになったのである。
それも、最悪の情報としてである。
これでは、何処にも逃げ場が無いではないか。
このライブラリーから読み取って出来うる最善は、兎に角地球に居るBETAのトップを潰すことだろう。
いくら末端を相手にしていても駄目だし、中途半端な位置の上位種を潰しても更に上から押しつぶ返されるだけだ。
地球上の最上位種は、カシュガルの甲1号目標だ。
今では、近寄ることさえ至難の業。
そこでこのライブラリーを見ると……地球上の全ハイブの内部情報まで詳しく記載されているではないか。
こんな物、どうやって調べたのよ?
立坑、横坑、隠し部屋、そこに配置されている各種BETAの詳細な情報までが記載されている始末。
悲鳴を上げたくも成るものである。
「これは、アスガルドに接触して力を借りなければ、どの道地球はオワリね。事実上人類は、もう詰んでいるわ」