実は俺、BETA大戦に介入しました!   作:夢見る黄龍

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2442文字 リハビリ始めました、短いです。


26.さらなる蹂躙

 

 

 

 その頃の昴達は、思う(さま)無双を繰り返していた。

 

 シャシは、両手に持った光刃で手当たり次第にBETAを(なます)のように切り裂いた。

 ラクシュは、その構えし光る長槍で団子のように串刺しにしては、爆散させた。

 銀河は、スラリと構える薙刀で大型種もまとめて3枚おろしにした。

 若葉は、両手の凶悪な鈍器で触れるもの全てを粉々に粉砕した。

 裕美は、巨大なハンマーでまとめてペシャンコにしている。

 聖は、周辺に滞空させる複数の光輪(チャクラム)がどこまでもBETAを追いかけ切り裂いた。

 リリアナは、巨大な光る長弓でその場の動く標的を的確に打抜いていた。

 ジェミーは、全身を覆う重火器で蜂の巣を大量生産している。

 

 そして彼女達の主は、無手で重力を自在に扱い、地に(うご)めくBETAをまとめて一塊に圧縮しているのだった。

 その様は、まるでオーケストラの指揮者がタクトを振るうように、ワルキューレの人指し指をピッと上に跳ね上げると、それまで視界を埋め尽くしていた全てのBETAが一気に数百メートルも空中に跳ね上げられた。

 そのまま地に落とせば勝手に自重で潰れるだるうスピードだ。

 しかし、それでは余りに後が汚く乱れるだろう。

 跳ね上げられた物が空中で静止すると空中の一箇所に凄い勢いで集まりだしたではないか。

 まるで爆発を逆戻しに見せられているように一点に集まったモノは、全てが圧縮され一つの塊となって地に落ちるのだった。

 それは直径1mほどの黒い球体。

 どれほどの重さなのか、自重で地面にめり込んでしまっている。

 目を凝らせば数百メートル置きに同じ物質が点々と点在している事が確認出来るのだった。

 

 昴達は、高梁川を背水の陣としてBETAを堰き止めるように布陣していた。

 見たところ倉敷市側には、現在BETAを一匹も上陸させていない。

 フォートレスから進発してここで暴れているのは、29機。

 そしてハコは、フォートレスの制御コアとなる自機に残り戦術管制を行っていた。

 所謂、CP(コマンドポスト)でもある。

 

[CPより全機に通達。日本海側を侵攻していた15万のBETAは、殲滅されました。補給と合流のためスワロー大隊はフォートレスへ帰還中です]

 

「こちらの損害は?」

 

[損害等は無し。損傷機もありません]

 

「優秀優秀。まあ、これくらいは出来て当たり前なんだけど初戦としては及第点ってところかな」

 

[肯定。そろそろアルファーリーダーも撤退を開始してください]

 

「アルファーリーダー了解。みんな撤退するよ」

 

「「「「「「「「了解なのじゃ」分かりました」りょうかーい」フ~」・・」了」はーい」ラジャー」

 

「CP。衛星通信網の把握は、どうなってる?」

 

[現在、全ての人工衛星はこちらで掌握しております。どの組織も乗っ取られている事に欠片も気づいてはいないでしょう。戦闘映像や各種通信情報は、こちらでフィルタリング済みの物を正常に流しております]

 

「俺達は、映らないって事だね」

 

[肯定。代わりに日本帝国の防衛隊が華麗に奮戦して撃退している映像に差し替えております。全てがエース級のパイロットと無尽蔵の弾薬による殲滅戦を各国は、望観しているという訳です]

 

「日本帝国防衛軍の良い宣伝になってるなら良いさ。交渉する時の宣伝材料にもなりそうだ」

 

[肯定。出来るだけ高い条件で売りつけることにしましょう。それでも最終的に日本帝国は、損をしないと思いますけれど]

 

「だろうね」

 

 

 

 ◆

 

 

 

 旗艦を後にしてリトル・ボーイに戻ってきた夕呼とピアティフの2人は、操舵室に入室早々に矢継ぎ早に作業を開始するのだった。

 シートに着くと同時に情報パネルに火が入った。

 

「ボーイ、帝国陸軍白陵基地に無線を繋いで頂戴! 直ぐにA-01部隊用のワルキューレを受領しなくちゃいけないから伊隅達を拾ってメガフロートに取って返すわよ」

 

 ピアティフ中尉は、操舵手の席で次々にシステムを立ち上げてゆく。

 

「艦長、リトル・ボーイ発進準備、ヨロし」

 

 帰還後すぐに操舵席に着いたピアティフ中尉が叫んだ。

 

[おかえりなさい二人共、随分と慌ただしいですね。ジェネレーター臨海、動力系にエネルギー接続、発進準備完了です]

 

「リトル・ボーイ発進!」

 

[「ヨーソロ!」リトル・ボーイ、発進します]

 

 

 

 数時間前に国連軍護衛艦隊へ合流し、旗艦に並走していた真っ白な大型ホバークラフト。

 見かけは、ホバークラフトだが船に詳しい者なら直ぐにこの船が可怪しな事に気がつくだろう。

 ホバークラフトとは、そもそも船底からエアーを吹き出し船の周囲に風船状の浮力体を形成するから僅かに浮上して航行することが出来る物である。

 しかし、目の前の白いホバークラフトは、その肝心なエアーを出していないのである。

 一体どういう原理で浮上しているのだろう。

 パウル・ラダビノッド准将は、舷側を並走する真っ白なホバークラフトを見下ろして呟いた。

 

「副長、あの船はどうやって浮いているんだと思うかね?」

 

「司令、私に聞かないでくださいよ。さっきからずっと眺めていましたが皆目検討も付きません。そもそも浮力エアー無しで海上を浮遊航行できるホバークラフトなんて想像も出来ません。あれ、もしかして空を飛べるんじゃないですか?」

 

「ああ、多分副長の予想は当たっているだろう。そもそも海上を時速200kmで航行出来る艦船など存在せんよ。航空機の一部に海上を高速で飛行できる物があった筈だが、波に弱いので実験機止まりだったはずだ」

 

 そんな会話が旗艦艦橋でされている眼の前で、今まで旗艦に並走していた真っ白な大型ホバークラフトが海面上から浮き上がり始めた。

 唖然とする周囲の国連軍護衛艦隊からの視線を他所に、旗艦の艦橋の視界を上空に横切り高度50mほどでクルッと180度反転すると、弾丸のように飛び出して国連軍護衛艦隊を後にするのだった。

 

「彼女は、物理法則まで支配下に置いたようだね」

 

「ナンデスカ、アレハ?」

 

「俺にも分からん。だが、味方であることは確かだ」

 

「今後も味方で居てくれるとありがたいですね」

 

「まったくだ」

 

 

 

 

 

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