実は俺、BETA大戦に介入しました!   作:夢見る黄龍

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19.身勝手な神の啓示

 

 

 

 そこは、静かな戦場だった。

 ガツガツガツ……無言で出される料理を貪り食っている巌谷の側で香月博士も負けずに忙しなく手と口を動かしている。

 比べて、ピアティフ中尉の所作は上品に見えるのだが何時食べたのかと疑われる様に目の前の皿からは料理が消えていっている。

 全員出される料理のペースは変わっていない、食事の様子から消費されるペースも変わらないというのは、見ていてとても不思議で仕方がない。

 全員無言で食事に集中してしまっていたが、独り言のようにアルファ()話題(爆弾)振っ(落とし)たのだった。

 

「皆さんには、感想を聞きたいのですが如何でしたか? それぞれの立場も有るとは思いますが忌憚のない意見をお聞かせ願えれば有り難いです。我々にとって、BETAの殲滅に関してはある程度の時間を頂ければ可能です。そこに『人類の生存を考えなければ』と言う一言を付け加えるならばですが……」

 

「……それは、BETA諸共に地球人類も滅ぼすと言っているのですか?」

 

 最初に反応したのは、ピアティフ中尉だった。

 このメンバーの中で排除されても問題の無い者が代表して意見をした様であった。

 リスク配分が出来ている流れだろう、3人共割と冷静な事が伺える。

 

「巻き添えを考えなければと言う点だけを考えればその通りでしょう。我々は、地球人類を居ない物として無視した作戦行動も可能です。当然、妨害や介入に対しては、これに断固として対処します。最悪、国家及び人種ごと消滅する事も覚悟してもらう事になりますね。我々には、それだけの力が有るとだけは言っておきましょう」

 

「……それは、遺伝子的なレベルでの話しと理解して良いのかしら?」

 

「はい、その認識で問題は無いのですがそれが全てでは有りません。各人種の遺伝子的な判別になると帰化したり他国に属していても対象になってしまいます。遺伝子レベルで対象に成るとハーフやクオーター、それ以上に混血が進んでいる場合など、どの様な判断に成るのかは消滅対象の因子をどれだけ持っているかに依存してしまいます。保有する消滅因子が少なければ微熱と体調不良に血尿程度で済みます。しかし、体力が少ない子供やお年寄りが何処までそれに耐えられるかは時の運としか言えないでしょう。そもそも我々に干渉や敵対をしなければ良いだけの簡単な事なのです」

 

「随分勝手な言い分ね……」

 

 ブスっとした口調で香月博士が呟いた。

 

「これでも神の端くれですので、この地球の人類の都合などはあまり気にしていません。しかし、予告もなく全てを蹂躙する事は、あのBETAと同列とされてしまいますので気分が悪い、ですから予告もするしある程度BETAに対しては手を貸しましょう。但し、貴方達の内ゲバで無駄にする余力も時間も気力も我々には有りません。出来るだけ早くこの宇宙の掃除を完了し元居た次元に戻りたい。それが我々の望みであり行動方針です。お分かり頂けましたか?」

 

「要は、早い処BETAをここから追い出して故郷に帰りたいから、お前達は手を出すなって事なのですか?」

 

 続いて巌谷が口を開いた。

 

「少し修正するなら追い出すのではなく抹消を考えています。邪魔すれば貴方達も消しますよ……と言っている訳です。そもそもBETAがこの宇宙にどれだけ蔓延(はびこ)っているのか御存知では無いでしょう。地球に居る数など太陽系内で数えても1割にも及びません。この銀河全域を見た場合、少なく見積もっても1000兆体以上のBETAが存在する事が予想されます。貴方達にこれをどうにかする事は、どう考えても不可能です。我々でもそれなりの手間と時間が必要と成るでしょう。事が済むまで地球に引きこもって嵐が去るのを待つのが得策ですよ」

 

「……1000兆……無理・無理・無理・無理……宇宙に上ったら地獄が待ってるって事じゃないのよ……」

 

 香月博士は、顔を引きつらせて悲鳴を上げている。

 

「ええ、その認識で(おおむ)ね合っていますよ。この周辺の宇宙は、何処に行ってもBETAだらけだと思って下さい。これを全て消し去る以外に他の生命に安住の地は有りません。人類の一部には『地球を逃げ出してエデンを目指す』などと言う世迷言を吹聴している(やから)も居るようですが地球人類のエデンは、唯一この地球なんです。そこを履き違えてはいけません。間違っても他の星系へ進出する事はお勧めできません。関わり方を一歩間違えると地球人類もBETAと同類にされるだけですよ。異種族間での星間戦争になるか最悪は、我々の様な上位存在に滅せられると認識する事が寛容です」

 

「貴方達に接触できて私達は運が良いのかしら? 悪いのかしら……」

 

「良いとも言えますし悪いとも言えます。これは認識の違いでしか有りません」

 

[肯定。マスターはお優しいのでこうして接触を図りました。別に我々には、告知する義務も(いわ)れも有りませんから勝手にやって勝手に帰るだけでも良かったのです。又は、このまま黙認してこの宇宙を去るという選択もありました。この宇宙の事は、この宇宙の神の管轄ですので我々が手を出しても出さなくてもとやかく言われる筋合いでは有りません]

 

「「「・・・」」」

 

「まあ、『袖擦り合うも多生の縁』という事我(ことわざ)が在ります。今生で私は、神なんて因果な商売をする羽目になっていますが、この先何が有るか分からないのは皆さんと同じです。少しでも功徳を施して来世、何かの足しにでもなれば良いかな~? 程度の気持ちだという事です。面倒臭い事は、誰もしたくないのが当たり前の話であって、それが神だから別なんて事はけっしてありません。偶々遭難した先で見掛けて気になったから暇つぶしに手を貸してあげようかな? くらいのニュアンスでしょうね……ハッキリ言ってこの地球の人類は面倒臭いので接触も最低限にして知らないフリを決め込もうと思ったくらいです」

 

 神にそこまで言わせているっていう認識が多少は有るらしく、3人共に苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

 

[肯定。言っていませんでしたが我々は、別の次元宇宙に属する神の眷族です。偶々遭難して出た先が酷い事になっていて、此の儘だと気分が悪いだろうと活動を開始した訳です。ですからこの宇宙の事に関わるのは、飽くまでの気分、気まぐれであって誰からの依頼も矯正された訳でも有りません。要らぬお節介だとおっしゃるのであれば直ぐにでも立ち去る用意は在りますのでその時はお申し出下さい]

 

「まあ、そういう事ですがどうしますか?」

 

「情け深い神様が偶然近くに時空遭難して来ていて、見るに見かねて人類に手を差し伸べたっていう状況判断で間違っていないのね?」

 

[肯定。人類というよりは地球へといった方が正確ですが……。良く出来ましたので貴女には、この後のデザートに最高級チョコレートブリュレを御用意致しましょう]

 

「あ、ありがとう。……図々しいようだけどお土産も頂けるかしら?」

 

[用意させましょう。他にも何か御座いましたらお申し出下さい。但し今後は等価交換とさせて頂きます。うちの家訓は『働かざる者食うべからず』ですが、皆さんは身を粉にして人類救済に活動しておられる事を確認しております。ある程度の贅沢は許容致しましょう]

 

「妻がああ言っていますので後で要求リストをお願いします。それぞれの端末で確認出来ますので良くお読みになって下さい。出来る事や物資の調達のお手伝いくらいはしますよ。プライスレスです」

 

 香月博士は、アルファ()の話が終わる側から端末を引っ張り出し、詳細の閲覧を始めた。

 そして、そこに表示された物資の数々に悲鳴を上げる事になるのだった。

 

 

 

 

 

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