そんな物は、無い……と、切り捨ててしまえれば楽なのだが……。
9月に入り、対馬・壱岐・西の島には勝手に上陸してこようとしている大小の船舶が増えた。
中には
有無を言わさずに全部沈めてしまえれば楽なのだが、それではBETAと同じである。
対症療法として大量のドローンに依る完全監視を行いながら『ここは、私有地に付き上陸は許可できません。退去してください』と、直接警告を行っているのだが、そんな声には一切耳を貸す様子もないのが現状だ。
仕方なく警告に従わず上陸した者を 片っ端からテザーで痺れさせて捕獲。
簀巻きにして、九州の日本帝国陸軍の収容所送りにしている。
スパイや工作員のほか、難民や移住を希望するものなど多数に渡るが、行き成り押しかけて来て居座ろうとする輩には相応の対応をするのみである。
多数の不法入国者も含まれており、例えそれが女子供や老人であったとしても、取るべき対応に変わりはない。
アースガードは、自然保護団体であって人類保護団体でも慈善団体でも無いのだ。
逆に自然保護の観点から言うと人類が一番の自然破壊者でもあるのだ。
周囲の国家が煩く騒いでいるようだが、いくら騒いだところで我等の対応が変わる事は無い。
私有地に勝手に入ってくる人間を問答無用で撃ち殺している国だって有るのだ。
生きたまま収容所送りになるくらいは、まだ優しい対応だろう。
収容所で働けば最低限の食い扶持は貰えるらしいので死ぬこともない。
そんな中、何を勘違いしているのか日本帝国の議員が漁船をチャーターして勝手に上陸し、押しかけてこようとしていたので、先の礼儀知らず共と同じ対応を行った。
皇帝様、将軍様、首相閣下から此方は独立国と同じ扱いの領有権を頂いている。
その事を知っているにも関わらず、どうして難民と同じ行動を取ろうとするのだろうか?
いったいどう言う了見で行動しているのか気が知れない。
頭の中は、大丈夫なのだろうか?
直ぐさま鎧衣課長から謝罪の連絡がはいった。
「この度は、大変申し訳有りませんでした。日本帝国の恩人に対して有るまじき所業。深く深く謝罪させていただきます。もしも今回と同じ様な不届き者が現れましたならば、問答無用で痺れさせて御一報頂ければ回収に伺いますので御容赦ください」
「いまだにあんなのが
「お恥ずかしい限りです。国土を侵され国民に被害が出ているにも関わらず、私利私欲に走る国賊です。分かってはいるのです。ところがそれなりの政治基盤を所有しているから質が悪い」
「ちょっと叩けば埃のひとつやふたつ出てくるでしょう。お手伝いぐらいはできると思いますよ」
「ありがとうございます。そう言って頂けると本当に助かります」
その後この議員は、海外との癒着とスキャンダルが発覚し政治生命を絶たれたらしいが、こんなのが定期的に虫のように湧いてくるのは避けようがなかった。
日本の議員から出てこなくなったと思ったら、今度は他国の議員や富豪が勝手に上陸を始めるんだから始末が悪い。
「学習しないよね、ここの人類。BETAの方が勉強してると感じるのは、俺の勘違いかな」
[否定。これまでここの人類にずっと使われてきた手法なのでしょう。似たような物は、むこうの地元にも有りましたからどこも似たようなものです。根負けした方の負けです]
「でも何度も同じ顔を見てないだけマシなのかな?」
[否定。常習犯がいないわけでは有りません。2度目以降が発生しないよう、即刑務所や強制収容所行きになっておりますので見ていないだけですね。地元の人類だったら即洗脳して送り返すので常習犯にはならないのですが、ここでは洗脳や刷り込みは行っていませんから其の負担は日本帝国に行っているのでしょう]
「俺は、其の辺どうでもいいんだけどね、あまり煩わしいのだけは勘弁してほしいかな」
[肯定]
「内ゲバってほど俺達は、こっちの地球人類と仲がいいわけでもないし、面倒臭く成ったらほっぽり出せば良いだけの話しだから気が楽と言えば楽だよね。だいたい自業自得な訳だし、しょうがないでしょ」
と、言うような内容の会話がアースガード内ではされていると密かに関係者にリークされた。
これを踏まえて日本帝国政府と国連事務関係者は、今後の対応を厳しくすることとした。
これまでとは違って、各国に対して厳しい対応を取る事に戸惑わなくなったのである。
最初は、各国からの突き上げも当然のようにあったが、足を引っ張る身内のロクデナシ共よりも常識のある異邦人の方が大事であると公表したのである。
『お前等のやらかした尻拭いをこっちに持ってくんじゃネ~よ。今後は、一切取り合わね~からな。覚悟しとけよ』と、言った内容である。
ある意味で『三行半』を突きつけた訳で、これまで散々に迷惑を掛けてきた常任理事国もこれには、青くなって慌てる事になったのだった。
実は日本帝国政府は、国連からの脱退も視野に入れていたらしい。
それを事前に察知した国連事務総長が次官に手を回したのである。
今、日本帝国に国連から抜けられると、馬鹿しか残んないから何とか思いとどまってくれ、という訳である。
まだ常識の残っている国家も少なからず存在していたが、BETAへの対応ではあまりに役立たずであったからだ。
その点で日本帝国は、
ここで彼等にへそを曲げられては、人類の命運が尽きるだろう。
それでは、困るのである。
これらの判断に至ったのは、第4計画の実質の責任者である香月夕呼博士からもたらされた各種情報に基づいて弾き出された結果だった。
すべての情報が公開されたわけではないが、BETAについての事実情報と穴だらけの第5計画についてが議論された。
第5計画さんよ、地球を捨てて宇宙の何処に逃げんだよ?
地球の外は、何処もかしこもBETAだらけなのに地球壊してどうすんの?
逃げ出すための
識者なら今の第5計画の魂胆ぐらいは、薄々感づいているさ。
君達は、現在の地球の人口を更に減らす事で、第5計画推進派だけで逃げ出すための頭数をそろえる気でいるんだろうが、そうは問屋が降ろさないぞ、と言うことである。
これらの隠された事実を公開したら第5計画推進派の現政権は、どこも引っ繰り返る事になるだろう事は明らかだ。
これらのやり取りからも分かる通り、アースガードは基本的に少数の日本帝国関係者としか接触しないことで地球でのバカンスを楽しむことにしたのだった。
さて、現在太陽系を中心にしてBETAの支配領域がどうなっているのだろうか。
実は、急速に減少傾向に傾いているのだった。
木星に拠点を置くマイア達残りのシスターズが、周辺宙域からBETAの駆除を進めているからである。
この現状は、まだ地球上の誰にも知らされていない。
『宇宙の方は、俺達が面倒見るよ』とは昴の言だが、どこまで進んでいるのかその進捗状況までは知らせてはいないのだった。
その頃メガフロートでは、ビーチパラソルの下に寛ぐ昴と嫁達の姿があった。
「鎧衣さんは、もう帰ったの?」
[肯定。ワゴンタイプの多目的ビークルを1台進呈いたしましたら、試運転のあと速攻で本土へ戻られました。水陸両用で潜水艦にもなる代物ですから
「迷彩機能のある奴ね、了解。香月女史は?」
[最初、それを羨ましそうに見てらしたのですが、何やらリトルボーイとコソコソとやり取りをしていた様ですから、艦の備品更新にでも追加する気なのでしょう]
「ある程度は、自由にしてもらっても良いけど提供する技術レベルの制限はハコに一任するからね、後は任せたよ」
[肯定。任されました。文明が崩壊しない程度に制限いたします]
それってホントに大丈夫なのか?