実は俺、BETA大戦に介入しました!   作:夢見る黄龍

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18.なんじゃそりゃ!

 

 

 

 格納庫の奥から一際豪華な機体が数機現れた。

 アルファ()の乗る王騎と(シャシ)の乗る騎体である。

 前に一度見ているが細部に施された黒金の彫刻がとても美しい。

 

「ほんとに綺麗な機体だな……、前にも目にしたがあの2機以外にも何機か居たよな?」

 

『あれは、マスターと第三后(シャシ)様の機体ですね。特機は、他のお后専用機が8機、近衛(シスターズ)用が8機、他に魔改造機が十数機存在しますね。この総数34機の特機だけで量産機数万機に匹敵する戦力です。実際マスター1機だけで全戦力と比べてもお釣りが来ます』

 

「なんじゃそりゃ!」

 

『マスター自身のステータスが神の物ですし人間レベルに落としたとしても超人級です。量産機にマスターが乗っただけでも一騎当千どころの話では有りません。あの機体はマスターが手ずからご自分用にお作りになった機体……所謂神機(いわゆるしんき)とも言える機体ですし、他の特機もそれに準じた機体に仕上がっています。この意味がご理解いただけますか?』

 

「地球が滅ぶだろうな……まともにやり合ってはならない相手という事だろ」

 

『ご理解頂けたようで何よりです。実際に女神の言う事です「夢々(ゆめゆめ)疑う事(なか)れ」ですよ』

 

 アルファ()から隠し芸を披露すると言われて、3機は端によった。

 

「いったい何が始まるんだ?」

 

『この機体を従全に使う事が出来る様に成るとこんな事も出来ますよ……と言いたいのではないでしょうか。真似する事は、お勧めしません。機体は大丈夫でも騎手(パイロット)が壊れます』

 

「俺達乗り手の方がお釈迦になるってか……」

 

 そして眼の前で始まったのは、文字通りの神業だった。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 まずは簡単な処からと、ワルキューレの右腕が上がると手のひらに黒く揺らめく球体が出現した。

 それを無造作に振りかぶって疑似BETAに投げつける。

 (あた)ったと思った途端にその球体は疑似BETAを捻り潰すように呑み込んで縮小し僅かに光って消滅した。

 

「……何だ、ありゃ?」

 

『解説しましょう。あれは高重力の塊、プレッシャーボ-ルと言ったところでしょう。機体全体で発生させる事が出来ると言っていたプレッシャーカノンは、あれの極大版です。威力は折り紙付きですがカノンでは、威力が大きすぎるのでミニマムに手のひらサイズで制御された物が先程のプレッシャーボールですね』

 

 そんな話をしていると今度は、拳を作ったと思ったらそれを素早く開きながらそれぞれの指を弾き始めたではないか。

 指先からは、弾いた数だけ先程より小さな黒い球体が飛び出してゆく。

 その球体の触れた部分が(えぐ)れるように消滅し、疑似BETAは穴だらけになったのだった。

 

「・・・」

 

『あれは、プレッシャーブレット。プレッシャーボールを圧縮して指弾として射出したといったところですね。機体に備わった機能を理解し十全に使いこなす事が出来れば可能となる(アーツ)です』

 

 次に、高周波振動ナイフを取り出した。

 ナイフの刀身に陽炎が立つと一気に光り始めた。

 光る刀身が2倍ほどに膨らみ、遠目に見ても膨大なエネルギーを感じる。

 

『解説しましょう。陽炎のように見えたのは斥力場によってエネルギーを飽和させるための力場を発生させたためです。そして高周波振動をオーバーロードさせました。刀身がプラズマ崩壊を開始してあの状態になっております。一種のプラズマブレードを作り上げた訳です』

 

「プラズマブレードって……あれでぶった斬れって言うことかよ」

 

『まずはご覧になっていて下さい。奥様がお持ちになっている太刀は、グラファイトを精錬して作り上げたロンズデーライトの(つるぎ)です。ダイヤモンドよりも硬いロンズデーライトで粘りのある特殊な(はがね)の刀身を覆いました。奥様がお使いになると断てない物質は、この世に無いとまで言わせる業物です』

 

 数合打ち合った途端にロンズデーライトの剣は、半ばから綺麗に切断されていた。

 打ち合った場所には、見るからに焦げたような跡がある。

 折れた剣を見上げて肩を落とす妻の機体にそそくさと新しい剣を与えて機嫌をとるアルファの機体。

 土下座までしている処から、よく説明せずに事に及んだのだろう。

 神といえども奥さんは怖いらしい。

 

「最後は、ちょっと締まらなかったが結局何がしたかったんだ?」

 

『標準装備の高周波振動ナイフですら使いようによっては、とても恐ろしい武器になるという事が言いたかったのでは無いでしょうか。ただし、あれには時間制限が付きます』

 

「何となく分かるぞ。刀身が持たないんだろう?」

 

『そうです。制限時間はおよそ10分ほどですね。刀身が蒸発して無くなってしまいます。それにプラズマソード化するまでには多少の時間が掛かります。戦闘時など切羽詰まった時には使用できません』

 

「ふむ、たしかにあれは隠し芸だな。しかし随伴機が時間を稼いでくれれば大物狩りには使えるか……あれなら要塞級(フォート)でも真っ二つに出来そうだ」

 

『ええ、出来ますよ。マスターは、実際にやってましたし実績もあります。あとは、重光線種のレーザーを切ったりして遊んでいましたね』

 

「・・・」

 

 それからは、プラズマブレードの刀身が消えるまでの10分間色々な物を取り出しては、切断してゆくアルファ()の乗る王騎だった。

 巌谷が言っていた要塞級(フォート)の足や突撃級の衝角などは素より、何処で拾ってきたのか各種戦術機のフレームやナイフなどの刃物に至るまで全てを切っていた。

 刀身がチビって来たと思ったら『ボンッ』と煙を上げて消えたのだった。

 

『まだまだ開発中の技も有るのですが、それは又の機会に致しましょう。この辺で皆さん、ひと休みしませんか。もう19時を回りますしディナーでも如何(いかが)ですか?』

 

「食欲が無いと言ったら嘘になるがこの惨状を見た後で、直ぐに食事は遠慮したいところだな」

 

『そうですか……残念です。異世界の豪華なディナーを用意したんですがそれでは又の……』

 

「チョッと待て! それは美味いんだな?」

 

『ええ、勿論(もちろん)。不味い物は、出しませんよ。神の名に掛けてね♪』

 

 

 

 この後一同は、異世界のディナーに突入するのだが……。

 ご愁傷さまである。

 もう後戻りが出来ない体にされるとも知らずに。

 

 

 

 

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