実は俺、BETA大戦に介入しました!   作:夢見る黄龍

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2023文字


17.撃ちまくれ

 

 

 

 耐爆シールドの施された試射場が在るという事でワルキューレ試乗の次は、使用する装備の試験に移ることになった。

 正しい武装の運用と威力は、実際に体感してみないと不慮の事故を引き起こす事も考えられるからという理由からである。

 

『標準装備のリニアガンですが弾種の切り替えの他にバーストモードという物が存在します。詳しく説明致しますのでよくお聞き下さい。このリニアガンは、ワルキューレの専用装備です。豊富な電力を使用してケースレス、炸薬レスの専用弾頭を電磁加速して射出しますが最終加速に重力カタパルト方式を取っています。ここが専用装備といった理由です。そして、この最終加速時の重力を変調することで使用可能になったのが通常の高速射出モードとバーストモードと言う2つの使用法なのです』

 

「弾は3種類なんだよな?」

 

『はい、3種類の弾頭の内で主にバーストモードが使用されるのは貫通弾になります。この貫通弾ですが地球人類が使用している36mm弾とは似ているのは口径だけでまったくの別物です。我々の使用する36mm弾は貫通に特化した特殊なフレシェット弾となります。この弾頭は、実際には9mm口径のフレシェット・針を束ねた物です。そして、先端は貫通に特化したタングステン合金ですが主要成分はBETAの血液に反応して毒となる化学成分を含んでいます。BETAにとっては猛毒となるのです。そして、バーストモードを使用すると加速用の重力カタパルトが拡散方向に変更されます。文字通り弾が(はじ)けて束ねられていたフレシェットが銃口から散弾のようにバラ撒かれるわけです』

 

「それって……」

 

『貫通に特化した毒針を広範囲に大量にバラ撒くことが出来る様になります。小型種を想定した物ですがバーストモードでこれら小型種の面制圧が可能となる訳です』

 

「……凶悪なんだな」

 

『そうではありません。生産性による処ではありますが人類はもう少しBETAを相手にする為の知恵を付けなければなりません。人類同士での戦闘に(こだわ)り過ぎです。人殺しの道具は、沢山考えつくのに敵が変わった途端に人類は御馬鹿さんになるのですね』

 

「面目ない……同族での殺し合いを止められないんだ」

 

『敵の弱点を見つけ対応する柔軟性を持つのが人類の強みでしょう。何故それを今発揮しないのですか? BETAに良いところばかりを持ってゆかれていますよ。もし分かっていてやっているというのなら、それこそ呆れるしか有りません』

 

「一言も返す言葉が無いな……、しかしこの弾丸を戦術機では使えないのかい?」

 

『使えない事は有りませんが威力は落ちますね。突撃砲のケースレス弾頭として使用する場合、炸薬の分だけ質量が減ります。元々がフレシェット形成した物ですので威力が効果につり合いません。精々、出来たとして弾頭に対BETA用化学物質を混入するくらいの改良が関の山でしょう。それでも、大型種の行動阻害や機能停止に追い込む時間は短縮できると思います』

 

「フムッ、その化学物質の合成は人類にでも可能なのかい?」

 

『問題有りません。一応時間の経過と共に自然分解されますので劣化ウランの様に環境に残留して二次被害を起こすことは有りません。しかし、人類へ打ち込まれた場合の実験はしておりませんのでその辺は御理解下さい。予想では人体にも猛毒です……しかし、解毒剤を服用していれば死に至ることは無いでしょう。だいたい、こんな物中たった時点で人体は爆散してしまいます。まあ、対人用に使おうとする大馬鹿が居ないとも限りませんので公開はされないと思いますよ』

 

「カ~ッ、そっちの方が問題か……まったく何処までも足を引っ張りやがる」

 

 そんな会話をしながら、とてもリアルに作られたBETAの的に弾を撃ち込む巌谷だった。

 弾に中たって痙攣して引っ繰り返る疑似BETA達。

 それを顔を引きつらせて眺める巌谷の顔がそこには在ったのだった。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「この! アタレ! 何で1発もBETAに中らないのよ? たかが動く的じゃないの、生意気なのよ!」

 

『この的は、限りなくリアルに近づけるためにアルゴリズムまで解析して作られていますので……、香月博士。貴女は、決定的に射撃適性が無いように見受けられますね。いい加減、諦らめられては如何でしょう。ナイフの扱いは、玄人裸足なのですが……』

 

「伊達に医師免許……持ってないって……言うのよ。アアアー中たらない! 腹の立つったら……」

 

 香月博士は、兎に角射撃で的に当てるのが苦手のようだった。

 高周波ナイフでの斬撃は、相手を3枚に下ろす余裕さえ在ったというのにである。

 これはもう適正を超えた呪いのようにも見えるのだった。

 

 そして、その横では弾が吸い込まれるように的に中たり……逆に的が弾に当たりに行ってるのでは無いかと言うほどに、当たり判定を叩き出しているピアティフ中尉の機体が存在したのだった。

 それを見てさらに香月博士は、気税を上げて弾をバラ撒くのだ……しかし全然中っていないのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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