現在、地球上にハイブは20箇所。
一番若いハイブが、朝鮮半島の甲20号
甲16号重慶ハイブから東進した大規模BETA侵攻が、朝鮮半島を経由して九州及び本州日本海沿岸に上陸した。
このままだと九州か日本海側の佐渡ヶ島辺りに、甲21号ハイブが出来あがる危険性がある。
但し、九州には四国から対BETA用メタルワームが逆侵攻を開始している。
本土侵攻のために数の減った九州なら数日中に殲滅が完了するものと予想される。
さらに、日本海沿岸に地下侵攻予定だった母艦級5匹を空牙帝がプチッと間引いてしまったので、本州に侵攻予定のBETAの総数は、可也のところ減少しているので、今ならまだ防衛に間に合うだろうと予想される。
そして、本日午前中の巌谷少佐旗下のワルキューレとアスガルド
この数なら帝国陸軍の防衛ラインでも何とかなるだろうと思われる。
今後の朝鮮半島からの増援は大陸の残存数からおよそ5万程度と見込まれるが、これが何処に向かうかは先の予想通りだとすれ佐渡ヶ島一択だろう。
しかし、現在の日本帝国陸軍には、大規模侵攻に対処できるだけの戦力を佐渡ヶ島に回すだけの余力は皆無である。
「佐渡ヶ島の防衛に向かいましょう」
俺がこの後の行動を言葉にすると
「えっ、どうやって?」
香月博士が問い返してきた。
「
巌谷さんも自分で行動可能なことを行ってきたが、
「いいえ、この船も飛べますから大丈夫ですよ。あんまり高くは飛べませんけどね」
俺は、この艦隊ごと日本海側に進出することをのべるのだった。
[肯定。ついでに残る4万のBETAを上空から行きずり空爆して数を減らしてしまいましょう]
「それ、ズルくない?」
俺達の行動方針を聞いて香月博士が飽きれた物言いでたしなめるが、
「BETAなんかに情も容赦も要らないでしょう?」
俺は、正論でぶった切ったのだった。
「鬼だ! 鬼がいるぞ」
巌谷さんも茶化してきたが顔が笑っている。
「神ですが何か?」
「「・・・」」
本州中央を東進しているBETAの残存およそ4万を この艦隊で空爆する方針で決定した。
通り魔部隊としては、大規模すぎるだろうか?
帝国軍の最終防衛ラインにどれだけのBETAが辿り着けるか見ものではある。
「この後巌谷さんには、日本帝国陸軍の上の方、出来れば政府の偉い人と接触してほしいんです。明日には、帝都の本部に出頭するんですよね?」
「・・・忘れてた。行きたく無いで御座る!」
「何言ってるんですか。巫山戯てないで、ちゃんと挨拶に行ってください。脱走兵扱いで軍法会議なんて嫌でしょ? 真面目な軍人さんとしては」
「うん。それは、絶対に嫌だな」
「護衛も兼ねて今日一緒だったスワロー小隊の4機を付けますから、取り敢えず巌谷さんの機体と合わせて5機で帝都の帝国軍本部へ飛んでください。たぶん撃ち落とされたりはしないと思いますけど用心はしてくださいね。何処にでも了見違いの罰当たりな輩は掃いて捨てるほどいますから、機体をおりてもスーツは絶対脱がないでください。それ防弾防刃ですからね、BETAのレーザーが直撃でもしなければ安全です。軍服の下に着てゆくのをお勧めします。いざとなったらヘルメット装備して強行突破してでも逃げてきてください」
「後ろから撃たれても死なない程度に用心すれば良いんだな・・・まったく物騒な事だな~」
「帝都までならワルキューレで数十分ですから、巌谷さんのタイミングで出てくださって結構です」
「日本海側への移動は、何時の予定だい?」
「護衛艦を艦隊編成へ展開しなおして最大戦力で絨毯爆撃を予定していますから、今から2時間後を予定しています」
「それじゃ俺達も直援で爆撃に参加してから帝都へ向かうとしよう。途中落穂拾いで少しでもBETAの数を減らすとするか。前線の部隊にも挨拶したいからな」
「その辺は、お任せしますよ。上手いことやってください。失敗したら逃げてきてもいいですよ」
「それは、もっと不味いだろう。冗談抜きで人類存亡の危機になりそうなんだが」
「ボクハ、ヤサシイ
「胡散臭せ~!」
1時間後には、フォートレスに格納されていた全長120mほどの無人護衛艦が12隻、編隊を組んでフォートレスの周囲を固めていた。
上空には、巌谷少佐の小隊5機の他に直援の重武装サンダーバード30機が睨みを効かせている。
[マスター、開始時間です。全艦隊、浮上を開始します。高度500mで岡山市上空を通過、津山をへて鳥取へ抜けます。現在、BETAが津山の直前で停滞しておりますのでこれを通過しながら爆撃殲滅いたします]
ハコの返答に香月博士が問いかけた。
「どうしてBETAは津山で足止めされてるの?」
[四国地方の掃除をさせておりましたドール150機の手が完全に空きましたのでが本州中国地方へ展開、BETAの間引きと足止めをさせております。丁度いい具合に津山の地形は、盆地となっております。ここに溜めるだけ溜めてまとめて消し飛ばす予定です]
「後に生き残った残敵は、帝国軍に任せるとしましょう」
「BETAは、情報をハイブに持ち帰る性質が有るから出来るだけ完全な殲滅が望ましいんだけど」
[僅かな情報を持ち帰ったところで対処のしようが有るとは思えません。多少物量と火力が上がったとしても高が知れていますよ。これでも銀河大戦規模で戦争してる
「銀河大戦規模って、それハッタリじゃなかったのね」
「神様、嘘つかないって言うじゃないですか。真実をかたらない事もありますけどね」
[肯定。そういう場合は、往々にして知らなければ良かった事ばかりですよ。では、北北東に進路を取ります]
『全艦、浮上後北北東に進路を取ります。フィールドステルス及びシールド展開。微速前進、ヨーソロー』
フォートレス艦内に、電子的なアナウンスが響き渡った。
高度500mで一度停止した艦隊は、北北東に艦首を向けるとゆっくりと一斉に動き出した。
水の落ちるザーという音以外は、ほとんど音がしていない。
段々とスピードが乗って来ると風を切り音だけが聞こえていた。
「直援のサンダーバード10機を先行させて
『全艦、下部及び舷側のウェポンベイ、解放します。現在、時速500kmで飛行中』
それまで何もなかった船底部が変化を開始した。
収納されていた砲門やレーザー銃座が露出を開始し、下方に向かって構えたのだ。
同時に舷側にもハリネズミのように砲座が飛び出していた。
各種投射管の砲口も口を開けて、火を吹くのを今か今かと待っているようだ。
[先行させたサンダーバードがBETAに接触しました。交戦を開始]
「速度を半速まで落とせ、オールウェポンフリー、挽き肉にしてやれ」
『ヨ-ソロー、時速16kmで巡航します。オールウェポンフリー。全砲門開け、全砲座射撃を開始します』
津山盆地にギッシリとひしめいていたBETAに、光の放流が降り注いだ。
ゆっくりとした速度で上空を通り過ぎようとしている1800mの巨大艦とそれを囲む12隻の戦闘艦。
そして、隙間を埋めるように重武装の航空機30機と5機の小型戦闘機が飛び回り、地上のBETAを挽き肉と消し炭に変えていった。
BETAの反撃だろう、断続的に地上から光の筋が立ち上がるのが確認できるが、上空の艦隊に届く前に捻じ曲げられて在らぬ方向へと飛び去ってしまう。
これは、斥力場シールドに依るところだろう。
上空に対してレーザー以外の攻撃手段の無いBETAは、高度500mから降り注ぐ光弾の雨に焼かれて活動を停止していった。
蹂躙は、1時間半の間続いた。
ゆっくりと飛行する艦隊による光弾の雨によって津山盆地は、動く物の無い焼け野原となったのだ。
およそ4万以上と観ていたBETAの群れは、その場で消し炭に変わったのだった。
艦隊が速度を上げて鳥取方面へ飛び去ると、しばらく上空を旋回していた5機の小型戦闘機は京都方面に向けて飛び去っていった。
◆
ここに斥候を努める戦術機の小隊(4機)が居た。
津山盆地を見下ろす様に、ちくさ高原の頂きから一部始終を伺っていた。
帝国斯衛軍第16大隊の者たちだった。
「おいおい、あれはいったい何だってんだよ。ワクワクが止まらないんだが、どうするよ」
「空飛ぶ巨大戦艦と補助艦艇多数を確認っと」
「大艦隊ですね、空飛んでんのが信じられませんが」
「事実、眼の前で起きていることを報告するしか無いでしょう。隊長」
「えっ、接触しないの? 何処の誰か確認しなくてもいいの?」
「危険です。見ればわかるでしょう、却下です。ほら、帰りますよ」
「そんな殺生な・・・」