格納庫の奥から一際豪華な機体が数機現れた。
前に一度見ているが細部に施された黒金の彫刻がとても美しい。
「ほんとに綺麗な機体だな……、前にも目にしたがあの2機以外にも何機か居たよな?」
『あれは、マスターと
「なんじゃそりゃ!」
『マスター自身のステータスが神の物ですし人間レベルに落としたとしても超人級です。量産機にマスターが乗っただけでも一騎当千どころの話では有りません。あの機体はマスターが手ずからご自分用にお作りになった機体……
「地球が滅ぶだろうな……まともにやり合ってはならない相手という事だろ」
『ご理解頂けたようで何よりです。実際に女神の言う事です「
「いったい何が始まるんだ?」
『この機体を従全に使う事が出来る様に成るとこんな事も出来ますよ……と言いたいのではないでしょうか。真似する事は、お勧めしません。機体は大丈夫でも
「俺達乗り手の方がお釈迦になるってか……」
そして眼の前で始まったのは、文字通りの神業だった。
◆
まずは簡単な処からと、ワルキューレの右腕が上がると手のひらに黒く揺らめく球体が出現した。
それを無造作に振りかぶって疑似BETAに投げつける。
「……何だ、ありゃ?」
『解説しましょう。あれは高重力の塊、プレッシャーボ-ルと言ったところでしょう。機体全体で発生させる事が出来ると言っていたプレッシャーカノンは、あれの極大版です。威力は折り紙付きですがカノンでは、威力が大きすぎるのでミニマムに手のひらサイズで制御された物が先程のプレッシャーボールですね』
そんな話をしていると今度は、拳を作ったと思ったらそれを素早く開きながらそれぞれの指を弾き始めたではないか。
指先からは、弾いた数だけ先程より小さな黒い球体が飛び出してゆく。
その球体の触れた部分が
「・・・」
『あれは、プレッシャーブレット。プレッシャーボールを圧縮して指弾として射出したといったところですね。機体に備わった機能を理解し十全に使いこなす事が出来れば可能となる
次に、高周波振動ナイフを取り出した。
ナイフの刀身に陽炎が立つと一気に光り始めた。
光る刀身が2倍ほどに膨らみ、遠目に見ても膨大なエネルギーを感じる。
『解説しましょう。陽炎のように見えたのは斥力場によってエネルギーを飽和させるための力場を発生させたためです。そして高周波振動をオーバーロードさせました。刀身がプラズマ崩壊を開始してあの状態になっております。一種のプラズマブレードを作り上げた訳です』
「プラズマブレードって……あれでぶった斬れって言うことかよ」
『まずはご覧になっていて下さい。奥様がお持ちになっている太刀は、グラファイトを精錬して作り上げたロンズデーライトの
数合打ち合った途端にロンズデーライトの剣は、半ばから綺麗に切断されていた。
打ち合った場所には、見るからに焦げたような跡がある。
折れた剣を見上げて肩を落とす妻の機体にそそくさと新しい剣を与えて機嫌をとるアルファの機体。
土下座までしている処から、よく説明せずに事に及んだのだろう。
神といえども奥さんは怖いらしい。
「最後は、ちょっと締まらなかったが結局何がしたかったんだ?」
『標準装備の高周波振動ナイフですら使いようによっては、とても恐ろしい武器になるという事が言いたかったのでは無いでしょうか。ただし、あれには時間制限が付きます』
「何となく分かるぞ。刀身が持たないんだろう?」
『そうです。制限時間はおよそ10分ほどですね。刀身が蒸発して無くなってしまいます。それにプラズマソード化するまでには多少の時間が掛かります。戦闘時など切羽詰まった時には使用できません』
「ふむ、たしかにあれは隠し芸だな。しかし随伴機が時間を稼いでくれれば大物狩りには使えるか……あれなら
『ええ、出来ますよ。マスターは、実際にやってましたし実績もあります。あとは、重光線種のレーザーを切ったりして遊んでいましたね』
「・・・」
それからは、プラズマブレードの刀身が消えるまでの10分間色々な物を取り出しては、切断してゆく
巌谷が言っていた
刀身がチビって来たと思ったら『ボンッ』と煙を上げて消えたのだった。
『まだまだ開発中の技も有るのですが、それは又の機会に致しましょう。この辺で皆さん、ひと休みしませんか。もう19時を回りますしディナーでも
「食欲が無いと言ったら嘘になるがこの惨状を見た後で、直ぐに食事は遠慮したいところだな」
『そうですか……残念です。異世界の豪華なディナーを用意したんですがそれでは又の……』
「チョッと待て! それは美味いんだな?」
『ええ、
この後一同は、異世界のディナーに突入するのだが……。
ご愁傷さまである。
もう後戻りが出来ない体にされるとも知らずに。